悪の組織は魔法少女に壊滅させられたのち異世界に飛ばされました

ねこ侍

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第19話 緊急会議2 壁について

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「じゃ次は稲荷町への対応についてだな」
                     
「いよっ。町長代理、がんばれーッス」
                
 妖魔大王に向かって手を振る暗黒騎士。
                
 正午に行われた「妖魔人間合同説明会」では町民達の理解を概ね得る事が出来た。
 その後、町長不在の稲荷町において、町民達の圧倒的支持により「町長代理」に任命されたのだ。
                 
 本当の町長は、幸運にも転移には巻き込まれずに……いやいっその事、巻き込まれた方が幸運だったかもしれない。
 
 一夜にして町の一部が突如として消えてしまったのだ。
 数週間、あるいは数か月の間は、寝る暇も無い位の激務となるだろう。
                
 町民達は「大王のやる事にみんなついていく」と言ってくれた。

 これで色々スムーズに進める事が出来るな……

 妖魔大王は胸を撫で下ろすのだった。
                
                
「えー、昼の説明会でも言ったけど町に高い壁を作ろうと思うんだ。何か案がある人いる? 狐御前からの依頼でもあるんだけど」

妖魔大王がみんなを見回しながら案を募る。
                
「はいッス。町全部を囲うんッスか?」
                
 質問をする暗黒騎士を見てふと思い出す妖魔大王。

「……そう言えば暗黒騎士……いやス〇トロ熟女君。君、普通に喋っているけど、昨日わしをおいて逃げたよな」

 忘れてなかったーッス!!
 ギクリとする暗黒騎士。 

「……まーいい。そうだ町全体だ。しかもなるべく高い壁だ。狐御前の計画では、壁が出来たら今ある結界は消して、壁の上部からフタをする様に結界を張ると言ってた。その方が楽なんだと」

「ぞいぞい。確かにあのレベルの結界は長期間張り続けるのはきついぞい。で、高さはどのくらいぞい」

 だるま男爵がオレンジジュースを飲みながら尋ねる。
 ほんのりだが身体の色がオレンジ色がかっている。

「結界でフタをするんだから、一番高い所にある稲荷神社よりは高く建てないとまずいよな」
                
「あそこは標高30メートル位ありますわよ。壁というか塀ね、材料は何で作ります?」
                
「うーん、セメント? 石? 土? レンガ? 手っ取り早いのは土かなあ」

「大量の土が必要ですわね」

「あー地下をどんどん掘ってその土を地上に出すとか……」

「強度は大丈夫ッス?」 

「セメントやレンガならすぐ作れるにゃ」

「期間はいつまで?」
                
「どれくらいの量が必要になろうか」
                
 様々な意見が飛び交う。
 
 妖魔大王はうーむと悩んだ後、一旦結論を出す。

「よし、ひとまず土でいこう。他はそもそも材料が足りるかわかんないからな。モグライオン、地下から土は運べそうか?」

「大丈夫モグ!」

 体長5メートルはあるであろうモグラが、立派な獅子のたてがみをなびかせながら元気よく返事をする。
 モグライオンはモグラとライオンの合成妖魔であり、採掘部門の責任者である。
 たてがみが無ければただの巨大なモグラにしか見えない。

「はいッス」

 暗黒騎士が真っ直ぐ手をあげる。
                
「はい、暗黒騎士君」

「町の防衛も兼ねて、町の周りに深い堀を作ってはどうッスか? で、出た土をそのまま壁にしちゃうと」                

「お前天才かっ!」
                
 堀も出来て、壁も出来て、土の運搬も最小限で済む。                
 素晴らしい。
 昨日わしを置いて逃げた事は不問としよう。
                
「よーしそれでいこう。後は強度が問題かなー」

「石灰でも混ぜるモグ?」

「焼くとか?」
                
「妖力を込めながら作ればある程度の強度は保てるかと」
                                
「とにかく、うーんと分厚くすれば良いですわ」
                
「でも壁造りだけにあんまり手間も時間もかけられないんだよなー」
                
 他にも行う事はたくさんあるのだ。
 それに町の防衛を考えればなるべく早く壁を完成させなければならない。
 狐御前が今の結界を維持できるのは一週間が限度だろう。
 
「ぞいぞい。壁は吾輩に任せるぞい。穴掘って出た土を積み上げて、妖力注ぎながら固めるだけぞい?」
                
 だるま男爵が椅子の上で小さくジャンプしている。

「おっ。あれやるのか、だるま男爵。どれくらいで出来そう?」

「町から100メートル離したところに高さ50メートル、幅10メートルの壁で良いぞい?」

「ばっちりだ」

「それなら吾輩一人で一日あれば十分だぞい」

 だるま男爵がぱちりとウインクをする。
 
「おー頼もしいな。じゃ明日の朝から頼むな」

 と、 

「ねー。ダイちゃんダイちゃん」

 膝の上のサラが妖魔大王に話しかけてきた。

「ん? どーしたサラ。暇になったのか?」

「みてみてー。だるだるかけたー」

 紙の上には赤と黒のクレヨンで何かが描かれている。
 

「おー上手だねー。だるま男爵かなー?」

 妖魔大王はサラの頭をくしゃっとして、更にわしゃわしゃっとする。

「そー。だるだるー」

 どうやら「だるだる」とは、だるま男爵の事を指しているようだ。

「ぞい?」

 何事かとテーブルの上を転がって紙を覗き込むだるま男爵。
 
「ぞい~♪」

 だるま男爵は嬉しそうにゆらゆらと横揺れしている。
 そんなだるま男爵をサラが不意に持ち上げ自分の膝の上に置いた。
 
「ぞぞいっ!?」

 頭をこしこしとさすられているだるま男爵。
 どうやらサラに気に入られたらしい。

 だるま男爵は何とか脱出を試みているが、サラにがっちりと抱きかかえられている。

 妖魔大王の膝の上にいるサラの膝の上にいるだるま男爵。

「そこでじっとしとけ」

 妖魔大王はだるま男爵にそう告げると次の議題へと話を続ける。


「じゃ壁はだるま男爵に任せよう。次は稲荷町の復興についてだ」


 緊急会議はまだまだ続くのであった。

 
 
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