異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第18章 竜神の日常篇

第218話 水中包囲網

　「おい下郎どうする！この数はマズいぞ！」

　壁から無数に海神の遣いが生えてくる。

　「海神の遣いね…。一体どんな能力を…」

　名前　海神の遣い
　種族　半魚神･神種(ハーフシーマン･ディバイン)
　rank　888
　
　技能　魔法(水) 武器創成 増殖 投擲

　ランク888だと？かなりの高ランクだ。しかも、スキル「増殖」により、その数は増え続けている。

　「みんな。気を引き締めろ…気を抜いたら全員殺られるぞ」

　俺たちは背中合わせで空間の中央に居る。その俺たちを囲うように全方向に海神の遣いが居る。

　「なるほど、これが海神の試練という訳か。相手にとって不足なし！俺たちはこんな所では終われない！魔銃･コロナ！」

　リュートの手元に魔銃･コロナが出現する。

　「形態モード･ショットガン。拡散弾スプレッドバレット！」

　コロナから放たれた弾丸は空中で拡散し、海神の遣いを貫いていく。

　「みんな、行くぞ！」

　「「了解」」

　「仕方ない！」

　リュートの銃撃を皮切りに各自、海神の遣いの撃破を試みる。

　「タスラム、分裂ディビジョン！」

　クリアの魔法武器が二つに分かれる。

　「行くよ！天竜双刃ヘヴンリィデュエルカッター！」

　重力を纏い加速した二双の刃が次々と海神の遣いを切り裂いていく。

　「次は私が行く！分身！そして、動けなくしてあげる！」

　ローザが分身を重ね、どんどん増えていく。分身ローザは淫魔の力で数秒間、敵を拘束する。

　「その魔力たっぷり頂くわ！」

　分身ローザが海神の遣いの頭に手を添える。

　「魔力吸引マナドレイン！」

　分身ローザに触れられた海神の遣いは干からびるように消滅していく。

　「ちぃ！下郎の指示などに従いたくはないが、これもご主人様を守るためだ。まずは貴様を頂く」

　コットンは近くにいた海神の遣いに喰らいつく。

　「その力を喰らい尽くす！神喰ゴッドイーター！」

　コットンはその海神の遣いを丸々一体平らげる。

　「なるほど。貴様のスキルはこういった力か」

　コットンが右手を構えると、周囲に無数の武器が出現する。

　「武器嵐ウェポンズ･ストーム！」

　その武器が射出され、海神の遣いは貫かれていく。

　四人の圧倒的な攻撃は海神の遣いの数をどんどん減らしていく。

　一度体勢を立て直すため、もう一度中央に背中合わせで集まる。

　「しかし、キリがないな…」

　「このままだと、こちらが先に疲弊しちゃいそうだね…」

　「私の魔力吸引も、もう時期限界だわ…」

　二人の体力にも限界がある。そろそろ終わらせよう。

　「コットン、お前はまだまだ余裕だよな？」

　「当たり前であろう？貴様の方こそ余裕が無いのではないか？」

　「よし。クリア、ローザは俺とコットンの援護に回ってくれ。俺とコットンでコイツらを片付ける。行けるなコットン？」

　「誰に口を聞いている！ご主人様を危険に晒すのはもう終わらせなくては！」

　こうして、竜神と天狼の協力プレイが始まるのだった。