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会いたい人はお前以外いない
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最初の人生では告白は俺からだった。
いや、告白ではなかった。
「お前以外は会いたくない」
自分でも何言ってるのか分からなかったけど、あいつは分かったようで
「僕も愛してるよ」
と言った。
嬉しかったのに素直になれず、甘い言葉の一つも吐けず、
「ふーん」
と言って終わらせてしまった。
それでも、俺が死ぬまで一緒にいてくれた。愛してるとか好きだとか毎日言ってくれて嬉しかった。うまく返せなかったけど本当に好きだと思ってた。
あいつが寝てるときににしか、好きって言えなくて、キスだってそうだ。
いっそ起きてくれればよかった。
そしたら、素直に好きって言えたかな。
もう、遅いけど。
今はあいつを待っている。
なるべく遅く来てね。
早く会いたいけど、長生きして欲しい。
そう思って、毎日あいつを見てる。
でも、俺が死んでからずっと元気がない。
もう死んでから五年も経っているのに、一向に俺を思って夜は必ず泣いている。
一途すぎて泣けちゃうよ。
あいつが泣いてるのに、慰めてあげれない。
もう忘れていいよ。
そう言いたいのに、言えない。
余命が分かってたのに死ぬまでに他の人と幸せになってだなんていくらでも言えたのに言えなかった。
素直に言えば、今ごろ笑って過ごしてたかなぁ。
余命宣告がされた時に別れるつもりだった。
「そんなこと言わないでよ」
見透かされたように言われた。
まだ、名前を呼んだだけなのに、俺への理解度が高すぎる。
それから、毎日、病院に来てくれた。
ありがとうって言えばよかった。
大好きだってずっと思ってるのに、伝えられなかった。
ある日、あいつは病院には似合わない花束を持ってきた。
「来世でも、一緒にいて」
その日はもう俺が治らないと知らされた日だった。
死んだ後に知ったけど、治る確率は元々、数パーセントだったけど、それがゼロに等しくなってしまった事を先生に伝えられていたらしい。
出来るだけ側にいてあげてください。
そう言われたあいつはどう思ったんだろう。
来世の分まで約束してくれた。
それだけで充分で泣きそうだった。
もう死んでもいいって思った。不謹慎だけど。
それなのに、素直になれなくて
「覚えてたらね」
たった一言、うんって言えなかった。
それだけなのに、俺は馬鹿だ。
でも、覚えてなくても、きっと、俺は変わらず好きになる。だから、またそう言って欲しい。
「優雨は絶対覚えてるよ」
好きだと思った。今更だけど、好きだなって。
胸がいっぱいで、好きで頭が埋め尽くされている。
死ぬ前ですら、言葉にできない。もう残された時間は少ないのに。
死ぬ数日前に熱がでた。
その日も、もちろんあいつはいてくれて、酷く安心した。
家に帰ってしまう時間になったとき、いつもは絶対に言えないのに熱が素直にしてくれた。
「葉月、行かないで」
熱でうまく喋れなかったけど、聞こえたみたいで目を今までにないくらい大きくあけて、驚いた顔が見えた。
あんな顔は二度と見れない気がする。
そのまま、すぐ寝てしまったけど、朝起きたら手を握ってくれていて嬉しかった。帰っても良かったのに俺は幸せものだ。
「好き、大好き。幸せにしてくれてありがとう。来世でも一緒にいてね」
寝ている時にしか言えないから、久しぶりに言えて泣きそうになった。最近は涙脆い。
多分、素直なったのはそれが最後だ。
俺が死ぬ時、ずっと一緒にいてくれたのも結局あいつ一人だ。
心臓が止まる前ですら素直になれなかった。
ワイシャツの袖口を握るのが俺に出来る最大限の甘え方だった。
それすらも分かったようで
「好きだよ。愛してる」
そう言って、キスをしてくれた。
「俺も嫌いじゃない」
好きって愛してるって言いたいのに。
「うん。僕のこと覚えててね。優雨」
忘れないよ。
言いたかった言葉は空気が抜けて、もう言えない。
心臓が止まる音が真っ白な部屋に響いた。
最後の最後まで、好きとは言えなかったけど、葉月がいたから一番幸せに死ねたよ。
