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第5話「決断」
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「じゃあここからは俺が大垣さんの代わりにお前のことに付いて説明する」
連堂の赤く力強い瞳が楓を射抜くような鋭い眼光で見つめこれから重要な情報が彼の口から告げられることを予感させる。
「さっきも言ったが、ALPHAの連中はお前の事を全力で取り戻しに来るだろう。その証拠に、喜崎町でお前たちを襲ったヴァンパイアはこれと同じ刀を持っていたことからALPHAのヴァンパイアだった」
大垣がいなくなり、連堂はまた胸ポケットから赤いタバコのようなものを取り出して火を点けた。そして、赤い煙が天井の淡くオレンジ色に輝く照明に照らし出される。
連堂はゆらゆらと揺れる煙から楓へと視線を向けてから言った。
「あの時、もう1人あの場にはヴァンパイアがいた」
「もう1人?」
楓は虚を突かれたように訊き返した。
連堂は頷いてから続けた。
「実は奴らの実験が成功したことを聞きつけて俺らはALPHAの様子を伺っていた。そんなとき、白髪のヴァンパイアであるお前が刀を持ったALPHAのヴァンパイアに襲われていたのを俺は見つけた。そして、あの場に居たヴァンパイアはお前を襲ったやつ以外にも廃材置き場の物陰に隠れてもう1人。恐らく、そいつがお前の監視役だったんだろう。監視役の方は俺が始末したがお前たちを襲った方は俺を見つけた後すぐに逃げていったがな」
「ちょっとまってください、どういうことですか監視役って?」
楓は思わず口調が強くなってそう言った。
連堂は「ああ、まだ言ってなかったな」とこれから話すことの前置きをするようにまた赤い煙を吐き出した。
「混血の成功体は生まれたときは人間として生まれる。そのため、ヴァンパイアとして能力に目覚めるまでは人間の世界で育てる。それは人間として肉体を成長させる必要があるからだ。陽の光を浴びると死ぬ俺らとは違って、人間は陽の光を浴びないと健康体として成長することが出来ないからな。だから、能力が目覚めるまでお前を人間の世界に放り込んで連中はお前の能力が目覚めるまで影でお前を監視してたんだろう」
監視? 一体何を言ってるんだ。僕はあの時襲われるまでヴァンパイアに出会ったことはないんだ。監視されてたなんて意味がわからない…。
楓は連堂が淡々と並べる事実に疑念が沸いていた。
「でも、僕はヴァンパイアに出会ったのはあの時が初めてで今まで会ったことなんか一度もないです」
楓は確信を持って言った。しかし、連堂は楓の反応を予想していたようだったが、それでもゆっくりと首を横に振った。
「きっとそれはお前が見なかったんじゃない。あいつらが見せなかっただけだ」
連堂はまた煙をまた大きく吐いた。赤い煙が天井へとゆらゆら舞い上がる。
「恐らくだが、人間のまま死なれては困ると考えた奴らは野良のヴァンパイアにも会わせないようにしていたんだろう。それだけうまく監視できてたんだろうな。日中はどんな手を使ったか知らんがな」と連堂は眉間にしわを寄せて部屋の窓の方を見た。
「ずっと監視ししてたのなら僕が部屋で熱にうなされているのも見てたはずですよ。なんで僕がヴァンパイアになってすぐに捕まえに来なかったんですか?」
連堂は視線を戻し、楓を見た。
「前例がないだけに奴らも慎重にならざるを得なかったんだろう。ヴァンパイアになる瞬間は個体によるため時期はわからない。そもそも、俺らが訊いた情報ではお前が初めての成功体だ。そんな不安定な個体をすぐに回収してから失敗作だったなんてのはごめんだっただろうな」
楓はテーブルに視線を落として聞いていた。そして、少しの沈黙があって静かに息を吸った。
「失敗作とか…成功体とか…」と楓の両手を握る力は徐々に力が入る。
そして、楓は内側から湧き上がってくるやり場のない怒りを噛み殺しながら必死に声を押し込めて言う。
「もう、自分が何者なのか…わからないですよ。人間なのかヴァンパイアなのか生まれたのか生まされたのか、僕はこの世界にいて良いのか悪いのか。何もわからないです…」
連堂は楓の表情を見て、長く瞼を閉じてから言った。
「お前を奴らより先にモラドで保護することが出来たのは幸いだった。ただ…」
途中まで言いかけると連堂は意を決したように告げた。
