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第107話【旅立ち準備の挨拶回り①】
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「すみませんがロギスさんは居ますか?」
薬師ギルドの受付カウンターでロギスを呼んで貰う。
「あ、ナオキさんじゃないですか。
あれ? ロギスとの訪問治療の日程は昨日までじゃなかったですか?
それとも急な依頼が入って呼ばれたとかですか?」
このところ毎日のようにロギスに同行して訪問治療に行っていたのですっかり薬師ギルドでは顔なじみになっていた。
「いえ、今日はロギスさんに少し話があって来ただけですので約束がある訳では無いんです」
「そうでしたか。
えっと、今の時間ならばご自分の執務室にいらっしゃると思いますので時間かとれるか聞いてみますね」
受付嬢はそう言うと僕達に一礼をして奥の部屋に引っ込んだ。
「やっぱりいきなり来ても忙しいよな。先に連絡をしておけば良かったな」
僕達かそう話していると先程の受付嬢が戻ってきて「お会いになるそうですので第一相談室へお願いします」と伝えてきた。
「そうですか、良かったです。
わざわざ聞きに行ってくれてありがとうございます」
僕は彼女に軽く頭を下げると言われた第一相談室へと向かう。
相談室に入った僕達はこれからの準備について話し合っていた。
――かちゃり。
不意に部屋のドアが開くとロギスのこちらを見る顔があった。
「――依頼は昨日終わったと思ったんだがな……。
ふたりで来たからには他の用事でもあるのか?」
ロギスがこちらの用件を探るように聞いてくる。
最近一緒に仕事をするようになってから多少は打ち解けられた気がしていたがまだ警戒心は残っているようだった。
「こんにちはロギスさん。今日は治療の打ち合わせとかじゃあなくて僕達の個人的な事で話があるなで寄らせてもらいました。
それでギルドマスターもいらっしゃいますか?
出来れば一緒に話をさせてもらいたいのですが……」
「シールギルマスにですか?
用件を言って貰わないと呼ぶ事は出来ませんよ」
「まあ、そうですよね……。
では、ロギスさんだけでも良いですので話を進めさせて貰います」
僕はそう言うとこれからの予定をかいつまんで話を始めた。
「――という訳でこの町での活動は一応の目処がついたとして、終わりたいと思ってます。
それで、近々町を出るのでその挨拶をと思っていたのですがギルドマスターは多忙のようですのでロギスさんから報告を上げて頂けたらと思います。
患者の治療情報の提供ありがとうございましたとお伝えください」
僕はそう言うとロギスが何かを言う前にリリスと一緒にソファから立ち上がった。
「分かった。必ず報告を上げさせて貰う事にする。
まあ、いろいろな立場や考え方はあるだろうが今回の訪問治療に関しては正直言って助かった。ありがとう」
僕達が部屋から出て行こうとした後ろからロギスがそう言って頭を下げていた。
「また、怪我や病気で困っている人が居る情報があれば教えてください。
では、失礼しますね」
僕達も軽く頭を下げてから薬師ギルドを後にした。
「ギルマスには会わなくて良かったの?」
「まあ、本来ならば挨拶くらいはした方が良いのかもしれなかったけど、ギルマスは元々あまり関わって来なかったし直接の担当だったロギスに話しておけば大丈夫だろう。
実際に僕達が報告義務を言われているのは斡旋ギルドだけなんだから……」
僕はそう言うと斡旋ギルドへと足を向けた。
「斡旋ギルドへようこそ」
ギルドのドアから入るといつものように案内係がすぐに声をかけてくる。
受付にクレナの姿を確認するとリリスは彼女の窓口へと向かい声をかける。
「頑張ってこなしているようね。受付嬢の立ち振る舞いがしっくりきてるのがわかるわよ」
「本当ですか? 嬉しいです」
クレナはリリスに褒められたのが嬉しくて笑顔で答える。
「それで今日は私の様子を見に来た……訳ではなさそうですね。
ナオキ様もご一緒ですし……」
「ええ、ギルドマスターに取り次いで欲しいのだけど大丈夫かしら?」
「アーリー様ですか? 確か今日は執務室にいらっしゃると思いますが確認して参りますので少しお待ちくださいね」
クレナはそう言うとそそくさと奥の部屋に引っ込んだ。
「さすがにここのギルマスには会わない訳にはいかないでしょうから、今日が無理なら後日に約束を取り付けて帰るしかないわね」
リリスとそう話していると奥の部屋からクレナが足早に出て来るのが見えた。
「アーリー様がお会いになるそうです。
第一応接室へお願いします」
どうやら運の良い事にギルマスの予定が空いていたようだ。
「ありがとう。仕事頑張ってね」
リリスはクレナにそう伝えると応接室へと向かった。
「待たせたわね。今日はどんな用件かしら?」
応接室にてアーリーと面会した僕達はまずこの町での活動に関する口利きに対してお礼を言った。
「どう致しまして……と言うべきなのでしょうけど、実際にいろいろやってくれたのはあなた達なんだからお礼はこちらから言うべきね。
うちの娘のナナリーの件に加えてクレナの件も助かったわ。ありがとう」
「いえいえ、ナナリーさんにはリリスが不在の間よく手伝ってくれて本当に助かりました。
彼女も将来は良い斡旋ギルドの受付嬢になるでしょうね」
僕の言葉に少し残念そうな表情を一瞬見せたアーリーだったが「ありがとうね。あの娘が聞いたら喜ぶわ」と笑顔で返した。
「それで、これからの事になるのですけど……」
お互いのお礼が終わったので僕はアーリーにそう切り出した。
薬師ギルドの受付カウンターでロギスを呼んで貰う。
「あ、ナオキさんじゃないですか。
あれ? ロギスとの訪問治療の日程は昨日までじゃなかったですか?
