女性限定の『触れて治癒する』治療方法に批判が殺到して廃業を考えたが結果が凄すぎて思ったよりも受け入れて貰えた

夢幻の翼

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第131話【女王陛下の特殊能力】

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「――そなたに少し聞きたい事があるのだが」

 従者の男が書類を持ったまま声のする方を見るとそこには女王陛下が立っていた。

「じょっ女王陛下!?」

 御者の男は思わずそう叫ぶと慌てて口を手で塞ぎその場にひれ伏した。

 ゴッツァイの催眠にかかっているとはいえ普段の判断力まで全てを支配している訳ではなく、ゴッツァイに不利な言動を制限する事と神の如く崇める事に特化した催眠なのでいきなり目の前に女王陛下が現れれば普通の平民はこうなるのは当たり前だった。

「まあ、頭を上げるが良い。そなたの名前と馬車の積み荷の用途を話して貰おうか」

 女王陛下が出発の荷物あらためをするなんて事は普通はあるはずも無くそれどころか詰め所に現れる事さえあるはずも無かったので御者の男は震えながらも名前と商売の為に他の町へ向かう馬車で貴金属などを運ぶ予定だと答えた。

「なるほど、だからあれだけ厳重な護衛がついているのだな。
 ふむ、一応辻褄はあっているようだが……」

 女王陛下はそう言いながら男の目をギロリと見つめる。

「だが、我に『嘘』は通用せんぞ」

 女王はそう言うと魔法の言葉を紡ぎ出した。

「――さあ、真実を話すのです」

 呪文の最後にそう宣告した女王の指先から雷が発生したと思うのと同時に男の身体に電撃が走り男の意識が刈り取られた。

 不思議にも男は意識がないはずなのにその場に倒れる事もなく焦点の合わない虚ろな目をしたまま話し始めた。

「私は――」

 男は自らの名前や経営する商店の名前を話すと今回の目的であるゴッツァイの逃亡計画について知っている内容を洗いざらい喋った。

「やっぱりそんな計画だったのね。逃げ出すならば国境が一番近い北門から出ると思っていたわ」

 もともと拘束したメイドからある程度の情報は掴んでいたが、女王襲撃の後は自害をする事を刷り込まれていたので詳しいところまでは分かっていなかったのだ。

 そこへ北門の門兵から夜に王都から強引に出発しようとした商隊があったとの連絡を受けた女王が朝一番で出るであろうと考え、網を張っていたのである。

「もういいわ。どうせこの男も洗脳されていただけでしょうからこれ以上問い詰めても意味がないでしょう。
 後で洗脳の解除が必要な者を調べ上げるからとりあえず牢屋へ入れておくように」

「はっ!」

 女王の指示を受けて門兵が御者の男を連れていった。

(あとは主犯者を捕らえるだけだけど、護衛をどうやって無力化させるかね。
 難癖をつけて一人づつ詰め所に引っ張り込んで捕まえても良いけど勘のいい奴がいたら反撃されるか逃亡されるかもしれないし……)

 女王は少しだけ考えてから「あまり使いたくないけど仕方ないか」と呟きながら止める門兵を制して一人で馬車へと歩いて行った。

「――あ? だれだあんた。
 俺達に何か用事があるのか?」

 女王が馬車に近づくと当然のようにゴロツキ顔の護衛が威嚇いかくをするかのように馬車への道を通せんぼしてきた。

「おっと、この先は通行止めだぜ。
 俺達が護衛の任務を任された大切な荷物を積んだ馬車があるからな。
 それとも俺達に遊んで欲しいのか?」

 情報伝達の遅い世界であったので平民のそれこそゴロツキレベルは女王陛下の顔を知らない事は仕方なかったのだが、なかなか戻って来ない御者にイライラして思わず目の前の美人に絡んだのがこの男の不幸の始まりだった。

「無礼者!! 我が前にひれ伏すが良い!!」

 男の手が彼女に触れようと伸ばした時、魔力の籠った威圧的な声が響いた。

 ――ドサッ。

 女王の魔力威圧をまともに受けた男は失神をしてその場に後ろ向きで倒れピクピクと痙攣けいれんをしていた。

「あら、いけませんでしたね。
 少しばかり圧が強すぎたようです」

 女王陛下の能力スキルのひとつである魔力威圧はその周囲に居る害意のある者に対して精神攻撃をするもので並の人間では耐えきれるものでは無かった。

「少しやり過ぎてしまいましたが逃げられるよりはマシですよね」

 彼女はそう呟くと馬車の空樽に隠れていたゴッツァイを発見した。

「あらあら、この男も転生者のはずですがこの程度の魔力威圧で失神するとは大した事はなかったという事ですかね」

 主犯のゴッツァイを見つけた女王は満足そうに門兵達に指示を出してその場にいる者達全員を捕らえて牢屋へと案内させた。

「――この男だけはわたくしが直々に取り調べをする事にしましょう。
 途中で気がついて逃げられないようにしっかりと拘束してから王城の地下牢へと案内するように」

 女王はそう指示を出すと薄い笑みを浮かべて王城へと戻った。

   *   *   *

「――ここはどこだ!?」

 城の地下牢で目を覚ましたゴッツァイは後ろ手に拘束されているのに気がついて歯噛みをするが目の前の二人居る牢屋番の兵士の一人を見てニヤリと笑う。

(状況を見るにどうやら俺様は捕まったようだ。
 俺様の未来視は絶対だからやはり捕まるのは必然だったといえる。
 だが、まだ運は俺様に向いているようだ。
 もうすぐあのクソ女王が俺様を見下しにやってくるだろう。
 たが、そこの牢屋番の兵士は俺様の手駒の一人だ。
 今は何食わぬ顔をしているが俺様が合図をすれば俺様の思い通りに動く駒になる。
 間抜けな女王が俺様を見下している隙に後ろから首をはねてやる。
 さすがに首と胴体がおさらばすれば蘇生など出来はしないだろうからな。
 くくく……まあ、せいぜい俺様を捕らえた優越感に浸りながら死ぬがいい)

 捕らえたゴッツァイは牢屋の中でこれから起こる惨劇に顔をニヤつかせながら女王が来るのをまった。
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