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第1話 まさか見知らぬ男の人と
プロローグ
僕・日野陽介はいじめにあっていた。
原因は、たぶん、みんなよりふたつ年上なこと。
子供の頃に病気をして、小学校に入るのが二年遅れた。
だから、ひとつ年下の弟が上の学年にいる。
今、僕は19歳だけど高校二年生で、弟は18歳だからもちろん高校三年生だ。
小学校も、中学校も、弟が先に入学して先に卒業していった。
しかも、出来の良い弟に比べて、何もかも劣っている兄と来れば、からかう対象にはこれ以上ないくらいに条件ぴったりだ。
でも、それは単なるきっかけにすぎない。
本当の原因は、ブサイクな見た目と、どうしようもなく弱い心のせいだ。
からかわれてオドオドする反応が面白かったらしく、僕は次第にいじられキャラになり、その内に陽介に触ると不幸が感染るなんて言われるようになり、何かあると僕のせいにされるようになり、いじめはどんどんエスカレートしていった。
『顔』か『心』のどちらかが良ければまだましだったと思う。
今の僕みたいに、スニーカーを片足しか履いていなかったり、制服に赤いペンキでドクロを描かれていたり、頭の右側半分だけ髪を剃られていたりして、オモシロおかしい姿はしていないはずだ。
橋の欄干から下を覗く。
昨日雨が降ったから、なかなか良い感じに川の流れが速い。
まぁ、べつに、死のうなんて思っていない。
ただ、こんなオモシロくも哀れな格好で川を覗き込んでいたら、『死んじゃだめだ!』とかなんとか言って、どこかの心優しいヒーローが声をかけてくれたりしないかなぁ、なんて淡い期待を抱いているだけだ。
その一秒後、声をかけられた。
「ちょっとそこの人! どいて! どいてー!」
優しく肩を叩かれるどころか、僕は暴走自転車にぶつかられて、あっさり欄干から流れの速い川へダイブしていた。
えええー! うそだろー! 僕カナヅチなんですけどー!?
叫びはゴボゴボと水に飲み込まれて声にならなかった。
僕は『顔』と『心』だけじゃなくて、『運』もまったく良くなかったらしい……。
死んだのかな?
気付くと、何もない空間をぼんやりと漂っていた。
苦しさも痛みも無いし、温かさも寒さも無い。
ただ、濃い霧の中にいるみたいで、上も下もよく分からない。
首を巡らせてみると、遠くにいくつか、人の影みたいなものが見えた。
僕と同じように、何をするでもなく、ぼんやりと漂っている。
うーん、ここが死後の世界なら、天使様とか神様みたいなものがその内現れたりするんだろうか。
そう思っていたら、天使みたいにきれいな美少年が霧の中を流れてきた。
「わぁ……美少年だ」
つい声に出してしまい、顔を上げた少年のビー玉みたいな青い瞳と目が合ってしまった。
キラキラの金髪で、肌は白くて、まつげが長い。体は華奢だけど、手足は長めでバランスがいい。
すごいな、一つも欠点が見当たらない……いわば完全無欠の美少年だ。
「いいなぁ、きれいな顔で」
思わず出た呟きとほぼ同時に少年も口を開く。
「いいなぁ、ブサイクな顔で」
はぁー?
お前、何言ってるんだ!
ブサイクというだけで、僕がどれほど理不尽な目にあってきたと思っているんだ!
……なんてことをズバッと言えるなら、僕はいじめられていない。
気弱な僕が出来るのは、相手を指差して口をパクパクさせるくらいだ。
「な……! お、おま……!」
「なに? 怒っているのか?」
少年は笑った。
「いいよ、欲しいならあげるよ、きれいな顔」
僕の腕をぎゅっとつかみ、少年はくるりと自分の体と僕の体の位置を入れ替えた。
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よろしくお願い致します。
2022.04.28
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とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。