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スキルの活用に気付く
第16話 初日を振り返る
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「ステータス」
床には所狭しとアイテムや武器防具だけでなく貨幣も転がっており、ベッドの上から眺めつつユーフェはステータスを出して色々と確認をしていた。
貨幣も金貨や銀貨が山積みになっており、イワン達が見たら「やっぱり貴族のお嬢様だろう!」とツッコミを入れたであろうが、ユーフェは特に気にすることなくステータス画面と山積みの貨幣を眺めていた。
「うーん。金貨や銀貨はアイテムボックスに収納できるのに、銅貨はお財布にしか入れられないのかー。トータルで金額が表示されるステータス画面は便利なんだけどなー。銅貨用のお財布を買わないとなー」
イワンが買い物をしやすいようにと銅貨を多めに用意してくれており、そこには感謝をしているユーフェだが、銅貨がアイテムボックスに収納できない事に困惑をしていた。
「銅貨は価値がないから収納出来ないのかなー。それにしても……」
ユーフェは床に転がっている武器や防具を眺めていた。
「これって世に出たらマズいのかなー。それにしても装備が出来ないなんて困ったな」
ユーフェはレイピアを手に取って呟く。マグナアルカナのゲーム内で利用していた愛剣であったが、手に持つことは出来るのだがステータスには装備されたと表示がされないのである。
愛用していた軽鎧も身に付ける事は出来るのだが、こちらもステータスには装備表示されていなかった。
「見た目は装備できているのに……。このままじゃあ、装備が布の服だけになってしまうじゃないか。明日、装備を買いに行かないとダメだな」
取り出していた武器防具をアイテムボックスに収納しながらユーフェの視線は素材に移る。こちらもマグナアルカナで入手していた素材がそのままアイテムボックスに入っており、収納されている種類と数を把握するだけでも一苦労であった。
ユーフェは全てを覚えるのは無理だとため息を吐く。
「素材もいっぱい持っているのに、ほとんど売れないよなー。シルバーウルフファングの毛皮レベルで大騒ぎになるし、スライムの魔石の入手法だけで褒賞金が出るんだもんなー。うーん。練金が出来る場所があれば強化も出来るのになー」
ゲームのマグナアルカナでは常識だが、この世界では非常識な事を呟きながらユーフェはしばらく考えていたが、お腹が盛大になったのに気づくとアイテムボックスに全て収納して食事をするために1階に降りるのだった。
◇□ ◇□ ◇□
「女将さーん。晩ご飯を食べに来ました」
「適当に座っておくれ。すぐに用意するよ」
ユーフェが空いている席に座ると、すぐに女将が夕食を持ってやってきた。ワンプレートにパンや肉などが置かれており、それとスープも一緒に付いてきた。
「野菜はないんですね」
「野菜? そんな高級品が食べたいんだったら、うちみたいな場所じゃなくて専門の料理屋に行きな。お勧めの店くらいなら紹介してやるよ。それと野菜が無いって言うけど、スープにも玉ねぎとじゃがいもが入っているだろう?」
夕食にケチを付けられたのであれば、普段の女将なら激怒したであろう。だが、ユーフェの金払いの良さと立ち振る舞いから世間知らずな貴族のお嬢様だと思っており、諭すように注意をする。
「いいかい。今回は注意だけにしといてやるけど、明日からそんな事を言ったら追い出すからね。うちは料金に見合った食事と宿を提供しているんだよ。他の店でも滅多な事は言わないように注意しな」
「す、すいません。そんなつもりじゃ……」
「だから注意なのさ。ユーフェに悪気がないのは分かったからね」
申し訳なさそうにしているユーフェに女将が笑いながら答える。そして食堂に戻るとコップを持ってやってきた。
「ほら、これでも飲みな。野菜はないけど果物を絞ったジュースだよ」
「ジュース? ……。美味しい。ありがとうございます。怒らないで聞いて欲しいんですが、果物はたくさんあるんですか?」
「本当に世間知らずなんだね」
女将は呆れたような表情を浮かべながらも説明をしてくれた。果物は街の近くにある森に行けば木になっているので取れるとのこと。
新米の冒険者達が小遣い稼ぎに果物を取ってくるので宿屋で買い取っている事も教えてくれた。
「ユーフェも依頼を受けて森に行くことがあったら果物を取ってきな。少しは小遣い稼ぎになるからね」
「ふふ。そうしますね。後でどんな果物か見せてくださいね」
