たどり着いた別世界で俺は……

ユウ

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3章

開戦

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「ルウ聞かせてくれないか? 君がこの世界に飛ばされた時の事と、飛ばされてからの事を」

 レキとルウは、ルインズとレイナに混乱していた広場を任せ、宿屋の自室にてルウの状況を伺っていた。

「私の名前は、流奈(るうな)と言います。 産まれは東京で、普通の高校生活を過ごしていました、あの時までは…」

「あの時?」

「はい、私はこの世界に飛ばされる直前に、通り魔に襲われて鈍器で殴られ、最終的に刃物で斬り刻まれて死んだ筈でした…」

「そして、この世界へと来ていたと…」

「そうです。 この世界に到着してから、一日程彷徨った私は、王国ギースに辿り着きました。 ですが、行く宛てが有る筈も無い私は、心身の疲労に勝てず、意識が朦朧として倒れてしまいました」

 ルウの顔が、少し暗くなったのが分かった。

「そこへセリアンが通りかかり、意識が朦朧としている私を助けました。 食事と服にお風呂等、生活に必要なものを与えて貰いました」

「それが、罠だったんだな?」

「はい。 ある日、プレゼントだと言って、首にチョーカーを付けられたのです。 チョーカーを付け終わると嘘かの様に態度が豹変し、スキルを確認する為の紙に手をかざさせられました。」

