19 / 70
19 前世の出来事
しおりを挟む
ソフィアはフッと大きく息を吐いてからバルコニーに出た。
見上げれば満天の星があり、少し視線を下げれば王城の森が黒く浮かび上がっている。
この美しさをあの子にも見せてやりたかったとソフィアは思った。
「少し肌寒さを感じるような日だったわね。思っていたより湖はきれいだったけれど、水が冷たくて驚いたわ」
レオが辺境へと旅立ち、第一王子であるアランと第三王子であるロビンに、その仕事が振り分けられた。
日ごろはそれほどの仕事量を任されているわけではないロビンが、夕食の時間に遅れるほど頑張っていることを知っていたソフィアは、なんとかその心を癒したいとおもっていたのだ。
「ごめんね、今日も遅くなっちゃった」
「いいえ、お疲れさまでした。さあ食事にしましょう。今日はもう終わったのでしょう?」
少しせり出してきた腹を抱えたソフィアは食堂にロビンを迎え入れた。
「いや、もう少し残っているんだ。食事が終わったら執務室に戻らなくちゃ」
「手伝えることがある?」
「え? 手伝ってくれるの? でもソフィアはブリジッドの仕事を回されているのでしょう? ソフィアこそ休まなくちゃ。体だって大変でしょ?」
ロビンが優しくソフィアの手に手をのせた。
「仕事は大丈夫よ。それほど難しい内容でもないもの。それよりあなたを心配しながら寝室で一人待つ方が辛いわ。ロビンのお役に立ちたいのよ」
「ありがとうソフィア。では仕事が終わるまで一緒にいてくれる?」
「ええ、ぜひそうさせてほしいわ」
そうやって仲良く過ごしていた過去を思い、ソフィアは悲しい顔で笑った。
「あの頃は何も知らなくて、ただロビンと一緒に国のために頑張ろうって思ってたなぁ……」
今思い出してもソフィアは確かにロビンを愛していたのだろうとは思う。
それは恋愛感情というより家族愛に近かったかもしれないが、ソフィアにとってロビンは唯一無二の人だったことは間違いない。
星が一つ長い尻尾を揺らしながら流れて消えた。
ソフィアの回想は続く。
「なあ、ソフィア。たまには休まないといけないよね。遠出は無理だけれど王城内なら問題ないと思うんだ。どこか行きたい場所はないかな?」
今日の仕事を終え、ペンを片づけながらロビンが聞いた。
「バラ園も噴水も何度も行っているし……逆にどこか連れて行きたいところは無いの?」
本を棚に戻していたロビンが振り返った。
「あるよ。森を抜けた先にある湖だ。草原の向こうにきれいな湖があってね、その向こうには山脈が見える。湖畔には鹿がいたり真っ赤な羽をした小鳥なんかもいるんだ」
「まあ! 素敵ね。そこがいいわ」
「では明後日とかどう? ソフィアのお陰で仕事も捗ったから、明後日なら休めると思う」
そして約束の朝、厨房に頼んでランチボックスを用意したソフィアは、ウキウキしながら馬車乗り場に向かった。
数人の侍女と侍従、そして護衛騎士たちも準備万端で二人の到着を待っている。
「何事かしら?」
悪阻を理由に全ての仕事を放棄しているブリジッドが通りがかった。
「ああ、お義姉様。今日はお加減が良いのですか?」
ソフィアの言葉を皮肉にとったのか、ブリジッドが嫌な顔をして横を向いた。
「何をしているの? どこかに行くのかしら?」
「ええ、久しぶりのお休みですので、ロビンとピクニックに行くのです」
「ピクニック? 夫が視察に行ってしまって、一人で悪阻に耐えなくちゃいけない私を置いて二人で楽しもうっていうの? 随分酷いことをするのね」
「いえ……それは……」
ロビンがやってきた。
「やあ、待たせちゃったねソフィア。あれ? ブリジッドじゃないか。今日は調子が良いのかな?」
ブリジッドの顔色が変わった。
「ロビン! あなたまで! 私は独りぼっちなのよ? あなた達だけ楽しいことをするなんて酷いわ」
「え? いや、そういうわけじゃないよ。ブリジッドは悪阻が酷くて仕事もできないって聞いたから……誘えばよかったね」
「仕事ができないのは本当よ。でもピクニックに行くなんて酷いわ。私はレオに冷遇されている可哀そうな第二王子妃なのよ? みんなもっと私を気遣うべきだわ」
「えっと……みんな気遣っているとは思うけど……だったら君も一緒に来るかい? 良いでしょう? ソフィア」
ここで嫌だと言えば、この我儘な義姉と同じになってしまうと思ったソフィアは、精一杯の作り笑いを浮かべた。
「ええ、もちろんよ。ランチもたくさん用意したから大丈夫だわ」
途端にブリジッドの機嫌が直る。
「そう? そこまで言うなら付き合わないでもないわ。今日はいつもよりずっと体調が良いからラッキーだったわね」
そう言うと、従えていた侍女から日傘を受取り、さっさと馬車に乗り込んでしまった。
