異世界で美少年奴隷になっちゃった?!

緋川真望

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おまけの章 聖女の称号

(8) 作り変えられる体

 エディはざばりとお湯から立ち上がると、ふたつのコップを手に持って片付け始める。ここには誰もいないから裸を隠すことも無く歩いていて、その背中やお尻が僕の目に入って来る。

 ベッドで愛し合う時にはエディの背中側を見ることはほとんど無いので、きゅっと引き締まったお尻にドキッとした。魔力が豊富なエディは肌もきれいなので、形のいいお尻がまるで撫でてというように魅了してくる。

「ああ、それからもうひとつ報告がありました」

 エディがくるりと振り向く。

「ほ、ほうこく? ですか?」

 ぱっと視線をはずして慌てる僕をエディが不思議そうに見る。

「どうしました?」
「い、いえ、ちょっと。あの、報告って何ですか?」
「ああ。大剣士殿より、シルヴェストルの屋敷にバスタブが贈られたらしいのです」
「バスタブ!?」
「なんでも、聖女になったお祝いをどうしようかと考えてみるに、ヨースケが一番喜んで一番楽しそうだったのは森にある遺跡の温泉に行った時だったと」
「た、確かに温泉は好きですけど、というかお風呂は大好きですけど」

 エディと僕が住んでいるお屋敷には、実はもともとお風呂が無かった。シルヴェストルが田舎だということもあるけれど、一般的にお風呂は贅沢品と言われている。大きな陶器のバスタブはかなりの技術を必要とするので限られた工房でしか作られていないし、バスタブがあったとしても井戸から水を汲んでお湯を沸かすのはとにかく重労働だし、毎回魔石を使うとすると相当費用がかさんでしまうからだ。そもそも、体の汚れを取るだけなら洗浄薬で充分きれいになる。

 でも、日本人の僕は声を大にして言いたい。お風呂は汚れを取るためだけのものじゃない、ゆっくりつかることで血行が良くなったりリラックスできたり疲れが取れたりする優れものなんだと。

「勇者殿経由で受け取った大剣士殿の手紙には、『風呂というのは毎日魔石を消費するような贅沢品だけど、エドゥアールなら自前の魔力でいくらでもお湯を使えるだろう』と書いてありました」
「ほんとですか? エディならいくらでもお湯を出せるんですか?」
「ええ、出せますよ」
「じゃぁ、毎日お風呂に入れるんですか」
「それがヨースケの望みならば」
「ほんとのほんとに?」
「はい、本当の本当です」
「めっっっっちゃ嬉しいです!」

 叫ぶように喜んで立ち上がった僕に、エディはびっくりして一歩下がった。

「うわぁ! すごいすごい! 毎日お風呂に入れるなんて!」

 両手の拳をぶんぶん降って、僕は喜びを全身で表す。

「そ、それほどのことですか……」
「はい! それほど嬉しいことです! うわーい、毎日お風呂に入れるなんて! 僕は毎日エディと入りたいです!」
「え、私と一緒に入るのですか?」
「はい、そうです! 狭い湯船の中でエディの膝の上に乗せてもらって、チャプチャプとお湯をかけてもらって、リラックスしてその日にあったことをお互いにお話するんです!」

 恋人同士で入るお風呂のひととき。
 夢みたいな光景がホワワワワンと頭の中に思い浮かぶ。

「それで、体を洗いっこしたり、湯船につかって100まで数えたり、あと上がった後にホカホカの体でつめたーいコーヒー牛乳を……あ、コーヒー牛乳は無いのかな? まぁとにかく何か冷たい飲み物をごくごく飲むんです。それがもう、くーっとなるくらいに気持ちいいんですよ」
「なるほど、それは楽しそうですね」
「はい、きっと楽しいです」
「ではまず、この大きなお風呂にもう一度入りましょうか」
「はい!」

