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第二戦 VSサビク 騎士の国と聖剣達
死者の蘇った国
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声の指示に従ってアルフォンスの元へと歩くタクマ。数度騎士にすれ違ったが、堂々としていれば案外バレないものである。
もっとも、他のプレイヤーは職質受けていたから、単純に服の関係のようなのだが。
「で、ここからは?」
「そこの墓地のヘイルマンという者の墓に触れろ。指示は以上だ」
「……転送か?」
返答はなかった。視線かと思っていた奇妙な感覚が抜けたので、通信が切れたのだろう。
「どう思う? メディ」
『先の通話のように、未知の技術の可能性があります。ここは罠かどうかはともかくとして乗ってみるべきかと』
「確かに、罠なら罠で情報になるしな」
『はい』
タクマとメディはそう会話をしながら剣を抜けるように鞘口を持って歩く。殺意の類は感じない。だが、警戒にこしたことはないのだから。
そうして、見つけたヘイルマンという男の墓。そこに触れてみると、それがすり抜けられると分かった。
「落ちるパターンか」
『ですね。人の墓を踏むのはあまり良い行いではありませんが』
「まぁ、そこはヘイルマンさんとやらが居たら謝ろう。土下座でもして」
『死者への冒涜はルール違反ですからね』
「そうそう。ヒトらしくするためにちゃんとしないと」
そう言ったタクマは周囲を見回し、視線がない事を確認してから見えない穴に落ちた。
そうして落ちた先には、先の戦いで生き残った騎士が数人いた。アルフォンスも含めて。
「どうも、明太子タクマです」
『その相棒のメディと申します。精霊とでも思っていただけるとそう間違いはないかと』
「……念のため名乗りはしないが、良いか?」
「はい。なら貴方の事はなんて呼べば良いんですか? 声の人」
「なら、サブリーダーで頼む」
「了解です」
タクマはリーダーが誰かを尋ねないそれは思考の結果として認識している信頼の得方だ。尋ねるべきでないことを理解していると思わせた方が、初対面での印象は良いのだ。
タクマは基本的に一点特化だが、それに関係する事はそれなり応用できる。例えば、今のように懐に入り込む為のコミュニケーションなどがそれに当たる。
そういうのを頭の中で理解すると、自己嫌悪で嫌になるのが琢磨であるのだが。
「それでアルフォンス、俺なんか追われてたんだけど」
「……稀人の生き残った者達の中で私にもっとも近しいのが君だったからだ。巻き込んでしまってすまない」
「いいよ、巻き込まれに来たようなもんだし……それで、今はどんな状況だ? 死者が蘇ってて、王子騙りの濡れ衣がお前にかかってるって思ってるんだが」
「大筋は合っている。順を追って話そう」
そうしてアルフォンスの口から語られる奇妙な話。
それは、今のソルディアルを覆っている闇についての話だった。
■□■
その事に気がついた最初の人物は、臨時徴兵に当たっていた騎士の一人だった。
部下の指導官の数が合わないのである。
多い方に。
それに気づいた騎士は、騎士の皆を集めた。偽物が紛れ込んでいるとは思えないが、変装をして過剰に仕事をしている者が居るなら問題だからだ。
しかし、指導に当たっていた騎士の中に偽物はいなかった。皆、正規の騎士である。勤務記録も正確だったし、変装の類でもなかった。
そうして、自分の記憶違いだろうとまだ動ける老人や女子供への訓練を終えた時には、さらに騎士が増えていた。
そして、訓練に関わっている者の中には自分と親しかった、あの天狼に殺された者も含まれていた。
当然、その騎士は生き返った者詰め寄った。しかし、その騎士は殺された事に気が付いていなかったのだ。天狼と戦い生き延びたとだと思っていた。
希望的観点から聖剣の奇跡、という言葉頭に浮かんだ。しかし、それはない。聖剣はとうに失われている。
故に、その者に真実を伝えた。貴様は天狼に殺されたのだと。
その男は、「そうか」と笑い。
「ならば、また死ぬまでお前が俺を監視してくれ。悪しき者の企てだとて、我らのこの護国の気持ちに嘘はないと信じている」
