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第一章

幸せとは

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では幸せとは何だろう。

前世の記憶が蘇る。
「王家に嫁いで、お世継ぎを産めたら、この上ない幸せだろう?」

お父様の声だ。

お父様もお母様も大切に育ててくれた。
でも大人って分からない。
結局、娘を王家に嫁がせて自分の権力を強くしたいのが本音のくせに。
私は政治の道具じゃない。
道具として可愛がっていただけなの?
それが貴族の運命なの?

絶対に嫌。
私の人生は私が決める。

そして、自由な時代に生まれ変わった。

自分の力で生きていく。
経済的にも、精神的にも自立する。

その先に幸せがあるはず。

そんな事を考えながらまた一口モナカを食べると、
皮はパリパリで香りも良く、
餡子は甘すぎない。

美味しい。かなり美味しい。

胸が高鳴って気分が高揚してきた。血糖値が上がっているのかもしれない。

そして私は前言撤回することを決めた。


私、今幸せです。

その先とかじゃなくてモナカを食べている今この瞬間まさに幸せです。

人生って今この瞬間の幸せをみつけていくことの連続でいいんじゃない?

先のことばっかり、重く考えすぎだったんじゃない?

あれ?なんで前世で毒なんか飲んじゃったんだろう?
マカロンも美味しかったのにね!

自由な時代が、モナカが私を解放してくれた。

その時
ブゥン、とスマホのバイブが鳴った。










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