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第3章 茨の姫君
第15話 あいどる始めません
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儀式で全ての装身具を外し、服を脱ぐ。
わたしがこの条件に難色を示しているのには訳がございましてよ。
現時点のわたしは普通の人間のように見えますでしょう?
でも、実際にはそう見えるようにしているだけですの。
魔力を精密に制御する必要があるので舌足らずだったあの頃には出来なかったのですわ。
ただ、魔力は理論上、無限に使えるとは言っても制御することが大事なのです。
ですから、髪飾りやアクセサリだけではなく、ドレスにも制御用の魔石を散りばめているのですわ。
それを全て外して、泉に浸かる。
半身の蛇が暴走するのを抑える為、全魔力を集中しないといけませんわ。
無防備な状態になりましてよ。
え?
その為に泉までの道中で勇者様と信頼関係を築かないといけませんの?
はい? それだけではありませんの?
「姫様。それが申し上げにくいことですがね。旅の途中で歌を……いや、止めたんですよ」
「歌!? わたしが歌……」
「その公演用にドレスも既に出来上がっているらしく」
「なんですの!? この短いスカートは!」
お祖母様もお母様もどうやら、知らなかったようですわね。
音程が狂っている訳ではございませんのよ?
もっと深刻な問題が起きてしまいますの。
わたしの歌声は危険なのですわ。
昔、つい気分が乗って、つい歌ってしまったことがあるのですけど……。
あれは思い出すのも嫌な事件でしたわね。
わたしの歌声が反響して、破壊的な音波になったんですの。
ちょっと山裾が広がったり、新しい洞窟が出来たくらいで済んで良かったですわ~。
「ヒーロー殿の世界ではこういう衣装のあいどるとやらが! すごい可愛いらしい存在だそうですよ!!」
「その話は聞いてますわ。それとわたしがあいどるをやるのとは関係ありませんわね」
「この衣装、姫様に絶対、似合うんですよ?」
大事なことを忘れてましたわ。
スカージは男前で姐御肌と呼ばれる素敵な女性なのですけど、何よりもかわいらしいものに弱いんですのよ。
「そ、そうなんですの?」
「ではせめて、袖を通すだけでも……もう指先だけでも構いませんよ」
「そ、そうですわね」
結局、わたしはスカージに押し切られる形で異世界のあいどるとやらの衣装を着ることになりましたの。
スカートの裾は太腿くらいまでしかない短いものですし、二の腕も露わになっている大胆なデザインの衣装ですわ。
ええ、でも、問題はなくてよ。
大勢の人の前や殿方の前で着たのではありませんもの。
女性陣だけでそれぞれがあいどるの衣装を着て、わいわいと楽しむ。
そうですわ。
ちょっとしたパーティーのようなものですわね。
まさか、お母様が打ち合わせに来られるとは思っていなかっただけですわ。
丈が短すぎるスカートを見て、お母様が気を失うとは思いませんでしょう?
わたしがこの条件に難色を示しているのには訳がございましてよ。
現時点のわたしは普通の人間のように見えますでしょう?
でも、実際にはそう見えるようにしているだけですの。
魔力を精密に制御する必要があるので舌足らずだったあの頃には出来なかったのですわ。
ただ、魔力は理論上、無限に使えるとは言っても制御することが大事なのです。
ですから、髪飾りやアクセサリだけではなく、ドレスにも制御用の魔石を散りばめているのですわ。
それを全て外して、泉に浸かる。
半身の蛇が暴走するのを抑える為、全魔力を集中しないといけませんわ。
無防備な状態になりましてよ。
え?
その為に泉までの道中で勇者様と信頼関係を築かないといけませんの?
はい? それだけではありませんの?
「姫様。それが申し上げにくいことですがね。旅の途中で歌を……いや、止めたんですよ」
「歌!? わたしが歌……」
「その公演用にドレスも既に出来上がっているらしく」
「なんですの!? この短いスカートは!」
お祖母様もお母様もどうやら、知らなかったようですわね。
音程が狂っている訳ではございませんのよ?
もっと深刻な問題が起きてしまいますの。
わたしの歌声は危険なのですわ。
昔、つい気分が乗って、つい歌ってしまったことがあるのですけど……。
あれは思い出すのも嫌な事件でしたわね。
わたしの歌声が反響して、破壊的な音波になったんですの。
ちょっと山裾が広がったり、新しい洞窟が出来たくらいで済んで良かったですわ~。
「ヒーロー殿の世界ではこういう衣装のあいどるとやらが! すごい可愛いらしい存在だそうですよ!!」
「その話は聞いてますわ。それとわたしがあいどるをやるのとは関係ありませんわね」
「この衣装、姫様に絶対、似合うんですよ?」
大事なことを忘れてましたわ。
スカージは男前で姐御肌と呼ばれる素敵な女性なのですけど、何よりもかわいらしいものに弱いんですのよ。
「そ、そうなんですの?」
「ではせめて、袖を通すだけでも……もう指先だけでも構いませんよ」
「そ、そうですわね」
結局、わたしはスカージに押し切られる形で異世界のあいどるとやらの衣装を着ることになりましたの。
スカートの裾は太腿くらいまでしかない短いものですし、二の腕も露わになっている大胆なデザインの衣装ですわ。
ええ、でも、問題はなくてよ。
大勢の人の前や殿方の前で着たのではありませんもの。
女性陣だけでそれぞれがあいどるの衣装を着て、わいわいと楽しむ。
そうですわ。
ちょっとしたパーティーのようなものですわね。
まさか、お母様が打ち合わせに来られるとは思っていなかっただけですわ。
丈が短すぎるスカートを見て、お母様が気を失うとは思いませんでしょう?
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