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第二戦 VSサビク 騎士の国と聖剣達
人魔サビク・アルフォンス
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裏通りにやってきたアルフォンスと騎士達。そしてプレイヤー達。彼らは瞬く間に状況を終わらせて見せた。
それもそのはず。アルフォンスと直接繋がっているタクマは今回囮であり、騎士団と交渉をしに行ったのは道を教えられたヒョウカ達だったからだ。話の早い二人はすぐさま簡単な共闘関係を結び攻めの一手に出てきたのだ。
その目的は、シンプル。味方を確かにする事。
タクマの辿った道筋を正確になぞり歩く事でヒョウカ達は味方である事を証明した。
それをきっかけにして各地のグループで動いているプレイヤーを味方にした。
そしてこれから、王国内部の絶対に味方である人々を味方にする事で王国のシステムの正常化を図る事。それがアルフォンス達の狙いだった。
自らの潔白は二の次であり、牢に入ることも覚悟の上の行動は、その志は、多くの人の心を打った。それが、アルフォンスの王道だった。
そのような神速の軍備を整えたアルフォンスは、護衛として選ばれたタクマを傍に置いて、臨時拠点とした貴族の屋敷で書類の準備をしていた。
そしてそれが終わり一息着くタイミングをメディが予測して、タクマがお茶を入れる。
タクマのそれはVRのミニゲームでやった程度の腕ものだが、アルフォンスはそこそこ飲める程度にはお気に召したらしい。顔を綻ばせている。
「とりあえず、お疲れ様?」
「正直人を連れているのには慣れないよ。やはり先頭に立って戦うのが性に合っている」
この屋敷は、元戦士団の三人のいた入植者グループの屋敷だ。
主犯格の三人は形ばかりの拘束をして入植者の方々に面倒を見させている。つまり当面の無罪放免だった。
アルフォンスは彼らの話を聞いた結果、戦うべきと改めて覚悟を決めたからだ。
彼の国を思う心は、その非道を許してはいない。
「しかし良いのか? お前の護衛が俺で」
「生半な実力では邪魔でしかならない。私の剣はそういうものだからな」
「……あのゲートだとそうなるか」
「しかし、君は違う。君とのコンビは不思議と合うのだよ」
『仮説ですが、心根が正反対だからでは?』
「ありそうだな」
「……僕はそう思わない。君は、鋭く研がれた剣だ。人の事をそういうのは違うとは思うのだが、僕はそう感じた。だから、剣と共に生きるソルディアルの血が馴染んだのだろう」
そのような高い好感度に違和感を覚えるタクマだが、ありのままの自分を見てそう感じてくれているアルフォンスには感謝しかなかった。
しかし、解せない点があった。それはタクマの外付け良心回路でもあるメディも同じ事。
敵がいるから殺す。それは理解できる。
だが、アルフォンスが矢面に立つ必要はない。アルフォンスは責任のある王族であり屈強な騎士であるが、それだけなのだから。
「……なんで出てきたんだ?」
「僕は、この政変は実際の所どうだって良い。父上と母上が無事ならば国は続く。故にこの謀略の刃が僕止まりならば何もするつもりはなかったさ……しかし、敵は存在しないはずのマリオネティカを使った。それは、伝説において死んだはずのシリウスを使ったのと同様にだ。僕はそれを何者かのゲートの力だと思っている。過去のモノを再現する力、だろうか」
「……本当になんでもありだな」
「ゲートとはそういうモノだ。タクマもいずれわかるさ」
『それなら、マスターにゲートの使い方をご教授をお願いできますか?』
「残念ながら、無理だな」
そんなメディの声をばっさり切り捨てるアルフォンス。その言葉には“それができるなら苦労はないよ”というアルフォンスの、強いでは国全体の思いが乗っていた。
「ゲートのあり方はそれぞれだからな。凪のように心を沈める者も、死ぬほどに心を燃やす者、あるいは普段の心のままだからこそ開ける者。様々なのだよ」
『なるほど、理解しました』
「じゃあアルフォンスはどうなんだ?」
「……正直、恥ずかしい話なのだがな」
そう言って理由を呟いたアルフォンスは、顔を少し赤くしていた。
その理由が理解できてしまって、どうしてここまでアルフォンスと息が合う理由が魂で理解できた。
アルフォンスは、仮面が厚い者なのだ。その仮面を己のの肉にできた者なのだ。
だから、薄皮のようなものとはいえ仮面に人格を委ねているタクマとは合ってしまう。そういう事なのだろう。
「さて、そろそろ休憩は終わりだ。真正面から行くとしよう」
