異世界探索記録

土方かなこ

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1章

背後の影

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 トクトクトク
鼓動が早まり心音が体に響く
 背中から染み出る血液は、学生服をぐっしょりと濡らしていった

トクトクトク トクトクトク
ホワイトも死なせてしまった

トクトクトク
なんの罪もないのに 僕のせいで…

トクトクトク
ガイ、ぁ

トクトクトク
死ぬ の か な…






「サクラ?サクラ? 笑っているの? 」
どこからともかく女性の声がする
僕を呼ぶんでいるのか?

「あっ 笑ったわぁ 赤ちゃんってどおしてこんなに可愛いのかしら」

「本当だね あれっ今度は顔をしかめてる
ははっ お腹空いたのかなぁ?」

今度は男性の声
幸せに満ち溢れた雰囲気がこちらにまで伝わってくる
「そうねぇ 本当に直ぐ機嫌がかわっちゃうのよねー」
僕の小さな手を握る
「本当に小さいなぁ でも、生きてる…」
「ええ 私達が生きた証がちゃんと生きてる」

男性が僕を抱えた女性ごと抱き締める
「何があっても僕は君たちを守らなくちゃ」
「ふふ この子だって男の子よ
きっと直ぐに手を離れてしまうところにいってしまうわ」
女性が男性に微笑みかける
「そうだとしても、だ
愛してるよ ハル、サクラ」





「さあってと俺は一本引っ掻けて寝るかねぇ 」
ジルはなんだか消化不良な気持ちのまま背中を丸めてアジトへ帰ろうとした

「っにしてもステラのやつ 魔方陣にかからないやつがいるなんていってなかったぜ」
ブツブツ文句を言いながら、頭では慰謝料の皮算用を始めている

「あいつがミスるなんて明日はドラコンが落っこちてくるにちげぇねえや」
ふとジルは背後に気配を感じる

「あん?用件なら明日にしろよ
俺様は今機嫌が悪い」
しかし背後の気配は歩をゆるめない

「ったくよぉ
そんなに死にたきゃ殺してやるよっ!」
イラつきのままに振り向け様に剣で斬りつけた、筈だった
剣は空を切り体制がよろめく
避けられた?

気配の招待は先程まで地面に転がってたはずの少年だった

「どおして坊っちゃんがここにいるのさ?まだ生きてたなんて驚きだぜ」

無言の少年にカチンと来たのか再び大きく剣を振りかぶる
「もう いいよ、お前 死ねっ!」

パシッ
「あっ?」
振り下ろしたはずの腕が少年に掴まれていた
手を引こうとしてもビクともしない
次第に力がどんどん強くなり、骨がミシミシと軋み始めた

「っお、おい」
「どうして忘れていたんだろう」

「は?」
「どうして どうして パパ、ママ」

「おい 手を離せやっ」
そう叫ぶと少年は感情の抜け落ちた目で、こちらを見上げた

「…思い出さなきゃ  魔法の言葉」






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