美味しそうにジュースを飲みながら微笑んでいるユーフェに、女将は次からは銅貨1枚がジュースの値段だと告げるのだった。
床には所狭しとアイテムや武器防具だけでなく貨幣も転がっており、ベッドの上から眺めつつユーフェはステータスを出して色々と確認をしていた。
貨幣も金貨や銀貨が山積みになっており、イワン達が見たら「やっぱり貴族のお嬢様だろう!」とツッコミを入れたであろうが、ユーフェは特に気にすることなくステータス画面と山積みの貨幣を眺めていた。
「うーん。金貨や銀貨はアイテムボックスに収納できるのに、銅貨はお財布にしか入れられないのかー。トータルで金額が表示されるステータス画面は便利なんだけどなー。銅貨用のお財布を買わないとなー」
イワンが買い物をしやすいようにと銅貨を多めに用意してくれており、そこには感謝をしているユーフェだが、銅貨がアイテムボックスに収納できない事に困惑をしていた。
「銅貨は価値がないから収納出来ないのかなー。それにしても……」
ユーフェは床に転がっている武器や防具を眺めていた。
「これって世に出たらマズいのかなー。それにしても装備が出来ないなんて困ったな」
ユーフェはレイピアを手に取って呟く。マグナアルカナのゲーム内で利用していた愛剣であったが、手に持つことは出来るのだがステータスには装備されたと表示がされないのである。
愛用していた軽鎧も身に付ける事は出来るのだが、こちらもステータスには装備表示されていなかった。
「見た目は装備できているのに……。このままじゃあ、装備が布の服だけになってしまうじゃないか。明日、装備を買いに行かないとダメだな」
取り出していた武器防具をアイテムボックスに収納しながらユーフェの視線は素材に移る。こちらもマグナアルカナで入手していた素材がそのままアイテムボックスに入っており、収納されている種類と数を把握するだけでも一苦労であった。
ユーフェは全てを覚えるのは無理だとため息を吐く。
「素材もいっぱい持っているのに、ほとんど売れないよなー。シルバーウルフファングの毛皮レベルで大騒ぎになるし、スライムの魔石の入手法だけで褒賞金が出るんだもんなー。うーん。練金が出来る場所があれば強化も出来るのになー」
ゲームのマグナアルカナでは常識だが、この世界では非常識な事を呟きながらユーフェはしばらく考えていたが、お腹が盛大になったのに気づくとアイテムボックスに全て収納して食事をするために1階に降りるのだった。
◇□ ◇□ ◇□
「女将さーん。晩ご飯を食べに来ました」
「適当に座っておくれ。すぐに用意するよ」
ユーフェが空いている席に座ると、すぐに女将が夕食を持ってやってきた。ワンプレートにパンや肉などが置かれており、それとスープも一緒に付いてきた。
「野菜はないんですね」
「野菜? そんな高級品が食べたいんだったら、うちみたいな場所じゃなくて専門の料理屋に行きな。お勧めの店くらいなら紹介してやるよ。それと野菜が無いって言うけど、スープにも玉ねぎとじゃがいもが入っているだろう?」
夕食にケチを付けられたのであれば、普段の女将なら激怒したであろう。だが、ユーフェの金払いの良さと立ち振る舞いから世間知らずな貴族のお嬢様だと思っており、諭すように注意をする。
「いいかい。今回は注意だけにしといてやるけど、明日からそんな事を言ったら追い出すからね。うちは料金に見合った食事と宿を提供しているんだよ。他の店でも滅多な事は言わないように注意しな」
「す、すいません。そんなつもりじゃ……」
「だから注意なのさ。ユーフェに悪気がないのは分かったからね」
申し訳なさそうにしているユーフェに女将が笑いながら答える。そして食堂に戻るとコップを持ってやってきた。
「ほら、これでも飲みな。野菜はないけど果物を絞ったジュースだよ」
「ジュース? ……。美味しい。ありがとうございます。怒らないで聞いて欲しいんですが、果物はたくさんあるんですか?」
「本当に世間知らずなんだね」
女将は呆れたような表情を浮かべながらも説明をしてくれた。果物は街の近くにある森に行けば木になっているので取れるとのこと。
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「ユーフェも依頼を受けて森に行くことがあったら果物を取ってきな。少しは小遣い稼ぎになるからね」
「ふふ。そうしますね。後でどんな果物か見せてくださいね」
美味しそうにジュースを飲みながら微笑んでいるユーフェに、女将は次からは銅貨1枚がジュースの値段だと告げるのだった。
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