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第4話【満天の星空から落ちてきた物は】
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「今日はこの辺りで一泊しますね」
昼食後の移動は特に大きな問題もなく、予定どおりに夜営の水場に到着した。
この場所は天象の森とマグライトの町へ向かう分岐点の近くで比較的魔物の襲撃が少ない場所である。
そのために商隊の休憩等によく使われたが、魔物が少ない為に代わりに盗賊達が時々出る事でも有名であった。
僕は夜営の準備をミルフィ達に任せて、岩場の横を流れる川で釣りをしながら明日の行動をぼんやり考えていたらセジュから声がかかった。
「マスターどうですか?釣れましたか?」
いきなり後ろから声をかけられて我に返った僕は釣竿が引かれているのに気がついてあわてて竿を上げた。
糸の先からは形のいい、ヤイチュ【ヤマメの一種】がぴちぴちと暴れていた。
「さすがマスターですね。せっかくなんで全員の分、あと4匹はお願いしますね」
セジュはそう言いながら隣に座ると僕を見てニコニコと笑った。
「そう言えば転生前では、研究、研究でゆっくりと魚釣りなんかしたこと無かった気がするな……」
そう呟きながらのんびり釣糸を垂らしていたが、結局釣れたのは最初の1匹だけで、残りはセジュの雷魔法で捕まえてもらった。
「なかなか上手く行かないもんだな」
「釣りも狩りもコツと経験が必要ですからね」
「今度は私もご一緒したいですの」
夕食を食べながらぼやく僕を見て皆は励ましの言葉をかけてくれた。
おかげで気分よく休む事が出来そうだった。
基本的に僕達のパーティは夜営中にはセジュの範囲探索魔法で警戒してもらい、何かあった場合緊急時以外はミスドと2人で対応してもらっていた。
まあ、戦闘が得意な2人に任せておけば殆危険は無かった。
* * *
夜もふけてきた頃、ふと目が覚めて草むらに転がった状態で夜空を見上げると満天の星空が飛び込んできた。
「ああ、満天の星空だな。こちらの世界の空はなんて綺麗なんだろう」
僕の元いた世界は科学や工学が発展し過ぎたせいで、豊かにはなったが何だか大切なものをおいてきたような感じがしていた。
それが何なのか分からなかったが、この星空を見ていると何となく理解出来るような気がしていた。
そんな時、大量の流星群が流れ始めた。
「うわっ凄い景色だ!」
何となく手を伸ばしたら星が掴めるような感じがして僕はスッと起き上がって天に両手を掲かかげた。
その時「マスター、空から何かが降ってきます。害意のある物ではなさそうですが……」セジュが探索魔法で感知した情報を伝えてきた。
「えっ?何だって?」
僕は手を上げたまま、セジュの方を向いたその時!僕の手が光を放った!!
「なっ何だ!?」
白く光る僕の手を驚きの目で見つめる皆だが、害意のある光では無いとの事で静観していた。
突然、両手に何か質量あるものが感じられ、慌てて上げていた両手を自分の前に下ろし、その『何か』を包み込むように受け止めた。
次第に光が収まり手の上に降りてきた『何か』が姿を現し始めた。
「何だこれは?ボール状のもの……卵?」
光が収まった手の上には青白く光る卵のようなものが乗っていた。
「ふむ、興味深いですね」
セジュがしげしげと卵らしきものを眺め、鑑定の魔法を使って危険がないか確認していた。
「何か分かったのか?」
僕がセジュに聞くと
「そうですね、害意なき魔力の塊と言った感じですね。何となく生命の波動も感じます」
「もしかすると何か生物が生まれるのかな?」
僕が皆に尋ねると
「とりあえず燃やしてみますか?」と言ってファイアボールを準備するセジュ。
「とりあえず割ってみるのだ」と言ってハンマーを出して割る真似をする好奇心旺盛なシール。
「とりあえず切ってみるぜ」と言って何でも剣で解決しようとするミスド。
「とりあえず茹でてみるの」と言いながら鍋に熱湯を沸かし始めるミルフィ。
全員から物騒な答えが返ってきたが、普通に卵として考えれば『温める』のが正解っぽいが、普通でないこの世界で魔力を帯びた卵っぽいもの、僕の手に収まった事から【錬金】でどうにかするのが正解のような気がしていた。
しかし、錬金か……どうするかな。
『魔力が足りないの……』
「ん? 誰か何か言ったか?」
『お腹がすいて力が出ないの……』
卵らしき物が心臓の鼓動に合わせるように青白く点滅していた。
「魔力か……。シール錬金釜を頼む」
「わかったのだ!」
