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スキルの活用に気付く

第20話 ドワイトの追求

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「で? さっきの武器と防具はどこで手に入れて、今までどうやって装備をしていたんじゃ? あれはかなり使われておった。剣も愛用していたのが分かっておる。ユーフェよ。お前さんは何者じゃ?」

 汗をダラダラと流しながらユーフェはドワイトからの追求をどうやって躱そうかと考えていた。そこまで大ごとになると思っておらず、デザインの参考になればいいくらいで武器や防具をドワイトに見せたのである。

 まさかそれがここまで追い詰められるとは思わなかった。

「ひょっとして、ユーフェはレアスキル持ちか?」

「レアスキル? ああ、そういえば……」

 どうやって異世界に転移してきたのかを説明しようかと考えていたユーフェだったが、ドワイトの指摘に慌ててステータス画面を出すと確認する。昨日の夜にきっちりと見ておけば良かったと感じながらスキル欄に目を向けた。

「うーん。レアスキルと言っても収縮拡張魔法しか持ってないですね」

「収縮拡張魔法じゃと? またレアなスキルを持っておるの。その武器と防具は魔力を帯びておる。ひょっとしたら収縮拡張魔法を使うと装備が出来るんじゃないのか?」

 ユーフェが所有するスキルは珍しい部類に入るようで、ドワイトが驚いた表情を浮かべる。その説明を聞いた聴いたユーフェは、細身の剣を握るとスキルを発動しようとした。

「んん? そもそも、どうやってスキルを発動したらいんだろう?」

 ゲームの時は項目を選択するだけでスキル発動したが、今はどうやって発動させればいいのか見当も付かず、困惑した表情を浮かべるユーフェ。

「なんじゃ。スキルの使い方が分からんのか? ひょっとして記憶喪失か? じゃったら、その世間知らずは理解できるのー。それか大貴族の箱入り娘かどちらかじゃの。いいか、スキルは頭で思い描くと発動が出来るぞ。1回やってみるがいい」

「頭でイメージすると言っても……。むう。むむむ。こんな感じでいいのかな? 拡張収縮魔法発動! えい!」

 細身の剣を握りながらユーフェが叫ぶと反応するかのように、細身の剣を持っていた手が光りだす。すると剣を持っているだけの感覚だったのが、しっくりと馴染み装備をしているように感じた。

「おお……。ステータス画面で剣が装備されている」

「やはりの。魔力を収縮する事で剣の装備が出来たんじゃろう。じゃが、それでもレベル1の人間が、その剣を装備出来るのは不思議じゃわい。きっと、その剣はお前さん専用の武器なんじゃろう。どれ貸してみい」

 細身の剣を受け取ったドワイトが剣を構え、何度か剣を振ったドワイトが何度も頷きながら納得すると細身の剣をユーフェに返す。

「やっぱりの。儂が使ってもダメじゃったわい。この剣はユーフェにしか装備出来ん。まあ、儂のレベルでは最初から装備出来んのは分かっておったけどな」

「ちなみにドワイトさんのレベルって?」

 25だと伝えてくるドワイトにユーフェが驚いた顔になる。先日、助けてもらったイワン達はレベル15だと言っていたからである。

「強いんですね。ドワイトさんって。イワンさん達はレベル15で凄いと言ってましたよ?」

「まあ、槌を50年も振るっておったらレベルなんぞ上がっていくわい。イワンなんてヒヨッコに負けられんわい。そんな事よりもじゃ」

 剣の装備が出来るならば防具も着けてみるようにとドワイトが伝えてくる。軽鎧を装備しようと着込んだユーフェだったが、ステータスをみても変化はなかった。

「ダメみたいです」

「なんじゃろうな。違いがよく分からんわい。まあ、それだけ凄い剣を装備出来たんならよしとするかの。またレベルが上がれば装備出来る様になるかもしれん」

 そんな話をしながらユーフェとドワイトだったが、何気にステータスを見たユーフェが驚いた顔になる。

「あれ? 剣が装備から外れてる。収縮拡張魔法! ええい! ……。あれ?」

「どうかしたのか?」

「さっきまで装備出来ていた剣が、今は装備が外れているんです。改めて収縮拡張魔法を使っても剣が装備出来ないんです」

「なんじゃと!?」

 ユーフェの言葉にドワイトは驚いた顔をするのだった。
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