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第44話 偵察貧乳
結局、王女達に言う事を聞かせて俺への推薦を取り消させようとしたが、校長の強い推薦により俺は戦争に参加する事となった。
しかも最前線。
いや、それ以上の前線だった。
俺の所属する部隊は自国の領土を越え、最前線どころか敵国の領内に侵入していたのだ。
【強行偵察部隊】それが俺の所属する部隊の名前だった。
その役割は、名前のとおり力ずくで敵の情報を手に入れる事だ。
そしてその危険な任務に参加する隊員達もまた、非常に危険な連中だった。
俺が所属した部隊の隊長はこう言った。
「良いか小僧。手前ぇがどんなヘマをやらかして俺の部隊に流されてきたのかは知らねぇ。だから一番大事な事だけ教えてやる。いいか、足手まといになると思ったら死ね。そうすりゃ手前ぇの所為で味方が被害を受けなくて済む」
分っかりやすいわー。
なんという最前線、お前はハリウッド映画のイヤミな先輩キャラか。
任務を遂行していくうちに仲良く慣れるのかねぇ。
◆
なんて考えていたら俺の部隊は全滅した。俺以外。
敵の領地に突入した俺達は、闘気及び魔法レーダーを使用して敵部隊及び敵陣地の捜索をしていた。
そして俺の闘気レーダーに敵が全周囲から近づいてきた事を報告すると、鼻で笑われた。
「ここから逃げ出したいからっていいかげんな事言ってんじゃねぇ! 俺達の索敵にゃ何も引っかかってねぇぞ!!」
おっかしーなー、校長は俺を推薦したんだろ? だとしたら俺の闘気レーダーの索敵範囲も教えてると思うんだが。俺が子供だから侮られているのだろうか?
それとも、正確な情報が伝わって居ないのか?
そうして彼等のレーダーに敵の反応が映る頃にはすべては手遅れとなり、俺達の部隊は敵の遠距離からの襲撃で全滅した。
闘気の鎧で身を護っていた俺以外は。
他の仲間達も闘気や魔法で身を護っていたがここは敵の勢力圏内、こちらは少数なのに対して敵は圧倒的多数。
槍衾ならぬ魔法襖、と矢襖で多くの仲間が倒され、生き残った仲間も押し寄せる闘気襖で一方的に蹂躙された。
「後はこのガキだけだ、人質にするか?」
仲間を殺した敵が一人残った俺を囲む。
面白い事に。全員の兜の天辺が動物の耳の形になっている。
ネコ耳兜、ウサ耳兜など様々だ。そして尻には尻尾、手や足がモフモフの連中もいる。
いわゆる獣人だ。
バルネスは獣人の比率が多い国家の様である。
「こんな所にいるガキだぞ、どうせ金に困った借金持ちの平民か奴隷だろ。人質にするだけ無駄だ。奴隷にするにしても町へ戻る許可が出るまでは食わせにゃならんぞ」
「じゃあ、とっとと殺すか」
あー、そうきましたか。
獣人兵がニヤニヤ笑いながら剣を抜く。
「少しは楽しませてくれよボウズ」
どうやらコイツは殺しを楽しむ性質のようだ。
だったら、遠慮は要らないな。
俺は全身を覆う闘気を更に強くする。
「1%だ」
俺の闘気が跳ね上がった瞬間、闘気を扱う闘士達が緊張で体を硬くする。
ほんの一瞬の動揺。
その動揺のスキを縫って俺は攻撃を開始した。
「【闘気斬】!!」
ミスリルの短剣の刀身に纏わせた闘気を斬撃特性のある射撃武器として射出する。
抵抗できずに胴体が真っ二つになった兵士が一人、片腕を失った兵士が一人、わき腹を切り裂かれた兵士が一人。
兵士が悲鳴をあげる前に両足に闘気を集中させて闘気で地上を滑る様に移動する。闘気ホバーだ。
闘気ジェットは目立ちすぎるので、体が多少浮く程度に闘気を調整して地上を高速移動する方法を考案してみた。