そうして、死者が蘇る現象は、その現象のおぞましさは考えられずに、“死んだならまた死ねる”という騎士の新たな誓いを元に受け入れられた。
それから数ヶ月が経ち、死んだ者も新たな生活を楽しみ始めた頃にその事変は起こった。
現王ラズワルドが、病に罹ったのである。
そうならば、当然に政務の責任者として宰相のロドリグが挙げられる所だが、現在ロドリグと騎士団の関係は最悪だった。故に、修行に出ていた王子を一時的に代役にしようとしたその時。
王子が二人現れた。
二人の名前はアルフォンス。どちらも金髪で美形。そして鍛え上げられた身体を有している。
だが、王子は一人。確実にどちらかが偽物だった。
一人の王子は言った。王や宰相ロドリグに判断を委ねようと。
一人の王子は言った。斬り合って負けた方が偽物だと。
その二人のどちらの案が採用されたのかは言うまでもなかった。
しかし、そこにこそ罠はあったのだ。
故に今、本物と思われる方のアルフォンスは数少ない信じられる仲間と共にこうして隠れているのだった。
■□■
「王子様のようだとは思っていましたが、本当に王子様だったとは思いませんでした。数々の無礼、ご容赦を」
「……タクマ、半笑いで言われても説得力はないぞ」
「いや、そりゃ笑うしかないだろ。頭おかしいぞこの国」
「でなければ最後の一つ国になってまだ笑ってはいられぬよ」
タクマは爆笑するのを堪えて、メディは呆れてモノも言えない状態になっていた。
それはそうだろう。何せ、斬り合いを提案した方が本物のアルフォンス王子なのだから。
そして何者かの力で不正を起こされ、偽王子を殺してしまった罪人でもある。
「ああ、全く嫌になるよ。まさか不正を躱して斬り殺したら私の不正だと言われたのだからな」
「やっぱこの王子様強すぎる」
「何を言う。王族なのだから強くなくてどうする」
ここがゲーム世界だと久しぶりに実感した瞬間である。後ろで踏ん反り返ってる王様が強いとかねぇよ。と珍しく至極真っ当な感性で物事を考えたタクマであった。話が逸れているので追及しないが。
「それで、今をどう見てるんだ?」
「ふく……サブリーダー曰く、周到に練られた罠だと。私見も混じるが、多くの蘇った騎士達はその者なのだろう。彼らは皆高潔だ。しかし、一人二人かわからぬが、少数が偽物とすり替わり、要所で意思をコントロールしている。私たちが彼ら死人を受け入れた事、偽王子が出てきた事、そして無粋な手出しをしてきた者などな」
「つまり、そいつを殺すと?」
「そうだ。敵の目的がわからない以上、出だしを潰して時間を稼ぎたい。協力してくれるか?」
「まぁ、ウチにも派閥争いとかできたからその辺は待ってくれ。俺個人は勝手に付き合うつもりだけど」
「百人力だな」
「千人力の側だと誤差だと思うぞ? アルフォンス」
そうして、拳を突き合わせる。
『質問を。敵の目的は分かりますか?』
「分からない。王室の乗っ取りが狙いなら、僕を暗殺してから偽物を送り出すだろうからな」
『ならば、確実に味方だと言える方はいらっしゃいますか?』
「まずは、宰相のロドリグ殿。彼はこの事態で政権に手にしたが、特におかしな事はしていない。そして、それより前に入れ替わられたとしたら我が国はとうに滅んでいる。逆説的に白だ」
そうして、そんな人がどうして騎士団との付き合いが悪いのかを思考の隅に置いておく。ヒョウカならなにかに引っかかるかもしれない。
「次に、巫女長の母上。母上が死んだらこの国は滅びる。それが内側か外側かは分からないがな」
「すまん、その辺り詳しく頼む」
「……なるほど稀人はその辺りを知らないのか。母上は巫女達の長であり、この国の生命機構で結界を作り出している者でもあるんだ。それが崩れれば外の魔獣の行進を止められなくなる。そして、城の地下に封じ込められている大魔も這い出てくるだろう。そうなれば世界は終わりだ」
その言葉に思い出されるのは、一周目からずっと繰り返されているゲームオーバー時のモンスターパレード。
その大魔とやらがモンスター達の王なのだろう。その軍勢が城から出てきて人々を殺す。それがゲームオーバーの本フラグだ。タクマとメディはそう確信した。