「ただ、大垣さんも言っていた通り、お前にはこれから厳しい困難が待ち受けているだろう。そのため、自分がALPHA。いや、人間とヴァンパイアの未来においてどういう存在なのか知っておく必要がある」
「僕が?」
連堂はジャケットのポケットから携帯灰皿を取り出し赤いタバコをしまった。
「これは俺の推測だが、ALPHAはお前を連れ戻して第2の成功体を作るつもりだろう。そして、第3、第4と不死身を生み出す。そしたら、どうなると思う?」
連堂はテーブルの上に手を組んで小首を傾げた。
楓は少し考えてから答えた。
「ヴァンパイアが人間を全滅させるってことですか?」
連堂は頷いた。
「あくまで推測だが可能性はゼロではない。不死身をどう使うかはわからないが奴らの目的のためであることに違いはないだろう」
連堂は椅子の背もたれに背中を預けて腕を組んだ。背筋を伸ばした連堂はより凛とした表情のように見える。
「だからお前にはっきりさせてほしい事がある」
そして、楓は小さく首を傾げて尋ねるように「はっきりさせてほしい事?」と連堂を見る。
「俺らモラドはヴァンパイアと人間の共存を望んでいる。人間にも恩義があるからだ。人間がいて俺らが生きることができる。そして、ALPHAは人間を食料として考え、ヴァンパイア中心の世界を望む、そして、ゼロはヴァンパイアは全員殺して人間中心の世界を望んでいる」
連堂はテーブルの縁を両手で掴み、楓に向かって顔を突き出すように近づけた。
「お前はどの組織を味方する? それとも野良のヴァンパイアまたは、ヴァンパイアであることを隠して人間として生きていくか?」
楓は連堂が放つ威圧感に圧倒されるようにじわりと鳥肌がたった。
そして、楓はゴクリと唾を飲み込み連堂に問いかけた。
「もし、僕がモラドに敵対する選択をしたらどうなるんですか?」
楓は念のため訊いた。
それを訊いた連堂は椅子に立て掛けていた鞘に収めている刀を手に取り、鞘から僅かに刃の部分をわずかにのぞかせた。
「お前を地下で永久に拘束する。お前をALPHAに渡すわけにはいかないからな」
もはや連堂が脅しているようで答えは一つしかないような状況だった。
しかし、楓は連堂に脅されて選択するよりも自分で自分の選択を思案したかった。
僕は、ヴァンパイアが嫌いだ。人を殺す怪物はこの世からいなくなれば良いと思っている。でも、それ以上にこの争いを続ける世界の方がもっと嫌だ。
「僕は争いをしたくないです。人を…殺したくない。人が死ぬところを見たくない」
「じゃあ、ヴァンパイアであることを隠して人間として生きるのか?」
「でも、僕は…」
楓は視点をテーブルに落として一度言いかけた言葉を飲み込むようにして、意を決した楓は連堂の目を見てまた言い直した。
「僕はもう友達を辛い目に合わせたくない。だから、僕はヴァンパイアも人間もみんなが平和に共存できる未来を作りたいです」
連堂は先刻まで険しかった表情を僅かに緩めてから言った。
「言っておくがお前は俺らの目的を達成するために同種であるヴァンパイアを殺すことになるし、ゼロの人間も殺す可能性だってある。つまり、お前の言う争いは必ず起こる。それでも良いんだな?」
楓は自信のなさそうな表情を浮かべてしばらく考え込んでいる…ように見えたが楓の様子がおかしい。楓は目を閉じて左右に体を揺さぶるように力なく揺れた後、椅子からガタンと大きな音を立てて倒れた。
「どうした?」と連堂が楓の元へ駆け寄り体を揺さぶる。
「おい、伊純。どうした。おい」
すると、2人しかいない静かな部屋に楓のきゅるるとお腹の音が鳴った。
「ったく、緊張感のないやつだな」と呆れて言うと連堂は楓を軽々と肩に担ぎ、部屋を出て階段を降り、1階の玄関向かって左側の通路に進み部屋に入った。
その部屋はさっきのテーブルと椅子しか置かれていない部屋とは打って変わって、部屋の中を取り囲むように天井に届くくらいに焦げ茶色の大きな本棚があり、どの本棚もぎっしりと本が詰め込まれている。部屋の真ん中には小さなガラス製の平板のテーブルがあり、それを取り囲むようにソファや椅子が置かれていてこの洋館でリビングのような使われ方をしている部屋のように見える。
連堂はソファに楓を寝かせてから部屋を出る。
掛け時計の長針が3つほど動いたあたりで、連堂が部屋に戻ってきて右手にはコップを持っており。そこには赤い液体とストローが刺さっていた。