僕はシールから錬金釜を受け取ると高濃度の魔素玉を取り出して卵と一緒に錬金釜に入れ、卵が孵るイメージを頭に描きながら魔力を込めた。
昼食後の移動は特に大きな問題もなく、予定どおりに夜営の水場に到着した。
この場所は天象の森とマグライトの町へ向かう分岐点の近くで比較的魔物の襲撃が少ない場所である。
そのために商隊の休憩等によく使われたが、魔物が少ない為に代わりに盗賊達が時々出る事でも有名であった。
僕は夜営の準備をミルフィ達に任せて、岩場の横を流れる川で釣りをしながら明日の行動をぼんやり考えていたらセジュから声がかかった。
「マスターどうですか?釣れましたか?」
いきなり後ろから声をかけられて我に返った僕は釣竿が引かれているのに気がついてあわてて竿を上げた。
糸の先からは形のいい、ヤイチュ【ヤマメの一種】がぴちぴちと暴れていた。
「さすがマスターですね。せっかくなんで全員の分、あと4匹はお願いしますね」
セジュはそう言いながら隣に座ると僕を見てニコニコと笑った。
「そう言えば転生前では、研究、研究でゆっくりと魚釣りなんかしたこと無かった気がするな……」
そう呟きながらのんびり釣糸を垂らしていたが、結局釣れたのは最初の1匹だけで、残りはセジュの雷魔法で捕まえてもらった。
「なかなか上手く行かないもんだな」
「釣りも狩りもコツと経験が必要ですからね」
「今度は私もご一緒したいですの」
夕食を食べながらぼやく僕を見て皆は励ましの言葉をかけてくれた。
おかげで気分よく休む事が出来そうだった。
基本的に僕達のパーティは夜営中にはセジュの範囲探索魔法で警戒してもらい、何かあった場合緊急時以外はミスドと2人で対応してもらっていた。
まあ、戦闘が得意な2人に任せておけば殆危険は無かった。
* * *
夜もふけてきた頃、ふと目が覚めて草むらに転がった状態で夜空を見上げると満天の星空が飛び込んできた。
「ああ、満天の星空だな。こちらの世界の空はなんて綺麗なんだろう」
僕の元いた世界は科学や工学が発展し過ぎたせいで、豊かにはなったが何だか大切なものをおいてきたような感じがしていた。
それが何なのか分からなかったが、この星空を見ていると何となく理解出来るような気がしていた。
そんな時、大量の流星群が流れ始めた。
「うわっ凄い景色だ!」
何となく手を伸ばしたら星が掴めるような感じがして僕はスッと起き上がって天に両手を掲かかげた。
その時「マスター、空から何かが降ってきます。害意のある物ではなさそうですが……」セジュが探索魔法で感知した情報を伝えてきた。
「えっ?何だって?」
僕は手を上げたまま、セジュの方を向いたその時!僕の手が光を放った!!
「なっ何だ!?」
白く光る僕の手を驚きの目で見つめる皆だが、害意のある光では無いとの事で静観していた。
突然、両手に何か質量あるものが感じられ、慌てて上げていた両手を自分の前に下ろし、その『何か』を包み込むように受け止めた。
次第に光が収まり手の上に降りてきた『何か』が姿を現し始めた。
「何だこれは?ボール状のもの……卵?」
光が収まった手の上には青白く光る卵のようなものが乗っていた。
「ふむ、興味深いですね」
セジュがしげしげと卵らしきものを眺め、鑑定の魔法を使って危険がないか確認していた。
「何か分かったのか?」
僕がセジュに聞くと
「そうですね、害意なき魔力の塊と言った感じですね。何となく生命の波動も感じます」
「もしかすると何か生物が生まれるのかな?」
僕が皆に尋ねると
「とりあえず燃やしてみますか?」と言ってファイアボールを準備するセジュ。
「とりあえず割ってみるのだ」と言ってハンマーを出して割る真似をする好奇心旺盛なシール。
「とりあえず切ってみるぜ」と言って何でも剣で解決しようとするミスド。
「とりあえず茹でてみるの」と言いながら鍋に熱湯を沸かし始めるミルフィ。
全員から物騒な答えが返ってきたが、普通に卵として考えれば『温める』のが正解っぽいが、普通でないこの世界で魔力を帯びた卵っぽいもの、僕の手に収まった事から【錬金】でどうにかするのが正解のような気がしていた。
しかし、錬金か……どうするかな。
『魔力が足りないの……』
「ん? 誰か何か言ったか?」
『お腹がすいて力が出ないの……』
卵らしき物が心臓の鼓動に合わせるように青白く点滅していた。
「魔力か……。シール錬金釜を頼む」
「わかったのだ!」
僕はシールから錬金釜を受け取ると高濃度の魔素玉を取り出して卵と一緒に錬金釜に入れ、卵が孵るイメージを頭に描きながら魔力を込めた。
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