それとも急な依頼が入って呼ばれたとかですか?」
このところ毎日のようにロギスに同行して訪問治療に行っていたのですっかり薬師ギルドでは顔なじみになっていた。
「いえ、今日はロギスさんに少し話があって来ただけですので約束がある訳では無いんです」
「そうでしたか。
えっと、今の時間ならばご自分の執務室にいらっしゃると思いますので時間かとれるか聞いてみますね」
受付嬢はそう言うと僕達に一礼をして奥の部屋に引っ込んだ。
「やっぱりいきなり来ても忙しいよな。先に連絡をしておけば良かったな」
僕達かそう話していると先程の受付嬢が戻ってきて「お会いになるそうですので第一相談室へお願いします」と伝えてきた。
「そうですか、良かったです。
わざわざ聞きに行ってくれてありがとうございます」
僕は彼女に軽く頭を下げると言われた第一相談室へと向かう。
相談室に入った僕達はこれからの準備について話し合っていた。
――かちゃり。
不意に部屋のドアが開くとロギスのこちらを見る顔があった。
「――依頼は昨日終わったと思ったんだがな……。
ふたりで来たからには他の用事でもあるのか?」
ロギスがこちらの用件を探るように聞いてくる。
最近一緒に仕事をするようになってから多少は打ち解けられた気がしていたがまだ警戒心は残っているようだった。
「こんにちはロギスさん。今日は治療の打ち合わせとかじゃあなくて僕達の個人的な事で話があるなで寄らせてもらいました。
それでギルドマスターもいらっしゃいますか?
出来れば一緒に話をさせてもらいたいのですが……」
「シールギルマスにですか?
用件を言って貰わないと呼ぶ事は出来ませんよ」
「まあ、そうですよね……。
では、ロギスさんだけでも良いですので話を進めさせて貰います」
僕はそう言うとこれからの予定をかいつまんで話を始めた。
「――という訳でこの町での活動は一応の目処がついたとして、終わりたいと思ってます。
それで、近々町を出るのでその挨拶をと思っていたのですがギルドマスターは多忙のようですのでロギスさんから報告を上げて頂けたらと思います。
患者の治療情報の提供ありがとうございましたとお伝えください」
僕はそう言うとロギスが何かを言う前にリリスと一緒にソファから立ち上がった。
「分かった。必ず報告を上げさせて貰う事にする。
まあ、いろいろな立場や考え方はあるだろうが今回の訪問治療に関しては正直言って助かった。ありがとう」
僕達が部屋から出て行こうとした後ろからロギスがそう言って頭を下げていた。
「また、怪我や病気で困っている人が居る情報があれば教えてください。
では、失礼しますね」
僕達も軽く頭を下げてから薬師ギルドを後にした。
「ギルマスには会わなくて良かったの?」
「まあ、本来ならば挨拶くらいはした方が良いのかもしれなかったけど、ギルマスは元々あまり関わって来なかったし直接の担当だったロギスに話しておけば大丈夫だろう。
実際に僕達が報告義務を言われているのは斡旋ギルドだけなんだから……」
僕はそう言うと斡旋ギルドへと足を向けた。
「斡旋ギルドへようこそ」
ギルドのドアから入るといつものように案内係がすぐに声をかけてくる。
受付にクレナの姿を確認するとリリスは彼女の窓口へと向かい声をかける。
「頑張ってこなしているようね。受付嬢の立ち振る舞いがしっくりきてるのがわかるわよ」
「本当ですか? 嬉しいです」
クレナはリリスに褒められたのが嬉しくて笑顔で答える。
「それで今日は私の様子を見に来た……訳ではなさそうですね。
ナオキ様もご一緒ですし……」
「ええ、ギルドマスターに取り次いで欲しいのだけど大丈夫かしら?」
「アーリー様ですか? 確か今日は執務室にいらっしゃると思いますが確認して参りますので少しお待ちくださいね」
クレナはそう言うとそそくさと奥の部屋に引っ込んだ。
「さすがにここのギルマスには会わない訳にはいかないでしょうから、今日が無理なら後日に約束を取り付けて帰るしかないわね」
リリスとそう話していると奥の部屋からクレナが足早に出て来るのが見えた。
「アーリー様がお会いになるそうです。
第一応接室へお願いします」
どうやら運の良い事にギルマスの予定が空いていたようだ。
「ありがとう。仕事頑張ってね」
リリスはクレナにそう伝えると応接室へと向かった。
「待たせたわね。今日はどんな用件かしら?」
応接室にてアーリーと面会した僕達はまずこの町での活動に関する口利きに対してお礼を言った。
「どう致しまして……と言うべきなのでしょうけど、実際にいろいろやってくれたのはあなた達なんだからお礼はこちらから言うべきね。
うちの娘のナナリーの件に加えてクレナの件も助かったわ。ありがとう」
「いえいえ、ナナリーさんにはリリスが不在の間よく手伝ってくれて本当に助かりました。
彼女も将来は良い斡旋ギルドの受付嬢になるでしょうね」
僕の言葉に少し残念そうな表情を一瞬見せたアーリーだったが「ありがとうね。あの娘が聞いたら喜ぶわ」と笑顔で返した。
「それで、これからの事になるのですけど……」
お互いのお礼が終わったので僕はアーリーにそう切り出した。
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