DUEL [デュエル]

ケイ・ナック

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新しい生活

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山のいただきから朝日がのぼってきた。

今日は暑くなりそうだった。

せまいキッチンでバーバラは朝食を作っていた。

トーストとスクランブルエッグ、そしてコーンスープというシンプルなものだった。

キャシーとの話し合いで、これからの目標ができたバーバラは、落ち込んでいた気持ちが少しだけ軽くなっていた。

さて、これからどんな戦いが待っているのだろう。

しかし、夫を亡くしてひとり身になってしまった彼女には、何も失うものなどなかった。

むしろ、共通の目標を持つ仲間ができて、生きる喜びを感じていた。


「ビリー、起きてる? 朝食ができたわよ」
バーバラは奥の部屋に向かって言った。

唯一ゆいいつの家族を失ったビリーは、バーバラの家に身を寄せていた。

「ビリー、朝食を食べましょう」

この先、何があろうとも、この子だけは守ってやりたい。

バーバラはそう思うのであった。





朝日が雲の間から出て、木造の家を明るくらした。

緑の芝がめられた広い庭を小型の犬が走りまわっていた。

その後ろをマリーが追いかけていた。

「こら、待ちなさいロン! えさを袋ごと持っていっちゃ駄目でしょ!」


走っているマリーのツインテールが風になびいている。

その様子を見ていた母親は、
「マリー、ちゃんとお留守番しているのよ」
と言った。

「ママ、行ってらっしゃい!」

父親が亡くなった今、生活費をかせぐために母親が働きに行くことになった。

小型車に乗り込み、家の敷地しきちから走り出て行った。

ロンは餌を広い庭中にき散らしていた。

「もう、ロンったら、わたしに庭掃除をさせる気なのね!」
走り疲れたマリーは芝の上に寝転ねころがって言った。

ロンは落ちている餌を食べるのに夢中で、マリーの話を聞いていなかった。





朝日が真上に上り、強い光が地面に降りそそぐ。

赤い髪をした女が家の前にたたずんでいた。

黒い日傘をさし、空からの強い光をふせいでいる。

彼女の前には、新しい車が停まっていた。

赤く塗装とそうされたSUVには、特別の装備がほどこされていた。

前面バンパーからフロントガラスにかけて、アルミのバーでガードされてあり、バーの上にはいくつものするどい刃物が溶接されてあった。

運転席と助手席のシートはバケットタイプで、四点式のハーネスが付いていた。


赤い髪の女は笑顔でこうつぶやいた。

「赤い色は素敵よね。この車がどれだけの血で染まろうと、誰にもわからない。ふふふふ」

彼女の目は熱く濡れていた。

今日も暑くなりそうだった。


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