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第136話【薬師ギルドとナナリー】
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「ふう。アーリーさんは相変わらず強引な所が変わってなかったね。
まあ、元気にやってるようだし斡旋ギルドへの報告も無事に終わったから次は薬師ギルドにも顔を出して挨拶だけして行こうか」
「そうね。あれから町の人達がどうなったかとか薬師ギルドの薬師達がきちんと仕事をしているか気になるわよね」
僕達はそう話しながら薬師ギルドに着いた僕はそっとドアを開けた。
――からんからん。
ドア鐘が響き受付嬢がこちらを見て声をかけてくる。
「お久しぶりですナオキさんとリリスさん。
確か王都へ行ったと聞いたのですけどもう帰られたのですか?」
先ほど斡旋ギルドでも言われたような言葉をかけられた僕達は苦笑いをしながら「いろいろありまして……」と明言をさけてギルドマスターかロギスと話が出来ないかと聞いた。
「ギルマスは今外出してますのでロギス部門長に聞いてきますね」
受付嬢はそう言って奥へと向かい数分後には「奥の個室へどうぞ」と僕達を案内してくれた。
「――確か前に来たのは数ヶ月前だったかな?
王都へ向かうと聞いていたと記憶しているが、もう帰ってきたところをみると王都では仕事がうまくいかなかったってとこか?
だが残念なことにお前達が出発してからは大きなトラブルもなく技術の上がった薬師達が町の健康を管理してきたから今更戻って来ても大した仕事はないぜ」
僕達の前に座ったロギスの口から出た言葉がそれだった。
「ああ、別にこの町でまた仕事をしようって事じゃないんだ。
まあ、確かに王都ではいろいろあってまともに活動出来なかったのは認めるけど今日寄ったのは薬師の人達が無事に仕事が出来ているかを確かめに来ただけなんだ」
「ちっ、つまらんな。せっかくあんたらが戻って来た時に「頼むから仕事をさせてくれ」と言われたら「そんなものはないぜ」と言ってやりたかったんだがな」
ロギスは口ではそう言いながらも自信に満ちた表情をしていた。
(どうやら薬師達は僕が町を出てからも患者に寄り添う治療をしていたみたいだな)
「それは残念でしたね。ところで化粧部門を束ねていたゼアルさんはどうしていますか?」
前に滞在した時に出会った化粧品は見た目を良くするには効果が高かったがつけっぱなしにすると肌にダメージを受ける等まだまだ改善が必要なものであった。
その時に出会ったリノという女性の治療をしたのだが、その時はゼアルにもっと肌に優しい化粧品にして欲しいとの要望を出すタイミングが無くてそのままになっていたからだ。
「ん? ああ、ゼアルならとっくに薬師ギルドを辞めさせられて領都に向かったようだ。
あんたが町を出た後すぐに化粧品の副作用が問題視されてギルマスから改善出来ないなら化粧部門は廃止すると言われてキレてギルマスに掴みかかったからな。
理由はどうあれギルマスにあんな態度をとればどうなるかなんて少し考えれば分かる事なんだがな」
「それで今はどうしてるんですか?」
「俺も詳しくは知らないが、領都でもう一度化粧品の品質を研究しているらしく、一山当てて見返してやると言ってたそうだ。
まあ、売ることだけ考えた結果失敗しただけだから真面目にやればそれなりの結果は出せるんじゃないか?
ちょっとばかり考えが甘いところもあったが腕自体は悪い奴じゃなかったからな」
「そうですか。情報ありがとうございます」
(ゼアルは領都にいるそうなのでもしかしたら向こうで会う事があるかもしれないが真面目にやっているならば放置しておいても良いだろう)
僕はそう考え、ロギスに礼を言ってから薬師ギルドを出た。
「そう言えばロギスさんにはナオキが貴族になった事を話さなかったわね」
「まあ、宣伝してまわりたい訳じゃないからね。もし、何かで話がこじれるようなら抑止力として話しても良いけどね」
「まあ、それもそうね。ナオキは貴族になっても別に威張りたい訳じゃないからそれも良いかもしれないわね」
リリスはそう言うと僕の手を握りながら微笑んだ。
「さて、挨拶も済んだしその辺のお店でも回ってから宿に向かうとしようか」
僕の言葉に頷いたリリスは繋いだ手を僕の腕に絡めて寄り添いながら買い物を楽しんだ。
* * *
「――それで、なぜ君がここに居るのか説明をしてくれないか?」
買い物を済ませた僕達が泊まる予定の宿に戻り夕食を楽しもうとしている横によく見た顔が並んでいた。
「そんな事、お母様から聞いたからに決まってるじゃないですか。
ナオキ様がついに貴族様になったと聞いたのでお祝いに駆けつけたまでですよ。
け、決して側室の座を狙って来た訳じゃありませんから……」
思い切りキョドりながらナナリーがそう答える。
「はあ……。
やっぱりアーリーさんの『あれ』は本気だったんだね」
「あの行動力だけは尊敬に値するわよね。
でも、ナオキには私が居るからもう少し遠慮してくれると嬉しいかな」
リリスにジト目をされて涙目になりながらもその場は必死に言葉を紡いだ。
「……って、今日はそんな事を言いに来た訳じゃなくてお母様からの伝言を伝えに来たんです」
そう言って話してくれた内容を聞いた僕達はわざわざ伝えに来てくれたナナリーに感謝をする事になった。
まあ、元気にやってるようだし斡旋ギルドへの報告も無事に終わったから次は薬師ギルドにも顔を出して挨拶だけして行こうか」
「そうね。あれから町の人達がどうなったかとか薬師ギルドの薬師達がきちんと仕事をしているか気になるわよね」
僕達はそう話しながら薬師ギルドに着いた僕はそっとドアを開けた。
――からんからん。
ドア鐘が響き受付嬢がこちらを見て声をかけてくる。
「お久しぶりですナオキさんとリリスさん。
確か王都へ行ったと聞いたのですけどもう帰られたのですか?」
先ほど斡旋ギルドでも言われたような言葉をかけられた僕達は苦笑いをしながら「いろいろありまして……」と明言をさけてギルドマスターかロギスと話が出来ないかと聞いた。
「ギルマスは今外出してますのでロギス部門長に聞いてきますね」
受付嬢はそう言って奥へと向かい数分後には「奥の個室へどうぞ」と僕達を案内してくれた。
「――確か前に来たのは数ヶ月前だったかな?
