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第43話 新たな対策
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「――グラン先生はもう少し弟子の気持ちを汲む練習をしたほうが良いと思います」
次の日の朝、俺と顔を合わせるとなぜか不機嫌そうな表情でそう告げるセシリア。結局、あの後は足ではなく俺を殴って痛めた手を治癒して部屋に返したのだが何やら俺の対応に問題があったらしい。
「グラン様は昔からそういったところがありましたから仕方ありませんね」
セシリアの言葉に同意するようにローザが頷く。その横で笑いを耐えているゼオンの姿が印象的だった。
「まあ、いい。よく分からないが予定通りに事を進めよう。男爵には伝達鳥で先触れをしてあるから心配ないと思うが帰りも来た時と同じ速さで帰るとするか」
「ええっ? 帰りもなんですか?」
「なんだ? 不満か?」
「正直言ってあまり好きではないです。ハビル鳥さんに守られているので怪我はしないですけど気分の良いものではないです。それにグラン先生にも負担が大きいと思います」
行きは早く決めなければならない事案があったので急いだが、対応策が決まってしまえば一日程度の遅れはどうにでもなる。なんだかセシリアの機嫌も良くないようだし、ここは俺が折れてやるのが最善だろう。
「まあ、いいだろう。帰りは普通のペースで進むとしよう。だが、それだと野営が何度か入ることになるが問題ないか?」
「問題ありません。その間もグラン先生から色々と教えていただけますから」
「それは魅力的ですね。私もご一緒したいです」
「それは駄目だ」
セシリアの言葉にローザが興味を示して同行を言い出すも、即座にゼオンが却下する。
「残念です」
ローザがそう言ってため息を吐く。その隣でゼオンが睨んでいるのを見て俺は苦笑いを見せたのだった。
◇◇◇
「――本当にお世話になりました」
帰る準備を済ませた俺とセシリアを乗せた馬車が領主邸から出発する。帰りも相変わらず俺が御者を務めセシリアはハビルの護衛のもと、客車に乗り込んだ。
「ちっ、なんにも出ないな。魔獣の一頭でも出ればいい訓練になるのに……」
ぶつぶつ言いながら馬車を操る俺だったが予想に反して旅は予定どおりに進み、出発して五日後にはドンスタンの街へと辿り着いていた。
「――お父様、ただいま戻りました」
領主邸の庭に馬車を止めるとセシリアはすぐさま父の元へと向かい帰宅の報告をした。その後、すぐに今回の件を話し合うことになった。
「この度の騒動の解決のためにわざわざ侯爵様のもとへ向かわれた事、本当に申し訳ない。大まかな結果は侯爵様から伝書鳥にて報告を受けているのでその指示に沿って対処をしているところだ」
応接室に集まると開口一番に男爵がそう告げる。実際にゼオンが何と書いて男爵に指示を出したのか分からない俺は念の為にとその書状を見せてもらう事にしたが、それには俺の予想以上のことが書かれていたのだ。
【ルドリアス子爵家に使者を送り、侯爵家からの手紙を渡すように。今回、失礼な態度をとった三男は僕が手紙に書いた取引に子爵家が応じた場合は無傷で送り返す。もし、反故にした場合や向こうの上貴族が出て来た時は子爵家の命運は尽きることになる。万が一、力づくで三男を取り返そうとした時はグランに頼っていい。彼が全てを解決してくれるだろう】
「なんだ、これは。脅す気満々かよ。まあ、ゼオンの許可があるなら遠慮はいらないか。何かあったら対処するさ」
「既にルドリアス子爵家には手紙を持った使者が向かっております。早ければ十日程で着くと思われますので半月もすれば何かしらの返答があるでしょう」
