20 / 26
スキルの活用に気付く
第20話 ドワイトの追求
しおりを挟む
「で? さっきの武器と防具はどこで手に入れて、今までどうやって装備をしていたんじゃ? あれはかなり使われておった。剣も愛用していたのが分かっておる。ユーフェよ。お前さんは何者じゃ?」
汗をダラダラと流しながらユーフェはドワイトからの追求をどうやって躱そうかと考えていた。そこまで大ごとになると思っておらず、デザインの参考になればいいくらいで武器や防具をドワイトに見せたのである。
まさかそれがここまで追い詰められるとは思わなかった。
「ひょっとして、ユーフェはレアスキル持ちか?」
「レアスキル? ああ、そういえば……」
どうやって異世界に転移してきたのかを説明しようかと考えていたユーフェだったが、ドワイトの指摘に慌ててステータス画面を出すと確認する。昨日の夜にきっちりと見ておけば良かったと感じながらスキル欄に目を向けた。
「うーん。レアスキルと言っても収縮拡張魔法しか持ってないですね」
「収縮拡張魔法じゃと? またレアなスキルを持っておるの。その武器と防具は魔力を帯びておる。ひょっとしたら収縮拡張魔法を使うと装備が出来るんじゃないのか?」
ユーフェが所有するスキルは珍しい部類に入るようで、ドワイトが驚いた表情を浮かべる。その説明を聞いた聴いたユーフェは、細身の剣を握るとスキルを発動しようとした。
「んん? そもそも、どうやってスキルを発動したらいんだろう?」
ゲームの時は項目を選択するだけでスキル発動したが、今はどうやって発動させればいいのか見当も付かず、困惑した表情を浮かべるユーフェ。
「なんじゃ。スキルの使い方が分からんのか? ひょっとして記憶喪失か? じゃったら、その世間知らずは理解できるのー。それか大貴族の箱入り娘かどちらかじゃの。いいか、スキルは頭で思い描くと発動が出来るぞ。1回やってみるがいい」
「頭でイメージすると言っても……。むう。むむむ。こんな感じでいいのかな? 拡張収縮魔法発動! えい!」
細身の剣を握りながらユーフェが叫ぶと反応するかのように、細身の剣を持っていた手が光りだす。すると剣を持っているだけの感覚だったのが、しっくりと馴染み装備をしているように感じた。
「おお……。ステータス画面で剣が装備されている」
「やはりの。魔力を収縮する事で剣の装備が出来たんじゃろう。じゃが、それでもレベル1の人間が、その剣を装備出来るのは不思議じゃわい。きっと、その剣はお前さん専用の武器なんじゃろう。どれ貸してみい」
細身の剣を受け取ったドワイトが剣を構え、何度か剣を振ったドワイトが何度も頷きながら納得すると細身の剣をユーフェに返す。
「やっぱりの。儂が使ってもダメじゃったわい。この剣はユーフェにしか装備出来ん。まあ、儂のレベルでは最初から装備出来んのは分かっておったけどな」
「ちなみにドワイトさんのレベルって?」
25だと伝えてくるドワイトにユーフェが驚いた顔になる。先日、助けてもらったイワン達はレベル15だと言っていたからである。
「強いんですね。ドワイトさんって。イワンさん達はレベル15で凄いと言ってましたよ?」
「まあ、槌を50年も振るっておったらレベルなんぞ上がっていくわい。イワンなんてヒヨッコに負けられんわい。そんな事よりもじゃ」
剣の装備が出来るならば防具も着けてみるようにとドワイトが伝えてくる。軽鎧を装備しようと着込んだユーフェだったが、ステータスをみても変化はなかった。
「ダメみたいです」
「なんじゃろうな。違いがよく分からんわい。まあ、それだけ凄い剣を装備出来たんならよしとするかの。またレベルが上がれば装備出来る様になるかもしれん」
そんな話をしながらユーフェとドワイトだったが、何気にステータスを見たユーフェが驚いた顔になる。
「あれ? 剣が装備から外れてる。収縮拡張魔法! ええい! ……。あれ?」
「どうかしたのか?」
「さっきまで装備出来ていた剣が、今は装備が外れているんです。改めて収縮拡張魔法を使っても剣が装備出来ないんです」
「なんじゃと!?」
ユーフェの言葉にドワイトは驚いた顔をするのだった。
汗をダラダラと流しながらユーフェはドワイトからの追求をどうやって躱そうかと考えていた。そこまで大ごとになると思っておらず、デザインの参考になればいいくらいで武器や防具をドワイトに見せたのである。
まさかそれがここまで追い詰められるとは思わなかった。
「ひょっとして、ユーフェはレアスキル持ちか?」
「レアスキル? ああ、そういえば……」
どうやって異世界に転移してきたのかを説明しようかと考えていたユーフェだったが、ドワイトの指摘に慌ててステータス画面を出すと確認する。昨日の夜にきっちりと見ておけば良かったと感じながらスキル欄に目を向けた。
「うーん。レアスキルと言っても収縮拡張魔法しか持ってないですね」
「収縮拡張魔法じゃと? またレアなスキルを持っておるの。その武器と防具は魔力を帯びておる。ひょっとしたら収縮拡張魔法を使うと装備が出来るんじゃないのか?」