瞬く間に敵陣の懐に飛び込んだ俺は、必殺の技を発動させる。
「【紅蓮顕現】!!!」
右手から伸びた赤い闘気の剣が目の前の敵兵士の胴体を真っ二つにする。
更にその後ろにいた兵士も巻き添えで腹を切り裂かれ大量の血と臓物を撒き散らす。
左手の持ったミスリルの短剣は刀身に闘気を纏わせ威力を上げた事で敵の喉笛をかき切った。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
【闘気刃】の攻撃でダメージを受けた敵兵士が、漸く悲鳴を上げる。
しかしその頃には俺は既に敵集団の中に入り込み、敵兵の鏖殺を開始していた。
たった一人残った俺に油断して、陣形も組まずに漫然と俺を囲んだ兵士達。
それ故に内側に入られた事で、兵士達は同士討ちを恐れて反応が鈍った。
俺は彼等が仲間との適切な距離を開けて態勢を整える前に殺せるだけ敵を殺した。
俺の【紅蓮顕現】【闘気剣】は、敵の防御を無視して豆腐の様に敵を切り裂いた。
敵も闘気や魔法で防御を高めるが、俺の圧倒的な闘気量の前では紙の装甲同然。
敵を切り裂きながらタレントセンサーでランダムに敵のステータスを図っていく。
《闘気30》《魔力10》
《闘気42》《魔力13》
《闘気36》《魔力17》
《闘気20》《魔力45》
《闘気13》《魔力62》
はっきり言ってザコばかりだ。
俺の闘気65535の相手になるやつなんて居ない。1%の力でも十分な位だ。
《闘気255》《魔力97》
ん? 奥にたった一人だけ飛びぬけて強いヤツがいるな。
鎧に身を纏った小柄な獣人。
コイツがボスかな?
ボスは俺の強さを測るかの様に動かない。
そしてこの場にいる敵の数が7割にまで落ち込んだ時点でボスとその周囲にいる敵も動き出した。
《闘気50》《魔力117》
《闘気142》《魔力24》
お供の二人も高い数値だな。
「馬鹿正直に戦うな! 魔法で動きを止めろ!!」
あ、そりゃ不味い。
俺は魔力の高い敵兵士目掛けて闘気刃を乱射する。
闘気の消耗とか一切考えない大放出だ。
「ぐはっ!」
闘気刃を全身に喰らった兵士が細切れになって倒れる。
他の闘士達が闘気防御で魔法使いを護ろうとするが、護ろうとした魔法使い毎真っ二つに切り裂かれ崩れ落ちていく。
「何という強い闘気だ!!」
「落ち着け、このように闘気を無駄使いしていたら直ぐに闘気切れを起こす! 回避に専念して相手の消耗を狙え!!」
ボスのお供が指示を飛ばす。
中々に冷静だ。だがそれならまとめてなぎ倒すだけだ。
俺は赤い闘気の剣に更に闘気を込め、刀身を伸ばす。
「な、何だと!?」
闘気の剣はもはや大剣などというには生ぬるいほど巨大な剣へと変貌した。
しかしコイツは闘気を結晶化した剣、普通の武器と違って重さなど全く無い。
俺は闘気の剣を構えて、グルリと一回転した。
兵士達が闘気の剣をから逃れようとするが、あまりにも長い刀身からはとても逃れられない。
剣を持って只回転する。それだけの行為で瞬く間に7割の兵士が真っ二つとなった。
3割の勘の良い兵士達は獣人の強靭な肉体を使って、即座に回避行動に移った。
鹿角の獣人は大きく跳躍して回避し、犬型の獣人は伏せる事で回避した。
しかしその回避はあくまで本能の警告に従った突発的な反応。その回避には隙が大きすぎた。
彼等が態勢を立て直すまでの瞬間、いわゆる硬直タイムから回復するまでの間に俺は更に闘気の大剣を振り回した。
狙うは跳躍から落ちてくる兵士達。
蚊を叩き落すよりも簡単に敵の兵士達が真っ二つになっていく。
「おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