「半月か。おそらくだが、ゼオンの奴は相当に無茶な要求を突き付けていると思う。あいつは貴族だが元は勇者だから曲がったことが嫌いなんだよ。貴族間の黒いつながりもあいつにとっては忌み嫌うものとして目に入れば是正を求める。それが力づくであろうともな」
長年ゼオンを見てきた俺には分かる。この機を使って悪巧みをする貴族を懲らしめたいという思惑が。
「仕方ない。今回は俺も関係していることだから協力してやるさ」
俺は男爵へ手紙を返すと領地の地図を見せてもらう。西地区からこちらの領地に侵入してくる可能性のある箇所をピックアップして印をつけると俺はセシリアに告げる。
「罠を仕掛けにいくぞ。手伝ってくれ」
「は、はい。当然お供します」
俺は男爵に作戦の大まかな概要を説明するとセシリアを連れて部屋に戻る。まずは必要な魔道具を作る必要があるからだ。
「どういったことをするのですか?」
部屋に入ったセシリアは期待を込めて俺に問いかける。
「センサーが反応して魔法を発動する魔道具を作るんだ。それによって外から侵入してくる相手を簡単に拘束、無力化出来ることになる」
「その場に居なくても相手を拘束出来るのですか?」
「そうだ。便利だろう?」
「それは凄い事ですが、対象相手が目的の人では無かった時はどうするのですか?」
「二段階に分けて設置するから大丈夫だ。例えば初めのセンサーで俺が分かるようにしておくとするだろ? その時点で俺が探索魔法で相手を確認。目的のターゲットだった場合に次の仕掛けで拘束する。それならば間違って別の旅人を拘束することはない」
「そう上手くいくものですか?」
セシリアは俺の説明に半信半疑の目を向ける。だが、今の時点では他の代案は考えていないので俺は黙々と魔法を押し込めた魔道具を作っていく。
「せっかくだから魔道具に魔法を付与する方法も教えておこう。これが出来ると色んなことに応用できるから便利だぞ」
「え? そんな高度なことがわたくしに出来るんですか?」
「別にそれほど高度ではないと思うが、手順とコツは覚える必要はあるか……」
俺はそう言うと作った魔道具の箱をひとつ手に取ったのだった。
次の日の朝、俺と顔を合わせるとなぜか不機嫌そうな表情でそう告げるセシリア。結局、あの後は足ではなく俺を殴って痛めた手を治癒して部屋に返したのだが何やら俺の対応に問題があったらしい。
「グラン様は昔からそういったところがありましたから仕方ありませんね」
セシリアの言葉に同意するようにローザが頷く。その横で笑いを耐えているゼオンの姿が印象的だった。
「まあ、いい。よく分からないが予定通りに事を進めよう。男爵には伝達鳥で先触れをしてあるから心配ないと思うが帰りも来た時と同じ速さで帰るとするか」
「ええっ? 帰りもなんですか?」
「なんだ? 不満か?」
「正直言ってあまり好きではないです。ハビル鳥さんに守られているので怪我はしないですけど気分の良いものではないです。それにグラン先生にも負担が大きいと思います」
行きは早く決めなければならない事案があったので急いだが、対応策が決まってしまえば一日程度の遅れはどうにでもなる。なんだかセシリアの機嫌も良くないようだし、ここは俺が折れてやるのが最善だろう。
「まあ、いいだろう。帰りは普通のペースで進むとしよう。だが、それだと野営が何度か入ることになるが問題ないか?」
「問題ありません。その間もグラン先生から色々と教えていただけますから」
「それは魅力的ですね。私もご一緒したいです」
「それは駄目だ」
セシリアの言葉にローザが興味を示して同行を言い出すも、即座にゼオンが却下する。
「残念です」
ローザがそう言ってため息を吐く。その隣でゼオンが睨んでいるのを見て俺は苦笑いを見せたのだった。
◇◇◇
「――本当にお世話になりました」
帰る準備を済ませた俺とセシリアを乗せた馬車が領主邸から出発する。帰りも相変わらず俺が御者を務めセシリアはハビルの護衛のもと、客車に乗り込んだ。