王都へ向かうと聞いていたと記憶しているが、もう帰ってきたところをみると王都では仕事がうまくいかなかったってとこか?
だが残念なことにお前達が出発してからは大きなトラブルもなく技術の上がった薬師達が町の健康を管理してきたから今更戻って来ても大した仕事はないぜ」
僕達の前に座ったロギスの口から出た言葉がそれだった。
「ああ、別にこの町でまた仕事をしようって事じゃないんだ。
まあ、確かに王都ではいろいろあってまともに活動出来なかったのは認めるけど今日寄ったのは薬師の人達が無事に仕事が出来ているかを確かめに来ただけなんだ」
「ちっ、つまらんな。せっかくあんたらが戻って来た時に「頼むから仕事をさせてくれ」と言われたら「そんなものはないぜ」と言ってやりたかったんだがな」
ロギスは口ではそう言いながらも自信に満ちた表情をしていた。
(どうやら薬師達は僕が町を出てからも患者に寄り添う治療をしていたみたいだな)
「それは残念でしたね。ところで化粧部門を束ねていたゼアルさんはどうしていますか?」
前に滞在した時に出会った化粧品は見た目を良くするには効果が高かったがつけっぱなしにすると肌にダメージを受ける等まだまだ改善が必要なものであった。
その時に出会ったリノという女性の治療をしたのだが、その時はゼアルにもっと肌に優しい化粧品にして欲しいとの要望を出すタイミングが無くてそのままになっていたからだ。
「ん? ああ、ゼアルならとっくに薬師ギルドを辞めさせられて領都に向かったようだ。
あんたが町を出た後すぐに化粧品の副作用が問題視されてギルマスから改善出来ないなら化粧部門は廃止すると言われてキレてギルマスに掴みかかったからな。
理由はどうあれギルマスにあんな態度をとればどうなるかなんて少し考えれば分かる事なんだがな」
「それで今はどうしてるんですか?」
「俺も詳しくは知らないが、領都でもう一度化粧品の品質を研究しているらしく、一山当てて見返してやると言ってたそうだ。
まあ、売ることだけ考えた結果失敗しただけだから真面目にやればそれなりの結果は出せるんじゃないか?
ちょっとばかり考えが甘いところもあったが腕自体は悪い奴じゃなかったからな」
「そうですか。情報ありがとうございます」
(ゼアルは領都にいるそうなのでもしかしたら向こうで会う事があるかもしれないが真面目にやっているならば放置しておいても良いだろう)
僕はそう考え、ロギスに礼を言ってから薬師ギルドを出た。
「そう言えばロギスさんにはナオキが貴族になった事を話さなかったわね」
「まあ、宣伝してまわりたい訳じゃないからね。もし、何かで話がこじれるようなら抑止力として話しても良いけどね」
「まあ、それもそうね。ナオキは貴族になっても別に威張りたい訳じゃないからそれも良いかもしれないわね」
リリスはそう言うと僕の手を握りながら微笑んだ。
「さて、挨拶も済んだしその辺のお店でも回ってから宿に向かうとしようか」
僕の言葉に頷いたリリスは繋いだ手を僕の腕に絡めて寄り添いながら買い物を楽しんだ。
* * *
「――それで、なぜ君がここに居るのか説明をしてくれないか?」
買い物を済ませた僕達が泊まる予定の宿に戻り夕食を楽しもうとしている横によく見た顔が並んでいた。
「そんな事、お母様から聞いたからに決まってるじゃないですか。
ナオキ様がついに貴族様になったと聞いたのでお祝いに駆けつけたまでですよ。
け、決して側室の座を狙って来た訳じゃありませんから……」
思い切りキョドりながらナナリーがそう答える。
「はあ……。
やっぱりアーリーさんの『あれ』は本気だったんだね」
「あの行動力だけは尊敬に値するわよね。
でも、ナオキには私が居るからもう少し遠慮してくれると嬉しいかな」
リリスにジト目をされて涙目になりながらもその場は必死に言葉を紡いだ。
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