くろいゆきの割とどーでもいいエッセイ・その2

くろいゆき

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ロシアのホラー映画らしさ溢れる空気と雰囲気を楽しむ!でも、お化けは出ないというホラー映画『ウィドウ 怪物の森』

 今回、御紹介するのはロシアのホラー映画『ウィドウ 怪物の森』です。
 実話を基にしたホラーというのがセールスポイントらしく、冒頭に本作は実際にあった云々と明言しています。
 ただし、どこまで実際にあった出来事を基にしているのか、それが問題点となります。

 あらすじにその実際にあった出来事について、多少触れています。
 『サンクトペテルブルクの北にある鬱蒼とした森林地帯では、この30年間、人の失踪が続いている。これまでに見つかった少数の死体は、すべて裸。拷問など殺人につながるような傷跡が見られる死体もあれば自然死にしかみえない死体もある。そんなある日、トレーニング期間中の小さな救助隊が、行方不明の男の子を探しに森に入る。 しかし、彼らが森で発見したのは裸の女。奇怪な言動が続くこの女性と共に救助隊は森を捜索するが、森はやがて異世界の様相を呈していき、救助隊は徐々にバラバラになっていく。彼らが森で見たものとは…。(C) Central Partnership LLC, 2020 (C) QS Films LLC, 2020 All Rights Reserved.』
 そうなんです。
 実際にあった下敷きとなる話はロシアのサンクトペテルブルク近郊の森で不可解な失踪事件が起きている。
 これだけ(´・ω・`)
 上映時間が一時間半近くありますが、その内容のほとんどは実話と関係ないと考えていいでしょう。

 アマゾンプライムでの評価はあまり芳しくありませんが、ロシアの北国特有の独特の暗鬱とした怖い雰囲気を醸し出すホラー映画です。
 まぁ、いつ出るのかな? そろそろ出るのかな? と思わせておいて、お化けや怪物の類は一切出ませんけどね……。
 その辺りを期待して視聴するとガッカリ感は否めませんが、空気感は悪くありません、多分(´・ω・`)

 冒頭であの森はどれだけ危ないのかをドキュメンタリー番組のインタビュー風なシーンで強調し、期待感を煽りつつ……。
 森の近くで偶々、救助訓練中だった救助隊の訓練風景へと移ります。
 この訓練にはテレビ局が密着取材をしており、女性レポーターのクリスティナとカメラマンのクルーが同行中。
 クリスティナはややサイコパス気質なのか、とにかく特ダネを当てバズりたい欲求が強く、心にナイフをグサグサ刺しまくるインタビューを披露してくれます。
 新人の女性隊員ビクトリアが主にその被害者です。
 ロシアではこういった毒舌を越えた猛毒吐きレポーターが普通なのかもと考えるとさすが、おそロシア!

 訓練中の救助隊に森でニキータという男の子が行方不明になったので、もっとも近い隊はすぐに捜索活動に入るようにとの命が下ります。
 多分、隊長らしい割と冷静で判断力に定評あるアンドレ。
 シベリアンハスキーと思われるかわいいわんこで隊のマスコットのようなユーコン。
 ユーコン大好きで機械類に明るいアレクセイ。
 民俗学に通じているのか、ちょっとスピリチュアルなイリア。
 そして、新人の女性隊員ビクトリアで構成される救助隊ですが……。
 このビクトリア、あまり救助隊に適していないのでは? と思える言動が多いです。

 そして、一行はニキータの捜索活動をスタートするのですが、手掛かりの一つも見つけらません。
 このまま、帰還するしかないと思っていたら、ニキータではなく、危険な状態にある老女ゾヤを発見します。
 彼女はなぜか、全裸で喉奥に長い人毛らしき物が詰まっており、人事不省の状態だったのですが……。
 救助隊は規定上、所持している薬を投与する訳にいかず、一刻も早く森を出ようとします。
 ところが出られない。
 そんな中、奇跡的? に回復したゾヤは意識を取り戻します。
 しかし、やはり森からは出られない。

 誰も森からは出られない。
 未亡人(タイトルに入っているウィドウのこと)が許さない。

 ここから、急速にホラー感が強まっていき、ここで森に巣食う未亡人と呼ばれる禁忌の存在について、語られます。
 かつて夫を殺した女性がいました。
 女性は村人に吊るし上げられ、暴力を振るわれ、服を全て奪われた挙句、穴に放り込まれて殺されました。
 恨みのあまり、妖異・未亡人と化した女性は以来、森に入る者の衣服を剝ぎ取り、命を奪うようになった。
 ただし、これはあくまで都市伝説のようなものであり、事細かに伝えられているものではなさそうです。

 その証拠に「太陽よ」「悪霊を退けたまえ」とゾヤが祈っていて、彼女は見た目が怪しいだけで怪しい人間ではないはずなのに……。
 劇中では彼女が怪しく見えるように演出しているので、視聴者をミスリードへと導くし、登場人物もそう思い込んでいきます。
 ビクトリアは特にその兆候が激しく、ゾヤこそが未亡人そのものに違いないと思い込み、ゾヤを殺そうとするのです。
 しかし、ゾヤは殺されるのではなく、自ら死を望み、自害しました。
 「もう疲れた」からといのが理由ですが、それもそうでしょう。
 ゾヤは己を生贄に捧げ、未亡人の攻撃から森に入った人々を守っていた影の功労者です。
 それなのに守っていた人間から、疑われた挙句、殺されかけたのですから、心が限界だったのでしょう。

 前述したようにお化けらしきものは一切、出ません。
 しかし、救助隊の隊員達は一人、また一人と不可解な死を遂げていきます。
 何者かに操られたように不審な行動をとって死んだ隊員もいれば、某プレデター感溢れる死に方をした隊員もいます。
 男性陣はアンドレを筆頭にアレクセイとイリアも変死を遂げ、生き残ったのは女性陣だけ。
 しかも応援に駆け付けた別働の救助隊に救助されたのはテレビレポーターのクリスティナだけです。
 ビクトリアは生き残りましたが、助かりませんでした。
 正確には命は助かったと言うべきでしょう。
 でも、心は完全に壊れ、あちら側の世界へ渡ったようです。
 しかも同じように壊れながらも人々を守ろうと聖なる祈りを絶やさなかったゾヤとは違い、生きている者を呪う闇堕ちという形で……。
 ビクトリア、元々がメンタル面に不安要素しかない人物でしたが、まさかのエンディングではあるもののホラー映画らしい終わり方なのでこれはこれでありかもしれません(´・ω・`)

 映像が全般に渡って暗い為、やや何が起こっているのかと判断に苦しむ面がありますが、じわじわと心に忍び寄っていくような独特の恐怖感を煽るスタイルはロシア映画らしい魅力のある映画だと思います。
感想 8

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