【完結】殿下から逃げ出したい転生者と、転生者を手に入れたい殿下の攻防〜味方のはずの父と兄は殿下とグルでした〜

ウミ

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9苦しい思い出と記憶のカケラ

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 8歳の時、お母様と一緒に乗っていた馬車で事故に遭った。

 確か、どっかの誰かが悪戯で道に穴を掘ってたんだっけ。それに運悪く車輪がはまって馬車が倒れ俺とお母様は馬車の中でもみくちゃにされた。

『ルヴィル!!!!』

 そう叫んでお母様が、俺を抱え込んだ瞬間悲鳴が聞こえてお母様の苦しそうな声が聞こえて、それから、それから、あぁ、そうだ。

『ルヴィル、これを持ってなさい』

 お母様から透明な石がついたネックレス・・・・・をもらったんだ。それから、頭に強い衝撃が来て意識を失ったんだ。

 目が覚めたら前世の記憶・・・・・が戻っていて、お母様の顔があって、お母様は冷たかった。

『お、お母様? 起きてください』

 そう言っても、もう無駄だってことは前世の私が教えてくれていた。

 そのすぐ後に、お父様が来て俺は、私は、馬車から助け出された。

『お母様は?』

『少し向こうに行ってなさい』

 少し嗄れた声。父の背中がこれほどまでに小さく見えたことはない。

 もう、前世の私はお母様はもう帰ってこないことは分かっていたけど、8歳の俺が、父から『お母様は大丈夫だ』と伝えてくれることを期待していた。

 でも、お母様は帰ってこなかった。そこからだ、俺と私の境がなくなって。1つになったのは。

『お兄様、お母様は天国にいらっしゃるのでしょう?』

『そうだ』

 当時16歳だった兄は、元気がなくなってしまった父の代わりに俺と過ごしてくれた。でも、寂しさは変わらなかった。もし、道路整備が整っていたらこんなことにはならなかった。

 調べると、道路の管理は騎士がするらしいかった。なら、俺も騎士になって今後こういった事故が起こらないようにしよう! そう思ったけど、騎士科の技術は高過ぎた。

 俺には無理だった。

 だったら、知識をつけて馬車が転倒しにくい構造を発明しよう! そう思ったけど、殿下付きの補佐は地味に忙しくて、その夢も忙しさの前には実現不可能だった。

 そして、今回の騒動でやっと、やっと解放されたかと思ったら、それはただ単に別の頑丈な檻に入れるための猶予期間で。

「殿下ぁ、俺は人形じゃないし、おもちゃじゃないんですよ」

 女の子らしい鈴を転がすような声と喋り方があってなさ過ぎて我ながら笑いそうになる。

 殿下の優しい手つきはまるで精巧な玩具を壊さないように手入れしているみたいだ。

「お前は私の妻だ。そろそろ女らしさを身につけろ」

 女らしさってなんなの?
 
 俺は心の壊れた愛玩人形になるつもりはない。

「俺の事が好きなら俺を受け入れてくれないと」

「ルーナのことは世界一愛している。だが、世間体というものがある。お前が辛い目にあわないよう、忠告してやっているだけだ」

「ふぅん、そうですか」

 じゃあ、殿下は今の俺は必要ないって事ですよね? 女になったら俺じゃないもん。

 俺の母って東の国出身なんだよね。父は正直言って俺を売るし、別にまぁ、この国に未練なんてないし。殿下は強姦魔だし。

 俺は成人すれば東の国・・・に行くための呪具が使える。それは死にゆくお母様がそっと俺に教えてくれた秘密の話。そして、その手段であれば何人であろうとも行く先を防ぐことなどできない。

 後、3ヶ月後に俺は18歳になる。成人するのだ。

 てなわけで、3ヶ月は大人しくしまーす。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【日記スペースbyルーナ】

 ちなみにだけど、俺の目って黒なんだよ。お母様は黒目黒髪で、まさに東洋美女って感じだった。父が銀眼銀髪だから俺はその半々を受け継いでいるってわけ。ちなみに兄は黒髪銀眼。まぁ、悔しいけど俺よりもカッコいい。俺は爽やか系だから! 爽やか系冷静沈着キャラだから、そこんとこよろしく‼︎

 あ、お母様は巫女だったんだって。東の国は神道が普及していて、不思議な力ーー魔力のようなモノーーも使えるらしい。今回俺が使われた呪具もそんな感じなんかなぁ?

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