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おまけの章 はじめてのぼうけん
(4) 「料理人の誠心」後編
レオと初めて会ったのは今から数か月前……いや、本当は正確に覚えている、今から159日前のことだ。
その日は朝から騒がしかった。俺達奴隷が寝起きしている港近くの小屋に、いきなり商家の主人がやって来たのだ。しかも、全員に新しい服と洗浄薬を配らせて、身ぎれいにするようにと指示を出した。
ここの主人に買われてからもうずっと変わらない毎日を送って来た俺は、いつもと違う朝に不安を感じて、いったい何が始まるのだろうとビクついていた。
途惑っている奴隷達に対して、主人は声を張り上げた。
「いいか、何を聞かれても『満足しています、良くしてもらっています』と答えるんだぞ。余計なことを言った奴は、一日食事抜きにするからな」
一日でも食事を抜かれたら、荷運びをする力が出ない。俺は何も言わないことを強く心に決め、服を脱いで洗浄薬の粉を頭から降りかけた。シュワシュワと泡が立って全身がきれいになり、自分の体からとてもいい匂いがしてびっくりする。俺はその時初めて香り付きの洗浄薬があることを知ったのだ。
それから朝食のパンとスープが配られたのだが、スープに入っている野菜も干し肉もいつもより量が多くて俺達は互いに顔を見合わせた後、夢中になってガツガツと食べ始めた。
「ったく、奴隷の暮らしを知りたいなどと、勇者様の気まぐれにも勘弁してほしいものだ。わざわざ視察に来なくても、うちは食事も服も寝床も法で決められた通りにちゃんと与えてやっているぞ」
主人のイライラした声に被せるように、定期船の警笛がボーッと遠くから聞こえて来た。
「ああ、もう船がつくというのに仕事を始められないじゃないか。勇者様はまだ来ないのか」
俺達は小屋の前に整列させられて、勇者が来るまで待つように命じられた。
商家の主人はものすごく機嫌が悪いようだった。
けれど、俺はさっきまでの怯えが少し興味へと変わっていた。ただ単に『見に来る』というだけで洗浄薬と食事の質を上げてしまうなんて、勇者というものはどんなすごい存在なんだろうと思ったのだ。
やがて、お供を何人も引き連れて、赤い髪の立派な青年が奴隷小屋の前に姿を現した。とたんにざわめきがぴたりと止んで、俺は少しの間、息をするのを忘れた。
青年は、俺が今まで出会った誰とも違っていた。違いすぎて、同じ人間とは思えないほど輝いて見えた。キラキラした刺繍の入った赤いベストと飾り帯を身につけ、派手な装飾のついた剣を腰に差しているが、身なりが豪華だから圧倒されたわけじゃない。
真っ赤な髪を海風になびかせて歩いてくる青年に、その場の全員の視線が否応なく引き寄せられるのが分かった。
自信に満ち溢れた表情、意志の強そうな瞳、優雅な身のこなし……歩き方も微笑み方も話し方も、仕草のすべてが王者の風格を備えている。
これが勇者か。そう思った。
普段は偉そうにふんぞり返っている商家の主人がぺこぺこと腰を低くして、奴隷小屋と俺達の待遇についての説明を始める。
勇者は赤茶の目で奴隷小屋や俺達をゆっくりと見回し、なぜか俺の方へぴたりと視線を向けて来た。
目と目が合う。
ドクンと心臓が鳴り、どこかへ逃げ出したくなったが、俺は勇者の目から視線をはずすことが出来なかった。
固まったように動けない俺に、勇者が悠然と近づいて来る。
「お前、怪我をしているな」
整った形の唇が動いて、何かを言った。
「え……」
「痛むか」
痛む? 何が?
勇者が俺の左目のあたりを見ているのに気付いて、ハッとした。そういえば数日前に奴隷仲間に殴られたんだった。でももうほとんど痛くないから、怪我をしたことなんてすっかり忘れていた。
「こういうことはよくあるのか?」
「い、いえ、滅相も無い! たまたま仕事中にぶつけたんでしょう。なぁ、お前、そうだよな?」
主人も、俺を殴った奴隷仲間も、血の気の引いた蒼い顔をしている。
俺は慌てて、教えられた通りのセリフを早口で言った。
「ご主人様には良くしてもらっています。とても満足しています」
勇者は俺達の様子を見て、小さくクスッと笑った。
「そうか、偉いな。頑張っているんだな」
「え……は……」
俺は激しく動揺した。
急に自分の頬がカーッと熱くなるのを感じた。
偉いなんて初めて言われた。
頑張っているなんて初めて言われた。
どうしよう。こういう時は何て言えばいいんだ?
勇者は腰に下げた赤い革のバッグからひとつの小瓶を取り出した。
「ほら、これやるよ」
「これ、なに……なんですか?」
「ポーションだ」
「ぽーしょん……」
俺は、まじまじとその小瓶を眺めた。勇者が軽く揺らすとチャプチャプ音がする。何かの液体が入っているようだが、初めて見るものだった。
「そのくらいの傷ならすぐ治るぞ」
「傷が……?」
「ん? ポーションを飲んだこと無いのか?」
俺がうなずくと、勇者が驚いたように瞬きした。
これは誰でも知っているようなものなんだろうか。
「これ、俺にくれるのか、あ、くれるんですか」
「ああ、お前にやる。受け取れ」
俺は首をひねった。
俺は食べ物をくれる人のために働く。
ポーションをくれる人のためには、何をしたらいいんだ?
「俺は優者さまのために働くのか」
「はは、何もしなくていい。ただでやるよ。ほら、遠慮せず飲め」
勇者は小瓶の栓を抜いて俺の手に持たせた。俺はよく分からないままそれを口に含んだ。舌に液体が触れた途端、甘みがあってびっくりする。とても美味しくて、俺はそれをゴクゴクと一気に飲み干した。
体が急にあったかくなって、すぅっと全身が楽になっていく。
「うん、きれいに消えたな。良かった」
勇者がニカッと笑い、大きな手が俺の頬に触れてきた。
「おー、意外に男前だなぁ、お前」
優しい指で頬を撫でられ、すぐ間近にきれいな赤茶の瞳があって、胸の奥がジンと熱くなる。何だろう、この気持ち。泣きたいような、笑いたいような、今まで味わったことのない変な感情だ。
「勇者さま……ありが……」
言いかけた瞬間、視界がパァッと眩しくなった。そしていきなり、見えているすべてのものの上に文字が浮かんできた。視界いっぱいに、文字、文字、文字の大洪水だ。
「あ……!」
びくっと硬直して目を見開いた俺を、慌てたように勇者が支える。
「おい、どうした」
その凛々しい顔の上にも文字が浮かんでいた。
字を習っていない俺に読めるはずもないのに、なぜか俺にはそこに書いてある文字がはっきりと理解できた。
「れあんどる……ておどーる……かとう、たつや……しょくようにはむかない……」
書いてある文字を読み上げると、勇者がぎょっとした顔をした。
「おい、何でその名を知ってる。まさかお前もそうなのか? おい!」
「あ……あぁ……!」
視界が文字に埋め尽くされてぐるぐると眩暈がする。
何が起こっているのか分からなかった。
混乱する俺の頭に、膨大な情報と感情が流れ込んでくる。
俺の知らない誰かの一生分の記憶。
俺の知らない誰かの一生分の感情。
日本という国で暮らした、坂崎陽人の普通で幸福な人生。
それは、何も考えず何も感じないように生きて来た俺には、あまりに負荷が大きすぎた。
「た……すけ……」
怖くてどうしようもなくて目の前の勇者にすがりつく。
そこで俺の意識はぷつりと途絶えた。
泥の沼の底からゆっくりと浮上するように、深い眠りから徐々に意識が戻ってくる。
「んん……」
俺はふかふかの柔らかな寝床に寝かされていた。
伸びをしながら目を開くと、木目のくっきりした天井にシンプルなシャンデリアが下がっている。
見慣れない天井だ。
ここはどこだ?