来世は好きって言いたいなぁ。
待ってるから、ゆっくり来てね。
いや、告白ではなかった。
「お前以外は会いたくない」
自分でも何言ってるのか分からなかったけど、あいつは分かったようで
「僕も愛してるよ」
と言った。
嬉しかったのに素直になれず、甘い言葉の一つも吐けず、
「ふーん」
と言って終わらせてしまった。
それでも、俺が死ぬまで一緒にいてくれた。愛してるとか好きだとか毎日言ってくれて嬉しかった。うまく返せなかったけど本当に好きだと思ってた。
あいつが寝てるときににしか、好きって言えなくて、キスだってそうだ。
いっそ起きてくれればよかった。
そしたら、素直に好きって言えたかな。
もう、遅いけど。
今はあいつを待っている。
なるべく遅く来てね。
早く会いたいけど、長生きして欲しい。
そう思って、毎日あいつを見てる。
でも、俺が死んでからずっと元気がない。
もう死んでから五年も経っているのに、一向に俺を思って夜は必ず泣いている。
一途すぎて泣けちゃうよ。
あいつが泣いてるのに、慰めてあげれない。
もう忘れていいよ。
そう言いたいのに、言えない。
余命が分かってたのに死ぬまでに他の人と幸せになってだなんていくらでも言えたのに言えなかった。
素直に言えば、今ごろ笑って過ごしてたかなぁ。
余命宣告がされた時に別れるつもりだった。
「そんなこと言わないでよ」
見透かされたように言われた。
まだ、名前を呼んだだけなのに、俺への理解度が高すぎる。
それから、毎日、病院に来てくれた。
ありがとうって言えばよかった。
大好きだってずっと思ってるのに、伝えられなかった。
ある日、あいつは病院には似合わない花束を持ってきた。
「来世でも、一緒にいて」
その日はもう俺が治らないと知らされた日だった。
死んだ後に知ったけど、治る確率は元々、数パーセントだったけど、それがゼロに等しくなってしまった事を先生に伝えられていたらしい。
出来るだけ側にいてあげてください。
そう言われたあいつはどう思ったんだろう。
来世の分まで約束してくれた。
それだけで充分で泣きそうだった。
もう死んでもいいって思った。不謹慎だけど。
それなのに、素直になれなくて
「覚えてたらね」
たった一言、うんって言えなかった。
それだけなのに、俺は馬鹿だ。
でも、覚えてなくても、きっと、俺は変わらず好きになる。だから、またそう言って欲しい。
「優雨は絶対覚えてるよ」
好きだと思った。今更だけど、好きだなって。
胸がいっぱいで、好きで頭が埋め尽くされている。
死ぬ前ですら、言葉にできない。もう残された時間は少ないのに。
死ぬ数日前に熱がでた。
その日も、もちろんあいつはいてくれて、酷く安心した。
家に帰ってしまう時間になったとき、いつもは絶対に言えないのに熱が素直にしてくれた。
「葉月、行かないで」
熱でうまく喋れなかったけど、聞こえたみたいで目を今までにないくらい大きくあけて、驚いた顔が見えた。
あんな顔は二度と見れない気がする。
そのまま、すぐ寝てしまったけど、朝起きたら手を握ってくれていて嬉しかった。帰っても良かったのに俺は幸せものだ。
「好き、大好き。幸せにしてくれてありがとう。来世でも一緒にいてね」
寝ている時にしか言えないから、久しぶりに言えて泣きそうになった。最近は涙脆い。
多分、素直なったのはそれが最後だ。
俺が死ぬ時、ずっと一緒にいてくれたのも結局あいつ一人だ。
心臓が止まる前ですら素直になれなかった。
ワイシャツの袖口を握るのが俺に出来る最大限の甘え方だった。
それすらも分かったようで
「好きだよ。愛してる」
そう言って、キスをしてくれた。
「俺も嫌いじゃない」
好きって愛してるって言いたいのに。
「うん。僕のこと覚えててね。優雨」
忘れないよ。
言いたかった言葉は空気が抜けて、もう言えない。
心臓が止まる音が真っ白な部屋に響いた。
最後の最後まで、好きとは言えなかったけど、葉月がいたから一番幸せに死ねたよ。
来世は好きって言いたいなぁ。
待ってるから、ゆっくり来てね。
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