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9月17日火曜日② 【 ? 】
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教師は慌てて廊下に飛び出し、少し大きな声を出しました。
「早退する前に保健室に行こう。頭が痛いのだろう?」
その教師はアランシオン君の名を呼びながら、全く逆の方向へと駆け出してしまいました。
残された生徒たちは啞然としたまま、自分の席に戻って行きます。
そうこうしている間にディアファンが教室に帰ってきました。
ランプシィーが話しかけます。
「どうだった?」
「校門の方に駆けていったよ。これ以上追ってもどうしようもないから戻ってきた。担任は?」
「ここにいるアランシオンを探しに出て行った」
「なんだ? それ」
すると同伴登校していたアランシオンの母親が声を出しました。
「アランシオン、ここに来なさい。このあとがどうなるのか見届けましょう。明日からの行動はそれを見て決めても遅くはないわ」
「うん、わかった。しかし退屈で無意味な時間だとしか思えない」
「そうね、本当にくだらないわ。でも良い勉強だと思ってもう少し我慢しましょう」
母親がディアファンとランプシィーに向かって言いました。
「あとはよろしくね」
二人は頷いて教室の後ろに並んでいる椅子に腰かけました。
母親とアランシオンも並んで座り、担任教師が戻るのを待っています。
児童たちは思い思いに喋り始め、まさにカオス状態になったとき、前のドアを開けて3年生
の担任であるはるかちゃんが入ってきました。
「みんな、席に戻りなさい。井上先生は石田さんを探しに行きましたので、今日は私がこのクラスの授業をします。えっと……巡回員の方はおられますか?」
「はい、ここにいます。アランシオン君も一緒にいます」
ランプシィーの声にはるかちゃんはホッと息を吐きました。
「ああ、良かったです。アランシオン君は席に戻っていますか?」
「いいえ、ボクと一緒に後ろにいます。彼も疑われてかなりショックを受けていますので、今日はこのまま一緒にいます」
「わかりました。アランシオン君、一応返事だけしてもらっても良い?」
「はい、後ろにいます」
アランシオン君の声に、児童たちが一斉に振り向きました。
「みんなは前を向いてね。この時間は話し合いの時間にしましょう。石田さん以外は揃っていますね? 巡回員の方は一名ですか?」
「二名です」
「わかりました。では学級委員の人は手を上げて……ああ、えっと名前は?」
「加藤です」
廊下側の列の一番前に座っていた男の子が立ち上がりました。
「何があったか説明できるかな?」
加藤と名乗った学級委員が、担任が来てからの出来事を話します。
「なるほど、ではみんなも石田さんにノートのことは聞かれたのね?」
頷く子もいれば首を振る子もいます。
どうやら全員に確認したわけではないようですね。
加藤君の後ろの席に座っていた女の子が声を出しました。
「石田さんは何人かにノートを知らないかと聞きましたが、アランシオン君だけには決めつけたような言い方をしていました」
はるかちゃんは困った顔で頷きました。
「アランシオン君、石田さんは疑って悪かったと謝ったのかな?」
「いいえ、謝ってもらえませんでした。そのまま出て行きましたので、僕は先生に早退したいと言ったのです。とても気分が悪いので」
「そうだよね、疑われて気分が悪いよね。でも帰らずに残ってくれたんだ」
「先生が呼び止めたので待ちましたが、そのまま駆けていかれたので困惑しているところです」
「こんわく……うん、そうだよね。そりゃ困惑するよ。でもできればちゃんと6時限目までがんばろうか。無理はダメだけど、大丈夫なら授業は受けてほしいと先生は思います」
数秒沈黙した後、アランシオン君は「はい」と返事をしました。
その声を聞いたはるかちゃんが頷いた時、教室の扉が勢いよく開き、教頭先生が入ってこられました。
戸惑うはるかちゃんに何やら耳打ちをした後、教室の後ろに向かって声を出します。
「巡回員の方と児童、そして随行されている方々は全員校長室へお願いします」
児童たちは再びざわざわとしはじめ、はるかちゃんは何度も手を鳴らして落ち着かせようとしています。