今、何時だ?
そう思いながら、指で枕元をまさぐる。自分の家だろうと友人の家だろうと、もしくは旅先だろうと、寝る時はいつでもそこに置いておくはずのものが見つからない。
「あれ……俺のスマホは……?」
「この世界にスマホは無いぞ」
近くで声がして首を動かす。
鮮やかな赤髪の美青年がワクワクした顔で俺を見下ろしていた。
「え……と……」
「自分の名前を言えるか?」
「え」
「名前だ、名前」
「名前……は、坂崎だけど?」
「坂崎、なに?」
「坂崎陽人」
「へぇー、ハルトか。どんな字書くんだ?」
「太陽の陽に、人」
「太陽の陽? はは、そっか。良い名前だな」
めちゃくちゃ嬉しそうに笑って、青年は俺に手を差し出した。
「俺はレアンドル。レオって呼んでくれ」
「レオ……」
途惑いながらその手を取ると、ぐいっと引っ張って起こされた。
部屋の中を見て、少し不思議に思った。室内にある家具はすべて木製で、テレビもエアコンも時計も電話も無い。旅行ガイドか何かで見たことのあるヨーロッパのクラシックホテルみたいな雰囲気だ。
「レオ。あー、悪いが説明してくれないか。ええと、なんつうか、ちょっと記憶が曖昧なんだ。ここはどこで、あんたは何者で、俺はなんでここにいるんだ?」
レオがじっと俺を見る。
「分からないのか?」
「ああ、さっぱり」
「うーん、俺が前世を思い出した時より、だいぶ混乱しているみたいだな。なぁ、陽人、ラウルっていう名前は憶えがあるか?」
「ラウル?」
「ああ、ラウルだ」
聞き覚えがある。
すごく馴染みのある名前だ。
誰の名前だ?
「ラウル、ラウル……あれ? え? ラウルって……俺か? え、でも、俺は陽人だし、あれ? まじで? いやでもラウルって……ラウルは……」
ラウルは俺だ。
幼い頃に両親に捨てられ、盗賊団の頭領に拾われ、今は犯罪奴隷にまでなり下がったラウル。
何も考えず、何も感じないように生きてきたラウル。
自分の正体を思い出すと同時に、レオの正体も思い出した。
「うそ……勇者様!?」
ザーッと血の気が引いた。
「あ、俺、俺、失礼なことを……」
「大丈夫、何も失礼じゃないって」
「でも俺」
「ラウル、大丈夫だ」
俺はキョロキョロと周りを見た。
なんで俺はこんなところにいるんだ。
仕事をさぼったら食べ物がもらえないのに。
「あ、俺、荷運びの仕事に行かないと」
「ラウル」
「あぁ、どうしよう。食事抜きにされる」
「ラウル、もう荷運びに行かなくていいんだ」
「で、でも、働かないと食べ物をもらえない」
レオがガシッと俺の両肩をつかんだ。
「落ち着けって。ここは港近くの宿だ。腹が減ったんならいくらでも食わせてやるから」
「え」
「なぁ、ラウルの元主人はいつもお前を飢えさせていたのか?」
眉間にしわを寄せるレオに、俺は首を振った。
「違う。毎日ちゃんと食べさせてくれた。だから、俺は働かなきゃ」
「なぁんだ。あいつがあくどい守銭奴なら、これから『ざまぁ』でもしてやろうかと思ったのに」
ざまぁ? なんか、聞いたことがあるような言葉だ。
「ラウルを殴った奴はどうだ? 俺様がきっちりお仕置きしてやろうか?」
俺はブルブルッと首を振った。
勇者様にお仕置きなんてされたら、奴隷はひとたまりもない。
「だ、大丈夫、です。あいつは、機嫌がいい時はパンを少しくれたことがあったし」
レオは少し不思議そうに首を傾げた。
「ラウルは食べ物のことばかり言うんだな」
「食べ物はすごく大事だ……大事です」
食べるために生きていたのか、生きるために食べていたのか、とにかく俺の価値観は5歳の時から変わっていない。食べ物をくれる奴のために働く、ただそれだけ。
「ほかに楽しみは無かったのか」
「ほかには、なにも……」
ラウルにとってはそれが当たり前だったが、陽人の記憶を取り戻した俺にとってはそれがどんなに貧しい人生なのか理解できる。
なんとなく恥ずかしくなって、俺はうつむいた。
「ふうん、そっか。じゃぁ、これからいっぱい楽しいこと教えてやらなくちゃな。ラウルの体調が回復したら、転移陣で王都へ行くぞ」
「え……王都?」
「ああ、王都にある俺の家に行こう」
「勇者様の家に?」
「勇者様じゃない、レオだ。さっきそう呼んでくれたろ?」
「で、でも、身分が違いすぎる……違いすぎます。俺は荷運び用の奴隷で」
「ラウルの身柄は、元の主人から俺が買い取った。だからもう荷運び用の奴隷じゃない。お前は今、書類上は勇者レアンドルのものになってるからさ」
「え、ど、どうして」
「そうするしか方法が無かったからなぁ。友達になるためには」
「え、ど、どうして?」
友達?
誰が、誰の?