伏せる事で回避した敵兵士達が俺に一斉に飛び掛ってきた。
個別に攻撃するよりも一斉に攻撃した方が、回避が困難だと判断したのだろう。
自身の死を恐れない潔い判断だ。
だから俺は真上に跳躍した。
何人かの飛び掛ってきた敵兵士達が回避する事も出来ずに互いの武器で傷つく。
「今だ! 狙い打て!!」
お供が空中に逃げて回避のできない俺に攻撃しろと命令を発する。
見れば二人のお供の内の一人は敵のボスが伏せるのを優先したのだろう、胴体から真っ二つになっており、その手だけがボスの背中に残っていた。
命令を発したお供も片腕がなくなっている。
ボスの近くに落ちている事から察するに、二人共ボスの命を優先したようだ。
もしかしたらボスは貴族なのかもしれない。
なら捕まえるのはボスだけでよい。他は全員皆殺しだ。
こっちも味方を皆殺しにされた。仏心をだして情報を持ち帰られたらたまったもんじゃない。
「【エアスラッシャー】!!」
「【ファイアアロー】!!」
「【闘気刃】!!」
「【アイスランス】!!」
敵兵が空中の俺に向かって攻撃を放つ。
誰もが絶対命中を確信していた。
そして俺はその希望を打ち砕いた。
「「「「っ!?」」」」
俺は闘気ジェットで敵兵の魔法をあっさりと回避。
「【闘気刃】!!」
呆然とする兵士達に向けて空中から闘気の刃が無差別に降り注ぐ。
勿論ボスのいる方向には飛ばして居ない。
そして2分と経たずに敵は全滅した。
◆
残ったのは俺とボスだけ。
だがボスは体を震わせて動かない。
顔まで覆う兜の所為で見えないが、恐らく恐怖に怯えているのだろう。
俺はボスに向かって歩き出す。
ボスは体をビクリと震えさせて一歩下がるが、そこで踏みとどまる。
俺は更に近づいていく。
ボスは腕の振るえを無理やりもう片方の手で止めると、腰に下げた剣を抜いて俺に告げた。
「き、貴様も戦士なら私と戦え!!」
それは女の声だった。
少々高めの声である事を考えると少女かもしれない。
ふむ、貴族の少女か。コレはアリかもしれない。
負けたらくっ殺とかいってくれるのかな。
「負けた方は勝った相手に絶対服従するって条件なら戦ってもかまわないけど」
「っ!! な、なら私が勝ったら貴様には私の部下になってトリアドと戦って貰うぞ!!」
ボスが精一杯の虚勢を張って俺の挑発を受け入れる。
「良いよ」
「ならば、決闘だ!!」
ボスが俺に向かって突撃してくる。
だがその攻撃はあまりにもつたなく、闘気での強化をしなくても回避が可能であった。
とはいえ、ボスが無能なのではない。
単純に校長に鍛え上げられた俺と比較しての話である。
ボスの攻撃を余裕で回避した俺は、ボスの兜を奪い取る。
「な、か、返せ!!」
仮面の下から現れたのはちょっと気の強そうな犬耳美少女であった。
しかも顔が赤い。
「可愛いな」
思った事を口にする。
すると元から顔を赤くしていたボスは更に顔を真っ赤にする。
「ふ、ふざけるな!!」
怒ったボスが剣を振り回して向かってくるが、怒りで我を忘れた攻撃など恐れるものではない。
俺はボスから剣を奪い近くの気に向けてブン投げる。
剣はその半ばまでが木にめり込んだ、あれではボスがどう頑張っても剣を抜く事は出来ないだろう。
「ああっ!」
剣を奪われたボスの顔が絶望に歪む。
更に俺はボスの鎧の留め具を闘気による身体強化で無理やり引きちぎり中の体を白日の元にさらす。
鎧の下は動きやすいようにシンプルな服になっていた。
そのお陰でボスの体型も非常に分かりやすい。
ボスの体型は貧乳だった。