「だな」
そうしてプレイヤー達に連絡を入れてアルフォンスとタクマは王城に向かう。
その背中に、多くのプレイヤーを引き連れて。
■□■
そうして辿り着いたのは王城前。不気味なほどに妨害はなく、ただ堂々とアルフォンスの軍勢は歩いていた。
「止まれ! 、偽王子!」
「止まらぬ!」
若い騎士から投げかけられるその言葉に堂々と返すアルフォンス。その歩みに迷いはなかった。
しかし、そこに待ったをかけるのはこの城門を守る騎士隊の隊長。体はそう太くはないが、よく絞られている体付きだった。
手数で攻めるタイプだな、とタクマは思い、無手でどう対処するべきかを考えながら様子を見る。そこに害意はなくとも、おそらく必要はなくとも、タクマはアルフォンスの護衛役なのだから。
「逸るな若いの。偽王子だろうが王子だろうがどうでも良い。何が目的だ?」
「これを宰相殿に届けに来た」
そうして剣に手を掛けずに互いに近づき見せられた書状。
そこには様々な条約に対しての回答が書かれてあった。これからどこにどの権力が回されるのかの草案が。
そして、“自身は王位継承権を放棄する”という言葉が載せられていた。
「……あぁ、本物だろうが偽物だろうがこれなら関係ないな。良い手を考える」
「あいにくと私も私が本物だともう証明できないのでな。だからこう言う奇策に打って出る事にした。新しい友人の奥方はなかなかに知恵者でね」
その言葉にタクマは内心で“まだ奥方じゃねぇよ何言ってんだヒョウカの奴”と呟き、『まだとは、半ば認めているのではないですか』とメディの言葉に頭を抱える。
そしてその様子は、当の本人に笑いを堪えられながら後ろで見られていた。
「では、これを俺が宰相どのに届ければ?」
「ああ。だがこの話は色々と面倒だ。僕も護衛を一人連れて直接行く。……だれが敵か分からないからな」
「あなたが敵である可能性は?」
「それは無い。そう剣に誓おう」
「わかりました、王子」
そのこの国では最上級の誓いに受け入れた騎士はアルフォンスとタクマを城門の中に通した。
■□■
タクマとアルフォンス、そして騎士は王城内を進み始める。
そして正門を潜ったその時に
「アルフォンス、王城はいつもこうなのか?」
「……そんなわけがあるか。隊長殿、ご注意を」
「お二人は何か感じましたか?」
その言葉にアルフォンスは「敵の影を」と返し、タクマは「死の気配を」と返す。
その言葉に違和感を覚えることはなく隊長は剣を抜いた。
「敵を見つけるまでは俺が」
「責任問題など私とタクマにすべて擦り付けてしまえば良い。抜くぞ」
「……王族って連中はこれだから意味がわからん」
その言葉と共に隊長、アルフォンス、タクマの一列縦隊で進む。
そうして進んでいくに連れて隊長も意味が分かってくる。
内務官とも、衛兵とも全く出会さないのだ。
「どういう事だ?」
『既に敵の手に落ちているのでしょうか?』
「それは無い……と思いたい。父上が戦う前にやられるとは考え難いし、戦ったのなら城のどこかしらは消し飛んでいる筈だ」
そう話しながら宰相の執務室へとたどり着いた三人は、ようやく動く者を見かける。
それは黒い影。それがするりと扉を開けて目の前に現れる。
そこにノータイムで斬りかかるアルフォンスと隊長。しかしその剣は恐ろしく柔らかい剣で受け流され、二人に手傷を負わせた。
たったそれだけで、二人は崩れ落ちて動かなくなった。
「アルフォンス⁉︎」
無言で攻撃を始める黒い影。タクマは即効性の毒だと判断して剣の間合いから離れる。
しかし、それは読まれていた。飛んできたのは暗器。口から放たれていたと思われる針がわずかにタクマの肌を傷つける。
それがきっかけとなり、タクマの体には痛みが走る。着弾する瞬間に感じられたのは先日自分を殺したときに感じた魂への干渉。
激痛の現象だ。
この瞬間タクマは当たりを付ける。この現象は痛みをバカみたいなほどに増幅させるものなのだと。故に予期せぬ激痛によるショックで失神したのだろう。
「いまさらこの程度!」
『マスター、強がりはほどほどに』
実際タクマは初撃はどうにか防げたものの痛みで体の動きはおぼつかない。現状のタクマの”殺しの才能”の答えは逃亡一択だった。
眼前の黒騎士の剣の腕は自分と互角以上だ。それなのにこちらはかすり傷でも死に至る。故に、冷静な部分が絶対に今はこの敵を殺せないという結論を出している。
だが、それでいいのかとタクマの中の何かが叫んでいる。それは薄い皮でしかなかった仮面が叫んだヒトのふりの声。
それはか細く小さなものだったが、今の状況でタクマに判断を誤らせるのには十分だった。
