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第11話【奇跡の魔法と検討会】
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ーーー知らない天井だ。
意識の戻った僕はベッドに寝かされていた。頭が痛むし、何だか身体が重たい。
僕はあれからどうなったか、どうやってここに来たのかさえも覚えていなかった。
「あれ? 僕はどうしたんだっけ? リリスさんは……?」
まだ、意識がはっきりしない状態だったが、やけに身体が重たいのだけが意識に語りかける。
手は動く。頭も動く。でも身体は重い。朦朧とした意識の中、布団から左手を出してお腹の辺りを触ってみる。
ーーーさらり。
柔らかい何かが手に触れる。ずっと触っていたい感覚に段々と意識が覚醒してくるのが分かる。
ーーーかちゃり。
その時、ドアが開く音が聞こえ聞き覚えのある声がした。
「気が付かれましたか。良かったです」
声の主はミリーナだった。彼女は飲み物を入れたカップを手に部屋に入り、ベッド横のテーブルに置いた。
「ここは領都までの中間にある、小さな村の宿屋です。
あなたは丸一日目が覚めなかったんですよ」
「そうですか、それで……その……」
「なんでしょうか?」
「リリス……さんはどうなったのでしょうか?
申し訳ないのですがあの時の記憶が曖昧でほとんど覚えてないんです」
僕がおずおずとミリーナに聞くと、ミリーナは目を丸くしてクスクスと笑いだした。
「何がおかしいのですか? 僕が変な事を聞いているみたいに見えるのですが……」
意味の分からない僕はミリーナの態度に少しばかりムッとして強い言葉で返していた。
そんな態度をとった僕に文句を言うでもなく、ミリーナはちょいちょいと僕の左手を指さした。
「僕の左手がどうかしたんで……」
そう言いながら僕は重い身体を少しばかりずらしながら上半身を起こしてみた。
「!!!」
そこには僕の身体にうつ伏せ状態で眠っているリリスの姿があり、その頭にはしっかりと僕の左手が乗っていた。
「リリスさん! 良かった無事だったんですね!」
「う うーん」
僕の叫び声に意識を取り戻したリリスはこの状況に恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら僕の目を見つめていた。
「お、おはようございます。ナオキさん。あ、あの助けて頂いて本当にありがとうございました」
リリスはゆっくりと立ち上がると僕に深々とお辞儀をしてお礼を告げた。
「あの後、気を失ったナオキ様を御者のキースが抱えて馬車へと運んで貰ったのです。
そして、私は斬られて亡くなられたと思われたリリスさんの遺体を埋葬するために身体に触れたところ、斬られた筈の傷跡が無く心臓も呼吸も正常に動いていましたので慌てて水場で身体についた血を洗い流し、私の予備服に着替えさせてから馬車にてここまで来て頂きました」
ミリーナがあの後、どうやってここまで来たかを説明してくれた。
「そして、先に回復したリリスさんがナオキさんの看病を希望しましたので側で見守りをして貰っていたのです」
「そうだったのか……。ミリーナさん、リリスさん本当にありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。
最近、辺りを荒らしていた盗賊団を伯爵様の騎士団が壊滅させたとありましたので大きなトラブルは無いと判断して護衛をわたしども2人のみにしてしまった事。
あの盗賊達は壊滅させた筈の盗賊団の生き残りだった事。
こちらの調査不足で危うく死者を出すところでした」
ミリーナが謝罪の言葉を述べる。
その後、お互いが謝り恐縮し合いながらも一応の決着をつけた僕達は村でもう一泊させてもらい、領都へ向けて出発した。
「予定より遅れてしまいましたが、伯爵様には早馬で報告をしていますので焦らずに進みますね」
ミリーナの言葉にホッとした僕は顔を見るたびに頬を赤くするリリスと並んで座り、あの時の魔法について分かることをまとめて行く事にした。
「えっと、今回の事で新たに分かった事は……。
やはり、女神様が言われていたとおり『僕の治癒魔法は男性には毒になる』事が確定した事ですね。
後は、治癒魔法は亡くなった方でも蘇生させる力がある事。
ただし、女神様も言っていたように一定時間内でなければならない事と、どうも僕の感情の高まりに関係がありそうですね。
蘇生に関してはまだ不明点が多いのであまり人には言わない方が良いと思います」
僕自身の感想を交えて検討が進む。
「リリスさん。あなたは実際にナオキさんの治癒魔法、しかも蘇生魔法という今までは考えられない現象の体現者です。
あなたの覚えている範囲で良いですから意見をお願いします」
ミリーナがリリスに意見を求めるとリリスは僕をチラリと見てから視線をミリーナに戻し、話し始めた。
「正直に言って私も良く覚えていないのです。
ナオキさんの前に思わず飛び出して代わりに斬られて『やってしまった』との思いを抱きながら意識を失いました。
そして、次に気がついたのは暗闇の中で凄く寒かった気がしました」
リリスは朧気ながらにある記憶を拾い上げながら話を続ける。
「その時、寒さで凍えそうになっていた私を何かが包み込むように身体にまとわりついてきたのです。
それがなんだかは分かりませんでしたが、その何かが身体に入り込むと身体が暖かくなり、気がつくと馬車に寝かされていました。
それが私に分かる全てです」
リリスはそう答えると僕を見てまた頬を赤くした。
意識の戻った僕はベッドに寝かされていた。頭が痛むし、何だか身体が重たい。
僕はあれからどうなったか、どうやってここに来たのかさえも覚えていなかった。
「あれ? 僕はどうしたんだっけ? リリスさんは……?」
まだ、意識がはっきりしない状態だったが、やけに身体が重たいのだけが意識に語りかける。
手は動く。頭も動く。でも身体は重い。朦朧とした意識の中、布団から左手を出してお腹の辺りを触ってみる。
ーーーさらり。
柔らかい何かが手に触れる。ずっと触っていたい感覚に段々と意識が覚醒してくるのが分かる。
ーーーかちゃり。
その時、ドアが開く音が聞こえ聞き覚えのある声がした。
「気が付かれましたか。良かったです」
声の主はミリーナだった。彼女は飲み物を入れたカップを手に部屋に入り、ベッド横のテーブルに置いた。
「ここは領都までの中間にある、小さな村の宿屋です。
あなたは丸一日目が覚めなかったんですよ」
「そうですか、それで……その……」
「なんでしょうか?」
「リリス……さんはどうなったのでしょうか?
