異世界で美少年奴隷になっちゃった?!

緋川真望

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第1話 まさか見知らぬ男の人と

1-(1)四人のコスプレ男子?


 誰かが僕の手を握っている。
 誰かが僕の額の汗を拭いて、誰かが僕の頬を撫でている。

 これは、母さんと父さん、それとも弟の雄介かな?
 いつもはほとんど会話もない僕の家族だけれど、さすがに川で溺れたとなれば心配してくれているみたいだ。


 美男美女の両親とよく似た弟・雄介は、成績もよく、性格も明るく、愛されている。
 両親とは似ても似つかない兄の僕・陽介は、成績は悪く、性格は暗く、あんまり愛されているとはいえない。
 あからさまな虐待は無いんだけれど、僕が学校でいじめられているのに気付いていても、見て見ぬふりをするぐらいには、愛情の薄い両親だ。


 でも、死にかけた今なら少しくらいは優しくしてくれる……?

「おとうさ……おか……さ……」

 僕の手を握ってくれる温かい手が、ギュッと力を増した。
 ああ、久しぶりに僕の名前を呼んでくれるのかな……。

「リュカ!」

 ん?

「リュカ! 気が付きましたか? リュカ!」

 リュカって誰?

 僕はハッと目を開いた。
 上から覗き込んでいるのは、家族ではなく、まったく見知らぬ四人の男の人達だった。
 
「どうしてこんな無茶をしたんだよ!」
「見つけるのがあと一歩遅かったら死んでいたんだぞ!」
「全く馬鹿なことを……」
「本当に心配したんですよ」

 僕は体を起こして、怒っているみたいな男の人達をきょとんと見上げた。

 えっとなになに?
 いったい、どこのどちらさま?

 四人とも成人男性みたいなのに、かなり本気のファンタジーな格好をしているんだけど。

 なにこれ?

 僕の手を握っている一人はすその長い魔法使いみたいな黒のローブ姿、後の三人は装飾の多い鎧みたいなものを身に着けているけど……。

 うん、コスプレ? 

 いやいや、ちょっと待って。個人で用意するにはやたらクオリティーが高い衣装じゃない?
 てことは、映画の撮影?
 四人とも背が高いし、くっきり彫りの深い顔立ちだし、海外の俳優さんなのかな?
 それにしては日本語がうまいけど……。

「あの……」

 あんたら誰だ?
 ここはどこだ?
 つうかまずは状況を説明しろ!

 ……なんて、はっきり言える性格ならいじめられたりしていない。

「えっと……あの……」

 僕はもごもごと口を動かしたけど、結局何も言えずに周囲を見回した。

 直径7、8mくらいはありそうな、かなり広くて丸い形の部屋だった。天井は中心が上に尖っている円錐形で、古い映画で見たサーカスのテントみたいだ。
 窓が無いせいか薄暗く、いくつものランタンが優しい明りを灯している。
 僕が寝ているベッドのほかには木製の大きなテーブルと四脚の椅子があり、キラキラした鉱石や小瓶の並ぶ棚が二つあり、床はふかふかの絨毯じゅうたん敷きで、かなり快適そうだった。

「私のテントの中ですよ、リュカ。安心しなさい」

 僕の視線に気付いたのか、黒髪ロングの魔法使いコスの男の人が言った。この人は口調も表情もすごく優しい雰囲気だ。

「リュカ……どうした? どうして何も言わないんだ?」

 真っ赤な髪をした鎧コス男が、間近に顔を寄せて僕の頬を両手で包んできた。
 僕はビクッとして、体を少し後ろに引いた。

 うわ? なになに、びっくりしたー。

 この人、初対面で距離近すぎ。
 やっぱり欧米人は距離が近いよ。
 僕みたいなブサイクにも、平気で触ってくるなんて。

「リュカ?」
「あの、僕、あの………」

 僕には日野陽介という名前がちゃんとあるんです。まったく、似合っていない名前だけど。

「ぼ、僕、あの……リュカじゃありません、ひ、人違いです……」

 四人はぎょっとしたように目を開いた。
 そして、赤髪以外の三人が、じとりとした目で赤髪を見た。

「レアンドル、お前……」
「勇者殿? 昨夜はあなたがリュカを自分のテントに召し出しましたよね?」
「この体力馬鹿が、どんだけしつこく責めたんだ?」
「はぁ? 待てよ、濡れ衣だ! 適度にかわいがっただけだって! な、リュカ、お前だって楽しんだだろ?」

 赤髪が肩をつかんでくるから、また僕はビクッとして身を引いた。ベッドの柵に体が当たってしまい、もう後が無い。

 えええ、どうしよう。

 勇者と呼ばれているということは、この赤髪の人が映画の主人公なのかな? 
 確かに四人の中で一番派手というか、華やかな見た目だ。
 けど、主役だろうが何だろうが、赤髪の人は距離が近すぎる。

 すれ違う時にわざとらしく避けられたり、ちょっと触っただけで不快そうに服を払われたりするのが、僕の日常なのに。

 こういう時、普通の人ならどういう反応をするんだろう?
 どういう反応をすれば、いじめられないで済むの?






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