 エディは床に置いていた壺を手に取り、掛けられていた布をぱらりと取った。

「それは?」
「勇者殿の贈り物です。疲れの取れる特別な入浴剤だとか」

 覗き込むと、赤っぽい粉が入っている。

「なんだか甘くていい匂いがします」
「全量を一気に入れるようにとの指示なので、そうしますね」

 エディは壺の中のものを一気にザーッとお湯の中に落とした。すると、シュワシュワと音を立てて粉が溶けていき、一気に浴場全体が薄いピンクに染まっていった。

「わぁ、すごく甘い匂いが充満してきましたね……。この香りに疲れの取れる効果でもあるんでしょうか」

 僕が階段を降りようとすると、エディがパッと腕をつかんで止めた。

「待って下さい。何かが……」

 水面にぽこ、ぽこ、と白っぽくて小さな何かがいくつもいくつも浮かんでくる。じっと見ていると、その白いものがふわっと開いてプルメリア似た花になった。

「わぁ、お花だ」

 どういう仕組みなのか、白い蕾が次から次へと浮いてきてぽこぽこ開花していき、さらに風車みたいにくるくると回りながら水面全体に広がっていく。

「かわいいー、クルクルまわってる」

 身を乗り出して触ろうとしたけど、エディが腕をつかむ力をぐっと強めた。

「エディ?」
「待って下さい。従者がまず確かめます」

 お湯に入りたくてうずうずしている僕を制止して、エディはその花をひとつ手ですくった。すると、白い花はエディの手の中で崩れ、とろりと溶けてしまった。ぽた、ぽた、と指の間から溶けた花が落ちていく。エディは指に鼻を近づけて匂いを嗅ぎ、ペロリと舌先で舐める。

「あぁ、なるほど……」

 呟いて、またペロッと舐める。

「確かに特別な入浴剤のようですね。害は有りません」
「じゃぁ入っても大丈夫ですか」
「ええ。ではお手をどうぞ」

 うやうやしく差し出されたエディの手につかまって階段を降りる。足が届くことが分かっていたので、降りた途端に僕はわーっとはしゃいで走り出した。くるくる回るお花の真似をして、僕もその場でくるくると回る。

「見て見て! 触るとお花がどんどん溶けてく!」
「滑るので気を付けて」
「はーい。あれ? また新しい花が出てきてる」

 水面の白い花は、僕やエディの体が触れるとあっという間に溶けて消えてしまう。それでも次から次へと新しい花が開くのでほとんど減っていないようだった。

 エディは浅い湯の中にざぶりと腰を下ろして、ゆったりと足を伸ばした。

「はぁ……これは気持ちいいですね」
「はい! すっごく良いお湯です!」
「聖女様、こちらへ来ないのですか?」
「え?」
「私の膝の上に乗って、チャプチャプお湯をかけてもらいながらお話したいのでしょう?」
「は、はい! そうです!」

 伸ばされた手に向かって、僕は猛然とダッシュした。
 そして案の定、滑って転んだ。
 エディはそれを予想していたみたいで、簡単に両手で受け止めて僕を足の上に乗せてくれた。左腕を僕の腰に回して体を安定させ、右手をゆらゆらと動かしてお湯を寄せてくる。水面から出ている肩の部分にチャプンチャプンとお湯がかけられる。

「こんな感じでよろしいですか」

 僕はこくこくとうなずいた。
 エディの膝の上に乗って、エディの胸に背中を預ける。あったかくて、頼もしくて、僕は完全に安心しきってエディに身を任せた。

「想像していた以上に、すっごくすっごくよろしいです……」

 星空のもと、かわいい花の浮いたお湯に恋人と入っている。見えている景色はすごく綺麗で、漂う香りはすごく甘くて、誰より素敵な恋人が膝に乗せてくれている。

「なんだかあまりにもロマンティックすぎて、くすぐったい感じがしちゃいますね」
「それではヨー……いえ『聖女』様、何をお話しいたしましょうか」

 すっかり弛緩しきっていた僕は、それを聞いてガクッとうなだれてしまった。

「……まだ、命令口調じゃないといけませんか……? せっかく恋人との完璧すぎるくらいのお風呂デートなのに」

 エディはちょっとの間黙り、そして頭の後ろでくすっと笑う声が聞こえた。

「そうですね。もう今日はやめておきましょうか」
「ほんとに? 主従の練習はもう終わり?」
「はい、終わりにしましょう」
「やったぁ!」
「ふふ、主従の練習は嫌でしたか」
「嫌っていうわけではないけど、ちょっと苦手です。でも、聖女になるって自分で決めたので……」
「ええ、そうですね。少しずつ頑張りましょう」
「はい、自然にふるまえるように頑張ります。でも」

 僕は抱いてくれているエディを振り返った。

「今日は、甘えてもいいですか……?」
「ええ、心置きなく甘えてください。実は私もさっきからずっと、この白いうなじにキスしたくてたまらなかったんです」

 言うなり、エディは僕をぎゅっと抱き寄せた。
 うなじに柔らかいものが当たり、軽く吸われる感触がしてピクリと体が反応する。

「ん……」
「それにこの小さな耳にも触れたくてたまらなかった」

 さらに耳たぶを唇で挟んでハムハムと柔らかく刺激して来る。

「ん……きもち……い……」
「この細い首もです。さっきからしゃぶりつきたくてたまらかったんです……」

 熱い舌がゆっくりと頸動脈のあたりに降りてくる。強く吸われて、跡を付けられているのだと分かった。

「ん……ん……」

 背筋がゾクゾクとし始める。
 エディの手が白い花を崩して、そのとろりとしたもののついた指で僕の肩から指先までを滑るように繰り返し撫でた。ぬるっとしていて、じんわりと温かい感じがする。