「……やるぞ、メディ!」
『はい』
そうして放つメディの音響攻撃。それを覚悟して、否、覚悟させて切りかかるのはタクマ。
遊びはない。正真正銘正面からの薙ぎ払い。そしてその攻撃は
自身の放った音によるダメージが想像以上であったことで放たれずに、タクマの首は撥ねられた。
それが、タクマの今回の事件における、負けてはいけない戦いでの初めての敗北であった。
■□■
デスペナルティになったタクマは、それからのことをまだ多くを知らない。しかし、次々にデスペナルティになっていくプレイヤーたちの話によると
王とプレイヤーたちの多くを殺したのはアルフォンスであることが伝わってきた。まさかの偽王子だったのだと。
そして次々に殺されていくプレイヤーたちの中で最も健闘したユージによるとアルフォンスの体にこんな名前が浮かんだという。
《人魔サビク・アルフォンス》と。
それから、タクマのデスペナルティは明けることなく世界は滅び、この事件の1周目は終了した。
それもそのはず。アルフォンスと直接繋がっているタクマは今回囮であり、騎士団と交渉をしに行ったのは道を教えられたヒョウカ達だったからだ。話の早い二人はすぐさま簡単な共闘関係を結び攻めの一手に出てきたのだ。
その目的は、シンプル。味方を確かにする事。
タクマの辿った道筋を正確になぞり歩く事でヒョウカ達は味方である事を証明した。
それをきっかけにして各地のグループで動いているプレイヤーを味方にした。
そしてこれから、王国内部の絶対に味方である人々を味方にする事で王国のシステムの正常化を図る事。それがアルフォンス達の狙いだった。
自らの潔白は二の次であり、牢に入ることも覚悟の上の行動は、その志は、多くの人の心を打った。それが、アルフォンスの王道だった。
そのような神速の軍備を整えたアルフォンスは、護衛として選ばれたタクマを傍に置いて、臨時拠点とした貴族の屋敷で書類の準備をしていた。
そしてそれが終わり一息着くタイミングをメディが予測して、タクマがお茶を入れる。
タクマのそれはVRのミニゲームでやった程度の腕ものだが、アルフォンスはそこそこ飲める程度にはお気に召したらしい。顔を綻ばせている。
「とりあえず、お疲れ様?」
「正直人を連れているのには慣れないよ。やはり先頭に立って戦うのが性に合っている」
この屋敷は、元戦士団の三人のいた入植者グループの屋敷だ。
主犯格の三人は形ばかりの拘束をして入植者の方々に面倒を見させている。つまり当面の無罪放免だった。
アルフォンスは彼らの話を聞いた結果、戦うべきと改めて覚悟を決めたからだ。
彼の国を思う心は、その非道を許してはいない。
「しかし良いのか? お前の護衛が俺で」
「生半な実力では邪魔でしかならない。私の剣はそういうものだからな」
「……あのゲートだとそうなるか」
「しかし、君は違う。君とのコンビは不思議と合うのだよ」
『仮説ですが、心根が正反対だからでは?』
「ありそうだな」
「……僕はそう思わない。君は、鋭く研がれた剣だ。人の事をそういうのは違うとは思うのだが、僕はそう感じた。だから、剣と共に生きるソルディアルの血が馴染んだのだろう」
そのような高い好感度に違和感を覚えるタクマだが、ありのままの自分を見てそう感じてくれているアルフォンスには感謝しかなかった。
しかし、解せない点があった。それはタクマの外付け良心回路でもあるメディも同じ事。
敵がいるから殺す。それは理解できる。
だが、アルフォンスが矢面に立つ必要はない。アルフォンスは責任のある王族であり屈強な騎士であるが、それだけなのだから。
「……なんで出てきたんだ?」
「僕は、この政変は実際の所どうだって良い。父上と母上が無事ならば国は続く。故にこの謀略の刃が僕止まりならば何もするつもりはなかったさ……しかし、敵は存在しないはずのマリオネティカを使った。それは、伝説において死んだはずのシリウスを使ったのと同様にだ。僕はそれを何者かのゲートの力だと思っている。過去のモノを再現する力、だろうか」
「……本当になんでもありだな」
「ゲートとはそういうモノだ。タクマもいずれわかるさ」
『それなら、マスターにゲートの使い方をご教授をお願いできますか?』
「残念ながら、無理だな」
そんなメディの声をばっさり切り捨てるアルフォンス。その言葉には“それができるなら苦労はないよ”というアルフォンスの、強いでは国全体の思いが乗っていた。
「ゲートのあり方はそれぞれだからな。凪のように心を沈める者も、死ぬほどに心を燃やす者、あるいは普段の心のままだからこそ開ける者。様々なのだよ」