レオはなぜか嬉しそうに俺の顔を見た。
「ラウルを見た時、一目でビビビッと来たんだ。俺達、きっと気が合うって! そういう勘はよく当たるんだ、俺。それに仲間だろ、前世持ちの」
俺はレオの顔をまじまじと見返した。
「前世持ち……?」
「そ、日本人だったんだろ? 坂崎陽人くん?」
「じゃぁ、勇者様、じゃなくてレオもそうなのか? もしかして、さっきの……? 加藤竜也ってのが……?」
「そ、それが俺の前世の名前だ。いきなり呼ばれてびっくりしたぞ。なんで分かったんだ?」
「なんか、急に目の前に文字が浮かんで見えて」
「文字が? 今は何か見えるか?」
「今は何も……」
「そっか」
いったいあれは何だったんだろう?
俺はどうなってしまったんだろう?
昨日までは何も考えずにただ同じことを繰り返していれば良かったのに、急に色んなことを考えなくてはならなくなって、頭も心もいっぱいいっぱいだ。
「いったい何が起きてるんだ……?」
レオは子供にするように、ポンポンと俺の頭を軽く叩いた。
「そんな不安そうな顔しなくていいって。その不思議な文字についても、ゆっくり調べて行こうぜ。お前の年季が明けるまでずーっと一緒にいることになるんだから」
「ずっと?」
「ああ、書類では31歳までとなっていたから、後12年残っているな」
では、あの奴隷小屋でもう8年も過ごしてきたのか……。
俺は自分が何歳か、あと何年奴隷契約が残っているのか、そんなことを考えたりはしなかった。そもそも足し算引き算が出来なかったせいもあるが、毎日同じことを繰り返すだけの俺にとって、年月や季節を意識する意味が無かったからだ。
黙り込んだ俺を何か勘違いしたのか、慌ててレオが言葉を付け足した。
「ラウルがもし俺を嫌になったら、いつでもほかの主人を探してやるから安心しろ。ただし、たとえ世界唯一の勇者様でも、国の法を曲げるわけにいかないだろ。だから奴隷の身分から完全に自由にしてやることは出来ないんだ」
レオが申し訳なさそうな顔をするから、俺の方が申し訳ないような気分になる。
「あの、俺は勇者様を」
「レ・オ!」
「あ、レオ……俺はレオを嫌だなんて思わない、です」
「タメ口でいいって」
「そういうわけには」
「その場に王族でもいない限りは、改まる必要は無いって。誰も俺には文句言わないからさ」
「はぁ……」
華やかな顔がニカッと笑いかけてくる。
「別に俺を主人と思わなくていいってこと! ラウル、俺のことは友と思ってくれ」
俺の心臓がとくんと鳴った。
友と思えなんて、本気で言っているんだろうか。
坂崎陽人には家族がいた。友もいた。恋人もいた。一緒に夢を追う仲間もいた。
でも、ラウルには家族もいない。友もいない。恋人もいない。自分以外に大事なものは無かった。
レオが友だというのなら、それはラウルにとっては生まれて初めての友ということになる。
「でも……奴隷を友にする勇者なんて、ありえません」
なぜか、声が震えた。
レオの赤茶の澄んだ瞳が真正面から俺を見てくる。
「でもさ、俺達が日本で出会った竜也と陽人だったら、きっと簡単に友達になれたよな? レオとラウルだって同じだろ?」
「そんな、乱暴な話」
「乱暴でも無茶苦茶でもいいよ。俺はラウルと友達になりたいんだ。なってくれよ」
強烈な存在感を放つ太陽みたいな美青年が、まるで求愛するように友になれと言う。
レアンドル・テオドール、紅蓮の勇者。一目見たその時から、もう俺は目が離せなくなっていた。この青年の懇願を断れる奴がこの世界にいるんだろうか。
俺は大きく深呼吸した。
「レオと友になる……?」
「ああ、呼び捨てでいいし、タメ口でいい」
「竜也と陽人みたいに?」
「そ、竜也と陽人みたいに」
俺はぎゅっと目を閉じると、陽人だった時の感覚を必死に思い出して、もう一度目を開いた。
鮮やかな赤い髪の勇者に、精一杯に笑いかける。
そして、できるだけ軽い口調で言ってみた。
「りょーかい、よろしくな、レオ」
右手を差し出すと、レオが両手でギューッと握手してきた。
「よろしく、ラウル」
大きい手から伝わってくる体温が、やけに心強くて嬉しかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
視界の端っこで、何かがキラキラと弾けた。
「あー! また! エディー」
日野が槍を手に、小さな口を尖らせている。
「すいません。つい反射で」
視界に入った魔物をすべて、魔導士が魔法で撃破してしまうらしい。
日野はせっかくもらった槍の出番が無くて、かわいい頬をふくらませている。
「おいおい、5階層までに出現するモンスターはみんな足が遅いし攻撃力も低いんだから、大魔導士がいちいち過剰反応するなよ。完全にオーバーキルだぞ」
「……分かっては、いるのですが」
「次、次こそは僕がやっつけますから、エディは手を出さないでくださいね!」
日野が少し前に出て、エイヤッと空中に槍を突き出す。まるで腰が入っていなくて、見るからに危なっかしい。たとえ弱い魔物相手でも、戦わせたくない魔導士の気持ちが少し分かる。
「あ、ほら、ヨウスケ。何やら向こうに派手な木が見えて来たぞ」
剣士が気をそらすように前を指差した。
道沿いに、ハロウィンの飾りに使われそうなくねくねした木が生えている。
「わぁ、ホントだ。ピカピカしてる!」
木には葉が一枚もない代わりに丸くて黄色っぽい実がたくさんなっていた。それはプチトマトくらいの大きさで、電飾のように内側からほんのりと光っている。
日野は木に駆け寄り、さっそくガイド本をめくり始めた。
「ええと、輝きの実のなる木。甘く、香しく、輝くほどの美味な果実。ただし、輝く覚悟の無いものは食べてはいけない。えー、輝く覚悟? またなぞなぞ?」
俺はその派手な実をじっと見つめた。
『輝きの実 ダンジョン産 特殊効果あり 食用可能 生食可能 色の濃いものは熟れて甘く、薄いものは酸味が強い はちみつ漬け・ジュース・料理の香りづけにも』
特殊効果という文字の所に視線を置くと、どんな効果があるのかという情報も見えてくる。どうやら腕に自信のない奴は食べない方がいいみたいだが、俺達のパーティーにはレオをはじめ世界最強クラスのやつらがいるからまったく問題ないだろう。
「食べてみたらいいんじゃないか? きっと面白いことが起こるぞ」
俺が日野に話しかけると、日野はガイド本から顔を上げて驚いたように俺の方を見ていた。口が少し開いている。
「どうした?」
「坂崎さ……じゃなくてラウル、今、目の色が変わりました?」
「ああ、力を使う時にちょっと紫っぽく光るんだ」
「力って、どんな力ですか」
日野の目が期待をこめて大きく開かれる。
「あ、そんなワクワクした顔するな。大した力じゃねぇから。まぁ一種の鑑定眼なんだが」
「鑑定眼!」
日野がパチンと両手を合わせて俺に近づいて来る。
