異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第14章 侵略する帝国篇

第162話 ナバル帝国の秘密

　先にナバル帝国に侵入したリュート、クリア、サレナ、ローザは驚くべき光景を目の当たりにしていた。

　「何？この建物…」

　「一体どうなっていますの？」

　「見たことないものばかり…」

　ナバル帝国の中は、この大陸には存在しない技術がふんだんに使われていた。車両が走る道路が整備され、工場が乱立している。

　「やはりそうか…」

　この光景を見て、リュートは確信した。俺たちの世界から来た何者かが、この帝国に技術を提供していると。

　国の中央には巨大な建造物がある。あれが皇帝がいる城だろう。あそこに向かえば全て解決する。外の二人も心配なので、先を急がなくてはならない。

　「みんな止まれ…何かがいる…」

　四人で背中を合わせるように円陣を組む。

　「いたぞ！侵入者だ！」

　「総員！構え！」

　わらわらと兵士たちが現れる。その数は約20万。そして、兵士たちが構えたのはこの世界にはない銃だ。

　「この数は不味いですわね…」

　遠距離からの攻撃はサレナと相性が悪い。サレナならば銃弾を弾くことも出来るが、流石にこの数の銃弾は防ぎきれない。

　「総員！撃て！」

　ズガガガガガ！兵士たちからの一斉射撃が始まった。無数の弾丸が俺達に放たれる。しかし、俺たちに弾丸が届くことは無かった。

　「重力操作グラヴィティ･プロセス･重力壁ウォール」

　クリアが重力操作で重力の壁を展開した。弾丸は重力により減速し、止まる。

　「よくやったクリア」

　俺は飛翔し、上空に上がる。

　「不味いぞ！こんなことになるとは想定していなかった」

　「は、早く次の攻撃を開始しろ！」

　兵士たちは弾丸が止まるという不測の事態に対応出来ていない。そして、銃というものは必ずリロードが必要になる。リロードするというその隙はかなり大きい。

　「消え去れ！竜雷群ライトニング･シャワー！」

　バリバリバリィ！無数のカミナリの雨が銃を持っている敵兵を撃つ。約15万の兵士たちは焼け焦げた。しかし、残り5万の兵士は銃を捨て難を逃れたようだ。

　「兵士たちよ！生き残ったか！」

　「総員！武器を持ち替え、近接で戦え！」

　どうやら兵士たちは銃を捨て、近接攻撃にシフトしたようだ。

　「皆様。私が食い止めますわ。先にお進み下さいませ」

　サレナが剣を握っている。サレナは俺達を信頼して自分がこの場を片付けると言っているのだ、その覚悟を無下には出来ない。

　「頼んだぞサレナ！行くぞクリア、ローザ！」

　「頑張ってね、サレナ！」

　「サレナ！生き延びるねよ？わかった？」

　リュート達三人は中央の城に向かった。

　「さて、大見得切って送り出しましたが、それにしても数が多いですわね…それでもやるしかありませんわ！」

　サレナは剣を抜いたのだった。