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第138話【ふたりきりの温泉】
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この場には僕とリリスしか居ないので彼女が入ってきたのは間違いないであろうが振り向いて良いのか迷っていると後ろから声がかかった。
僕が振り向くとそこにはバスタオルを巻いたリリスが恥ずかしそうに立っていた。
「あの……。
やっぱり恥ずかしくてタオルを巻いてきてしまいました」
タオルを巻いているだけのリリスは胸から太ももまで隠した状態で長い髪はアップにして後ろでとめていた。
「まあ、恥ずかしいのは僕も同じだけどせっかく温泉に来たのだから入らないと損だよ。
とりあえず後ろを向いておくから入っておいで」
僕はそう言うとリリスの身体が見えないように彼女に背中を向けた。
「そ、そうよね。
せっかく温泉に来たのに恥ずかしがって入らないのは勿体ないわよね」
リリスはそう言うと意を決して巻いていたタオルを外してかけ湯をするとゆっくりと湯船に身を沈めた。
「いいお湯ですね。身体の疲れが溶けていくようです」
僕と背中合わせに浸かるリリスがそう言って手でお湯をすくう。
「ナオキが治癒魔法を使えなくなってからずっとやってもらってなかったし、長距離の馬車旅はやっぱり疲れるものだものね」
後ろでリリスが動く気配がするが振り向いても良いものか思いきれない僕の首にリリスは腕を絡ませてきて後ろから抱きつくように身体を併せてきた。
すると、当然のように背中に柔らかいものが当たり僕の心臓はばくばくと早まり声を出すことさえ出来なくなった。
「まだ能力は戻らないのよね?」
リリスの声は先程までの明るい感じから沈んだトーンに落ちていた。
「うーん。前よりは魔力が集まってる感じはするから完全に消えた訳ではないと思うんだ。
何かのきっかけがあれば変われるんじゃないかと思うけどそれが何かはまだ分からないんだよ」
背中にリリスを感じながら手のひらを握りしめてジッと見つめる僕に彼女が言った。
「今から試してみる?」
リリスはそう言うと僕の背中から離れてから僕の肩に手を添えて「こっちを向いてもいいよ」と囁《ささや》いた。
――ドキッ。
僕の心臓の音が高鳴る。婚姻を結んだとはいえ、なんとなくの恥ずかしさから今まで一度も彼女の裸を目にしていない僕はその囁きが幻聴で振り向いたら叩かれるのではないかと思い躊躇した。
「今ならなんとなくだけど上手くいくような気がするの。
だから……私で試してみて……ください」
今度ははっきりと聞こえたリリスの声に僕は思わず目を閉じたまま彼女の方へ身体を向けた。
「もうっ! そんなに警戒しなくても叩いたりなんかしないわよ。
そんな態度を取ってると……」
リリスはそう言うと目を閉じたままの僕の頬に手を添えてキスをしてきた。
「むぐっ!?」
目を閉じた暗闇の中でいきなり唇にあたる柔らかい感触に驚いた僕は思わず目を見開いた。
「やっと見てくれたね。
えへへ、ナオキって凄い照れ屋さんなんだね」
目の前にあるリリスの笑顔にさっきまでの不安は消えて笑顔を返せるだけの余裕が出来た僕は思わず彼女の上半身に釘付けになった。
「なあに? あれだけ毎日触ってたのに見ただけで赤くなるなんて……恥ずかしいよりも嬉しいかな」
リリスはそう言うと僕の手を自分の胸に押し当てる。
僕はその行動に頷きながら柔らかい感触に気を持っていかれないように気を引き締めてリリスの目を見つめたまま治癒魔法を発動させた。
「――完全治癒」
本来ならばここから身体の魔力が手のひらに集まり患者の魔力溜まりへと流れ込むのだが、何かが邪魔して流れが始まらない。
「胸の中には魔力が充実してる感じはあるんだけど、なんで上手く流れないんだろうか?」
僕がそう呟くのを聞いたリリスは僕の手を胸から外したかと思うとガバッと抱きついて来た。
「焦らなくてもいいよ。
ずっと私が側にいるからね」
抱きついたままで囁くリリスの背中に手を回すとあれほど上手くいかなかった魔力注入が突然始まった。
「ひゃん!?」
突然身体に走った感覚にリリスは変な声を上げてしまい真っ赤になるが、それよりも魔力注入が始まった事に驚いた僕は彼女を抱きしめたまま事が終わるまで呆然としていた。
「――あはは。久しぶりだったから下半身にきちゃった……」
温泉に入ったままで治癒魔法をかけたせいで身体中が火照りのぼせてしまったリリスは湯船から上がって身体を冷ましながら言った。
「いきなりだったけど何かわかった事はあった?」
「まだはっきりとはしないけど希望が持てる事だけは分かったよ。
ありがとうリリス、やっぱり君で良かったと思うよ」
僕はそうリリスに伝えるとお姫様抱っこで脱衣場へ向かい、丁寧に身体を拭いてから着替えを手伝った。
身体を拭かれる間のリリスは恥ずかしそうにしながらも優しく接する僕に身を委ねてくれた。
部屋に戻った僕達は冷たい紅茶をゆっくりと飲んでからベッドに入った。
「おやすみなさいナオキ」
リリスはそう言うと久しぶりに身体を巡る僕の魔力を感じながらスヤスヤと眠りについた。