「後は、父や護衛長殿などの乗っ取られていたら国が滅んでいる連中も除いて考えている。が、彼らに関しては敵の目的次第で変わってくるので100%白とは言い切れない。まぁ、父が殺されるとは思えないがな」
そう話を切って、アルフォンスはタクマの目を見た。
「怖気付いたか?」
「いや、困ってるだけだ」
そして、タクマは思った事をそのままに言う。
「誰を殺せばいいのか分からないのは面倒だからな」
「相変わらずで安心したよ」
『私としては、アルフォンス様のマスターへの好感度が不思議でならないのですが』
「……僕のはただ、正しく在ろうとしている人を、疑いの目で見れないだけだ。悪癖だよ」
そんな言葉を最後に、情報共有のためにロビーへと転移する。そう言う事ができるのだと伝えて。
■□■
そうしていると、ロビーでは激しい口論が行われていた。
内容は、騎士達に協力するかどうか。
どう考えても王子を斬ったアルフォンスこそ偽物であると言う考え。
テンプレ的に追われているのは本物だという考え。
そもそも偽王子の出所を調査しないといけないんじゃないか? という声。
それぞれが騎士派、王子派、調査派という所だろう。
そして、どれにも利はあるのだ。
なにせ、プレイヤーとしては失敗したらゲームオーバーで次に行けばいいだけなのだから。
「どうだヒョウカ、計算通りか?」
「今ここで議論してる人たちについてはね。どうにも、そうじゃない連中の方が重要な情報を握ってるかもしれないわね」
「まぁ、とりあえず載せて良いか? 俺の調査結果」
「ええ、構わないわ」
そうしてタクマは思考操作で掲示板にアルフォンスの話を何処にいるのかだけを隠して載せて、口論に待ったをかける。
タクマ基準での少し剣気でみな静かになった。だが、構えてくる者や殺しにくる者がいなくて当の本人は拍子抜けである。
「アルフォンスと会ってきました。詳しい話は掲示板に載せましたけど、なにをすれば良いのかは分かりません。アルフォンスも何が敵なのは分かっていないようです。皆さんの知恵を貸してください」
そう、頭を下げて議論をアルフォンスの敵を殺す方に誘導する。
一先ずこれで良いとして、議論が纏まるまでふらりとワールドへと赴く。
目的はないが、ちょっと鍛えたい気分なのである。故にタクマは襲ってくる騎士かダイナ師匠でも見つけようと、自然体で歩くのだった。
もっとも、他のプレイヤーは職質受けていたから、単純に服の関係のようなのだが。
「で、ここからは?」
「そこの墓地のヘイルマンという者の墓に触れろ。指示は以上だ」
「……転送か?」
返答はなかった。視線かと思っていた奇妙な感覚が抜けたので、通信が切れたのだろう。
「どう思う? メディ」
『先の通話のように、未知の技術の可能性があります。ここは罠かどうかはともかくとして乗ってみるべきかと』
「確かに、罠なら罠で情報になるしな」
『はい』
タクマとメディはそう会話をしながら剣を抜けるように鞘口を持って歩く。殺意の類は感じない。だが、警戒にこしたことはないのだから。
そうして、見つけたヘイルマンという男の墓。そこに触れてみると、それがすり抜けられると分かった。
「落ちるパターンか」
『ですね。人の墓を踏むのはあまり良い行いではありませんが』
「まぁ、そこはヘイルマンさんとやらが居たら謝ろう。土下座でもして」
『死者への冒涜はルール違反ですからね』
「そうそう。ヒトらしくするためにちゃんとしないと」
そう言ったタクマは周囲を見回し、視線がない事を確認してから見えない穴に落ちた。
そうして落ちた先には、先の戦いで生き残った騎士が数人いた。アルフォンスも含めて。
「どうも、明太子タクマです」
『その相棒のメディと申します。精霊とでも思っていただけるとそう間違いはないかと』
「……念のため名乗りはしないが、良いか?」
「はい。なら貴方の事はなんて呼べば良いんですか? 声の人」
「なら、サブリーダーで頼む」
「了解です」
タクマはリーダーが誰かを尋ねないそれは思考の結果として認識している信頼の得方だ。尋ねるべきでないことを理解していると思わせた方が、初対面での印象は良いのだ。
タクマは基本的に一点特化だが、それに関係する事はそれなり応用できる。例えば、今のように懐に入り込む為のコミュニケーションなどがそれに当たる。