つまりボスの顔が赤かったのは俺の【貧乳モテ】スキルが発動していたからだったのだ。
まぁ分かっていたが。
「き、貴様、私を辱めるつもりか!!」
はい、そのつもりです。
俺はボスを軽々と組み伏せる。
「コレでもう反撃できない。お前の負けだ」
「くっ、殺せ!!」
おお、言った。コレが生くっ殺か。いいな。
「うぁぁぁぁ!!」
ボスが首だけを動かして俺に噛み付こうとする。
勿論俺は余裕で回避する。
そしてボスの体に覆いかぶさるとその唇をふさいだ。
「っ!?」
何をされたのか理解できないボスの唇を下でなぞる。
ボスの体がビクンと震えた。
ボスが状況を理解するまでに俺は自分の体をボスに擦り付ける。
太ももを絡ませ、自分の胸をボスの胸に押し付ける。逆あててんのよ状態だ。
ボスの手に自分の手を組ませてダブル恋人繋ぎにして動きを封じる。
ボスの口に下を侵入させようとするが、さすがにそれは拒絶され、舌に噛み付こうとしてくる。
だが俺はその口撃を回避し、ボスの歯茎を舌でなぞる。
「っっ!!?」
未知の快楽に体を震わせるボス。
俺はボスの唇から己の唇を放し、耳元で囁いた。
「可愛いな」
「っ!!!」
それだけの事でボスの体が振るえ、全身が桜色に染まっていく。
「お前を俺のモノにしたい。だから勝者として命令する。『俺のモノになれ』」
ボスが感極まった様に震えながらため息を吐く。瞳は潤み、太ももをもじもじとさせて俺の目を見つめる。
だがわずかに残った正気が彼女に拒絶の言葉を呟かせた。
「わ、私は……貴方の敵だ……」
「貴様」とか「お前」ではなく「貴方」なあたりが既に陥落寸前な証拠である。
「私は……貴族として、隊を指揮するモノとしてお前に屈する訳には行かない!」
自分の言葉で力を取り戻したのだろう。己に言い聞かせるようにボスは強く言葉を発した。
だから俺は止めを刺した。
「お前は戦いに負けた。そして負けたら相手の命令に従うと約束した。だから約束どおり俺のモノになれ。命令だ、お前はもう俺のモノだ!」
俺はボスの返事を待たずキスをした。
今度は反撃を警戒したゆるいキスではない。
相手を堕とす為のガチのキスだ。
「っ! ~~~~~~~っ!!」
ボスの唇を俺の唇が蹂躙する。
身をよじって拒絶するボスの体を抱きしめ、足を絡め、俺達は一匹の蛹になったかのように一つの固まりになる。
逃さぬ様に、愛を教え込む様に口の中に無理やり舌をねじ込み、ボスの舌と絡ませあう。
もはや互いの体に絡み合っていない場所など存在しないといわんばかりに俺達は密着しあった。
「~~~~~~っ…………」
そしてついに抵抗する気力がなくなったのだろう。
ボスの体から一切の力が抜け脱力した。
俺が唇を離すと、互いの舌が糸を引き垂れる。
「はひゅ……」
ボスが呂律の回らない声を発する。
口からはだらしなくよだれが垂れる。
「っ、んっ……」
突然股間辺りが生暖かくなる。
何事かと思い見てみれば、ボスの股間から暖かな液体が漏れ出しているではないか。
やりすぎて漏らしてしまったみたいだ。
俺は夢見心地のボスに放しかける。
「俺のモノになると言え」
「……なり……まひゅぅ……」
よしよし、じゃあ情報収集タイムと行きましょうか。
「お前の名前は? お前の階級と所属、目的を教えろ」
敵を捕まえた時に行う基本的な尋問を開始する。
捕まえた相手が貴族だった場合は身代金を貰えるから金になるし、重要な任務を負っている可能性もあるからな。
「私は……アルベーラ=バルネス、第10王女です。王女なので階級はありません。目的は時期女王を選出する為の選抜試験を勝ち抜く為です」
王女ですと!?
