異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第5章 革命の夜明け篇

第50話 竜人種の力

　リュートは魔女イモージェンの力によって竜人種へと変化した。

　「さて、これからどうするかな…」

　当初の目的だった、人型化は達成した。この姿なら、差し支えなく生活できるだろう。次の目標としては、アル大陸への帰還なのだが、これがそう簡単には行かない。まず、アル大陸へ向かうための海路は翠怠竜に塞がれている。そこへ到達するためには、奴を討伐しなくてはならない。しかも、今の俺でも勝てるかはわからない無謀な戦いだ。ましてや、海岸に到達できたとしても、船も無いし、航海術も持っていない。こんな状態ではアル大陸への帰還は難しいだろう。
　考えた結果、やはりこの大陸に存在する七色の罪竜(セブンシンズ)。奴らを倒すことが俺の目標への近道になるのではないだろうか。それを達成するためにもまだまだ強くならなくてはならない。

　「リュート。まだ日没まで時間があるけどどうする？」

　「そうだな…。ここはやはりダンジョンか」

　確実に強力なモンスターと戦えて、なおかつお宝も手に入る。その辺にいるモンスターを狩るよりは明らかに効率が良い。

　「近くにダンジョンがあるみたいですよー」

　「じゃあそこに行こうか」

　都市ブルースにあるダンジョンに向かう。

　「着いたか」

　そのダンジョンは洞窟型のダンジョンで、地下に降りていく仕組みのようだ。三人でダンジョンに入る。

　「よし！この姿の実力を確かめてるか」

　目の前に、巨大なコウモリのようなモンスターが現れた。

　「はぁ！」

　ズバン！コウモリ型モンスターはあっさりと真っ二つになった。

　「はぁぁぁ！」

　ズバッ！　

　「どりゃあぁぁ！」

　ザシュ！

　なかなかいい感じだ。竜から変化していた時に比べて明らかに動きが速く、力も強くなっている。やはり、人間よりも竜人の方が力が強いのだろう。

　「よし。こんなもんか」

　リュートの活躍により、あっという間に第一階層を突破した。

　「リュート凄ーい！」

　「強いですー！」

　二人に褒められ俺としても鼻が高い。続けて第二階層の攻略を開始する。

　「この階層は私に任せて！」

　クリアが名乗りを上げる。せっかくなので、この階層はクリアに任せることにする。

　「はぁぁぁ！」

　ベキベキ！バキバキ！クリアは道行くモンスター達を一匹残らず豆粒にしていく。傍から見たら明らかに恐ろしい光景だろう。やはり第二階層も一瞬で攻略が終わる。もしかしたら、俺たちはかなり強くなっているのかもしれない。

　「さすがクリアだ。さて、次は第三階層だな」

　「わ、私が！次は私にやらせて欲しいですー！」

　今度はオリアナが名乗りを上げる。

　「大丈夫なのか？」

　「た、たぶん…」

　オリアナはまだ戦闘経験も少なく、魔物使いになって日も浅い。自信が無いのも仕方がない。しかし、ここでしっかりと経験を積むことで、自信がつくはずだ。

　「オリアナ、やってみようか」

　「は、はい！頑張りますー！」　

　オリアナの挑戦が始まる。