「痛かっただろう? 傷は大丈夫だったか?」

「痛みに悶えている私を宮廷の兵士が、回復魔法をかけてくれました」

「スキルは何だったんだ?」

「私のスキルは、拒絶の一つ、拒絶はSランクでイメージした位置の空間を断絶し、バリアの様な障壁を発生させる事が可能です」

「だから、レキ君の攻撃が弾かれてしまったのだね」

 扉の向こうから、声が聞こえた為にルウが少し飛び上がりそうにビクついた。

「ルインズ、扉の外から急に喋りかけるやめてほしいんだけど…」

 扉を開け、ルインズが部屋へと入ってくる。

「だから先にノックしようと言ったんですよ!!」

 後から、レイナがルインズに小言を言いながら入って来た。

「いやぁ、すまないね。 私もこの国を治める一人だから、ルウ君に確認したい事が有るのだが、良いかな?」

「はい。 もちろん知っている事ならば…」ルウは、不安ながらもルインズの目をしっかりと見つめながら答えた。

「助かるよ。 まずは、君についてだが此方の味方という認識で良いのかな?」

「私は、レキさんに助けて頂きましたので、レキさんに従います」

「わかった、それで充分だよ。 では、今後の事についてだが、恐らく明後日にはセリアンが、兵を連れて攻めて来るだろうが、そうなった場合に戦え…」

「戦えます!!」最後まで聞く事なくルウは、力強く言いきった。

「私は… いいえ、私を助けて下さったレキさんに刃を向ける者全てから、レキさんを守る盾になります!!」

「良いのかルウ!? 魔物を狩るだけじゃなくて人も殺す事になるんだぞ?」

 ルウの意志を聞かされ、慌てて声をかける。

「ルウ君の気持ちは分かった。 レキ君、こんなに可憐な女の子が、ここまで言っているのを止めるのは野暮だよ」

 ルインズが割って入いり、レキを制止した。

「レキさん、私は守るだけじゃ無くて戦えるんですよ!!」

「え?」
「え?」
「え?」

 その場にいた、三人がポカンとしていた。

「私が作る障壁は、形を自由に変えれるので、盾や障壁はもちろんですが、針や刃等にもなりますし、固定しか出来ませんけど空間に固定して刃を設置出来ますよ!!」

「めちゃくちゃ便利なスキル…」レイナがぼやいたのが聞こえた。

「ですので、街全体を守るのは無理でも、周囲に見えない罠を仕掛ければ、敵も物量で周囲全体から押し潰す作戦に踏み切れ無いのではないかと思うのですが…」

「そうすると、レキ君の圧倒的な負担という問題が半減すると言うか事か…」ルインズの声色が明るくなったのが分かった。

「流石は、放流者ですね!! ルウ様!!」

「いえ、そんな… 私は、戦闘において全くの素人ですので、スキルという力を振るうだけしか出来ないので様はやめてほしいです」

「ルウは、強いな」レキは、一人で恐怖や理不尽に争っていたルウを心からそう思ったのだった。

「分かった。 だが、無理だけはしないで欲しい… それだけは、約束してくれないか?」

「はい!!」レキから掛けられた言葉に、ルウは涙を浮かべながら、満面の笑みを浮かべた。

 翌日、ルインズはルウと共にイスト周辺に罠を設置し、レキとレイナは、兵士達の武器の生成を行った。

「レイナ、これで武器の破損して使えなくなった分を補填出来たか?」

「はい。 武器の方は問題無いかと… ですが…」レイナは、表情を曇らせる。

「防具か… 流石に全員が同じサイズって訳にはいかないもんな…」

すると、レキの裾を何かに引っ張られる。
「何だ?」咄嗟に振り向く。

「レキ様ですか?」少女がレキの裾を握りしめていた。

「ああ… そうだけど、どっかで会ったか?」

「やっぱり!!」少女は突如テンションを上げ、レキの首目掛けて抱きつく。

「君、どうした? 」

「レキ様。 この子たしか最初の依頼で、アースウルフに襲われていた子ではないですか?」

 「こら!! アーシャ!! レキ様に失礼だろ!!」後ろから男が近づいてくる。

「あんたは…」

「レキ様。 アースウルフの一件では、大変お世話になりました。 貴方様は、娘と私の命恩人です」男は、アーシャを抱き寄せながら深く頭を下げた。

「やめてくれよ、俺らは依頼をこなしただけだから、そんな大したことはしてないよ」

「この防具鍛治ドモン!! レキ様の元で働かせて頂きたい!!」ドモンは、更に深く頭を下げる。

「ま、まずは、頭を上げてくれないか?」ドモンの勢いに、慌てながらも頭を上げさせる。

「レキ様、どうかドモンの願いを叶えてやってはくれまいか?」ドモンの後ろから、屈強な男達が集まっていた。

「貴方達は?」次々と現れる人の多さに、頭が追いつかなくなってきた。

「これは、失礼しました。 私は、そこのドモンや後ろにいる、この街の鍛冶屋を束ねております、トマスと申します。」トマスは、軽く頭をさげる。

「その鍛冶屋の方々が、一体どうされたのですか?」

「これまでの戦いで、身を呈して街を守って頂いた恩を返す為に、我々も協力させて頂きたく参りました」

「だが、今回の一件は、俺の独断で招いてしまったんだ。 だから街のみんなには…」

「それも、一人の命を…守る為というのも伺っておりますので大丈夫です。 そんな、貴方様だからこそ街の者は皆、ルインズ様やレキ様に付いて行きたいと思っております」後ろに並んでいる、屈強な男達が腕を上げて雄叫びを上げる。

「そうか…」レキから、笑みがこぼれた。

「わかった。 皆に頼みたい事がある。 兵士達の防具の修理と出来る限りの強化を頼む。 その代わりに、この街は絶対に守ってみせる」レキの言葉に答える為、再び広場に雄叫びが響いたのだった。

「レイナ、この人たちの指揮を任せても大丈夫か?」

「わかりました。 レキ様はどうされますか?」

「俺は、門の様子を見に行ってくるよ」

「何か有れば声を掛けて下さいね」レイナは少し心配そうな顔をしていたが、肩を軽く叩いてその場を後にした。

 レイナと別れ門へと向かうと、門に人集りができている事に気づく。

「レキ様ー!!!!」人集りから此方に気が付いた兵士が慌てて駆け寄ってくる。

「何か有ったのか?」

「はい!! 報告致します。 王国ギース 第一王子セリアンから、大使が来ております。」

「わかった。 俺が相手をするよ」レキは、そろそろ来るであろうと覚悟していた。

「私は、セリアン王子から派遣された大使であるぞ!! イストの代表を出せと言っているのだ!! ギースに逆らう下等な愚民は下がっていろ!!」門の前で大声を上げている。

