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参捨 パストラス十勇士見参①
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カラノスとは年が近いこともあり、それなりに親交があったとコーネリアスは自認する。
キリアコスとも年が離れた兄姉を持つコーネリアスにとって、兄弟のような関係を築けたのではないかと考えていた。
実際、カラノスとキリアコスも故郷を離れた地で出会った奇妙に大人びていながらも不思議な魅力のある少年とコーネリアスを憎からず、思っているのは事実だった。
それが大きな足枷ともなり、パストラスの命運を託す存在をどうすべきか、迷いが生じたのである。
しかし、コーネリアスと直接的な関わり合いがあるのはリーダーであるカラノスとまとめ役のキリアコスだけだった。
キリアコス以外に九人のメンバーがおり、個性的な面々が揃っていると話で聞いていたに過ぎない。
どのような者がいるのかまでは詳しく知らなかったのだ。
コーネリアスが抱いた第一印象は「個性的な面々の域を遥かに突破している……」だった。
カラノスは世が世であれば、貴公子としても十分に通用する。
キリアコスは立派な体格に恵まれた威風堂々たる好男子だ。
ところがキリアコス以外の十勇士の面々はそもそもが男子だけで構成されていなかった。
「あたしはアンナ・フシノポロよ。キリアコスではなく、あたしがリーダーだから」
九人の中で率先して、挨拶のカーテシーを披露したのは、巫女のドレスに身を包んだ女性だった。
巫女のドレスは特殊な糸で編まれた生地がふんだんに使われており、祝福がかけられている。
神殿仕えをする女性の中でも特に選ばれた者しか着用することが出来ない代物だ。
カーテシーをして見せるアンナは黒髪の妙齢の美女といった趣が強く、お淑やかそうに見えた。
少なくとも見た目だけは……。
「彼女の家は代々、神官の家系なんだ」
カラノスが普段の物静かな調子で補足するようにそう言った。
その様子を見るアンナの姿は恋する乙女が何とやらにしか、見えない。
「へぇ。そういうことか」「なるほどね」と他人の恋愛事情には敏いコーネリアスとヤンが、さも楽しそうに小声でやり取りをする。
きっと心臓が止まりそうな恐ろしい目つきでアンナに睨まれ、二人は大人しくなった。
「ワシはフリストス・オードスである」
次に挨拶したのは初老というにはかなり、老け込んだ印象が強い白髪混じりのざんばら髪の男だ。
威厳のある落ち着いた声は自然と場を引き締める効果があった。
アンナにかき回される形で騒然としていた場の空気が一変した。
「オードス家はパストラスで古い血筋を伝える家柄でね」
またも補足するカラノスの言葉にコーネリアスは「さしがら宿老とでも言った家柄ってところかな」と推測した。
その読みは強ち間違っていない。
フリストスの父であるキリロス・オードスはパストラス王家に仕える貴族の中で最高位にあった。
宰相に匹敵する位がなかったものの実質、扱いとしては同じであると言えた。
パストラスが健在であれば、フリストスもそうなっていたかもしれない。
しかし、彼は実はフリストスであって、フリストスではない。
十勇士の一人だったフリストスは六年前、第一次再興戦で戦死した。
優勢な戦況を覆され、撤退せざるを得なくなった再興軍を逃がすべく、壮絶な最期を遂げた。
敵方についた娘婿により、討ち取られたのである。
今、この場にいるのはフリストスの息子のフリストスなのだ。
キリアコスとも年が離れた兄姉を持つコーネリアスにとって、兄弟のような関係を築けたのではないかと考えていた。
実際、カラノスとキリアコスも故郷を離れた地で出会った奇妙に大人びていながらも不思議な魅力のある少年とコーネリアスを憎からず、思っているのは事実だった。
それが大きな足枷ともなり、パストラスの命運を託す存在をどうすべきか、迷いが生じたのである。
しかし、コーネリアスと直接的な関わり合いがあるのはリーダーであるカラノスとまとめ役のキリアコスだけだった。
キリアコス以外に九人のメンバーがおり、個性的な面々が揃っていると話で聞いていたに過ぎない。
どのような者がいるのかまでは詳しく知らなかったのだ。
コーネリアスが抱いた第一印象は「個性的な面々の域を遥かに突破している……」だった。
カラノスは世が世であれば、貴公子としても十分に通用する。
キリアコスは立派な体格に恵まれた威風堂々たる好男子だ。
ところがキリアコス以外の十勇士の面々はそもそもが男子だけで構成されていなかった。
「あたしはアンナ・フシノポロよ。キリアコスではなく、あたしがリーダーだから」
九人の中で率先して、挨拶のカーテシーを披露したのは、巫女のドレスに身を包んだ女性だった。
巫女のドレスは特殊な糸で編まれた生地がふんだんに使われており、祝福がかけられている。
神殿仕えをする女性の中でも特に選ばれた者しか着用することが出来ない代物だ。
カーテシーをして見せるアンナは黒髪の妙齢の美女といった趣が強く、お淑やかそうに見えた。
少なくとも見た目だけは……。
「彼女の家は代々、神官の家系なんだ」
カラノスが普段の物静かな調子で補足するようにそう言った。
その様子を見るアンナの姿は恋する乙女が何とやらにしか、見えない。
「へぇ。そういうことか」「なるほどね」と他人の恋愛事情には敏いコーネリアスとヤンが、さも楽しそうに小声でやり取りをする。
きっと心臓が止まりそうな恐ろしい目つきでアンナに睨まれ、二人は大人しくなった。
「ワシはフリストス・オードスである」
次に挨拶したのは初老というにはかなり、老け込んだ印象が強い白髪混じりのざんばら髪の男だ。
威厳のある落ち着いた声は自然と場を引き締める効果があった。
アンナにかき回される形で騒然としていた場の空気が一変した。
「オードス家はパストラスで古い血筋を伝える家柄でね」
またも補足するカラノスの言葉にコーネリアスは「さしがら宿老とでも言った家柄ってところかな」と推測した。
その読みは強ち間違っていない。
フリストスの父であるキリロス・オードスはパストラス王家に仕える貴族の中で最高位にあった。
宰相に匹敵する位がなかったものの実質、扱いとしては同じであると言えた。
パストラスが健在であれば、フリストスもそうなっていたかもしれない。
しかし、彼は実はフリストスであって、フリストスではない。
十勇士の一人だったフリストスは六年前、第一次再興戦で戦死した。
優勢な戦況を覆され、撤退せざるを得なくなった再興軍を逃がすべく、壮絶な最期を遂げた。
敵方についた娘婿により、討ち取られたのである。
今、この場にいるのはフリストスの息子のフリストスなのだ。
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