しかも最前線。
いや、それ以上の前線だった。
俺の所属する部隊は自国の領土を越え、最前線どころか敵国の領内に侵入していたのだ。
【強行偵察部隊】それが俺の所属する部隊の名前だった。
その役割は、名前のとおり力ずくで敵の情報を手に入れる事だ。
そしてその危険な任務に参加する隊員達もまた、非常に危険な連中だった。
俺が所属した部隊の隊長はこう言った。
「良いか小僧。手前ぇがどんなヘマをやらかして俺の部隊に流されてきたのかは知らねぇ。だから一番大事な事だけ教えてやる。いいか、足手まといになると思ったら死ね。そうすりゃ手前ぇの所為で味方が被害を受けなくて済む」
分っかりやすいわー。
なんという最前線、お前はハリウッド映画のイヤミな先輩キャラか。
任務を遂行していくうちに仲良く慣れるのかねぇ。
◆
なんて考えていたら俺の部隊は全滅した。俺以外。
敵の領地に突入した俺達は、闘気及び魔法レーダーを使用して敵部隊及び敵陣地の捜索をしていた。
そして俺の闘気レーダーに敵が全周囲から近づいてきた事を報告すると、鼻で笑われた。
「ここから逃げ出したいからっていいかげんな事言ってんじゃねぇ! 俺達の索敵にゃ何も引っかかってねぇぞ!!」
おっかしーなー、校長は俺を推薦したんだろ? だとしたら俺の闘気レーダーの索敵範囲も教えてると思うんだが。俺が子供だから侮られているのだろうか?
それとも、正確な情報が伝わって居ないのか?
そうして彼等のレーダーに敵の反応が映る頃にはすべては手遅れとなり、俺達の部隊は敵の遠距離からの襲撃で全滅した。
闘気の鎧で身を護っていた俺以外は。
他の仲間達も闘気や魔法で身を護っていたがここは敵の勢力圏内、こちらは少数なのに対して敵は圧倒的多数。
槍衾ならぬ魔法襖、と矢襖で多くの仲間が倒され、生き残った仲間も押し寄せる闘気襖で一方的に蹂躙された。
「後はこのガキだけだ、人質にするか?」
仲間を殺した敵が一人残った俺を囲む。
面白い事に。全員の兜の天辺が動物の耳の形になっている。
ネコ耳兜、ウサ耳兜など様々だ。そして尻には尻尾、手や足がモフモフの連中もいる。
いわゆる獣人だ。
バルネスは獣人の比率が多い国家の様である。
「こんな所にいるガキだぞ、どうせ金に困った借金持ちの平民か奴隷だろ。人質にするだけ無駄だ。奴隷にするにしても町へ戻る許可が出るまでは食わせにゃならんぞ」
「じゃあ、とっとと殺すか」
あー、そうきましたか。
獣人兵がニヤニヤ笑いながら剣を抜く。
「少しは楽しませてくれよボウズ」
どうやらコイツは殺しを楽しむ性質のようだ。
だったら、遠慮は要らないな。
俺は全身を覆う闘気を更に強くする。
「1%だ」
俺の闘気が跳ね上がった瞬間、闘気を扱う闘士達が緊張で体を硬くする。
ほんの一瞬の動揺。
その動揺のスキを縫って俺は攻撃を開始した。
「【闘気斬】!!」
ミスリルの短剣の刀身に纏わせた闘気を斬撃特性のある射撃武器として射出する。
抵抗できずに胴体が真っ二つになった兵士が一人、片腕を失った兵士が一人、わき腹を切り裂かれた兵士が一人。
兵士が悲鳴をあげる前に両足に闘気を集中させて闘気で地上を滑る様に移動する。闘気ホバーだ。
闘気ジェットは目立ちすぎるので、体が多少浮く程度に闘気を調整して地上を高速移動する方法を考案してみた。
瞬く間に敵陣の懐に飛び込んだ俺は、必殺の技を発動させる。
「【紅蓮顕現】!!!」
右手から伸びた赤い闘気の剣が目の前の敵兵士の胴体を真っ二つにする。