「何事かな」
ランプシィーがディアファンに聞きました。
「早退する前に保健室に行こう。頭が痛いのだろう?」
その教師はアランシオン君の名を呼びながら、全く逆の方向へと駆け出してしまいました。
残された生徒たちは啞然としたまま、自分の席に戻って行きます。
そうこうしている間にディアファンが教室に帰ってきました。
ランプシィーが話しかけます。
「どうだった?」
「校門の方に駆けていったよ。これ以上追ってもどうしようもないから戻ってきた。担任は?」
「ここにいるアランシオンを探しに出て行った」
「なんだ? それ」
すると同伴登校していたアランシオンの母親が声を出しました。
「アランシオン、ここに来なさい。このあとがどうなるのか見届けましょう。明日からの行動はそれを見て決めても遅くはないわ」
「うん、わかった。しかし退屈で無意味な時間だとしか思えない」
「そうね、本当にくだらないわ。でも良い勉強だと思ってもう少し我慢しましょう」
母親がディアファンとランプシィーに向かって言いました。
「あとはよろしくね」
二人は頷いて教室の後ろに並んでいる椅子に腰かけました。
母親とアランシオンも並んで座り、担任教師が戻るのを待っています。
児童たちは思い思いに喋り始め、まさにカオス状態になったとき、前のドアを開けて3年生
の担任であるはるかちゃんが入ってきました。
「みんな、席に戻りなさい。井上先生は石田さんを探しに行きましたので、今日は私がこのクラスの授業をします。えっと……巡回員の方はおられますか?」
「はい、ここにいます。アランシオン君も一緒にいます」
ランプシィーの声にはるかちゃんはホッと息を吐きました。
「ああ、良かったです。アランシオン君は席に戻っていますか?」
「いいえ、ボクと一緒に後ろにいます。彼も疑われてかなりショックを受けていますので、今日はこのまま一緒にいます」
「わかりました。アランシオン君、一応返事だけしてもらっても良い?」
「はい、後ろにいます」
アランシオン君の声に、児童たちが一斉に振り向きました。
「みんなは前を向いてね。この時間は話し合いの時間にしましょう。石田さん以外は揃っていますね? 巡回員の方は一名ですか?」
「二名です」
「わかりました。では学級委員の人は手を上げて……ああ、えっと名前は?」
「加藤です」
廊下側の列の一番前に座っていた男の子が立ち上がりました。
「何があったか説明できるかな?」
加藤と名乗った学級委員が、担任が来てからの出来事を話します。
「なるほど、ではみんなも石田さんにノートのことは聞かれたのね?」
頷く子もいれば首を振る子もいます。
どうやら全員に確認したわけではないようですね。
加藤君の後ろの席に座っていた女の子が声を出しました。
「石田さんは何人かにノートを知らないかと聞きましたが、アランシオン君だけには決めつけたような言い方をしていました」
はるかちゃんは困った顔で頷きました。
「アランシオン君、石田さんは疑って悪かったと謝ったのかな?」
「いいえ、謝ってもらえませんでした。そのまま出て行きましたので、僕は先生に早退したいと言ったのです。とても気分が悪いので」
「そうだよね、疑われて気分が悪いよね。でも帰らずに残ってくれたんだ」
「先生が呼び止めたので待ちましたが、そのまま駆けていかれたので困惑しているところです」
「こんわく……うん、そうだよね。そりゃ困惑するよ。でもできればちゃんと6時限目までがんばろうか。無理はダメだけど、大丈夫なら授業は受けてほしいと先生は思います」
数秒沈黙した後、アランシオン君は「はい」と返事をしました。
その声を聞いたはるかちゃんが頷いた時、教室の扉が勢いよく開き、教頭先生が入ってこられました。
戸惑うはるかちゃんに何やら耳打ちをした後、教室の後ろに向かって声を出します。
「巡回員の方と児童、そして随行されている方々は全員校長室へお願いします」
児童たちは再びざわざわとしはじめ、はるかちゃんは何度も手を鳴らして落ち着かせようとしています。
「何事かな」
ランプシィーがディアファンに聞きました。
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