異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第6章 隣国との邂逅篇

第65話 犠牲と影響

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 ニナから衝撃の事実が伝えられる。この国に居た七色の罪竜は、ニナの体内に封印されていた。

 ニナは話しを続ける。

 「私の中に居る竜は紫色竜パープルドラゴン。その竜が背負いし罪は「色欲」です」

 「なるほどな…」

 「この国に男性が居ないのもこの竜の影響です。この竜は色欲の限りを尽くし、淫らな行為に耽りました。紫色竜は性別、種族に関係なくありとあらゆる者と交わり、その行為によって相手の魔力を搾り尽くし、自らの養分としました。そして、精力が強い男性から先に減って行きました」

 「とんでもない竜だね…」

 「そして、その竜は私の中に封印されました」

 「しかし、何故ニナに…」

 「私が王の血を引いているからです」

 王の血だって?ニナは王族だとでも言うのだろうか。

 「私の家系はかつて王族でしたが、何かをして王族から追放された一族のようです。私が生まれるよりもずっと前の話しなので私も詳しくは知りません。七色の罪竜の封印には高貴で純潔な体が必要でした。その条件を満たすのが私でした。だから、紫色竜は私に封印されました。封印には莫大な人員を要し、多大な犠牲があり、私の両親は封印する時に命を落としました」

 「なるほど…そう言った経緯があったのか…」

 「ニナ、あなたの体は大丈夫なの?」

 確かに巨大な力には反動はつきものだ。それほどまでに巨大な術式となれば封印された本人にも何かしらの終わって影響があってもおかしくは無い。

 「もちろん、私も封印の影響を受けました。私には感情が無いんです」

 「えっ?」

 「笑ったり泣いたり怒ったりしたことが無いんです。出来ないんです」

 「そんな…」

 「そんなことが…」

 クリアとオリアナは言葉を失った。感情を喪失したなど、常人では理解しようがないほど辛いことだろう。確かに最初に出会った頃から感情が薄いような節はあったが、まさかこんな秘密を抱えていたとは…。

 「それで、この家が?」

 「はい。私の体内に紫色竜が封印されているのを知っているのは、極わずかな人たちだけででしたが、秘密を知った悪人たちが噂を広め、私は迫害されることになりました」

 「一体誰がそんなことを…」

 「私に竜を封印した時に犠牲になった人達の子供たちです。私は実質的には親を殺したようなものです。そう思われても仕方ありません」
 
 「だが、なぜニナはわざわざここに戻って来たんだ?迫害される国なんて帰らない方がいいんじゃないか」

 「それは…どうしてもリュートさんに会いたくて…」

 そういう彼女はどこか嬉しそうだ。

 「ニナ?」

 「はい。なんですか」 

 「俺は君には感情があると思うよ」

 「そう…でしょうか…」

 こうして、俺たちはニナの事を深く知るのだった。
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