「自分達の国民に対し、下等な愚民呼ばわりかよ!! 王子が屑なら、取巻きや貴族も屑だな!!」レキは、大声を上げて門前の騒ぎをかき消すと、兵士や街の人々が退き始め、レキの前に大使へと繋がる一本の道を作った。

「我々を愚弄するのか? 放流者レキ!!」

「愚弄も何も、品性も無い無能の集団が偉そうに指図してんじゃねぇよ!!」レキの迫力に周りの人間も、息を飲みながら見守る。

「そ、その様な態度をとって良いのだな? 我が陣営の、兵士八千を相手に街一つで何が出来るのだ? 貴様を含めた放流者二名が此方に来ると言うなら、セリアン王子殿下も許して頂けるのだぞ?」

「ふざけるな!!」周りの人々が、再び騒ぎ始めた。

「俺が話してるんだ。 静かにしろぉぉっ!!」その場の空気が一気に凍りついた。

「お前を含め、セリアンも状況を理解していない様だなぁ? 二つ教えてやるよ。」レキは、呆れた表情で喋りだす。

「まず一つ目、俺とルウは国の防衛に最重要戦力で有り、只の人間であるお前らが、八千の兵士しか集めれてない時点で負けが確定している事。 そして、もう一つルウを苦しめた事だ」レキは鋭い眼光を向ける。

「こ、交渉は決裂だ!! 貴様の戯言が開戦の狼煙となった事を悔いるが良い!! やってしまえ!!」焦りつつもニヤついた大使が、手を上げ、勢いよく振り下ろす。

 すると、大使の背後と上空から数名の男達が、刃をレキに向けながらレキへと迫る。

「レキさん!!」
「レキ様!!」

 ルウと、レイナの叫び声が聞こえる。

 上空から降下してくる男達が、吐血し、空中で土手っ腹に大きな穴を開けながら静止している。

 正面からレキに向かってくる敵は、目にも止まらぬ速度で、レイナの斬撃に反応すら出来ず切り刻まれる。

「そ、そんな馬鹿な事が… 我が国の精鋭のアサシンだぞ!! それが一瞬で…」

「お前も此処で死んでおけよ」レキは、生成した大剣を大使へと飛ばし、一瞬で大使の命を摘み取った。

「レキ様ご無事ですか?」レイナは急いでレキの元へと駆け寄る。

「ありがとうなレイナ、ルウ」

「レキさんを守れて良かったです」

「それにしても、レキ君これからどうする? 敵はなりふり構わずに来る様だが…」

「それなんだが、俺が正面の制圧を行うから、ルウが街の中央に立って街を守ってくれ。」

「わかりました」ルウは頷く。

「レイナとルインズは、外壁の上から各兵士を連れてバリスタでの牽制を頼む」

「レキ様!! それではレキ様が一人で…」ルインズがレイナの肩に手を置いて静止する。

「君は、言っても聞かないんだろう?」

「どれだけ勝率の高い状況でも、仲間が傷つく所を見たくないんだ。 そして、俺の大事な人達や居場所を奪わせたくないからな!!」レキは、自分に出来る最高の笑顔で答え、後ろを振り返り、イストの人々に目一杯叫んだ。

「さぁ!! 俺達の叛逆の時だ!! 理不尽な権力を振りかざす奴等に、この街に喧嘩を売った事後悔させてやろうぜ!!」

 レキの訴えに、その場にいた人々の雄叫びが上がった。

「開戦だぁぁっ!!!!」
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