それを見たロビンがソフィアに言う。
「ごめんね、ソフィア。彼女も兄上がいなくて寂しいのだろう」
「ええ、大丈夫よ。今日は三人でゆっくりしましょう」
今思えばそこで確認するべきだったのだ。
いつも護衛してくれている騎士の中に、見知らぬ顔がいたことに気づきはしたが、ピクニックが楽しみすぎて確認を怠ってしまった。
「昔のままね、ロビン」
毎日悪阻で苦しんでいるとは思えないほどのはしゃぎぶりを見せるブリジッドに呆れながらも、ソフィアも来てよかったと思っていた。
湖畔に敷いたシートの上にサンドイッチを広げ、同行した者たちにもそれぞれ食事をするように伝える。
屋外とはいえここは王城の敷地内だ。
そうそう危険なことなど起こるはずもないと、全員がどこか油断をしていたのだろう。
「食事はまだなの?」
ロビンと一緒にボート遊びに興じていたブリジッドが戻るなりそう言った。
「準備はできていますわ。ロビンもこっちへ来て食べましょう」
ソフィアの言葉に頷いた二人がシートへ向かっていた時、ソフィアの後ろで何かが動いた。
新しいお茶を取りに行こうと腰を浮かせたソフィアが振り返ると、そこには護衛の制服に身を包んだ初めて見る顔の男が立っていた。
「あなた何を……」
ソフィアが問いただそうとした時、その男は懐から小型のナイフを取り出し、それを両手で構えて駆けだした。
声を出す暇もなく、ブリジッドの背中に向かっていく男の前に飛び出したソフィア。
「うっ……」
ブリジッドしか見ていなかった男は、ソフィアを突き飛ばす形で動きを止めた。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
弾かれたソフィアの体がブリジッドに後ろからぶつかるような形になり、ブリジッドは湖に落ちた。
近くにいた護衛達はソフィアを突き飛ばした男に殺到し、侍女たちは湖に落ちたブリジッドに駆け寄る。
「ブリジッド!」
一瞬だけソフィアを見たロビンは、迷わずブリジッドの救出に向かった。
上着を脱ぎ湖に飛び込むロビンの後姿を、ソフィアは確かに見たのだ。
「ロビン……なぜ……」
ソフィアが目を覚ましたのは自室のベッドの上だった。
その日に限って赤いワンピースドレスを着ていたため、暴漢に刺されたわき腹からの出血に気づくのが遅かったという騎士長の言い訳など、今となってはどうでもよいことだ。
泣きながら土下座をする侍女に聞くと、湖から助け出されたブリジッドを連れてロビンは馬車ですぐさま城へ向かったらしい。
刺されていたとは気づかないまでも、その場に我が妻をおきざりにするなどとんでもないことだと、侍女はロビンを責めていた。
倒れていたソフィアを助け起こしたのは、捕縛を終えた騎士たちで、その時になって初めてソフィアが刺されていたことが分かったらしい。
その時にはすでに馬車は出発しており、ソフィアは止血できないまま騎士に背負われ馬で帰らざるを得ない状況となる。
「妃殿下……お子はもう……残念です」
その言葉を聞いたソフィアは、再び意識を失ったのだった。
見上げれば満天の星があり、少し視線を下げれば王城の森が黒く浮かび上がっている。
この美しさをあの子にも見せてやりたかったとソフィアは思った。
「少し肌寒さを感じるような日だったわね。思っていたより湖はきれいだったけれど、水が冷たくて驚いたわ」
レオが辺境へと旅立ち、第一王子であるアランと第三王子であるロビンに、その仕事が振り分けられた。
日ごろはそれほどの仕事量を任されているわけではないロビンが、夕食の時間に遅れるほど頑張っていることを知っていたソフィアは、なんとかその心を癒したいとおもっていたのだ。
「ごめんね、今日も遅くなっちゃった」
「いいえ、お疲れさまでした。さあ食事にしましょう。今日はもう終わったのでしょう?」
少しせり出してきた腹を抱えたソフィアは食堂にロビンを迎え入れた。
「いや、もう少し残っているんだ。食事が終わったら執務室に戻らなくちゃ」
「手伝えることがある?」
「え? 手伝ってくれるの? でもソフィアはブリジッドの仕事を回されているのでしょう? ソフィアこそ休まなくちゃ。体だって大変でしょ?」
ロビンが優しくソフィアの手に手をのせた。
「仕事は大丈夫よ。それほど難しい内容でもないもの。それよりあなたを心配しながら寝室で一人待つ方が辛いわ。ロビンのお役に立ちたいのよ」
「ありがとうソフィア。では仕事が終わるまで一緒にいてくれる?」
「ええ、ぜひそうさせてほしいわ」
そうやって仲良く過ごしていた過去を思い、ソフィアは悲しい顔で笑った。
「あの頃は何も知らなくて、ただロビンと一緒に国のために頑張ろうって思ってたなぁ……」
