異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第二部 第1章 リスタート篇

第11話 思い出した記憶

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 「えっ…嘘…」

 クリアの目の前には苔むした白いドラゴンが転がっていた。

 「あ、あぁ…ドラゴンさぁぁぁん!」

 その時、クリアの脳内にかつての記憶が蘇る。心象世界の中のクリアに誰かが声を掛けてくる。

 「クリア!」

 この声…誰の声だろう…。温かくて懐かしい。私はこの声を知っている。しかし、誰の声なのかクリアにはわからない。

 「クリアって私の名前?」

 そうだ思い出した。私の名前はクリアだ。大切な誰かがつけてくれた名前だ。しかし、その大切な人のことが思い出せない。それが非常にもどかしい。ただ、一つだけ分かることがある。私をずっと守ってくれたあのドラゴン。きっと彼が私の大切な人だ。

 「彼の名前は…」

 思い出せ…。私はきっと知っている。私のことを大切に思ってくれたあの人を。ずっと隣にいてくれたあの人を。そんな彼の名は…

 「リュート!」

 思い出した。私の名前はクリアで、あの白いドラゴンがリュートだ。まだ他の記憶は曖昧だが、名前とリュートへの想いだけは思い出すことができた。

 「リュート!私、思い出したよ!」

 苔むした小さなドラゴンを抱きしめながら語りかける。

 「私はクリア。あなたはリュート。あなたは私の大切な人。だから、お願い…」

 クリアから涙が零れ落ちる。その雫がリュートに落ちる。

 「そうか…思い出せたなら何よりだ」

 「えっ!この声、リュート?」

 パキパキッ!リュートに生えた苔にヒビが入っていく。

 「なら俺も頑張らないとな!」

 パキーン!リュートの体に生えていた苔が全て剥がれ、中から光と共にリュートが現れる。しかも、その姿は先程までとは豹変していた。

 遡ること数分前。

 「ん?ここは?」

 リュートも心象世界に迷い込んでいた。

 「俺、死んだのか?」

 いや、それは違うだろう。何だかそんな気がした。

 「はぁ…せめて進化できればこの状況も打破できそうなんだけどな…」

 『あなたの進化先を表示します』

 「何!」

 目の前に、スクリーンのようなものが現れ、そこには字が書いてある。

 <進化先>

 幼竜→小竜

 なるほど。俺は今、幼竜だ。次の小竜に進化できるというわけだろう。すぐ様進化を…。待てよ?俺の第六感がささやいている。進化先は複数あるのではないか?何かの条件や環境を満たしたりしたら、開放されるのかもしれない。

 しばらく待っていると、

 『特殊行動の達成を確認しました。進化先が増えます』

 <進化先>

 幼竜--→小竜
    |-→草竜
    |-→炎竜
    |-→剣竜

 やはりそうか。何かを達成したりしたら進化先が増えるというわけだな。

 何だか強そうなのも増えたし、何にしようか…。

 『体内に摂取したものにより、さらに進化先が追加されます』

 選択肢に追加されていた竜の種類は「爆棘竜デトネイトドラゴン」だった。
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