「ほら、体起こせ」と連堂が楓の腰に手を当てて無理やり起こして、ストローを楓の口に近づけて「飲め」と言うと楓は寝ぼけ眼のように虚ろな目を開けて連堂の言われた通りにストローを啜り赤い液体が楓の口の中に運ばれていく。
一口分か、二口分か液体を口に含んだら楓はまた静かに目を閉じた。
「お前はまだヴァンパイアの体に慣れてないんだろ。だから、人間の血液を取らないとまた倒れるぞ」
聞こえているのか聞こえていないのか、楓はコクリと小さく頷いたような動作をとってから再び意識を失ったようにまた眠った。
「ここに置いとくから起きたら必ず全部飲めよ。あと、起きたらお前の答えを訊かせてもらうからな」
連堂はそう言うと部屋から出ていった。
その出来事から何時間経っただろうか。リビングのカーテンは楓が運ばれてきたときには光はなかったが時間が経ち、閉められたカーテンの隙間からは僅かに陽の光が溢れていた。
楓はハッとして目を覚ます。
癖になったようで口元の八重歯を手で触ると人間の歯の形状になっていることに安堵する。
「おはよー。だいぶ眠ったね」
全く訊いたことのない声に戸惑う楓。
「君が混血の子かー」
連堂の赤く力強い瞳が楓を射抜くような鋭い眼光で見つめこれから重要な情報が彼の口から告げられることを予感させる。
「さっきも言ったが、ALPHAの連中はお前の事を全力で取り戻しに来るだろう。その証拠に、喜崎町でお前たちを襲ったヴァンパイアはこれと同じ刀を持っていたことからALPHAのヴァンパイアだった」
大垣がいなくなり、連堂はまた胸ポケットから赤いタバコのようなものを取り出して火を点けた。そして、赤い煙が天井の淡くオレンジ色に輝く照明に照らし出される。
連堂はゆらゆらと揺れる煙から楓へと視線を向けてから言った。
「あの時、もう1人あの場にはヴァンパイアがいた」
「もう1人?」
楓は虚を突かれたように訊き返した。
連堂は頷いてから続けた。
「実は奴らの実験が成功したことを聞きつけて俺らはALPHAの様子を伺っていた。そんなとき、白髪のヴァンパイアであるお前が刀を持ったALPHAのヴァンパイアに襲われていたのを俺は見つけた。そして、あの場に居たヴァンパイアはお前を襲ったやつ以外にも廃材置き場の物陰に隠れてもう1人。恐らく、そいつがお前の監視役だったんだろう。監視役の方は俺が始末したがお前たちを襲った方は俺を見つけた後すぐに逃げていったがな」
「ちょっとまってください、どういうことですか監視役って?」
楓は思わず口調が強くなってそう言った。
連堂は「ああ、まだ言ってなかったな」とこれから話すことの前置きをするようにまた赤い煙を吐き出した。
「混血の成功体は生まれたときは人間として生まれる。そのため、ヴァンパイアとして能力に目覚めるまでは人間の世界で育てる。それは人間として肉体を成長させる必要があるからだ。陽の光を浴びると死ぬ俺らとは違って、人間は陽の光を浴びないと健康体として成長することが出来ないからな。だから、能力が目覚めるまでお前を人間の世界に放り込んで連中はお前の能力が目覚めるまで影でお前を監視してたんだろう」
監視? 一体何を言ってるんだ。僕はあの時襲われるまでヴァンパイアに出会ったことはないんだ。監視されてたなんて意味がわからない…。
楓は連堂が淡々と並べる事実に疑念が沸いていた。
「でも、僕はヴァンパイアに出会ったのはあの時が初めてで今まで会ったことなんか一度もないです」
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「失敗作とか…成功体とか…」と楓の両手を握る力は徐々に力が入る。
そして、楓は内側から湧き上がってくるやり場のない怒りを噛み殺しながら必死に声を押し込めて言う。
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「僕が?」
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連堂はテーブルの上に手を組んで小首を傾げた。
楓は少し考えてから答えた。
「ヴァンパイアが人間を全滅させるってことですか?」
連堂は頷いた。
「あくまで推測だが可能性はゼロではない。不死身をどう使うかはわからないが奴らの目的のためであることに違いはないだろう」
連堂は椅子の背もたれに背中を預けて腕を組んだ。背筋を伸ばした連堂はより凛とした表情のように見える。
「だからお前にはっきりさせてほしい事がある」