今思い出してもソフィアは確かにロビンを愛していたのだろうとは思う。
それは恋愛感情というより家族愛に近かったかもしれないが、ソフィアにとってロビンは唯一無二の人だったことは間違いない。
星が一つ長い尻尾を揺らしながら流れて消えた。
ソフィアの回想は続く。
「なあ、ソフィア。たまには休まないといけないよね。遠出は無理だけれど王城内なら問題ないと思うんだ。どこか行きたい場所はないかな?」
今日の仕事を終え、ペンを片づけながらロビンが聞いた。
「バラ園も噴水も何度も行っているし……逆にどこか連れて行きたいところは無いの?」
本を棚に戻していたロビンが振り返った。
「あるよ。森を抜けた先にある湖だ。草原の向こうにきれいな湖があってね、その向こうには山脈が見える。湖畔には鹿がいたり真っ赤な羽をした小鳥なんかもいるんだ」
「まあ! 素敵ね。そこがいいわ」
「では明後日とかどう? ソフィアのお陰で仕事も捗ったから、明後日なら休めると思う」
そして約束の朝、厨房に頼んでランチボックスを用意したソフィアは、ウキウキしながら馬車乗り場に向かった。
数人の侍女と侍従、そして護衛騎士たちも準備万端で二人の到着を待っている。
「何事かしら?」
悪阻を理由に全ての仕事を放棄しているブリジッドが通りがかった。
「ああ、お義姉様。今日はお加減が良いのですか?」
ソフィアの言葉を皮肉にとったのか、ブリジッドが嫌な顔をして横を向いた。
「何をしているの? どこかに行くのかしら?」
「ええ、久しぶりのお休みですので、ロビンとピクニックに行くのです」
「ピクニック? 夫が視察に行ってしまって、一人で悪阻に耐えなくちゃいけない私を置いて二人で楽しもうっていうの? 随分酷いことをするのね」
「いえ……それは……」
ロビンがやってきた。
「やあ、待たせちゃったねソフィア。あれ? ブリジッドじゃないか。今日は調子が良いのかな?」
ブリジッドの顔色が変わった。
「ロビン! あなたまで! 私は独りぼっちなのよ? あなた達だけ楽しいことをするなんて酷いわ」
「え? いや、そういうわけじゃないよ。ブリジッドは悪阻が酷くて仕事もできないって聞いたから……誘えばよかったね」
「仕事ができないのは本当よ。でもピクニックに行くなんて酷いわ。私はレオに冷遇されている可哀そうな第二王子妃なのよ? みんなもっと私を気遣うべきだわ」
「えっと……みんな気遣っているとは思うけど……だったら君も一緒に来るかい? 良いでしょう? ソフィア」
ここで嫌だと言えば、この我儘な義姉と同じになってしまうと思ったソフィアは、精一杯の作り笑いを浮かべた。
「ええ、もちろんよ。ランチもたくさん用意したから大丈夫だわ」
途端にブリジッドの機嫌が直る。
「そう? そこまで言うなら付き合わないでもないわ。今日はいつもよりずっと体調が良いからラッキーだったわね」
そう言うと、従えていた侍女から日傘を受取り、さっさと馬車に乗り込んでしまった。
それを見たロビンがソフィアに言う。
「ごめんね、ソフィア。彼女も兄上がいなくて寂しいのだろう」
「ええ、大丈夫よ。今日は三人でゆっくりしましょう」
今思えばそこで確認するべきだったのだ。
いつも護衛してくれている騎士の中に、見知らぬ顔がいたことに気づきはしたが、ピクニックが楽しみすぎて確認を怠ってしまった。
「昔のままね、ロビン」
毎日悪阻で苦しんでいるとは思えないほどのはしゃぎぶりを見せるブリジッドに呆れながらも、ソフィアも来てよかったと思っていた。
湖畔に敷いたシートの上にサンドイッチを広げ、同行した者たちにもそれぞれ食事をするように伝える。
屋外とはいえここは王城の敷地内だ。
そうそう危険なことなど起こるはずもないと、全員がどこか油断をしていたのだろう。
「食事はまだなの?」
ロビンと一緒にボート遊びに興じていたブリジッドが戻るなりそう言った。
「準備はできていますわ。ロビンもこっちへ来て食べましょう」
ソフィアの言葉に頷いた二人がシートへ向かっていた時、ソフィアの後ろで何かが動いた。
新しいお茶を取りに行こうと腰を浮かせたソフィアが振り返ると、そこには護衛の制服に身を包んだ初めて見る顔の男が立っていた。
「あなた何を……」
ソフィアが問いただそうとした時、その男は懐から小型のナイフを取り出し、それを両手で構えて駆けだした。
声を出す暇もなく、ブリジッドの背中に向かっていく男の前に飛び出したソフィア。
「うっ……」
ブリジッドしか見ていなかった男は、ソフィアを突き飛ばす形で動きを止めた。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
弾かれたソフィアの体がブリジッドに後ろからぶつかるような形になり、ブリジッドは湖に落ちた。