更にその後ろにいた兵士も巻き添えで腹を切り裂かれ大量の血と臓物を撒き散らす。
左手の持ったミスリルの短剣は刀身に闘気を纏わせ威力を上げた事で敵の喉笛をかき切った。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
【闘気刃】の攻撃でダメージを受けた敵兵士が、漸く悲鳴を上げる。
しかしその頃には俺は既に敵集団の中に入り込み、敵兵の鏖殺を開始していた。
たった一人残った俺に油断して、陣形も組まずに漫然と俺を囲んだ兵士達。
それ故に内側に入られた事で、兵士達は同士討ちを恐れて反応が鈍った。
俺は彼等が仲間との適切な距離を開けて態勢を整える前に殺せるだけ敵を殺した。
俺の【紅蓮顕現】【闘気剣】は、敵の防御を無視して豆腐の様に敵を切り裂いた。
敵も闘気や魔法で防御を高めるが、俺の圧倒的な闘気量の前では紙の装甲同然。
敵を切り裂きながらタレントセンサーでランダムに敵のステータスを図っていく。
《闘気30》《魔力10》
《闘気42》《魔力13》
《闘気36》《魔力17》
《闘気20》《魔力45》
《闘気13》《魔力62》
はっきり言ってザコばかりだ。
俺の闘気65535の相手になるやつなんて居ない。1%の力でも十分な位だ。
《闘気255》《魔力97》
ん? 奥にたった一人だけ飛びぬけて強いヤツがいるな。
鎧に身を纏った小柄な獣人。
コイツがボスかな?
ボスは俺の強さを測るかの様に動かない。
そしてこの場にいる敵の数が7割にまで落ち込んだ時点でボスとその周囲にいる敵も動き出した。
《闘気50》《魔力117》
《闘気142》《魔力24》
お供の二人も高い数値だな。
「馬鹿正直に戦うな! 魔法で動きを止めろ!!」
あ、そりゃ不味い。
俺は魔力の高い敵兵士目掛けて闘気刃を乱射する。
闘気の消耗とか一切考えない大放出だ。
「ぐはっ!」
闘気刃を全身に喰らった兵士が細切れになって倒れる。
他の闘士達が闘気防御で魔法使いを護ろうとするが、護ろうとした魔法使い毎真っ二つに切り裂かれ崩れ落ちていく。
「何という強い闘気だ!!」
「落ち着け、このように闘気を無駄使いしていたら直ぐに闘気切れを起こす! 回避に専念して相手の消耗を狙え!!」
ボスのお供が指示を飛ばす。
中々に冷静だ。だがそれならまとめてなぎ倒すだけだ。
俺は赤い闘気の剣に更に闘気を込め、刀身を伸ばす。
「な、何だと!?」
闘気の剣はもはや大剣などというには生ぬるいほど巨大な剣へと変貌した。
しかしコイツは闘気を結晶化した剣、普通の武器と違って重さなど全く無い。
俺は闘気の剣を構えて、グルリと一回転した。
兵士達が闘気の剣をから逃れようとするが、あまりにも長い刀身からはとても逃れられない。
剣を持って只回転する。それだけの行為で瞬く間に7割の兵士が真っ二つとなった。
3割の勘の良い兵士達は獣人の強靭な肉体を使って、即座に回避行動に移った。
鹿角の獣人は大きく跳躍して回避し、犬型の獣人は伏せる事で回避した。
しかしその回避はあくまで本能の警告に従った突発的な反応。その回避には隙が大きすぎた。
彼等が態勢を立て直すまでの瞬間、いわゆる硬直タイムから回復するまでの間に俺は更に闘気の大剣を振り回した。
狙うは跳躍から落ちてくる兵士達。
蚊を叩き落すよりも簡単に敵の兵士達が真っ二つになっていく。
「おおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