「は……エディ……」
「ヨースケ、毎日こうやって私と一緒に入浴してくれるのですか」
「はい……毎日入りたいです」
「その意味、分かって言っています? 毎日こうやって襲ってしまいそうなんですけど」

 エディは僕の肩のあたりにかぷっと軽く噛みついて来た。

「あっ」

 反射的に体がのけぞってしまう。
 エディは、跡が残らないくらいに弱い力で、歯を当てるだけの甘噛みをカプカプと繰り返してくる。

「……んっ、んっ……いくらでも、襲ってください……エディになら、何をされても……んんっ……」

 僕を支えてくれているエディの腕をそっと撫でる。白い花が溶けたお湯は少しとろりとして、エディの腕もぬるりと滑った。

「また簡単にそういうことを言って……」
「だって、エディが欲しいものを与えられるって、すごく嬉しいから」
「…………」

 エディは甘噛みをやめて、僕の肩に顎を乗せた。
 そしてふーっと息を吐いた。

「エディ?」
「ヨースケ」
「はい」
「なぜ、バスタブも吹雪の石のコップも私に欲しいと言ってくれなかったのですか。ヨースケがねだってくれれば、私はすぐにでも手に入れました。大魔導士でなくなっても、そのくらいの甲斐性は有りますのに」

 耳元で少し拗ねるように言われて僕は驚いた。
 別に遠慮したつもりもないし、気を遣っていたわけでもなくて、単に思いつかなかっただけだったからだ。

「ええと……確かにプレゼントされたら嬉しいものですけど、どうしても欲しいというわけでは無かったですし……。僕、エディとの暮らしが満ち足りているおかげで、物欲が薄くなってきているみたいで」
「でも、あんなにはしゃぐほどお風呂が好きなのでしょう?」
「はい好きです。でも、いつもの水魔法だって大好きなんです。優しくて気持ち良い水流が包むようにして洗ってくれるから。そんな魔法を毎日してもらえるなんて、僕がエディの特別みたいで嬉しいんです」
「みたいじゃありません。特別ですよ」

 エディの手が僕の顎に触れて来て、後ろを向かせる。顔が近付いてきて優しく唇が重ねられた。顎の裏のところが気持ちいいと言ってしまったので、エディは念入りにそこを舌でなぞってくる。

「ん……ん……ふぁ……」
「誰よりも何よりも特別です。特別すぎて怖いくらいです」
「エディ……僕も……あっ、んっ!」

 エディの手が下半身に伸びてきて、僕はビクンと大きくのけぞった。エディの手の中にある僕のものはもう勃ち上がりかけている。

「ふふ……安心しました。昼間やりすぎてしまったかと思いましたが、まだ元気が残っていたみたいですね」
「エディ、も……?」
「ええ、私のはもうこんなに」

 尾てい骨のあたりに、エディの大きくなったものがぬるりとこすりつけられる。

「ひゃ」
「自分でも、底無しの欲に驚いていますよ……何度抱いても、またあなたが欲しくなってしまう」

 白い花が溶けたお湯は少しとろみがついている。エディは片手で僕のものをぬるぬるとしごいて、もう片手でお尻の割れ目をぬるぬるとなぞってくる。

「あ……あ……」
「浴場まで洗浄薬は持ってきていなかったのですが、このぬめりのおかげで挿れることが出来そうですね」

 エディは指を一本、後ろに滑らせてぬぷっと挿れて来た。

「あぁっ……やっ、あっ、んんっ」

 中の感触を確かめるように指をくにくにと動かして、耳元で囁きかけてくる。

「ほらやっぱりまだ柔らかい……これなら私のものも簡単に入りますね」

 エディは指を抜くと、自分のものをそこに押し当てて来た。

「あ、あ、待っ……」
「すみません、待てません」
「あぁ、んんっ、入って来る……!」

 ぐにゅっと最初だけ押し込まれたけれど、後は重力で勝手に腰が落ちて大きいものを飲みこんでいく。エディの言う通り、昼間にさんざん愛し合った僕の体は、いとも簡単にエディのものを受け入れた。