申し訳ないのですがあの時の記憶が曖昧でほとんど覚えてないんです」
僕がおずおずとミリーナに聞くと、ミリーナは目を丸くしてクスクスと笑いだした。
「何がおかしいのですか? 僕が変な事を聞いているみたいに見えるのですが……」
意味の分からない僕はミリーナの態度に少しばかりムッとして強い言葉で返していた。
そんな態度をとった僕に文句を言うでもなく、ミリーナはちょいちょいと僕の左手を指さした。
「僕の左手がどうかしたんで……」
そう言いながら僕は重い身体を少しばかりずらしながら上半身を起こしてみた。
「!!!」
そこには僕の身体にうつ伏せ状態で眠っているリリスの姿があり、その頭にはしっかりと僕の左手が乗っていた。
「リリスさん! 良かった無事だったんですね!」
「う うーん」
僕の叫び声に意識を取り戻したリリスはこの状況に恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら僕の目を見つめていた。
「お、おはようございます。ナオキさん。あ、あの助けて頂いて本当にありがとうございました」
リリスはゆっくりと立ち上がると僕に深々とお辞儀をしてお礼を告げた。
「あの後、気を失ったナオキ様を御者のキースが抱えて馬車へと運んで貰ったのです。
そして、私は斬られて亡くなられたと思われたリリスさんの遺体を埋葬するために身体に触れたところ、斬られた筈の傷跡が無く心臓も呼吸も正常に動いていましたので慌てて水場で身体についた血を洗い流し、私の予備服に着替えさせてから馬車にてここまで来て頂きました」
ミリーナがあの後、どうやってここまで来たかを説明してくれた。
「そして、先に回復したリリスさんがナオキさんの看病を希望しましたので側で見守りをして貰っていたのです」
「そうだったのか……。ミリーナさん、リリスさん本当にありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。
最近、辺りを荒らしていた盗賊団を伯爵様の騎士団が壊滅させたとありましたので大きなトラブルは無いと判断して護衛をわたしども2人のみにしてしまった事。
あの盗賊達は壊滅させた筈の盗賊団の生き残りだった事。
こちらの調査不足で危うく死者を出すところでした」
ミリーナが謝罪の言葉を述べる。
その後、お互いが謝り恐縮し合いながらも一応の決着をつけた僕達は村でもう一泊させてもらい、領都へ向けて出発した。
「予定より遅れてしまいましたが、伯爵様には早馬で報告をしていますので焦らずに進みますね」
ミリーナの言葉にホッとした僕は顔を見るたびに頬を赤くするリリスと並んで座り、あの時の魔法について分かることをまとめて行く事にした。
「えっと、今回の事で新たに分かった事は……。
やはり、女神様が言われていたとおり『僕の治癒魔法は男性には毒になる』事が確定した事ですね。
後は、治癒魔法は亡くなった方でも蘇生させる力がある事。
ただし、女神様も言っていたように一定時間内でなければならない事と、どうも僕の感情の高まりに関係がありそうですね。
蘇生に関してはまだ不明点が多いのであまり人には言わない方が良いと思います」
僕自身の感想を交えて検討が進む。
「リリスさん。あなたは実際にナオキさんの治癒魔法、しかも蘇生魔法という今までは考えられない現象の体現者です。
あなたの覚えている範囲で良いですから意見をお願いします」
ミリーナがリリスに意見を求めるとリリスは僕をチラリと見てから視線をミリーナに戻し、話し始めた。
「正直に言って私も良く覚えていないのです。
ナオキさんの前に思わず飛び出して代わりに斬られて『やってしまった』との思いを抱きながら意識を失いました。
そして、次に気がついたのは暗闇の中で凄く寒かった気がしました」
リリスは朧気ながらにある記憶を拾い上げながら話を続ける。
「その時、寒さで凍えそうになっていた私を何かが包み込むように身体にまとわりついてきたのです。
それがなんだかは分かりませんでしたが、その何かが身体に入り込むと身体が暖かくなり、気がつくと馬車に寝かされていました。
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リリスはそう答えると僕を見てまた頬を赤くした。
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