伏せる事で回避した敵兵士達が俺に一斉に飛び掛ってきた。
個別に攻撃するよりも一斉に攻撃した方が、回避が困難だと判断したのだろう。
自身の死を恐れない潔い判断だ。
だから俺は真上に跳躍した。
何人かの飛び掛ってきた敵兵士達が回避する事も出来ずに互いの武器で傷つく。
「今だ! 狙い打て!!」
お供が空中に逃げて回避のできない俺に攻撃しろと命令を発する。
見れば二人のお供の内の一人は敵のボスが伏せるのを優先したのだろう、胴体から真っ二つになっており、その手だけがボスの背中に残っていた。
命令を発したお供も片腕がなくなっている。
ボスの近くに落ちている事から察するに、二人共ボスの命を優先したようだ。
もしかしたらボスは貴族なのかもしれない。
なら捕まえるのはボスだけでよい。他は全員皆殺しだ。
こっちも味方を皆殺しにされた。仏心をだして情報を持ち帰られたらたまったもんじゃない。
「【エアスラッシャー】!!」
「【ファイアアロー】!!」
「【闘気刃】!!」
「【アイスランス】!!」
敵兵が空中の俺に向かって攻撃を放つ。
誰もが絶対命中を確信していた。
そして俺はその希望を打ち砕いた。
「「「「っ!?」」」」
俺は闘気ジェットで敵兵の魔法をあっさりと回避。
「【闘気刃】!!」
呆然とする兵士達に向けて空中から闘気の刃が無差別に降り注ぐ。
勿論ボスのいる方向には飛ばして居ない。
そして2分と経たずに敵は全滅した。
◆
残ったのは俺とボスだけ。
だがボスは体を震わせて動かない。
顔まで覆う兜の所為で見えないが、恐らく恐怖に怯えているのだろう。
俺はボスに向かって歩き出す。
ボスは体をビクリと震えさせて一歩下がるが、そこで踏みとどまる。
俺は更に近づいていく。
ボスは腕の振るえを無理やりもう片方の手で止めると、腰に下げた剣を抜いて俺に告げた。
「き、貴様も戦士なら私と戦え!!」
それは女の声だった。
少々高めの声である事を考えると少女かもしれない。
ふむ、貴族の少女か。コレはアリかもしれない。
負けたらくっ殺とかいってくれるのかな。
「負けた方は勝った相手に絶対服従するって条件なら戦ってもかまわないけど」
「っ!! な、なら私が勝ったら貴様には私の部下になってトリアドと戦って貰うぞ!!」
ボスが精一杯の虚勢を張って俺の挑発を受け入れる。
「良いよ」
「ならば、決闘だ!!」
ボスが俺に向かって突撃してくる。
だがその攻撃はあまりにもつたなく、闘気での強化をしなくても回避が可能であった。
とはいえ、ボスが無能なのではない。
単純に校長に鍛え上げられた俺と比較しての話である。
ボスの攻撃を余裕で回避した俺は、ボスの兜を奪い取る。
「な、か、返せ!!」
仮面の下から現れたのはちょっと気の強そうな犬耳美少女であった。
しかも顔が赤い。
「可愛いな」
思った事を口にする。
すると元から顔を赤くしていたボスは更に顔を真っ赤にする。
「ふ、ふざけるな!!」
怒ったボスが剣を振り回して向かってくるが、怒りで我を忘れた攻撃など恐れるものではない。
俺はボスから剣を奪い近くの気に向けてブン投げる。
剣はその半ばまでが木にめり込んだ、あれではボスがどう頑張っても剣を抜く事は出来ないだろう。
「ああっ!」
剣を奪われたボスの顔が絶望に歪む。
更に俺はボスの鎧の留め具を闘気による身体強化で無理やり引きちぎり中の体を白日の元にさらす。
鎧の下は動きやすいようにシンプルな服になっていた。