「すごい、すごいです! この世界には鑑定のスキルなんて存在しないって言われていたのに! じゃぁ僕のレベルとかも分かるんですか? 強さとか経験値とか隠されたスキルとか分かっちゃったりするんですか」
「すまん、分からん」
「え」
「俺の目に分かるのは、それが食べられるか食べられないかという情報だけなんだ」
「食べられるか食べられないか?」
キョトンとする日野にうなずく。
「そうだ。美味しいレシピならいくらでも分かるが、レベルもスキルも一切分からん」
日野はまたパチンと手を叩いた。
「そっか! それで料理人なんですね! どんな食材でも美味しく出来ちゃうんですか?」
「ああ、だいたいはな」
ちなみにお前を美味しく食べるレシピもあるぞ、とは言わない方がいいだろうな。
無邪気に感心している日野を見て、俺は密かにクスッと笑った。
「ラウルは一度もまずいものを出したことが無いぞ。相手の好みに合わせて作れるからな」
レオが言うと、日野は尊敬のまなざしで俺を見上げてくる。
「うわー、すごいです。それってもう、料理人としてはチート能力ですよね」
「そうだぞ。一度ラウルの料理の味を知ってしまったら、もう絶対に手放せない。ラウルー、奴隷契約が終わっても給料はずむから、一生俺の専属料理人でいてくれよー」
レオがしなだれかかるように肩に頭を乗せてくるから、俺は笑った。
「仕方ねぇなぁ。友達価格で一生雇われてやるよ」
「おお、ほんとか。言質取ったぞ」
「ああ、勇者専属なんて料理人冥利に尽きるからな」
俺とレオの様子を見て、はぁっと日野が熱いため息を吐いた。
「なんか……『転生したら料理鑑定眼があって、奴隷から勇者専属料理人になってしまいました』みたいなタイトルのラノベが書けそうですね」
「いや、俺はあっちの世界でもあんまりラノベとか読まなかったから、そういうのはよく分から……」
「ええと、レオは勇者だし、ラウルは天才料理人だし、ふたりとも物語の主人公みたいですねってことです。僕も転生したようなものなのに何の能力も授からなくて……。だから、ちょっとうらやましいです」
絶世の美貌で何をほざくと言いたかったが、どうやら日野は本気でそう思っているようだった。
俺は苦笑した。
「何言ってんだ。日野だって、充分にチートじゃねぇか」
「僕がですか?」
「ああ」
俺はレオと剣士を順番に指差して、
「元彼がこれとこれで」
次に魔導士を指差す。
「今彼がこれなんだろ?」
「なっ、ななななななな」
日野は今にもぴゅーっと湯気が出そうなほど真っ赤になり、両手をぶんぶんと振った。
「ち、違います。違いますよ! なんかそれはニュアンスが違います!」
何を騒いでいるのか分からない剣士は、不思議そうに紅潮している日野を見ている。
魔導士は意味が分からないながらも何かを察したのか、近付いて来て日野の肩に手を置いた。
「モトカレとは何ですか」
「あ、エディ、違いますよ! 僕にはエディだけですから」
レオがからかうように顎を撫でる。
「ん-、まぁ、当たらずとも遠からずか?」
「レオ! そういう言い方は何か誤解を招きます!」
「でもさ陽介、あの時、俺といて楽しかっただろ?」
「あぅ……」
「違うか?」
日野は急に困り果てた顔になった。
嘘はつきたくないが傷つけたくない。
多分、そんな風に何かを悩んでいる。
「あの、あの……楽しかったです……。あの国境沿いのテントにいた時、みんな優しくしてくれて僕はすごく幸せでした。レオもフィルもジュリアン様も、僕は今でも大好きです。でも……」
冷たくこわばった顔の魔導士を見上げ、日野は必死の様子で弁明を始めた。
「でも、僕にはエディだけです。本当です、僕の恋人はエディだけです」
泣きそうな日野の前に跪いて、魔導士はそっとその細い体を抱きしめた。
「分かっていますよ。私にもヨースケだけです」
日野の細い指が、すがるようにきつく魔導士のローブをつかんでいる。
俺は剣士とレオに視線を移した。
二人とも、どことなく寂しそうな顔で魔導士に抱かれる日野を見ていた。
「すまん。適当なことを言ったら地雷を踏んでしまったってことか?」
小声でレオに言うと、レオも小声で衝撃の一言を返してきた。
「陽介は元愛玩奴隷なんだ」
「は………?」
息を呑んで絶句した俺の頭を、大きな手がポンポンと叩く。
「お前のこともあるし、奴隷制度ってやっぱ残酷だよなぁ……」
「俺は、別に」
奴隷だろうが、そうでなかろうが、レオのそばにいられるだけで幸せだと思っている。
重すぎて、そんなことは本人には言えないけど。
「今度」
「え」
「今度、ゆっくり話を聞いてくれるか」
真剣な顔で言われ、俺は友として真剣にうなずいた。
「聞くよ。何時間でも」
レオはふっと微笑み「じゃぁ、旨い酒を買っておく」と言った。
「じゃぁ俺は旨いつまみを作るよ」
「それはめっちゃ楽しみだ」
その場の湿った空気を変えるように、レオはわざとらしくウーンと伸びをした。
「なぁ、ラウル。やっぱ俺、豚バラ大根だけじゃなくて生姜焼きも食べたい!」
無邪気な声を出され、俺もつられて笑ってしまう。
「はは、了解! 両方作るならオーク肉を多めにとってくれるか」
「よっしゃぁ、狩り尽くすぞう!」
「ヤメロバカ張り切るな。勇者が本気出してどうする」
「ダンジョンだから大丈夫だぞ。全部狩り尽くしても、リポップするし」
「どんだけ食べる気満々なんだよ」
俺達が声を出して笑うと、日野が泣きべその顔をやっと上げた。
「僕もお肉ゲットします」
「そうですね、私は今度こそ先に倒さないように我慢します」
魔導士が手のひらを日野の上にかざして、何か魔法を使った。日野の赤い目元がすっときれいになる。
「では、ヨウスケ。その実を食べてみてくれるか」
剣士がスラリと剣を抜いて言った。
おそらくその実の効能を知っているんだろう。
「は、はい」
日野が不思議そうに返事をして、木から実をひとつプチっともぎ取った。
「えっと、食べますね」
小さな赤い唇に光る果実が放り込まれる。
「ラウル、ちょっと危ないから俺から離れるなよ」
レオが俺の斜め前に出て身構えた。
この階層で出る魔物はかなり弱いが、それでも万が一のことを考えて守ろうとしてくれるのだろう。
「ああ、絶対に離れない」
俺はレオの逞しい背中を見つめた。
日野が魔導士にするみたいに、その背にしがみついてみたい気もしたが、あまりに似合わないことが分かっているのでやめておいた。
・
その日は朝から騒がしかった。俺達奴隷が寝起きしている港近くの小屋に、いきなり商家の主人がやって来たのだ。しかも、全員に新しい服と洗浄薬を配らせて、身ぎれいにするようにと指示を出した。
ここの主人に買われてからもうずっと変わらない毎日を送って来た俺は、いつもと違う朝に不安を感じて、いったい何が始まるのだろうとビクついていた。
途惑っている奴隷達に対して、主人は声を張り上げた。
