【完結】悪の幹部の華麗なるヒーロー殲滅劇

ウミ

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学習しないらしい

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「お前たち! 悪さはやめるんだ‼︎」
「やめなさい!」
「俺たちがお仕置きしてやる‼︎」

 今日は3人。ラスボスから貰ったスーツに身を包んだ俺は、イエロー、ブルー、ブラックの3人が変身のために準備を始めるのをぼんやりと見ていた。

 新しく俺に配属された部下たちは、以前の組織の暗黙の了解とやらの常識でその場に体操座りして変身をするのを待とうとしている。

「変身!」
「へんしーん!」
「変身‼︎」

 ピカァとヒーローたちが光り、変身し始める。それを見て、俺は合図を出した。

「いまだ、お前たち、やれ‼︎」
「え、でもまだ変身中っす」
「んなもん無視だ無視!!」

 困惑する部下たちを叱り飛ばす。恐る恐ると言った様子で、部下たちがワルワルコーゲキを仕掛けた。変身後なら屁にもならない攻撃が、変身中のヒーロー達を吹き飛ばす。

「うわぁーーーー!?」
「キャーーー‼︎」
「うぉ!?」

 まるで3バカのように空を飛んでいったヒーロー達を俺は両手を双眼鏡に見立てて見送った。

「おぉ~、お前たちやるじゃないか」
「え、でも変身中っすよ?」
「そうっす」
「ヤバくないっすか?」

 いつかの先輩方と同じように言い出した部下たちに俺は教えてやった。

「いいか? コレは生死をかけた勝負なんだ。早い者勝ちなんだよ」

 現にお前たちは死ななかっただろう? そう問えば、部下たちは納得したように頷いた。

「「「「「「一生着いていきます!」」」」」」

 チョロい、と思ったのは内緒である。

 それよりも、思ったことはヒーローたちが学習していなかったことだ。あいつら、変身中に吹き飛ばされたんだから、次は変身してからくるかと思ったのに、来なかった。バカ正直にここに来てから変身するという……

「アホだろ」

 俺は思った。まぁ、この茶番劇もあと少し。ラスボス様がもうすぐ回復するらしいので、回復し終わったらこの星はすぐに制圧されるだろう。

 元は地球人だが、今は悪役なので俺はラスボスの方につく。あ、でもインスタントラーメン作る工場と、あの美味いラーメン屋だけは残しておくようにラスボスに伝えとこ。

 俺は寝る前にそう決心したのだった。

        




             ーー終ーー
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