その寝顔を優しく見届けた僕は温泉でのリリスの柔らかい肌の感覚が残る手を見つめてどうして魔力注入が始まったのかを考えているうちにいつの間にか深い眠りへと落ちていった。
僕が振り向くとそこにはバスタオルを巻いたリリスが恥ずかしそうに立っていた。
「あの……。
やっぱり恥ずかしくてタオルを巻いてきてしまいました」
タオルを巻いているだけのリリスは胸から太ももまで隠した状態で長い髪はアップにして後ろでとめていた。
「まあ、恥ずかしいのは僕も同じだけどせっかく温泉に来たのだから入らないと損だよ。
とりあえず後ろを向いておくから入っておいで」
僕はそう言うとリリスの身体が見えないように彼女に背中を向けた。
「そ、そうよね。
せっかく温泉に来たのに恥ずかしがって入らないのは勿体ないわよね」
リリスはそう言うと意を決して巻いていたタオルを外してかけ湯をするとゆっくりと湯船に身を沈めた。
「いいお湯ですね。身体の疲れが溶けていくようです」
僕と背中合わせに浸かるリリスがそう言って手でお湯をすくう。
「ナオキが治癒魔法を使えなくなってからずっとやってもらってなかったし、長距離の馬車旅はやっぱり疲れるものだものね」
後ろでリリスが動く気配がするが振り向いても良いものか思いきれない僕の首にリリスは腕を絡ませてきて後ろから抱きつくように身体を併せてきた。
すると、当然のように背中に柔らかいものが当たり僕の心臓はばくばくと早まり声を出すことさえ出来なくなった。
「まだ能力は戻らないのよね?」
リリスの声は先程までの明るい感じから沈んだトーンに落ちていた。
「うーん。前よりは魔力が集まってる感じはするから完全に消えた訳ではないと思うんだ。
何かのきっかけがあれば変われるんじゃないかと思うけどそれが何かはまだ分からないんだよ」
背中にリリスを感じながら手のひらを握りしめてジッと見つめる僕に彼女が言った。
「今から試してみる?」
リリスはそう言うと僕の背中から離れてから僕の肩に手を添えて「こっちを向いてもいいよ」と囁《ささや》いた。
――ドキッ。
僕の心臓の音が高鳴る。婚姻を結んだとはいえ、なんとなくの恥ずかしさから今まで一度も彼女の裸を目にしていない僕はその囁きが幻聴で振り向いたら叩かれるのではないかと思い躊躇した。
「今ならなんとなくだけど上手くいくような気がするの。
だから……私で試してみて……ください」
今度ははっきりと聞こえたリリスの声に僕は思わず目を閉じたまま彼女の方へ身体を向けた。
「もうっ! そんなに警戒しなくても叩いたりなんかしないわよ。
そんな態度を取ってると……」
リリスはそう言うと目を閉じたままの僕の頬に手を添えてキスをしてきた。
「むぐっ!?」
目を閉じた暗闇の中でいきなり唇にあたる柔らかい感触に驚いた僕は思わず目を見開いた。
「やっと見てくれたね。
えへへ、ナオキって凄い照れ屋さんなんだね」
目の前にあるリリスの笑顔にさっきまでの不安は消えて笑顔を返せるだけの余裕が出来た僕は思わず彼女の上半身に釘付けになった。
「なあに? あれだけ毎日触ってたのに見ただけで赤くなるなんて……恥ずかしいよりも嬉しいかな」
リリスはそう言うと僕の手を自分の胸に押し当てる。
僕はその行動に頷きながら柔らかい感触に気を持っていかれないように気を引き締めてリリスの目を見つめたまま治癒魔法を発動させた。
「――完全治癒」
本来ならばここから身体の魔力が手のひらに集まり患者の魔力溜まりへと流れ込むのだが、何かが邪魔して流れが始まらない。
「胸の中には魔力が充実してる感じはあるんだけど、なんで上手く流れないんだろうか?」
僕がそう呟くのを聞いたリリスは僕の手を胸から外したかと思うとガバッと抱きついて来た。
「焦らなくてもいいよ。
ずっと私が側にいるからね」
抱きついたままで囁くリリスの背中に手を回すとあれほど上手くいかなかった魔力注入が突然始まった。
「ひゃん!?」
突然身体に走った感覚にリリスは変な声を上げてしまい真っ赤になるが、それよりも魔力注入が始まった事に驚いた僕は彼女を抱きしめたまま事が終わるまで呆然としていた。
「――あはは。久しぶりだったから下半身にきちゃった……」
温泉に入ったままで治癒魔法をかけたせいで身体中が火照りのぼせてしまったリリスは湯船から上がって身体を冷ましながら言った。
「いきなりだったけど何かわかった事はあった?」
「まだはっきりとはしないけど希望が持てる事だけは分かったよ。
ありがとうリリス、やっぱり君で良かったと思うよ」
僕はそうリリスに伝えるとお姫様抱っこで脱衣場へ向かい、丁寧に身体を拭いてから着替えを手伝った。
身体を拭かれる間のリリスは恥ずかしそうにしながらも優しく接する僕に身を委ねてくれた。
部屋に戻った僕達は冷たい紅茶をゆっくりと飲んでからベッドに入った。
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リリスはそう言うと久しぶりに身体を巡る僕の魔力を感じながらスヤスヤと眠りについた。
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