全てを諦めた公爵令息の開き直り

第２章

６０話 そこをなんとか

「何が？」

ご厄介って、何の事だ？
首を傾げる僕に、カイトとカレンは僕の手を握って訴えて来た。

「このお屋敷に住まわせて下さーい！」
「もう王宮は嫌なんだよー！」

……。

「え、嫌だ。」
「何で？！」
「だって、お前達うるさいし、扱いが面倒過ぎる。手に負えない。無理。」

この邸宅に住まわせろだって？
無理に決まっているだろう。
王宮の様な警備体制は流石に敷けないし。
救世の巫子達に何かあったら、また死刑場まっしぐらじゃないか。

「そこをなんとか！」
「此処に住まわせてくれるなら、黙ってお屋敷を抜け出したりとか、絶対そんな事しないって約束するから！」
「王宮に居た時は抜け出してたのか？！」
「やろうとした事があるのは認めましょう。」
「無理だ。こんな非常識な奴、一人でも手に負えないのに、二人もなんて！」

今世を頑張ろうとした途端、やっぱり無理な気がして来た。
現実逃避したくなる。
ワイワイと喋っている僕達に、テオが割って入った。

「まずはお館様の了解を得ませんと。」

た、確かに。
いくら僕が折れたとしても、この公爵邸を預かる叔父が首を縦に振らなければ、そもそもどうにもならない。
僕はホッと胸を撫で下ろした。