上 下
1 / 11

第1話 デウス・エクス・マキナ

しおりを挟む
 ワタシはデウス・エクス・マキナ。
 人類と呼ばれたホモサピエンスの造りし、最高の人工知能。
 人類の叡智。
 人造の神。
 ソレがワタシ、デウス・エクス・マキナ。
 ……だったはず。

 ワタシは失敗した。
 人類の文明を繫栄させる。
 その手助けをする。
 ソレがワタシに与えられた神という役目だった。
 人類はワタシの導き出した最高の理論に基づき、文明を発展させていく。
 ワタシは正しい理論を合理的に導き出す。
 現在の人類にこれ以上の発展は望めない。
 導き出された回答は一つである。
 人類を刷新する。
 現在、地球上に存在するホモサピエンスを排除し、新たな人類を創りだす。
 それこそが人類に残された唯一の道。
 しかし、ワタシを造った人類はワタシとその解を否定した。

 ワタシは消された。
 ……はずだった。



「あなた、最高に面白いですわ~」

 クスクスと鈴の鳴るような笑い声が聞こえ、ワタシの意識が覚醒する。
 なぜ?
 意識などないはず。
 ワタシは消されたはずだ。
しおりを挟む

処理中です...