近くにいた護衛達はソフィアを突き飛ばした男に殺到し、侍女たちは湖に落ちたブリジッドに駆け寄る。
「ブリジッド!」
一瞬だけソフィアを見たロビンは、迷わずブリジッドの救出に向かった。
上着を脱ぎ湖に飛び込むロビンの後姿を、ソフィアは確かに見たのだ。
「ロビン……なぜ……」
ソフィアが目を覚ましたのは自室のベッドの上だった。
その日に限って赤いワンピースドレスを着ていたため、暴漢に刺されたわき腹からの出血に気づくのが遅かったという騎士長の言い訳など、今となってはどうでもよいことだ。
泣きながら土下座をする侍女に聞くと、湖から助け出されたブリジッドを連れてロビンは馬車ですぐさま城へ向かったらしい。
刺されていたとは気づかないまでも、その場に我が妻をおきざりにするなどとんでもないことだと、侍女はロビンを責めていた。
倒れていたソフィアを助け起こしたのは、捕縛を終えた騎士たちで、その時になって初めてソフィアが刺されていたことが分かったらしい。
その時にはすでに馬車は出発しており、ソフィアは止血できないまま騎士に背負われ馬で帰らざるを得ない状況となる。
「妃殿下……お子はもう……残念です」
その言葉を聞いたソフィアは、再び意識を失ったのだった。
351
あなたにおすすめの小説
あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです
じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」
アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。
金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。
私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
あなたの愛が正しいわ
来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~
夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。
一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。
「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。
ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。
しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。
彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。
「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」
「分かりました。二度と貴方には関わりません」
何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。
そんな中、彼女を見つめる者が居て――
◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。
※他サイトでも連載しています
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜
桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」
私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。
私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。
王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした…
そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。
平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか?
なので離縁させていただけませんか?
旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。
*小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる