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第99話【リリスの臨時受付嬢講義⑦】
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次の日の朝、クレナがいつも以上にニコニコしながら朝食の場に現れた。
「おはようございます。
昨日のアレ凄い効果ですね、朝起きてからまず身体の疲れが全部何処かにいってしまったような感じでした。
それとお肌の調子が凄く良くて今日はまだ化粧をしていないんですけど、このままでも仕事に出れそうなくらいです」
その様子を羨ましそうに見るナナリーには気が付かないフリをしながら僕は「それは良かったですね」と返しておいた。
「元気になったところで今日からしっかりと仕事に集中して貰うわよ。
とりあえず一週間ほどこの流れを繰り返して、忙しい時間帯でも慌てずに処理を出来るように身体に覚え込ませて貰うわ。
それが出来たら2級の試験を受けてもらうからね」
リリスが研修の最終目標を彼女に伝えると「えっ!? 2級の試験を受けるんですか?」とクレナは驚き問い返した。
「当然でしょ? 私が教えてるだけでなくてナオキにも手伝って貰ってるんだからそのくらいは出来て貰わなくちゃあギルドマスターに終了報告が出来ないわよ」
リリスの言葉に「ええっ」と引き気味に答えるクレナだったが、昨日の仕事を振り返るとなんとなく出来そうな自信も湧いてきていた。
もちろんナオキの回復ありきではあるが……。
「それじゃあ、朝食後は各自準備をしてそれぞれの仕事を進めることにするわね」
リリスの言葉に皆が頷くと各自で食事を食べ始めた。
* * *
――それから一週間が経過した日の朝、リリスはクレナに3日後に試験をする事を告げた。
「昨日のあなたの仕事ぶりを見ていて随分効率よく仕事が回せるようになっていたからアーリーギルドマスターにあなたの受付嬢資格を2級にする試験を受けさせて貰えるようにお願いしておいたの。
正直、少し早い気もしなくも無いけど今のあなたならば受かりそうな気がするわ」
あれから一週間の間、リリスが毎日ぎりぎりの仕事量をクレナに回す事によって彼女の仕事が確実に早く、正確になってきていた。
「へー、凄いじゃないか。
研修を始めてまだ10日くらいしか経っていないのにもうその段階になったんだね」
僕が感心をしていると横でナナリーが「それ、私にも指導して欲しいかも」と言っていたがスルーしておいた。
確かにナナリーも今でこそ案内嬢をしているが、まだ若すぎるからと母親の立場が理由で受付嬢資格を取りに行った事は無かった。
「リリスさんに教えて貰ったら3級くらいならば直ぐに取れそうな気がするわね。
ママにお願いして無理矢理ねじ込んで貰おうかしら……」
本人は聞こえてないつもりで呟いていたのだろうがちょうど僕の横からの声だったため、しっかりと僕には聞こえていて苦笑いをするしかなかった。
そしてクレナの試験日前日の夜、いつもように身体のメンテナンスをする僕にクレナが言った。
「明日の試験に受かったら研修は終わりなんですよね。
そしたらこの宿から寮に帰らないといけなくなってナオキさんの治癒魔法を受ける事も出来なくなるのですよね?
いっその事、落ちてしまえばまだ暫くはこの生活を続けられるとか……」
「そんな考えは捨ててください。
もし、わざと落ちるなんて事になったら彼女からの特訓が今まで以上に厳しくて過酷なものになると思いますから……」
僕の言葉にクレナは「い、言ってみただけですよ」と慌てて否定をした。
「これで大丈夫だと思います。
今日はしっかり休んで明日に備えて頑張ってください」
僕はそう告げると彼女を部屋に返した。
* * *
――次の日の午後、仕事のピークが過ぎた頃にクレナの担当する3番窓口を閉めてからギルドの会議室でクレナの試験が行われた。
ギルド規定の確認から斡旋業務の書類作成・報告に関する流れまでの筆記試験を行い、そのあとで窓口業務での普通の利用者との受け答え方からガラの悪い利用者のあしらい方を見る試験が行われた。
「ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております」
「この場合はこのようになりますのでここに書かれている流れにそってお願いします」
「ですから、そのようなお話はお受け出来かねますのでお引取りくださいませ」
クレナはマニュアルどおりとはいえ一通りの会話に次々と対応をしていく。
(ふうん。かなり良くなったわね。
色々と仕込んだかいがあったという訳ね)
試験を少し離れた場所から見学しているリリスが頷《うなず》きながらニヤリと笑う。
「――はい。そのくらいで良いでしょう」
数十パターンにものぼる色々な利用者の質問や無理難題をなんとか受け答えられたクレナは「ふう」とひとつ息を吐いて「ありがとうございました」と試験官にお辞儀をした。
「あなたの目からみて彼女はどうでしたか?」
試験官の女性が試験を見学していたリリスに問う。
「これ、2級の試験ですよね?
2級にしては少し厳しくなかったですか?
