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第四話
しおりを挟む1 紗奈
「あれ?図書館にいるの、珍しいね。」
そう私に話しかけに来たのは、カースト三位の湊恵美だった。
「あのさ、図書委員だったら、この学校に関する本、どこにあるか分かる?」
そういうと、恵美は、笑みを見せてきた。
「こっちよ。」
恵美が指をさしたのは、奥のほうだった。
いかにも古そうな本が並んでいて、まるで異世界にでも連れていかれそうだ。
「ねぇ、もしかして、調べ物でもするの?」
私は恵美に目を向けた。
「そうだよね、きっとそう。でも、あなたはそれを知って絶望する。だから、見ない方がいいんじゃない?」
心の中に、恵美の声が流れてきた。
恵美はきっと、このスクールカーストについて何か知っているんだ。
そして、それを隠している。
でも、私は助けないといけない、芹菜を。
「あなたは芹菜が大好きね。でも、絶望するのは、10分後。じゃあ。」
そう言って、恵美が去っていった。
絶望するのは、10分後…。
恐らくこれは、私がスクールカーストの本について読み始めた時間を表しているのだろう。
きっと…いや、信じたくはないけど、芹菜に不幸が襲いかかる。
そう思いながらも、私は奥に足を延ばした。
2 芹菜
「ねぇ、芹菜ちゃん。ちょっとお話しない?」
そう声をかけてきたのは、久木愛莉だった。
愛莉は、ちょっと怖い…。
「芹菜ちゃん、良いよね?」
有無を言わせないするどい声だった。
でも、きっといい話だよね!だから、大丈夫!
持ち前のポジティブ変換を利用した。
「うん!いいよ!」
そう答えると、愛莉が変な笑顔を見せてきた。
「あなた…損するわね。そのポジティブ変換は。」
それに似たようなことを紗奈にも言われた気がする。
でも、私は笑顔だけを見せる人生にしたいから、人を疑わない
「ううん!ポジティブ変換も、楽だよ!」
愛莉が、「そう、いいわね。」と頷いて屋上へ促す。
放課後の屋上は少しだけ冷えて、肌寒かった。
夕日も暮れている。
きっと、五時か六時過ぎくらいなのだろう。
「あのね…竜馬と付き合ってるのは、私なの。」
「え…?」
愛莉の突然の告白と、真剣な笑みに心が疑い始めている。
「あのスクールカーストで一番上になるはずなのは、私。」
でも、ここで一つ疑問に思ったことがある。
以前の愛莉は、怒ったらすぐに殴ったり、泣いたり、感情的になることが多かった。
でも、目の前にいる愛莉は、少しだけ口角を上げて、冷静だった。
「でも…竜馬君の彼女は、私なんです。」
本当は…けど。
それでも愛莉は動じなかった。
「そう。でも、それは良いことだわ。」
そう言って、愛莉は口角をさらに上げた。
美人の不敵な笑みだった。
「いいことって…どういうことですか?愛莉は、竜馬君の事、好きなんじゃないの?」
私の問いかけに、待ってました!というように満面の笑みを浮かべる。
「あなた、この学校のスクールカースト制度のルールを知っているかしら?」
そこから、長々と愛莉がこの学校の歴史について語っていく。
愛莉の情報によると…。
・この学校には、スクールカースト制度というものがあり、それでカーストが決まる。
・そして、10月に事件が起こる。
・去年の中学二年生は、中学二年の10月になると、不登校者が増えた。
「不登校者が増えた理由は、何なんですか?」
これを聞くと、絶望するのは知っている。
けど、これを聞かないと、先に進めない!
「それは知らない。」
「は…?」
思わず、殴りそうになった。
こんな感情は初めてだが、騙されていたの…?
「でも、私のお姉ちゃんは、中二の二学期に不登校になった。そして、いっつもいっていたのよ。」
そこで、愛莉が息を吐き、大きく吸う。
「スクールカーストがバグったって。」
スクールカーストが…バグった?
「これはきっと、上下関係を意味している。」
だから、委員長は…!
「きっと、カースト上位が地獄に落ちる。」
あははは!と、愛莉が大きな声をあげて笑う。
そこからは、カラ元気、というものが感じられた。
でも…。
それだと、愛莉も一緒に落ちちゃうよ。
でも、わかる。
愛莉がカラ元気なのは、自分の最後を想像しているからだろう。
愛莉…。
少し近寄って、愛莉の手を握る。
愛莉の顔は少し引きつったが、少しするとだんだん涙がこぼれてきていた。
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