そして、楓は小さく首を傾げて尋ねるように「はっきりさせてほしい事?」と連堂を見る。
「俺らモラドはヴァンパイアと人間の共存を望んでいる。人間にも恩義があるからだ。人間がいて俺らが生きることができる。そして、ALPHAは人間を食料として考え、ヴァンパイア中心の世界を望む、そして、ゼロはヴァンパイアは全員殺して人間中心の世界を望んでいる」
連堂はテーブルの縁を両手で掴み、楓に向かって顔を突き出すように近づけた。
「お前はどの組織を味方する? それとも野良のヴァンパイアまたは、ヴァンパイアであることを隠して人間として生きていくか?」
楓は連堂が放つ威圧感に圧倒されるようにじわりと鳥肌がたった。
そして、楓はゴクリと唾を飲み込み連堂に問いかけた。
「もし、僕がモラドに敵対する選択をしたらどうなるんですか?」
楓は念のため訊いた。
それを訊いた連堂は椅子に立て掛けていた鞘に収めている刀を手に取り、鞘から僅かに刃の部分をわずかにのぞかせた。
「お前を地下で永久に拘束する。お前をALPHAに渡すわけにはいかないからな」
もはや連堂が脅しているようで答えは一つしかないような状況だった。
しかし、楓は連堂に脅されて選択するよりも自分で自分の選択を思案したかった。
僕は、ヴァンパイアが嫌いだ。人を殺す怪物はこの世からいなくなれば良いと思っている。でも、それ以上にこの争いを続ける世界の方がもっと嫌だ。
「僕は争いをしたくないです。人を…殺したくない。人が死ぬところを見たくない」
「じゃあ、ヴァンパイアであることを隠して人間として生きるのか?」
「でも、僕は…」
楓は視点をテーブルに落として一度言いかけた言葉を飲み込むようにして、意を決した楓は連堂の目を見てまた言い直した。
「僕はもう友達を辛い目に合わせたくない。だから、僕はヴァンパイアも人間もみんなが平和に共存できる未来を作りたいです」
連堂は先刻まで険しかった表情を僅かに緩めてから言った。
「言っておくがお前は俺らの目的を達成するために同種であるヴァンパイアを殺すことになるし、ゼロの人間も殺す可能性だってある。つまり、お前の言う争いは必ず起こる。それでも良いんだな?」
楓は自信のなさそうな表情を浮かべてしばらく考え込んでいる…ように見えたが楓の様子がおかしい。楓は目を閉じて左右に体を揺さぶるように力なく揺れた後、椅子からガタンと大きな音を立てて倒れた。
「どうした?」と連堂が楓の元へ駆け寄り体を揺さぶる。
「おい、伊純。どうした。おい」
すると、2人しかいない静かな部屋に楓のきゅるるとお腹の音が鳴った。
「ったく、緊張感のないやつだな」と呆れて言うと連堂は楓を軽々と肩に担ぎ、部屋を出て階段を降り、1階の玄関向かって左側の通路に進み部屋に入った。
その部屋はさっきのテーブルと椅子しか置かれていない部屋とは打って変わって、部屋の中を取り囲むように天井に届くくらいに焦げ茶色の大きな本棚があり、どの本棚もぎっしりと本が詰め込まれている。部屋の真ん中には小さなガラス製の平板のテーブルがあり、それを取り囲むようにソファや椅子が置かれていてこの洋館でリビングのような使われ方をしている部屋のように見える。
連堂はソファに楓を寝かせてから部屋を出る。
掛け時計の長針が3つほど動いたあたりで、連堂が部屋に戻ってきて右手にはコップを持っており。そこには赤い液体とストローが刺さっていた。
「ほら、体起こせ」と連堂が楓の腰に手を当てて無理やり起こして、ストローを楓の口に近づけて「飲め」と言うと楓は寝ぼけ眼のように虚ろな目を開けて連堂の言われた通りにストローを啜り赤い液体が楓の口の中に運ばれていく。
一口分か、二口分か液体を口に含んだら楓はまた静かに目を閉じた。
「お前はまだヴァンパイアの体に慣れてないんだろ。だから、人間の血液を取らないとまた倒れるぞ」
聞こえているのか聞こえていないのか、楓はコクリと小さく頷いたような動作をとってから再び意識を失ったようにまた眠った。
「ここに置いとくから起きたら必ず全部飲めよ。あと、起きたらお前の答えを訊かせてもらうからな」
連堂はそう言うと部屋から出ていった。
その出来事から何時間経っただろうか。リビングのカーテンは楓が運ばれてきたときには光はなかったが時間が経ち、閉められたカーテンの隙間からは僅かに陽の光が溢れていた。
楓はハッとして目を覚ます。
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