全てを諦めた公爵令息の開き直り

第２章

９４話 復活

そうして、次の日の朝。

「おはよう！シリル、テオさん！」

元気な声で僕を眠りから覚まさせたのは、すっかり元に戻ったカイトで。
しばらくして、カレンも奥の部屋から出て来た。

「おはよー！やー、よく寝たわぁ～」

彼女も清々しい顔をしている。
宮女達にアデリートの薄手で涼し気な服を着せてもらい、動きやすいとご満悦だった。

「カイト、カレン……もう大丈夫か？」

心配で尋ねる僕に、二人は弾ける笑顔で大丈夫だと笑って。

「ごめんね、心配かけちゃって……。でも、もー完全復活した！」

両腕を伸ばして快活にアピールして来るカイトや頷くカレンを見て、僕はようやくホッと肩の力を抜いた。

それから、復活した巫子達の事を耳にしたアデリート王に、さっそく朝食に誘われて。

「昨日は一日爆睡してしまって、ご心配をおかけしました～。慣れない長旅で急に疲れが出たみたいで……アハハ」

カイトはそう言って心配していた王族の面々を軽く受け流していた。

そうして互いに話に花を咲かせながらゆっくりと食事を終え、与えられた部屋へ戻ろうとした時、後ろから呼び止められる。

「巫女様方。」
「…あ、ロレンツォ殿下。」
「お体の方はもう、大丈夫ですか？」
「はい！丸1日寝たから、もうすっかり元通りですよ！ご心配おかけしました。」

朝食の席でも顔を合わせた筈だが、まだ気にされていた様で。
彼女らから改めて直接言われ、殿下はようやく本当に安堵の表情を浮かべた。

「宜しければ、母を紹介したいと思うのですが…」
「えぇ、是非！」

遠慮しながら言って来た殿下に、カレンは満面の笑みで答えた。