なんだか1級の試験を受けている気分になりましたよ」
リリスはそう言いながらクレナの側に行き「ま、あれだけやれれば問題ないでしょ」と笑いかけた。
「この後、アーリー様との面談がありますがその前に私が今回の試験結果を報告しなければなりませんので30分後に執務室へ来てください」
試験官の女性はそうクレナに告げると書類を纏めてから部屋を出て行った。
「おはようございます。
昨日のアレ凄い効果ですね、朝起きてからまず身体の疲れが全部何処かにいってしまったような感じでした。
それとお肌の調子が凄く良くて今日はまだ化粧をしていないんですけど、このままでも仕事に出れそうなくらいです」
その様子を羨ましそうに見るナナリーには気が付かないフリをしながら僕は「それは良かったですね」と返しておいた。
「元気になったところで今日からしっかりと仕事に集中して貰うわよ。
とりあえず一週間ほどこの流れを繰り返して、忙しい時間帯でも慌てずに処理を出来るように身体に覚え込ませて貰うわ。
それが出来たら2級の試験を受けてもらうからね」
リリスが研修の最終目標を彼女に伝えると「えっ!? 2級の試験を受けるんですか?」とクレナは驚き問い返した。
「当然でしょ? 私が教えてるだけでなくてナオキにも手伝って貰ってるんだからそのくらいは出来て貰わなくちゃあギルドマスターに終了報告が出来ないわよ」
リリスの言葉に「ええっ」と引き気味に答えるクレナだったが、昨日の仕事を振り返るとなんとなく出来そうな自信も湧いてきていた。
もちろんナオキの回復ありきではあるが……。
「それじゃあ、朝食後は各自準備をしてそれぞれの仕事を進めることにするわね」
リリスの言葉に皆が頷くと各自で食事を食べ始めた。
* * *
――それから一週間が経過した日の朝、リリスはクレナに3日後に試験をする事を告げた。
「昨日のあなたの仕事ぶりを見ていて随分効率よく仕事が回せるようになっていたからアーリーギルドマスターにあなたの受付嬢資格を2級にする試験を受けさせて貰えるようにお願いしておいたの。
正直、少し早い気もしなくも無いけど今のあなたならば受かりそうな気がするわ」
あれから一週間の間、リリスが毎日ぎりぎりの仕事量をクレナに回す事によって彼女の仕事が確実に早く、正確になってきていた。
「へー、凄いじゃないか。
研修を始めてまだ10日くらいしか経っていないのにもうその段階になったんだね」
僕が感心をしていると横でナナリーが「それ、私にも指導して欲しいかも」と言っていたがスルーしておいた。
確かにナナリーも今でこそ案内嬢をしているが、まだ若すぎるからと母親の立場が理由で受付嬢資格を取りに行った事は無かった。
「リリスさんに教えて貰ったら3級くらいならば直ぐに取れそうな気がするわね。
ママにお願いして無理矢理ねじ込んで貰おうかしら……」
本人は聞こえてないつもりで呟いていたのだろうがちょうど僕の横からの声だったため、しっかりと僕には聞こえていて苦笑いをするしかなかった。
そしてクレナの試験日前日の夜、いつもように身体のメンテナンスをする僕にクレナが言った。
「明日の試験に受かったら研修は終わりなんですよね。
そしたらこの宿から寮に帰らないといけなくなってナオキさんの治癒魔法を受ける事も出来なくなるのですよね?
いっその事、落ちてしまえばまだ暫くはこの生活を続けられるとか……」
「そんな考えは捨ててください。
もし、わざと落ちるなんて事になったら彼女からの特訓が今まで以上に厳しくて過酷なものになると思いますから……」
僕の言葉にクレナは「い、言ってみただけですよ」と慌てて否定をした。
「これで大丈夫だと思います。
今日はしっかり休んで明日に備えて頑張ってください」
僕はそう告げると彼女を部屋に返した。
* * *
――次の日の午後、仕事のピークが過ぎた頃にクレナの担当する3番窓口を閉めてからギルドの会議室でクレナの試験が行われた。
ギルド規定の確認から斡旋業務の書類作成・報告に関する流れまでの筆記試験を行い、そのあとで窓口業務での普通の利用者との受け答え方からガラの悪い利用者のあしらい方を見る試験が行われた。
「ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております」
「この場合はこのようになりますのでここに書かれている流れにそってお願いします」
「ですから、そのようなお話はお受け出来かねますのでお引取りくださいませ」
クレナはマニュアルどおりとはいえ一通りの会話に次々と対応をしていく。
(ふうん。かなり良くなったわね。
色々と仕込んだかいがあったという訳ね)
試験を少し離れた場所から見学しているリリスが頷《うなず》きながらニヤリと笑う。
「――はい。そのくらいで良いでしょう」
数十パターンにものぼる色々な利用者の質問や無理難題をなんとか受け答えられたクレナは「ふう」とひとつ息を吐いて「ありがとうございました」と試験官にお辞儀をした。
「あなたの目からみて彼女はどうでしたか?」
試験官の女性が試験を見学していたリリスに問う。
「これ、2級の試験ですよね?
2級にしては少し厳しくなかったですか?
なんだか1級の試験を受けている気分になりましたよ」
リリスはそう言いながらクレナの側に行き「ま、あれだけやれれば問題ないでしょ」と笑いかけた。
「この後、アーリー様との面談がありますがその前に私が今回の試験結果を報告しなければなりませんので30分後に執務室へ来てください」
試験官の女性はそうクレナに告げると書類を纏めてから部屋を出て行った。
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