聖女様はストレスで太ったので追放され森で行き倒れる〜黒猫に拾われ幸せに暮らしてます〜

ひとまる

文字の大きさ
6 / 29
~出会い編~

6.あなたの目に触れるのも勿体ない、僕の奥さんですよ

しおりを挟む

街を散策しながら買い物をしていると、


「あれ?黒猫?」


そう言ってローブを着た妖しい男の人が話しかけてきた。
魔法使いの知り合いかしら。

クロさんは立ち止まり、私を隠すように前に出る。


「久しぶりですね、ロブさん」


いつもより低い声でローブの男に答えるクロさんは、私の知らないクロさんだった。
いい知り合いじゃ…ないのかしら…?


「お前は余程の事が無いと、あの館から出ないからな。今日はペットを連れて散歩か?」


ローブの男は、私に気が付いたらしく、見下したような視線を投げてくる。
この男…苦手だな…と、本能的に思ってしまった。


「ふふ、ペットな訳ないじゃないですか。あなたの目に触れるのも勿体ない、僕の奥さんですよ」


冷たい話し方に背筋が凍る。
クロさん…怒ってるのかしら──。

ローブの男は気にする素振りもなく、豪快に笑う。


「っは!!お前みたいな『成り損ない』が伴侶を持つのか。これは傑作だ」


ローブの男がそう言うなり、畝を巻いたような黒い霞が体を覆っていくのが見えた。
何これ…この歪な負の気配は─…


「街中で迷惑ですよ、ロブさん。」


クロさんがパチンと指を鳴らすと、黒い霞は一気に離散していく。
ローブの男はまだ不敵な笑みを浮かべている。


「黒猫。お前が『ひと』になるのは無理だ。どう真似ようと、『成り損ない』なんだよ」


そう言って楽しそうに笑うローブの男に、心底怒りを覚える。
どういう意味かは分からないけど、クロさんを侮辱していることは分かる──。


「あの、あなた、失礼じゃないですか?」


クロさんの背中から少し顔を出し、ローブの男へ物申す。
ローブの男は私を確認した瞬間、面白そうに笑いだす──。

今絶対に白豚だと思ったわね…。


「クロさんはクロさんです。それでいいんです。あなたが何と言おうと、私は今のクロさんが人間的に好きですから!!」


勢いで啖呵を切ってしまった。
クロさんは驚いて動きを止め、ローブの男は不快感を表情に出している。


「何も知らないくせに──」


ローブの男から再び黒い霞が出てきた瞬間、クロさんが何かを唱え、ローブの男は地面に蹲っていた──。


「本当…メリルは面白いね──」


そう笑ってクロさんは私の肩を抱く。
嫌な予感が…──


「ロブさん、さようなら」


クロさんが蹲るローブの男に話しかけ、男は悔しそうな表情を見せている──。

次の瞬間、地面が光出し、転移魔法が発動した──


「きゃ───っ!!!」


また地面に穴が開いたような浮遊感と墜落感を感じるのだった──。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

【完結】甘やかな聖獣たちは、聖女様がとろけるようにキスをする

楠結衣
恋愛
女子大生の花恋は、いつものように大学に向かう途中、季節外れの鯉のぼりと共に異世界に聖女として召喚される。 ところが花恋を召喚した王様や黒ローブの集団に偽聖女と言われて知らない森に放り出されてしまう。 涙がこぼれてしまうと鯉のぼりがなぜか執事の格好をした三人組みの聖獣に変わり、元の世界に戻るために、一日三回のキスが必要だと言いだして……。 女子大生の花恋と甘やかな聖獣たちが、いちゃいちゃほのぼの逆ハーレムをしながら元の世界に戻るためにちょこっと冒険するおはなし。 ◇表紙イラスト/知さま ◇鯉のぼりについては諸説あります。 ◇小説家になろうさまでも連載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる 生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。 しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。 同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。 「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」 しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。 「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」 これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。

虚弱体質で偽聖女だと追放された私は、隣国でモフモフ守護獣様の白き聖女になりました

・めぐめぐ・
恋愛
平民孤児であるセレスティアルは、守護獣シィに力を捧げる【聖女】の一人。しかし他の聖女たちとは違い、儀式後に疲れ果ててしまうため「虚弱すぎる」と、本当に聖女なのか神殿内で疑われていた。 育ての親である神官長が拘束され、味方と居場所を失った彼女は、他の聖女たちにこき使われる日々を過ごす。そしてとうとう、平民が聖女であることを許せなかった王太子オズベルトによって、聖女を騙った罪で追放されてしまった。 命からがら隣国に辿り着いたセレスティアルは、そこで衰弱した白き獣――守護獣ラメンテと、彼と共に国を守ってきた国王レイと出会う。祖国とは違い、守護獣ラメンテに力を捧げても一切疲れず、セレスティアルは本来の力を発揮し、滅びかけていた隣国を再生していく。 「いやいや! レイ、僕の方がセレスティアルのこと、大好きだしっ!!」 「いーーや! 俺の方が大好きだ!!」 モフモフ守護獣と馬鹿正直ヒーローに全力で愛されながら―― ※頭からっぽで

処理中です...