ユーフェが所有するスキルは珍しい部類に入るようで、ドワイトが驚いた表情を浮かべる。その説明を聞いた聴いたユーフェは、細身の剣を握るとスキルを発動しようとした。
「んん? そもそも、どうやってスキルを発動したらいんだろう?」
ゲームの時は項目を選択するだけでスキル発動したが、今はどうやって発動させればいいのか見当も付かず、困惑した表情を浮かべるユーフェ。
「なんじゃ。スキルの使い方が分からんのか? ひょっとして記憶喪失か? じゃったら、その世間知らずは理解できるのー。それか大貴族の箱入り娘かどちらかじゃの。いいか、スキルは頭で思い描くと発動が出来るぞ。1回やってみるがいい」
「頭でイメージすると言っても……。むう。むむむ。こんな感じでいいのかな? 拡張収縮魔法発動! えい!」
細身の剣を握りながらユーフェが叫ぶと反応するかのように、細身の剣を持っていた手が光りだす。すると剣を持っているだけの感覚だったのが、しっくりと馴染み装備をしているように感じた。
「おお……。ステータス画面で剣が装備されている」
「やはりの。魔力を収縮する事で剣の装備が出来たんじゃろう。じゃが、それでもレベル1の人間が、その剣を装備出来るのは不思議じゃわい。きっと、その剣はお前さん専用の武器なんじゃろう。どれ貸してみい」
細身の剣を受け取ったドワイトが剣を構え、何度か剣を振ったドワイトが何度も頷きながら納得すると細身の剣をユーフェに返す。
「やっぱりの。儂が使ってもダメじゃったわい。この剣はユーフェにしか装備出来ん。まあ、儂のレベルでは最初から装備出来んのは分かっておったけどな」
「ちなみにドワイトさんのレベルって?」
25だと伝えてくるドワイトにユーフェが驚いた顔になる。先日、助けてもらったイワン達はレベル15だと言っていたからである。
「強いんですね。ドワイトさんって。イワンさん達はレベル15で凄いと言ってましたよ?」
「まあ、槌を50年も振るっておったらレベルなんぞ上がっていくわい。イワンなんてヒヨッコに負けられんわい。そんな事よりもじゃ」
剣の装備が出来るならば防具も着けてみるようにとドワイトが伝えてくる。軽鎧を装備しようと着込んだユーフェだったが、ステータスをみても変化はなかった。
「ダメみたいです」
「なんじゃろうな。違いがよく分からんわい。まあ、それだけ凄い剣を装備出来たんならよしとするかの。またレベルが上がれば装備出来る様になるかもしれん」
そんな話をしながらユーフェとドワイトだったが、何気にステータスを見たユーフェが驚いた顔になる。
「あれ? 剣が装備から外れてる。収縮拡張魔法! ええい! ……。あれ?」
「どうかしたのか?」
「さっきまで装備出来ていた剣が、今は装備が外れているんです。改めて収縮拡張魔法を使っても剣が装備出来ないんです」
「なんじゃと!?」
ユーフェの言葉にドワイトは驚いた顔をするのだった。
1
あなたにおすすめの小説
元構造解析研究者の異世界冒険譚
犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。
果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか?
…………………
7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
…………………
主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。
霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半……
まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。
そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。
そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。
だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!!
しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。
ーーそれは《竜族語》
レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。
こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。
それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。
一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた……
これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。
※30話程で完結します。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる