聡明な彼女と透明なボクの交換日記

志波 連

文字の大きさ
24 / 38

8月30日金曜日 【はるか】

しおりを挟む
 ディアファンさん、お帰りなさい! 
 ほんのひと月だったのに、とても長いことお話しができていないような気分でした。
 交換日記を再開できて本当に嬉しいです。

 さて、奈穂美に紹介するという件ですが、ディアファンさんの言葉をそのまま伝えました。
 彼女は確かにその通りだと言って感謝していました。
 なぜ一人だと思ったのだろうと反省もしていましたし、さっそく校長先生にも相談すると言っています。
 的確なアドバイスをいただきありがとうございました。

 そしてニュースです。
 といってもきっとディアファンさんは知っていたのでしょう?
 あなたの言う通り、私が勤める小学校が選ばれました。
 でも私が担任をしている学年ではなかったです。
 出雲に暮らす透明な子は6年生と4年生なんですね。

 9月からすぐに転入する予定らしく、学校では連日職員会議が開催されています。
 見えない子を守る方法とか、制服をどうするかとか。
 この時期になって今更感が拭えません。

 ディアファンさんは決まりましたか?
 会いたいっていうのは変ですが、直接言葉でお礼が言いたいという私の希望はまだかなっていませんから、どちらだったとしても一度お時間は下さいね。

 制服の件ですが、ディアファンさんはどう思いますか?
 私は千葉で見た状況を会議で話してみましたが、賛否両論というところです。
 ヴィレッジというか転入する子の保護者に聞いてみるべきだとも言ってみましたが、果たして実行されるのかどうか……

 私なりに考えてみたのですが、透明な子は透明のままで良いのではないでしょうか。
 自分の個性を台無しにしてまでこちらの都合に合わせる必要は無いのではないかなと思うのです。
 でも危険や急病などには備える必要がありますから、透明な大人が常に付き添っているというのが良いんじゃないかなって思うのです。

 きっと私と同じことを考えた人もいて、だからこその巡回員制度なのかなとも考えたりしています。
 でもこれだと廊下とかで気付かずに誰かとぶつかったりする危険はありますよね……
 その度に透明な大人が盾になるというのも違うような気がしますし。

 どういう形が理想なのでしょう。
 きっとディアファンさん達は「今まで通り」が良いとお考えでしょうね。
 こちら側の、ましてや人気取りの道具のようにされるのはきっと不本意でしょう?

 どうするべきなのでしょうね。
 前回お手紙でも書きましたが、日本以外の国ではどのようにしているのですか?
 やっぱり同じ学校に通わせているのですか?

 そもそも学校に通う必要があるなら、いつでも勝手にいけるでしょ?
 わざわざ「この学校に入学しろ」なんて決められるのって迷惑でしかないですよね?
 
 でもね、ディアファンさん。
 私たち教師は一生懸命に考えています。
 どうすれば少しでも不安を取り除いてあげられるのか。
 どういう方法なら安全を確保してあげられるのか。
 授業の内容を変えることはできませんが、ほんのちょっとでも興味を持てるような内容にしたいと思っているのです。

 何年かして「あの学校に行って良かった」と思ってもらいたいじゃないですか。
 透明な子と不透明な子が「友達になる」って素敵ですよね?
 私とディアファンさんが仲良くなれたのと同じように、話し合える関係を知ってほしいと思っています。

 できることは本当に少なくて、むしろできないことばかりではありますが、それでも頑張ろうと思っていることは是非わかってほしいと思います。

 明日の会議でもう一度話してみますね。
 もし私を通して伝えたいことがあるなら書いておいてください。
 頑張ってみますから。

 最後になりましたが、お土産をありがとうございました。
 私ったら気が利かなくて、何も用意していなくて恥ずかしいです。
 
 ではまた。
 交換日記が再開できて本当に嬉しいって思っています。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

神楽坂gimmick

涼寺みすゞ
恋愛
明治26年、欧州視察を終え帰国した司法官僚 近衛惟前の耳に飛び込んできたのは、学友でもあり親戚にあたる久我侯爵家の跡取り 久我光雅負傷の連絡。 侯爵家のスキャンダルを収めるべく、奔走する羽目になり…… 若者が広げた夢の大風呂敷と、初恋の行方は?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

処理中です...