異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第7章 集いし者篇

第83話 怒熱

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 リュートとニナは翠怠竜本体の元にたどり着いた。

 「へぇー…思ったより早かったね。君たち結構やるんだね」

 「さっさとお前を倒して二人と合流しないとな」

 「そうですね」

 「僕を倒す?君たちで?面白い冗談だね。そして、君に一つお知らせしておくよ。二人の内片方は既に疲弊しているようだね」

 「何だと!」

 遡ること数分前、分断されたオリアナは近くに居たブレイズに守られていた。

 「ありがとうブーちゃん!助かりましたー」

 「気にするなマスター。さて、てめぇ!マスターに近づくとはいい身分だな?マスター下がってな、こいつなんて直ぐに倒してやるぜ。先輩はマスターの警護を頼むぜ?」

 「わかった!まかせて!」

 スライムのムーはオリアナの近くで待機する。

 「グオォ…」

 苔むしたドラゴンは目の前に立ちはだかっている、赤色のドラゴンに気後れしている。

 「分体ごときが俺に勝てるなんて思ってないよな?」

 シュウゥゥゥ…。ブレイズの足元から煙が出始める。ブレイズの体が熱を帯び始めたのだ。

 「怒り・10パーセント。赤域レッドゾーン!」

 ブレイズがそう唱えると、ブレイズの足元の煙が苔むしたドラゴンの方向へ広がって行く。

 「グガァァァ!」

 「俺の怒りはだろ?俺の能力『怒熱ヒート』の味はどうだ?」

 苔むしたドラゴンの苔が次第に熱で剥がれていく。ブレイズが放つ熱は次第に温度を上げていく。

 「熱いですー!」

 「ごしゅじん!ぼくをつかって!」

 オリアナはあまりの暑さに服を脱いだ。そして、ひんやりとしたムーを体にまとまりつかせた。

 「すまないマスター!先輩と共に少し我慢してくれ!」

 ジュウゥゥゥ!ますます周囲の温度が上昇していき、苔むしたドラゴンは焦げはじめ、動きが鈍り始めた。

 「消えやがれ!分体!」

 ブシュウゥゥゥ…。苔むしたドラゴンは炭となり消えた。

 「よし。リュート達と合流するぞ!」

 「はいー!」

 オリアナは服を着直し、リュートの元へ向かう。

 そして、リュートとニナは翠怠竜との戦闘を始めていた。

 「すぐに終わらせる!」

 リュートが刀を振りかざす。

 「遅いよ。怠惰の木スロウス・ツリー

 バキバキ!リュートの刀を受け止めるようにリュートの目の前には木が生え、攻撃を受け止める。

 「ちっ!厄介な能力だ!」

 「私の攻撃も通らないです!」

 ニナの攻撃も同様に防がれてしまっていた。

 「苦戦してるみたいだな!」

 ジュウゥゥゥ!目の前に生えた木が瞬間的に炭になる。

 「待たせたな!ブレイズ、前線復帰だ!」

 リュート達とオリアナ達が合流したのだった。
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