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アランとアリアが見つめ合ってる姿を眺めながら、マリオが新人の側近二人に聞いた。
「君たちって婚約者いるの?」
「ええ、いますよ。仕事が落ち着いたら結婚する予定です」
「僕もそうです」
「ふぅん……良いなぁ。おばあ様に手紙でも送って催促しようかなぁ……」
明日から始まる地獄の日々を思いながら、孤独を嚙みしめたマリオは遠い目をしている。
曲が終わり、壇上に上がったアマデウスがルルーシアの手をとった。
「ルル誕生日おめでとう。僕が見つけた新星を君にプレゼントするよ」
「まあ! 新星をみつけられたのですか? 悲願がかなったのですね? でもそのような希少なものを私に……」
「うん、君に贈るためだけに探し続けていたのだから。僕には君という美しいひとつ星があるからね。他は何もいらないんだ」
アマデウスが、新星認定書と発見者認定書、そして新星名登録完了書をルルーシアに差し出した。
「ルルーシアという名前を?」
「うん、これは僕が君と出会った8歳の時から決めていた名前だよ。僕の星のお姫様」
「ありがとう、アマデウス様」
アマデウスが目を見開いた。
「ありがとう、ルル。ああ……これほど嬉しいなんて想像していなかったよ。君は凄いな」
「こちらこそありがとうございます。あなたのその粘り強さには頭が下がりますわ」
「ははは! 粘り強さというよりもはや執念みたいなものさ。ねえルル。アマディと呼んでくれないか? 言葉も友人に対するようにしてほしい。だって僕たちは生涯の親友だろ?」
「そうね、わかったわ。アマディ」
「ルル!」
アマデウスがルルーシアを抱き寄せて口づけを送った。
それを見ていた貴族たちが一斉に拍手を贈ったが、ふたりの腹黒達は片眉をあげている。
「メリディアン、もう嫁に出した後だ。今更そんな顔をするなよ。まあ、俺も明日は我が身だがな……」
慰めるロックスの横でフェリシア宰相が声を出した。
「あ……アマデウス殿下って自殺願望でもあるのか? 見ろよ、モネ公爵の顔」
国王夫妻の横で笑顔を貼り付けているモネ侯爵を見た三人が口々に言った。
「可哀そうに……マジで死ぬかもしれんな。我が国の王太子は」
「ああ、もし生きて帰ったら優しくしてあげよう」
「うん、そうだな。不穏分子やゴミクズは全てきれいにしておいてやろう」
そんな数少ない同情的な視線の中、アマデウスはもう一度ルルーシアを強く抱きしめた。
そして数日後、モネ公爵が帰国する日となり、一行に加わる王太子を見送るために国王夫妻たちが玄関に並んだ。
「頑張りなさい」
「はい、行って参ります」
父王の言葉に頷いたアマデウスに、ルルーシアが小さな箱を渡した。
「アマディ、来年の私の誕生日にここで会いましょう。これは私が刺しゅうをしたお守り」
「ありがとうルル。大切にする。ルルも学生生活を楽しんでくれ。では先に行っているよ」
モネ公爵がルルーシアを抱きしめて馬車に乗り込んだ。
アマデウスも同じようにルルーシアを抱きしめると、同じ馬車へと乗り込む。
「さあ、次は私たちよ。目いっぱい学生を楽しみましょう」
アリアの言葉にルルーシアが頷いた。
迷った結果、経済学を専攻したアリアとルルーシアを乗せた馬車が、王宮を出立したのはそれから三日後のことだ。
王太子代理となったロックス侯爵と、王太子妃代理となったメリディアン侯爵。
その前に並んでいるのは四人の側近たちだ。
覚悟を決めているアランとマリオは表情を崩さずその圧に耐えていたが、新人二人の顔色は枯れ落ち葉のようだ。
それから数日後、キリウスがキース・レイダーと共に出立した。
「君たちって婚約者いるの?」
「ええ、いますよ。仕事が落ち着いたら結婚する予定です」
「僕もそうです」
「ふぅん……良いなぁ。おばあ様に手紙でも送って催促しようかなぁ……」
明日から始まる地獄の日々を思いながら、孤独を嚙みしめたマリオは遠い目をしている。
曲が終わり、壇上に上がったアマデウスがルルーシアの手をとった。
「ルル誕生日おめでとう。僕が見つけた新星を君にプレゼントするよ」
「まあ! 新星をみつけられたのですか? 悲願がかなったのですね? でもそのような希少なものを私に……」
「うん、君に贈るためだけに探し続けていたのだから。僕には君という美しいひとつ星があるからね。他は何もいらないんだ」
アマデウスが、新星認定書と発見者認定書、そして新星名登録完了書をルルーシアに差し出した。
「ルルーシアという名前を?」
「うん、これは僕が君と出会った8歳の時から決めていた名前だよ。僕の星のお姫様」
「ありがとう、アマデウス様」
アマデウスが目を見開いた。
「ありがとう、ルル。ああ……これほど嬉しいなんて想像していなかったよ。君は凄いな」
「こちらこそありがとうございます。あなたのその粘り強さには頭が下がりますわ」
「ははは! 粘り強さというよりもはや執念みたいなものさ。ねえルル。アマディと呼んでくれないか? 言葉も友人に対するようにしてほしい。だって僕たちは生涯の親友だろ?」
「そうね、わかったわ。アマディ」
「ルル!」
アマデウスがルルーシアを抱き寄せて口づけを送った。
それを見ていた貴族たちが一斉に拍手を贈ったが、ふたりの腹黒達は片眉をあげている。
「メリディアン、もう嫁に出した後だ。今更そんな顔をするなよ。まあ、俺も明日は我が身だがな……」
慰めるロックスの横でフェリシア宰相が声を出した。
「あ……アマデウス殿下って自殺願望でもあるのか? 見ろよ、モネ公爵の顔」
国王夫妻の横で笑顔を貼り付けているモネ侯爵を見た三人が口々に言った。
「可哀そうに……マジで死ぬかもしれんな。我が国の王太子は」
「ああ、もし生きて帰ったら優しくしてあげよう」
「うん、そうだな。不穏分子やゴミクズは全てきれいにしておいてやろう」
そんな数少ない同情的な視線の中、アマデウスはもう一度ルルーシアを強く抱きしめた。
そして数日後、モネ公爵が帰国する日となり、一行に加わる王太子を見送るために国王夫妻たちが玄関に並んだ。
「頑張りなさい」
「はい、行って参ります」
父王の言葉に頷いたアマデウスに、ルルーシアが小さな箱を渡した。
「アマディ、来年の私の誕生日にここで会いましょう。これは私が刺しゅうをしたお守り」
「ありがとうルル。大切にする。ルルも学生生活を楽しんでくれ。では先に行っているよ」
モネ公爵がルルーシアを抱きしめて馬車に乗り込んだ。
アマデウスも同じようにルルーシアを抱きしめると、同じ馬車へと乗り込む。
「さあ、次は私たちよ。目いっぱい学生を楽しみましょう」
アリアの言葉にルルーシアが頷いた。
迷った結果、経済学を専攻したアリアとルルーシアを乗せた馬車が、王宮を出立したのはそれから三日後のことだ。
王太子代理となったロックス侯爵と、王太子妃代理となったメリディアン侯爵。
その前に並んでいるのは四人の側近たちだ。
覚悟を決めているアランとマリオは表情を崩さずその圧に耐えていたが、新人二人の顔色は枯れ落ち葉のようだ。
それから数日後、キリウスがキース・レイダーと共に出立した。
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