「いいか、何を聞かれても『満足しています、良くしてもらっています』と答えるんだぞ。余計なことを言った奴は、一日食事抜きにするからな」
一日でも食事を抜かれたら、荷運びをする力が出ない。俺は何も言わないことを強く心に決め、服を脱いで洗浄薬の粉を頭から降りかけた。シュワシュワと泡が立って全身がきれいになり、自分の体からとてもいい匂いがしてびっくりする。俺はその時初めて香り付きの洗浄薬があることを知ったのだ。
それから朝食のパンとスープが配られたのだが、スープに入っている野菜も干し肉もいつもより量が多くて俺達は互いに顔を見合わせた後、夢中になってガツガツと食べ始めた。
「ったく、奴隷の暮らしを知りたいなどと、勇者様の気まぐれにも勘弁してほしいものだ。わざわざ視察に来なくても、うちは食事も服も寝床も法で決められた通りにちゃんと与えてやっているぞ」
主人のイライラした声に被せるように、定期船の警笛がボーッと遠くから聞こえて来た。
「ああ、もう船がつくというのに仕事を始められないじゃないか。勇者様はまだ来ないのか」
俺達は小屋の前に整列させられて、勇者が来るまで待つように命じられた。
商家の主人はものすごく機嫌が悪いようだった。
けれど、俺はさっきまでの怯えが少し興味へと変わっていた。ただ単に『見に来る』というだけで洗浄薬と食事の質を上げてしまうなんて、勇者というものはどんなすごい存在なんだろうと思ったのだ。
やがて、お供を何人も引き連れて、赤い髪の立派な青年が奴隷小屋の前に姿を現した。とたんにざわめきがぴたりと止んで、俺は少しの間、息をするのを忘れた。
青年は、俺が今まで出会った誰とも違っていた。違いすぎて、同じ人間とは思えないほど輝いて見えた。キラキラした刺繍の入った赤いベストと飾り帯を身につけ、派手な装飾のついた剣を腰に差しているが、身なりが豪華だから圧倒されたわけじゃない。
真っ赤な髪を海風になびかせて歩いてくる青年に、その場の全員の視線が否応なく引き寄せられるのが分かった。
自信に満ち溢れた表情、意志の強そうな瞳、優雅な身のこなし……歩き方も微笑み方も話し方も、仕草のすべてが王者の風格を備えている。
これが勇者か。そう思った。
普段は偉そうにふんぞり返っている商家の主人がぺこぺこと腰を低くして、奴隷小屋と俺達の待遇についての説明を始める。
勇者は赤茶の目で奴隷小屋や俺達をゆっくりと見回し、なぜか俺の方へぴたりと視線を向けて来た。
目と目が合う。
ドクンと心臓が鳴り、どこかへ逃げ出したくなったが、俺は勇者の目から視線をはずすことが出来なかった。
固まったように動けない俺に、勇者が悠然と近づいて来る。
「お前、怪我をしているな」
整った形の唇が動いて、何かを言った。
「え……」
「痛むか」
痛む? 何が?
勇者が俺の左目のあたりを見ているのに気付いて、ハッとした。そういえば数日前に奴隷仲間に殴られたんだった。でももうほとんど痛くないから、怪我をしたことなんてすっかり忘れていた。
「こういうことはよくあるのか?」
「い、いえ、滅相も無い! たまたま仕事中にぶつけたんでしょう。なぁ、お前、そうだよな?」
主人も、俺を殴った奴隷仲間も、血の気の引いた蒼い顔をしている。
俺は慌てて、教えられた通りのセリフを早口で言った。
「ご主人様には良くしてもらっています。とても満足しています」
勇者は俺達の様子を見て、小さくクスッと笑った。
「そうか、偉いな。頑張っているんだな」
「え……は……」
俺は激しく動揺した。
急に自分の頬がカーッと熱くなるのを感じた。
偉いなんて初めて言われた。
頑張っているなんて初めて言われた。
どうしよう。こういう時は何て言えばいいんだ?
勇者は腰に下げた赤い革のバッグからひとつの小瓶を取り出した。
「ほら、これやるよ」
「これ、なに……なんですか?」
「ポーションだ」
「ぽーしょん……」
俺は、まじまじとその小瓶を眺めた。勇者が軽く揺らすとチャプチャプ音がする。何かの液体が入っているようだが、初めて見るものだった。
「そのくらいの傷ならすぐ治るぞ」
「傷が……?」
「ん? ポーションを飲んだこと無いのか?」
俺がうなずくと、勇者が驚いたように瞬きした。
これは誰でも知っているようなものなんだろうか。
「これ、俺にくれるのか、あ、くれるんですか」
「ああ、お前にやる。受け取れ」
俺は首をひねった。
俺は食べ物をくれる人のために働く。
ポーションをくれる人のためには、何をしたらいいんだ?
「俺は優者さまのために働くのか」
「はは、何もしなくていい。ただでやるよ。ほら、遠慮せず飲め」
勇者は小瓶の栓を抜いて俺の手に持たせた。俺はよく分からないままそれを口に含んだ。舌に液体が触れた途端、甘みがあってびっくりする。とても美味しくて、俺はそれをゴクゴクと一気に飲み干した。
体が急にあったかくなって、すぅっと全身が楽になっていく。
「うん、きれいに消えたな。良かった」
勇者がニカッと笑い、大きな手が俺の頬に触れてきた。
「おー、意外に男前だなぁ、お前」
優しい指で頬を撫でられ、すぐ間近にきれいな赤茶の瞳があって、胸の奥がジンと熱くなる。何だろう、この気持ち。泣きたいような、笑いたいような、今まで味わったことのない変な感情だ。
「勇者さま……ありが……」
言いかけた瞬間、視界がパァッと眩しくなった。そしていきなり、見えているすべてのものの上に文字が浮かんできた。視界いっぱいに、文字、文字、文字の大洪水だ。
「あ……!」
びくっと硬直して目を見開いた俺を、慌てたように勇者が支える。
「おい、どうした」
その凛々しい顔の上にも文字が浮かんでいた。
字を習っていない俺に読めるはずもないのに、なぜか俺にはそこに書いてある文字がはっきりと理解できた。
「れあんどる……ておどーる……かとう、たつや……しょくようにはむかない……」
書いてある文字を読み上げると、勇者がぎょっとした顔をした。
「おい、何でその名を知ってる。まさかお前もそうなのか? おい!」
「あ……あぁ……!」
視界が文字に埋め尽くされてぐるぐると眩暈がする。
何が起こっているのか分からなかった。
混乱する俺の頭に、膨大な情報と感情が流れ込んでくる。
俺の知らない誰かの一生分の記憶。
俺の知らない誰かの一生分の感情。
日本という国で暮らした、坂崎陽人の普通で幸福な人生。
それは、何も考えず何も感じないように生きて来た俺には、あまりに負荷が大きすぎた。
「た……すけ……」
怖くてどうしようもなくて目の前の勇者にすがりつく。
そこで俺の意識はぷつりと途絶えた。
泥の沼の底からゆっくりと浮上するように、深い眠りから徐々に意識が戻ってくる。
「んん……」
俺はふかふかの柔らかな寝床に寝かされていた。
伸びをしながら目を開くと、木目のくっきりした天井にシンプルなシャンデリアが下がっている。
見慣れない天井だ。
ここはどこだ?