「ちっ、なんにも出ないな。魔獣の一頭でも出ればいい訓練になるのに……」
ぶつぶつ言いながら馬車を操る俺だったが予想に反して旅は予定どおりに進み、出発して五日後にはドンスタンの街へと辿り着いていた。
「――お父様、ただいま戻りました」
領主邸の庭に馬車を止めるとセシリアはすぐさま父の元へと向かい帰宅の報告をした。その後、すぐに今回の件を話し合うことになった。
「この度の騒動の解決のためにわざわざ侯爵様のもとへ向かわれた事、本当に申し訳ない。大まかな結果は侯爵様から伝書鳥にて報告を受けているのでその指示に沿って対処をしているところだ」
応接室に集まると開口一番に男爵がそう告げる。実際にゼオンが何と書いて男爵に指示を出したのか分からない俺は念の為にとその書状を見せてもらう事にしたが、それには俺の予想以上のことが書かれていたのだ。
【ルドリアス子爵家に使者を送り、侯爵家からの手紙を渡すように。今回、失礼な態度をとった三男は僕が手紙に書いた取引に子爵家が応じた場合は無傷で送り返す。もし、反故にした場合や向こうの上貴族が出て来た時は子爵家の命運は尽きることになる。万が一、力づくで三男を取り返そうとした時はグランに頼っていい。彼が全てを解決してくれるだろう】
「なんだ、これは。脅す気満々かよ。まあ、ゼオンの許可があるなら遠慮はいらないか。何かあったら対処するさ」
「既にルドリアス子爵家には手紙を持った使者が向かっております。早ければ十日程で着くと思われますので半月もすれば何かしらの返答があるでしょう」
「半月か。おそらくだが、ゼオンの奴は相当に無茶な要求を突き付けていると思う。あいつは貴族だが元は勇者だから曲がったことが嫌いなんだよ。貴族間の黒いつながりもあいつにとっては忌み嫌うものとして目に入れば是正を求める。それが力づくであろうともな」
長年ゼオンを見てきた俺には分かる。この機を使って悪巧みをする貴族を懲らしめたいという思惑が。
「仕方ない。今回は俺も関係していることだから協力してやるさ」
俺は男爵へ手紙を返すと領地の地図を見せてもらう。西地区からこちらの領地に侵入してくる可能性のある箇所をピックアップして印をつけると俺はセシリアに告げる。
「罠を仕掛けにいくぞ。手伝ってくれ」
「は、はい。当然お供します」
俺は男爵に作戦の大まかな概要を説明するとセシリアを連れて部屋に戻る。まずは必要な魔道具を作る必要があるからだ。
「どういったことをするのですか?」
部屋に入ったセシリアは期待を込めて俺に問いかける。
「センサーが反応して魔法を発動する魔道具を作るんだ。それによって外から侵入してくる相手を簡単に拘束、無力化出来ることになる」
「その場に居なくても相手を拘束出来るのですか?」
「そうだ。便利だろう?」
「それは凄い事ですが、対象相手が目的の人では無かった時はどうするのですか?」
「二段階に分けて設置するから大丈夫だ。例えば初めのセンサーで俺が分かるようにしておくとするだろ? その時点で俺が探索魔法で相手を確認。目的のターゲットだった場合に次の仕掛けで拘束する。それならば間違って別の旅人を拘束することはない」
「そう上手くいくものですか?」
セシリアは俺の説明に半信半疑の目を向ける。だが、今の時点では他の代案は考えていないので俺は黙々と魔法を押し込めた魔道具を作っていく。
「せっかくだから魔道具に魔法を付与する方法も教えておこう。これが出来ると色んなことに応用できるから便利だぞ」
「え? そんな高度なことがわたくしに出来るんですか?」
「別にそれほど高度ではないと思うが、手順とコツは覚える必要はあるか……」
俺はそう言うと作った魔道具の箱をひとつ手に取ったのだった。
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