そういうのを頭の中で理解すると、自己嫌悪で嫌になるのが琢磨であるのだが。
「それでアルフォンス、俺なんか追われてたんだけど」
「……稀人の生き残った者達の中で私にもっとも近しいのが君だったからだ。巻き込んでしまってすまない」
「いいよ、巻き込まれに来たようなもんだし……それで、今はどんな状況だ? 死者が蘇ってて、王子騙りの濡れ衣がお前にかかってるって思ってるんだが」
「大筋は合っている。順を追って話そう」
そうしてアルフォンスの口から語られる奇妙な話。
それは、今のソルディアルを覆っている闇についての話だった。
■□■
その事に気がついた最初の人物は、臨時徴兵に当たっていた騎士の一人だった。
部下の指導官の数が合わないのである。
多い方に。
それに気づいた騎士は、騎士の皆を集めた。偽物が紛れ込んでいるとは思えないが、変装をして過剰に仕事をしている者が居るなら問題だからだ。
しかし、指導に当たっていた騎士の中に偽物はいなかった。皆、正規の騎士である。勤務記録も正確だったし、変装の類でもなかった。
そうして、自分の記憶違いだろうとまだ動ける老人や女子供への訓練を終えた時には、さらに騎士が増えていた。
そして、訓練に関わっている者の中には自分と親しかった、あの天狼に殺された者も含まれていた。
当然、その騎士は生き返った者詰め寄った。しかし、その騎士は殺された事に気が付いていなかったのだ。天狼と戦い生き延びたとだと思っていた。
希望的観点から聖剣の奇跡、という言葉頭に浮かんだ。しかし、それはない。聖剣はとうに失われている。
故に、その者に真実を伝えた。貴様は天狼に殺されたのだと。
その男は、「そうか」と笑い。
「ならば、また死ぬまでお前が俺を監視してくれ。悪しき者の企てだとて、我らのこの護国の気持ちに嘘はないと信じている」
そうして、死者が蘇る現象は、その現象のおぞましさは考えられずに、“死んだならまた死ねる”という騎士の新たな誓いを元に受け入れられた。
それから数ヶ月が経ち、死んだ者も新たな生活を楽しみ始めた頃にその事変は起こった。
現王ラズワルドが、病に罹ったのである。
そうならば、当然に政務の責任者として宰相のロドリグが挙げられる所だが、現在ロドリグと騎士団の関係は最悪だった。故に、修行に出ていた王子を一時的に代役にしようとしたその時。
王子が二人現れた。
二人の名前はアルフォンス。どちらも金髪で美形。そして鍛え上げられた身体を有している。
だが、王子は一人。確実にどちらかが偽物だった。
一人の王子は言った。王や宰相ロドリグに判断を委ねようと。
一人の王子は言った。斬り合って負けた方が偽物だと。
その二人のどちらの案が採用されたのかは言うまでもなかった。
しかし、そこにこそ罠はあったのだ。
故に今、本物と思われる方のアルフォンスは数少ない信じられる仲間と共にこうして隠れているのだった。
■□■
「王子様のようだとは思っていましたが、本当に王子様だったとは思いませんでした。数々の無礼、ご容赦を」
「……タクマ、半笑いで言われても説得力はないぞ」
「いや、そりゃ笑うしかないだろ。頭おかしいぞこの国」
「でなければ最後の一つ国になってまだ笑ってはいられぬよ」
タクマは爆笑するのを堪えて、メディは呆れてモノも言えない状態になっていた。
それはそうだろう。何せ、斬り合いを提案した方が本物のアルフォンス王子なのだから。
そして何者かの力で不正を起こされ、偽王子を殺してしまった罪人でもある。
「ああ、全く嫌になるよ。まさか不正を躱して斬り殺したら私の不正だと言われたのだからな」
「やっぱこの王子様強すぎる」
「何を言う。王族なのだから強くなくてどうする」
ここがゲーム世界だと久しぶりに実感した瞬間である。後ろで踏ん反り返ってる王様が強いとかねぇよ。と珍しく至極真っ当な感性で物事を考えたタクマであった。話が逸れているので追及しないが。
「それで、今をどう見てるんだ?」
「ふく……サブリーダー曰く、周到に練られた罠だと。私見も混じるが、多くの蘇った騎士達はその者なのだろう。彼らは皆高潔だ。しかし、一人二人かわからぬが、少数が偽物とすり替わり、要所で意思をコントロールしている。私たちが彼ら死人を受け入れた事、偽王子が出てきた事、そして無粋な手出しをしてきた者などな」