今、何時だ?
そう思いながら、指で枕元をまさぐる。自分の家だろうと友人の家だろうと、もしくは旅先だろうと、寝る時はいつでもそこに置いておくはずのものが見つからない。
「あれ……俺のスマホは……?」
「この世界にスマホは無いぞ」
近くで声がして首を動かす。
鮮やかな赤髪の美青年がワクワクした顔で俺を見下ろしていた。
「え……と……」
「自分の名前を言えるか?」
「え」
「名前だ、名前」
「名前……は、坂崎だけど?」
「坂崎、なに?」
「坂崎陽人」
「へぇー、ハルトか。どんな字書くんだ?」
「太陽の陽に、人」
「太陽の陽? はは、そっか。良い名前だな」
めちゃくちゃ嬉しそうに笑って、青年は俺に手を差し出した。
「俺はレアンドル。レオって呼んでくれ」
「レオ……」
途惑いながらその手を取ると、ぐいっと引っ張って起こされた。
部屋の中を見て、少し不思議に思った。室内にある家具はすべて木製で、テレビもエアコンも時計も電話も無い。旅行ガイドか何かで見たことのあるヨーロッパのクラシックホテルみたいな雰囲気だ。
「レオ。あー、悪いが説明してくれないか。ええと、なんつうか、ちょっと記憶が曖昧なんだ。ここはどこで、あんたは何者で、俺はなんでここにいるんだ?」
レオがじっと俺を見る。
「分からないのか?」
「ああ、さっぱり」
「うーん、俺が前世を思い出した時より、だいぶ混乱しているみたいだな。なぁ、陽人、ラウルっていう名前は憶えがあるか?」
「ラウル?」
「ああ、ラウルだ」
聞き覚えがある。
すごく馴染みのある名前だ。
誰の名前だ?
「ラウル、ラウル……あれ? え? ラウルって……俺か? え、でも、俺は陽人だし、あれ? まじで? いやでもラウルって……ラウルは……」
ラウルは俺だ。
幼い頃に両親に捨てられ、盗賊団の頭領に拾われ、今は犯罪奴隷にまでなり下がったラウル。
何も考えず、何も感じないように生きてきたラウル。
自分の正体を思い出すと同時に、レオの正体も思い出した。
「うそ……勇者様!?」
ザーッと血の気が引いた。
「あ、俺、俺、失礼なことを……」
「大丈夫、何も失礼じゃないって」
「でも俺」
「ラウル、大丈夫だ」
俺はキョロキョロと周りを見た。
なんで俺はこんなところにいるんだ。
仕事をさぼったら食べ物がもらえないのに。
「あ、俺、荷運びの仕事に行かないと」
「ラウル」
「あぁ、どうしよう。食事抜きにされる」
「ラウル、もう荷運びに行かなくていいんだ」
「で、でも、働かないと食べ物をもらえない」
レオがガシッと俺の両肩をつかんだ。
「落ち着けって。ここは港近くの宿だ。腹が減ったんならいくらでも食わせてやるから」
「え」
「なぁ、ラウルの元主人はいつもお前を飢えさせていたのか?」
眉間にしわを寄せるレオに、俺は首を振った。
「違う。毎日ちゃんと食べさせてくれた。だから、俺は働かなきゃ」
「なぁんだ。あいつがあくどい守銭奴なら、これから『ざまぁ』でもしてやろうかと思ったのに」
ざまぁ? なんか、聞いたことがあるような言葉だ。
「ラウルを殴った奴はどうだ? 俺様がきっちりお仕置きしてやろうか?」
俺はブルブルッと首を振った。
勇者様にお仕置きなんてされたら、奴隷はひとたまりもない。
「だ、大丈夫、です。あいつは、機嫌がいい時はパンを少しくれたことがあったし」
レオは少し不思議そうに首を傾げた。
「ラウルは食べ物のことばかり言うんだな」
「食べ物はすごく大事だ……大事です」
食べるために生きていたのか、生きるために食べていたのか、とにかく俺の価値観は5歳の時から変わっていない。食べ物をくれる奴のために働く、ただそれだけ。
「ほかに楽しみは無かったのか」
「ほかには、なにも……」
ラウルにとってはそれが当たり前だったが、陽人の記憶を取り戻した俺にとってはそれがどんなに貧しい人生なのか理解できる。
なんとなく恥ずかしくなって、俺はうつむいた。
「ふうん、そっか。じゃぁ、これからいっぱい楽しいこと教えてやらなくちゃな。ラウルの体調が回復したら、転移陣で王都へ行くぞ」
「え……王都?」
「ああ、王都にある俺の家に行こう」
「勇者様の家に?」
「勇者様じゃない、レオだ。さっきそう呼んでくれたろ?」
「で、でも、身分が違いすぎる……違いすぎます。俺は荷運び用の奴隷で」
「ラウルの身柄は、元の主人から俺が買い取った。だからもう荷運び用の奴隷じゃない。お前は今、書類上は勇者レアンドルのものになってるからさ」
「え、ど、どうして」
「そうするしか方法が無かったからなぁ。友達になるためには」
「え、ど、どうして?」
友達?
誰が、誰の?
レオはなぜか嬉しそうに俺の顔を見た。
「ラウルを見た時、一目でビビビッと来たんだ。俺達、きっと気が合うって! そういう勘はよく当たるんだ、俺。それに仲間だろ、前世持ちの」
俺はレオの顔をまじまじと見返した。
「前世持ち……?」
「そ、日本人だったんだろ? 坂崎陽人くん?」
「じゃぁ、勇者様、じゃなくてレオもそうなのか? もしかして、さっきの……? 加藤竜也ってのが……?」
「そ、それが俺の前世の名前だ。いきなり呼ばれてびっくりしたぞ。なんで分かったんだ?」
「なんか、急に目の前に文字が浮かんで見えて」
「文字が? 今は何か見えるか?」
「今は何も……」
「そっか」
いったいあれは何だったんだろう?