そのお陰でボスの体型も非常に分かりやすい。
ボスの体型は貧乳だった。
つまりボスの顔が赤かったのは俺の【貧乳モテ】スキルが発動していたからだったのだ。
まぁ分かっていたが。
「き、貴様、私を辱めるつもりか!!」
はい、そのつもりです。
俺はボスを軽々と組み伏せる。
「コレでもう反撃できない。お前の負けだ」
「くっ、殺せ!!」
おお、言った。コレが生くっ殺か。いいな。
「うぁぁぁぁ!!」
ボスが首だけを動かして俺に噛み付こうとする。
勿論俺は余裕で回避する。
そしてボスの体に覆いかぶさるとその唇をふさいだ。
「っ!?」
何をされたのか理解できないボスの唇を下でなぞる。
ボスの体がビクンと震えた。
ボスが状況を理解するまでに俺は自分の体をボスに擦り付ける。
太ももを絡ませ、自分の胸をボスの胸に押し付ける。逆あててんのよ状態だ。
ボスの手に自分の手を組ませてダブル恋人繋ぎにして動きを封じる。
ボスの口に下を侵入させようとするが、さすがにそれは拒絶され、舌に噛み付こうとしてくる。
だが俺はその口撃を回避し、ボスの歯茎を舌でなぞる。
「っっ!!?」
未知の快楽に体を震わせるボス。
俺はボスの唇から己の唇を放し、耳元で囁いた。
「可愛いな」
「っ!!!」
それだけの事でボスの体が振るえ、全身が桜色に染まっていく。
「お前を俺のモノにしたい。だから勝者として命令する。『俺のモノになれ』」
ボスが感極まった様に震えながらため息を吐く。瞳は潤み、太ももをもじもじとさせて俺の目を見つめる。
だがわずかに残った正気が彼女に拒絶の言葉を呟かせた。
「わ、私は……貴方の敵だ……」
「貴様」とか「お前」ではなく「貴方」なあたりが既に陥落寸前な証拠である。
「私は……貴族として、隊を指揮するモノとしてお前に屈する訳には行かない!」
自分の言葉で力を取り戻したのだろう。己に言い聞かせるようにボスは強く言葉を発した。
だから俺は止めを刺した。
「お前は戦いに負けた。そして負けたら相手の命令に従うと約束した。だから約束どおり俺のモノになれ。命令だ、お前はもう俺のモノだ!」
俺はボスの返事を待たずキスをした。
今度は反撃を警戒したゆるいキスではない。
相手を堕とす為のガチのキスだ。
「っ! ~~~~~~~っ!!」
ボスの唇を俺の唇が蹂躙する。
身をよじって拒絶するボスの体を抱きしめ、足を絡め、俺達は一匹の蛹になったかのように一つの固まりになる。
逃さぬ様に、愛を教え込む様に口の中に無理やり舌をねじ込み、ボスの舌と絡ませあう。
もはや互いの体に絡み合っていない場所など存在しないといわんばかりに俺達は密着しあった。
「~~~~~~っ…………」
そしてついに抵抗する気力がなくなったのだろう。
ボスの体から一切の力が抜け脱力した。
俺が唇を離すと、互いの舌が糸を引き垂れる。
「はひゅ……」
ボスが呂律の回らない声を発する。
口からはだらしなくよだれが垂れる。
「っ、んっ……」
突然股間辺りが生暖かくなる。
何事かと思い見てみれば、ボスの股間から暖かな液体が漏れ出しているではないか。
やりすぎて漏らしてしまったみたいだ。
俺は夢見心地のボスに放しかける。
「俺のモノになると言え」
「……なり……まひゅぅ……」
よしよし、じゃあ情報収集タイムと行きましょうか。
「お前の名前は? お前の階級と所属、目的を教えろ」
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