「つまり、そいつを殺すと?」
「そうだ。敵の目的がわからない以上、出だしを潰して時間を稼ぎたい。協力してくれるか?」
「まぁ、ウチにも派閥争いとかできたからその辺は待ってくれ。俺個人は勝手に付き合うつもりだけど」
「百人力だな」
「千人力の側だと誤差だと思うぞ? アルフォンス」
そうして、拳を突き合わせる。
『質問を。敵の目的は分かりますか?』
「分からない。王室の乗っ取りが狙いなら、僕を暗殺してから偽物を送り出すだろうからな」
『ならば、確実に味方だと言える方はいらっしゃいますか?』
「まずは、宰相のロドリグ殿。彼はこの事態で政権に手にしたが、特におかしな事はしていない。そして、それより前に入れ替わられたとしたら我が国はとうに滅んでいる。逆説的に白だ」
そうして、そんな人がどうして騎士団との付き合いが悪いのかを思考の隅に置いておく。ヒョウカならなにかに引っかかるかもしれない。
「次に、巫女長の母上。母上が死んだらこの国は滅びる。それが内側か外側かは分からないがな」
「すまん、その辺り詳しく頼む」
「……なるほど稀人はその辺りを知らないのか。母上は巫女達の長であり、この国の生命機構で結界を作り出している者でもあるんだ。それが崩れれば外の魔獣の行進を止められなくなる。そして、城の地下に封じ込められている大魔も這い出てくるだろう。そうなれば世界は終わりだ」
その言葉に思い出されるのは、一周目からずっと繰り返されているゲームオーバー時のモンスターパレード。
その大魔とやらがモンスター達の王なのだろう。その軍勢が城から出てきて人々を殺す。それがゲームオーバーの本フラグだ。タクマとメディはそう確信した。
「後は、父や護衛長殿などの乗っ取られていたら国が滅んでいる連中も除いて考えている。が、彼らに関しては敵の目的次第で変わってくるので100%白とは言い切れない。まぁ、父が殺されるとは思えないがな」
そう話を切って、アルフォンスはタクマの目を見た。
「怖気付いたか?」
「いや、困ってるだけだ」
そして、タクマは思った事をそのままに言う。
「誰を殺せばいいのか分からないのは面倒だからな」
「相変わらずで安心したよ」
『私としては、アルフォンス様のマスターへの好感度が不思議でならないのですが』
「……僕のはただ、正しく在ろうとしている人を、疑いの目で見れないだけだ。悪癖だよ」
そんな言葉を最後に、情報共有のためにロビーへと転移する。そう言う事ができるのだと伝えて。
■□■
そうしていると、ロビーでは激しい口論が行われていた。
内容は、騎士達に協力するかどうか。
どう考えても王子を斬ったアルフォンスこそ偽物であると言う考え。
テンプレ的に追われているのは本物だという考え。
そもそも偽王子の出所を調査しないといけないんじゃないか? という声。
それぞれが騎士派、王子派、調査派という所だろう。
そして、どれにも利はあるのだ。
なにせ、プレイヤーとしては失敗したらゲームオーバーで次に行けばいいだけなのだから。
「どうだヒョウカ、計算通りか?」
「今ここで議論してる人たちについてはね。どうにも、そうじゃない連中の方が重要な情報を握ってるかもしれないわね」
「まぁ、とりあえず載せて良いか? 俺の調査結果」
「ええ、構わないわ」
そうしてタクマは思考操作で掲示板にアルフォンスの話を何処にいるのかだけを隠して載せて、口論に待ったをかける。
タクマ基準での少し剣気でみな静かになった。だが、構えてくる者や殺しにくる者がいなくて当の本人は拍子抜けである。
「アルフォンスと会ってきました。詳しい話は掲示板に載せましたけど、なにをすれば良いのかは分かりません。アルフォンスも何が敵なのは分かっていないようです。皆さんの知恵を貸してください」
そう、頭を下げて議論をアルフォンスの敵を殺す方に誘導する。
一先ずこれで良いとして、議論が纏まるまでふらりとワールドへと赴く。
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