俺はどうなってしまったんだろう?
昨日までは何も考えずにただ同じことを繰り返していれば良かったのに、急に色んなことを考えなくてはならなくなって、頭も心もいっぱいいっぱいだ。
「いったい何が起きてるんだ……?」
レオは子供にするように、ポンポンと俺の頭を軽く叩いた。
「そんな不安そうな顔しなくていいって。その不思議な文字についても、ゆっくり調べて行こうぜ。お前の年季が明けるまでずーっと一緒にいることになるんだから」
「ずっと?」
「ああ、書類では31歳までとなっていたから、後12年残っているな」
では、あの奴隷小屋でもう8年も過ごしてきたのか……。
俺は自分が何歳か、あと何年奴隷契約が残っているのか、そんなことを考えたりはしなかった。そもそも足し算引き算が出来なかったせいもあるが、毎日同じことを繰り返すだけの俺にとって、年月や季節を意識する意味が無かったからだ。
黙り込んだ俺を何か勘違いしたのか、慌ててレオが言葉を付け足した。
「ラウルがもし俺を嫌になったら、いつでもほかの主人を探してやるから安心しろ。ただし、たとえ世界唯一の勇者様でも、国の法を曲げるわけにいかないだろ。だから奴隷の身分から完全に自由にしてやることは出来ないんだ」
レオが申し訳なさそうな顔をするから、俺の方が申し訳ないような気分になる。
「あの、俺は勇者様を」
「レ・オ!」
「あ、レオ……俺はレオを嫌だなんて思わない、です」
「タメ口でいいって」
「そういうわけには」
「その場に王族でもいない限りは、改まる必要は無いって。誰も俺には文句言わないからさ」
「はぁ……」
華やかな顔がニカッと笑いかけてくる。
「別に俺を主人と思わなくていいってこと! ラウル、俺のことは友と思ってくれ」
俺の心臓がとくんと鳴った。
友と思えなんて、本気で言っているんだろうか。
坂崎陽人には家族がいた。友もいた。恋人もいた。一緒に夢を追う仲間もいた。
でも、ラウルには家族もいない。友もいない。恋人もいない。自分以外に大事なものは無かった。
レオが友だというのなら、それはラウルにとっては生まれて初めての友ということになる。
「でも……奴隷を友にする勇者なんて、ありえません」
なぜか、声が震えた。
レオの赤茶の澄んだ瞳が真正面から俺を見てくる。
「でもさ、俺達が日本で出会った竜也と陽人だったら、きっと簡単に友達になれたよな? レオとラウルだって同じだろ?」
「そんな、乱暴な話」
「乱暴でも無茶苦茶でもいいよ。俺はラウルと友達になりたいんだ。なってくれよ」
強烈な存在感を放つ太陽みたいな美青年が、まるで求愛するように友になれと言う。
レアンドル・テオドール、紅蓮の勇者。一目見たその時から、もう俺は目が離せなくなっていた。この青年の懇願を断れる奴がこの世界にいるんだろうか。
俺は大きく深呼吸した。
「レオと友になる……?」
「ああ、呼び捨てでいいし、タメ口でいい」
「竜也と陽人みたいに?」
「そ、竜也と陽人みたいに」
俺はぎゅっと目を閉じると、陽人だった時の感覚を必死に思い出して、もう一度目を開いた。
鮮やかな赤い髪の勇者に、精一杯に笑いかける。
そして、できるだけ軽い口調で言ってみた。
「りょーかい、よろしくな、レオ」
右手を差し出すと、レオが両手でギューッと握手してきた。
「よろしく、ラウル」
大きい手から伝わってくる体温が、やけに心強くて嬉しかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
視界の端っこで、何かがキラキラと弾けた。
「あー! また! エディー」
日野が槍を手に、小さな口を尖らせている。
「すいません。つい反射で」
視界に入った魔物をすべて、魔導士が魔法で撃破してしまうらしい。
日野はせっかくもらった槍の出番が無くて、かわいい頬をふくらませている。
「おいおい、5階層までに出現するモンスターはみんな足が遅いし攻撃力も低いんだから、大魔導士がいちいち過剰反応するなよ。完全にオーバーキルだぞ」
「……分かっては、いるのですが」
「次、次こそは僕がやっつけますから、エディは手を出さないでくださいね!」
日野が少し前に出て、エイヤッと空中に槍を突き出す。まるで腰が入っていなくて、見るからに危なっかしい。たとえ弱い魔物相手でも、戦わせたくない魔導士の気持ちが少し分かる。
「あ、ほら、ヨウスケ。何やら向こうに派手な木が見えて来たぞ」
剣士が気をそらすように前を指差した。
道沿いに、ハロウィンの飾りに使われそうなくねくねした木が生えている。
「わぁ、ホントだ。ピカピカしてる!」
木には葉が一枚もない代わりに丸くて黄色っぽい実がたくさんなっていた。それはプチトマトくらいの大きさで、電飾のように内側からほんのりと光っている。
日野は木に駆け寄り、さっそくガイド本をめくり始めた。
「ええと、輝きの実のなる木。甘く、香しく、輝くほどの美味な果実。ただし、輝く覚悟の無いものは食べてはいけない。えー、輝く覚悟? またなぞなぞ?」
俺はその派手な実をじっと見つめた。
『輝きの実 ダンジョン産 特殊効果あり 食用可能 生食可能 色の濃いものは熟れて甘く、薄いものは酸味が強い はちみつ漬け・ジュース・料理の香りづけにも』
特殊効果という文字の所に視線を置くと、どんな効果があるのかという情報も見えてくる。どうやら腕に自信のない奴は食べない方がいいみたいだが、俺達のパーティーにはレオをはじめ世界最強クラスのやつらがいるからまったく問題ないだろう。
「食べてみたらいいんじゃないか? きっと面白いことが起こるぞ」
俺が日野に話しかけると、日野はガイド本から顔を上げて驚いたように俺の方を見ていた。口が少し開いている。
「どうした?」
「坂崎さ……じゃなくてラウル、今、目の色が変わりました?」
「ああ、力を使う時にちょっと紫っぽく光るんだ」
「力って、どんな力ですか」
日野の目が期待をこめて大きく開かれる。
「あ、そんなワクワクした顔するな。大した力じゃねぇから。まぁ一種の鑑定眼なんだが」
「鑑定眼!」
日野がパチンと両手を合わせて俺に近づいて来る。
「すごい、すごいです! この世界には鑑定のスキルなんて存在しないって言われていたのに! じゃぁ僕のレベルとかも分かるんですか? 強さとか経験値とか隠されたスキルとか分かっちゃったりするんですか」