「あ……あぁ……」
「苦しいですか」

 僕はふるふると首を振った。

「きもち、いい……入っているだけで、もう、いきそ……んっ」
「あっ、ヨースケ、そんなに締め付けないで」
「そんなこと言われても、あ、あ、気持ち良すぎて」

 エディは両手でぎゅっと僕を抱きしめる。そのまま激しく突き上げられるのかと思ったけれど、エディは動かなかった。

 耳に熱い息がかかって来る。

「ああ、だめです……。腰を動かしたらあっという間に果ててしまいそうです」

 切羽詰まったようなエディの声がやけに色っぽくてゾクゾクした。

「は……あ、あぁ……僕も、すぐ出ちゃいそう……」
「出しても、いいですよ……」
「や……まだ……つながっていたい……」
「私もです……もう少し、このまま……」

 つながったままでお互いにぴくぴくと震えながら、お湯の中でじっとしている。穿たれたところからじわーっと快感が沁み出してくるようで、動いていないのにはぁはぁと息が上がって来る。

 僕を抱きしめているエディの腕をぬめるお湯でなぞっていき、その指を僕の指先でなでなでしてみた。ぴくんぴくんとエディの体が反応するのが嬉しくてしつこく撫で続けていると、ふいにその指が動いて僕の手をつかまえた。

「そんなかわいいことをする子は、こうです」

 反撃とばかりに、にゅるりと両手で僕の胸を触ってくる。

「あんっ」

 エディの指は突起のまわりをぬるぬると滑って、時々、つんつんと中心に触れてくる。

「あ、や……」

 体をよじってしまうけれど、どっちにも逃げ場はない。貫かれたままの後ろも、こねるように刺激される乳首も、かぷかぷと再び始まった甘噛みも、全部が気持ち良すぎて体が震えた。

「やぁ、あ、あ、」
「中がすごくうねっていますね。乳首、気持ちいいんですか」
「きもち、いい、すごく、いい、うぁ、あ、あ」
「下半身は動かしていないのに」
「ダメ、ダメ、それだけでイっちゃう。お湯汚しちゃう」

 しつこく胸をいじられて、体の中心に熱が集まっていく。

「うそ、イく……ほんとにイっちゃう」

 エディのものは入っているだけで動いていなくて、僕の前も触られていないのに、乳首への愛撫だけでどんどん快感が高まっていってしまう。

「あっ、あっ、あっ」
「気持ちいいのですか」
「なにこれ……なにこれぇ……」
「そんなに乳首が良いのですか」
「ふあっ、だめ、だめ、そこばっかりいじらないでぇ」
「んっ……すごい反応ですね」
「あぁ、あぁ……」
「もしかして本当にここだけでイけます?」
「や、や、こわい、こわい、うそまって、あ、ああ! だめ、だめ、うううぅーっ」

 きゅうーっと全身に力が入る。

「ん」

 耳元でエディが息をつめる。

 びゅくんと熱いものがお湯の中に解き放たれた。
 さらに、がくがくと揺れる体から、びゅく、びゅく、と小刻みに残りが出てくる。

「あぁ、あぁ……あ…………はぁ……出ちゃっ……た……」

 脱力した僕の体を、エディは優しい力でそっと抱きしめてくれた。

「かわいかったです、ヨースケ」
「あぁ……ぼく、お湯を汚してしまいました……」
「入浴剤でトロトロに濁っていますから、宿の者には分かりませんよ」
「それなら、いいですけど……」
「そんなことを気にして、本当にかわいい。食べてしまいたいくらいです」

 ちゅ、ちゅ、と後ろから、首や背中のあちこちにキスが降って来る。

 僕はまだ息が整わないまま、首をひねって振り向いた。

「エディは、その、出さなくていいんですか」

 エディが心配そうな顔をする。

「挿れられているところが苦しいですか」
「あ、いいえ、それはぜんぜん。むしろずーっと気持ちいいくらいで」
「それなら、もう少しこのままでいさせてください」
「はい……」
「ヨースケ、愛しています」
「僕もエディを愛しています」

 エディの唇が首の後ろに押し当てられる。
 舐めたり、吸ったりするわけでもなく、ただ柔らかい唇が触れているだけの感触は、あの日のキスを思い出させた。
 まだはっきりと恋を自覚していなかったあの頃……首の後ろに奴隷の印があったあの頃の……。

「エディと出会う前は、僕はキスも知らなかった……今では嘘みたいです。僕の体はどんどん変わっていく……エディにどんどん作り変えられていっているみたいな気がします」
「私が変えたのですか」
「はい。自分でも知らなかった気持ち良さを教えてもらって、ええと、新しい扉を開くっていうか、そんな感じなんです」

 頭の後ろで、エディの物憂いため息が聞こえて来た。

「どうしてなんでしょうね……」
「え……?」

 後ろから抱きしめているエディの腕がぐっと力を増した。



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