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運命が残酷すぎるだろ
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しおりを挟むああ、人生が呪わしいわ……。
痛む頭を押さえてため息を吐きたいのを堪え、バートを呼ぼうとした時だ。
「フィリリア、可愛い弟と過ごしてあげなさい。アレクは貴女と過ごすためにお勉強を頑張って終わらせたのよ。それに応えてあげなさい」
可憐な声に顔を上げれば、お母様が階段から降りて来られた。艶やかに流れた長い亜麻色の髪は後ろで緩やかに纏められ、美しく整った顔立ちに微笑みを浮かべる様は優美さに満ちている。
お母様は私の手を取り、髪を優しく撫でてくれる。澄んだ青空のような色をした穏やかな瞳に見つめられると後ろめたくなり、目を逸らしたい気持ちになる。
私はお母様の瞳が苦手だ。惜しみのない愛情に溢れていて、それを見ていると悲しくなる。私はこの瞳に、捨てられるのだと思ってしまうから。
「ただいま帰りましたお母様」
「お帰りなさいフィリリア。貴女がこの日を迎える事ができて、心から嬉しく思うわ。貴女は本当に殿下とお会いできる日を楽しみにしてたから。お慕いする殿下と楽しい時間は過ごせたかしら?」
冷たくしたアレクシスと同じ質問に躊躇う。思わずアレクシスの反応を伺いそうになるが、意識しないようにお母様だけを見る。
「……ええ、お母様。殿下は私の事を私が思う以上に気に掛けて下さり、とても楽しい時間を過ごせましたわ。この日を迎える事ができたのも、お母様が付き切りで看病をして下さったおかげですわ」
すると、お母様は目を細め、自分の事のように嬉しそうに笑みを深くされる。
私には勿体ない程に、優しいお母様だ。高熱に倒れた時、お母様は夜通し付き切りで看病をしてくれた。死の淵を彷徨っている中、私の手を強く握りしめ、涙を流してくれたお母様の姿を朧気だけど覚えている。だらこそ、ジクジクと胸が痛んでしまう。
「さあ、私の可愛い子供たち。楽しいお茶の時間にしましょう。お母様も入れてくださいな」
「はいお母様! 行きましょう姉様」
差し出されたアレクシスの手を取ることを躊躇する。
だけど、お母様の視線も感じて、拒否できる理由もなかった私はその小さな手を握った。するとアレクシスは嬉しそうに笑って私を見上げてくるが、私は話し掛けてくるお母様に集中する振りで目を逸らした。伝わってくる温かく柔らかな感触を意識しないようにする。
お母様も出てきた以上、私がアレクシスを拒絶できる理由はない。だから仕方がない事。可愛い弟を愛でる気持ちなど、私にはないのだから。
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