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転換
しおりを挟むキャシーは無言で運転していた。
バーバラはあえて、返答を促さなかった。
そこがバーバラの良いところだった。
キャシーが話したくなるまで待っていてくれた。
キャシーは運転しながら涙を流していた。
これまで何人も斬り刻んだ赤い車は、住宅街へ向かう峠道をゆっくり走っていた。
「キャシー、今日は疲れたでしょう。わたしの家で温かいものでも食べない?」
バーバラは優しく言った。
キャシーは前方を見据えたまま頷いた。
家に着くとバーバラは、キャシーに寄り添い、ガラス製のドアを開けて中に入った。
食事を食べ、マリーとビリーがベッドに入ってから、キャシーは今日のことをすべてバーバラに話した。
「それで、ウォーカーの連中は何か要求してきたの?」
と、形が崩れたソファーに座って、バーバラは聞いた。
「わたしたちに何かしてくれとは言わなかったけど、ただ、自分たちの行動に理解を示してほしいと言っていたわ」
一息ついたあと、キャシーは続けて言った。
「そして、これまでのことを謝罪してきたの」
「そう、謝罪まで。 わたしが勝手にイメージしていたのかもしれないけど、ウォーカーの男たちは決して粗野な連中ではなかったわね」
と、ソファーに体を沈ませてバーバラは言った。
「バーバラ、もし今の政府が失脚したらどうなるかしら? それと、有力企業のトップがいなくなったら世の中、変わるかしら?」
「そうねえ。いなくなる方法によるでしょうね。 もし見せしめに殺されたとしたら、似たようなトップは出てこないんじゃないかしら。同じ目にあいたくないだろうから」
キャシーは熱いコーヒーを飲みながら、天井を見つめた。
「何を考えているの、キャシー。 まさか、ウォーカーと一緒に政府のトップを狙おうっていうんじゃないでしょうね」
バーバラは目を細めてキャシーに聞いた。
「ふふふ、バーバラには嘘はつけないわね。 そうよ。それも面白いんじゃないかと思っているの。 わたしの体はまだアクションを欲しているのよ」
バーバラの家に帰ってから初めてキャシーは笑顔になった。
「まぁ、なんてこと。あなたは結局、何か答えが出るまでは、突っ走ることをやめない女なのね」
呆れた表情でバーバラは言った。
「でも、それもいいでしょう。キャシーが納得するのならね。 これまで通り、わたしにできることなら何でも協力するわ」
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「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
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「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
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