「すまん、分からん」
「え」
「俺の目に分かるのは、それが食べられるか食べられないかという情報だけなんだ」
「食べられるか食べられないか?」
キョトンとする日野にうなずく。
「そうだ。美味しいレシピならいくらでも分かるが、レベルもスキルも一切分からん」
日野はまたパチンと手を叩いた。
「そっか! それで料理人なんですね! どんな食材でも美味しく出来ちゃうんですか?」
「ああ、だいたいはな」
ちなみにお前を美味しく食べるレシピもあるぞ、とは言わない方がいいだろうな。
無邪気に感心している日野を見て、俺は密かにクスッと笑った。
「ラウルは一度もまずいものを出したことが無いぞ。相手の好みに合わせて作れるからな」
レオが言うと、日野は尊敬のまなざしで俺を見上げてくる。
「うわー、すごいです。それってもう、料理人としてはチート能力ですよね」
「そうだぞ。一度ラウルの料理の味を知ってしまったら、もう絶対に手放せない。ラウルー、奴隷契約が終わっても給料はずむから、一生俺の専属料理人でいてくれよー」
レオがしなだれかかるように肩に頭を乗せてくるから、俺は笑った。
「仕方ねぇなぁ。友達価格で一生雇われてやるよ」
「おお、ほんとか。言質取ったぞ」
「ああ、勇者専属なんて料理人冥利に尽きるからな」
俺とレオの様子を見て、はぁっと日野が熱いため息を吐いた。
「なんか……『転生したら料理鑑定眼があって、奴隷から勇者専属料理人になってしまいました』みたいなタイトルのラノベが書けそうですね」
「いや、俺はあっちの世界でもあんまりラノベとか読まなかったから、そういうのはよく分から……」
「ええと、レオは勇者だし、ラウルは天才料理人だし、ふたりとも物語の主人公みたいですねってことです。僕も転生したようなものなのに何の能力も授からなくて……。だから、ちょっとうらやましいです」
絶世の美貌で何をほざくと言いたかったが、どうやら日野は本気でそう思っているようだった。
俺は苦笑した。
「何言ってんだ。日野だって、充分にチートじゃねぇか」
「僕がですか?」
「ああ」
俺はレオと剣士を順番に指差して、
「元彼がこれとこれで」
次に魔導士を指差す。
「今彼がこれなんだろ?」
「なっ、ななななななな」
日野は今にもぴゅーっと湯気が出そうなほど真っ赤になり、両手をぶんぶんと振った。
「ち、違います。違いますよ! なんかそれはニュアンスが違います!」
何を騒いでいるのか分からない剣士は、不思議そうに紅潮している日野を見ている。
魔導士は意味が分からないながらも何かを察したのか、近付いて来て日野の肩に手を置いた。
「モトカレとは何ですか」
「あ、エディ、違いますよ! 僕にはエディだけですから」
レオがからかうように顎を撫でる。
「ん-、まぁ、当たらずとも遠からずか?」
「レオ! そういう言い方は何か誤解を招きます!」
「でもさ陽介、あの時、俺といて楽しかっただろ?」
「あぅ……」
「違うか?」
日野は急に困り果てた顔になった。
嘘はつきたくないが傷つけたくない。
多分、そんな風に何かを悩んでいる。
「あの、あの……楽しかったです……。あの国境沿いのテントにいた時、みんな優しくしてくれて僕はすごく幸せでした。レオもフィルもジュリアン様も、僕は今でも大好きです。でも……」
冷たくこわばった顔の魔導士を見上げ、日野は必死の様子で弁明を始めた。
「でも、僕にはエディだけです。本当です、僕の恋人はエディだけです」
泣きそうな日野の前に跪いて、魔導士はそっとその細い体を抱きしめた。
「分かっていますよ。私にもヨースケだけです」
日野の細い指が、すがるようにきつく魔導士のローブをつかんでいる。
俺は剣士とレオに視線を移した。
二人とも、どことなく寂しそうな顔で魔導士に抱かれる日野を見ていた。
「すまん。適当なことを言ったら地雷を踏んでしまったってことか?」
小声でレオに言うと、レオも小声で衝撃の一言を返してきた。
「陽介は元愛玩奴隷なんだ」
「は………?」
息を呑んで絶句した俺の頭を、大きな手がポンポンと叩く。
「お前のこともあるし、奴隷制度ってやっぱ残酷だよなぁ……」
「俺は、別に」
奴隷だろうが、そうでなかろうが、レオのそばにいられるだけで幸せだと思っている。
重すぎて、そんなことは本人には言えないけど。
「今度」
「え」
「今度、ゆっくり話を聞いてくれるか」
真剣な顔で言われ、俺は友として真剣にうなずいた。
「聞くよ。何時間でも」
レオはふっと微笑み「じゃぁ、旨い酒を買っておく」と言った。
「じゃぁ俺は旨いつまみを作るよ」
「それはめっちゃ楽しみだ」
その場の湿った空気を変えるように、レオはわざとらしくウーンと伸びをした。
「なぁ、ラウル。やっぱ俺、豚バラ大根だけじゃなくて生姜焼きも食べたい!」
無邪気な声を出され、俺もつられて笑ってしまう。
「はは、了解! 両方作るならオーク肉を多めにとってくれるか」
「よっしゃぁ、狩り尽くすぞう!」
「ヤメロバカ張り切るな。勇者が本気出してどうする」
「ダンジョンだから大丈夫だぞ。全部狩り尽くしても、リポップするし」
「どんだけ食べる気満々なんだよ」
俺達が声を出して笑うと、日野が泣きべその顔をやっと上げた。
「僕もお肉ゲットします」
「そうですね、私は今度こそ先に倒さないように我慢します」
魔導士が手のひらを日野の上にかざして、何か魔法を使った。日野の赤い目元がすっときれいになる。
「では、ヨウスケ。その実を食べてみてくれるか」
剣士がスラリと剣を抜いて言った。
おそらくその実の効能を知っているんだろう。
「は、はい」
日野が不思議そうに返事をして、木から実をひとつプチっともぎ取った。
「えっと、食べますね」
小さな赤い唇に光る果実が放り込まれる。
「ラウル、ちょっと危ないから俺から離れるなよ」
レオが俺の斜め前に出て身構えた。
この階層で出る魔物はかなり弱いが、それでも万が一のことを考えて守ろうとしてくれるのだろう。
「ああ、絶対に離れない」
俺はレオの逞しい背中を見つめた。
日野が魔導士にするみたいに、その背にしがみついてみたい気もしたが、あまりに似合わないことが分かっているのでやめておいた。
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