『なるほど、理解しました』
「じゃあアルフォンスはどうなんだ?」
「……正直、恥ずかしい話なのだがな」
そう言って理由を呟いたアルフォンスは、顔を少し赤くしていた。
その理由が理解できてしまって、どうしてここまでアルフォンスと息が合う理由が魂で理解できた。
アルフォンスは、仮面が厚い者なのだ。その仮面を己のの肉にできた者なのだ。
だから、薄皮のようなものとはいえ仮面に人格を委ねているタクマとは合ってしまう。そういう事なのだろう。
「さて、そろそろ休憩は終わりだ。真正面から行くとしよう」
「だな」
そうしてプレイヤー達に連絡を入れてアルフォンスとタクマは王城に向かう。
その背中に、多くのプレイヤーを引き連れて。
■□■
そうして辿り着いたのは王城前。不気味なほどに妨害はなく、ただ堂々とアルフォンスの軍勢は歩いていた。
「止まれ! 、偽王子!」
「止まらぬ!」
若い騎士から投げかけられるその言葉に堂々と返すアルフォンス。その歩みに迷いはなかった。
しかし、そこに待ったをかけるのはこの城門を守る騎士隊の隊長。体はそう太くはないが、よく絞られている体付きだった。
手数で攻めるタイプだな、とタクマは思い、無手でどう対処するべきかを考えながら様子を見る。そこに害意はなくとも、おそらく必要はなくとも、タクマはアルフォンスの護衛役なのだから。
「逸るな若いの。偽王子だろうが王子だろうがどうでも良い。何が目的だ?」
「これを宰相殿に届けに来た」
そうして剣に手を掛けずに互いに近づき見せられた書状。
そこには様々な条約に対しての回答が書かれてあった。これからどこにどの権力が回されるのかの草案が。
そして、“自身は王位継承権を放棄する”という言葉が載せられていた。
「……あぁ、本物だろうが偽物だろうがこれなら関係ないな。良い手を考える」
「あいにくと私も私が本物だともう証明できないのでな。だからこう言う奇策に打って出る事にした。新しい友人の奥方はなかなかに知恵者でね」
その言葉にタクマは内心で“まだ奥方じゃねぇよ何言ってんだヒョウカの奴”と呟き、『まだとは、半ば認めているのではないですか』とメディの言葉に頭を抱える。
そしてその様子は、当の本人に笑いを堪えられながら後ろで見られていた。
「では、これを俺が宰相どのに届ければ?」
「ああ。だがこの話は色々と面倒だ。僕も護衛を一人連れて直接行く。……だれが敵か分からないからな」
「あなたが敵である可能性は?」
「それは無い。そう剣に誓おう」
「わかりました、王子」
そのこの国では最上級の誓いに受け入れた騎士はアルフォンスとタクマを城門の中に通した。
■□■
タクマとアルフォンス、そして騎士は王城内を進み始める。
そして正門を潜ったその時に
「アルフォンス、王城はいつもこうなのか?」
「……そんなわけがあるか。隊長殿、ご注意を」
「お二人は何か感じましたか?」
その言葉にアルフォンスは「敵の影を」と返し、タクマは「死の気配を」と返す。
その言葉に違和感を覚えることはなく隊長は剣を抜いた。
「敵を見つけるまでは俺が」
「責任問題など私とタクマにすべて擦り付けてしまえば良い。抜くぞ」
「……王族って連中はこれだから意味がわからん」
その言葉と共に隊長、アルフォンス、タクマの一列縦隊で進む。
そうして進んでいくに連れて隊長も意味が分かってくる。
内務官とも、衛兵とも全く出会さないのだ。
「どういう事だ?」
『既に敵の手に落ちているのでしょうか?』
「それは無い……と思いたい。父上が戦う前にやられるとは考え難いし、戦ったのなら城のどこかしらは消し飛んでいる筈だ」
そう話しながら宰相の執務室へとたどり着いた三人は、ようやく動く者を見かける。
それは黒い影。それがするりと扉を開けて目の前に現れる。
そこにノータイムで斬りかかるアルフォンスと隊長。しかしその剣は恐ろしく柔らかい剣で受け流され、二人に手傷を負わせた。
たったそれだけで、二人は崩れ落ちて動かなくなった。
「アルフォンス⁉︎」
無言で攻撃を始める黒い影。タクマは即効性の毒だと判断して剣の間合いから離れる。
しかし、それは読まれていた。飛んできたのは暗器。口から放たれていたと思われる針がわずかにタクマの肌を傷つける。
それがきっかけとなり、タクマの体には痛みが走る。着弾する瞬間に感じられたのは先日自分を殺したときに感じた魂への干渉。
激痛の現象だ。
この瞬間タクマは当たりを付ける。この現象は痛みをバカみたいなほどに増幅させるものなのだと。故に予期せぬ激痛によるショックで失神したのだろう。
「いまさらこの程度!」
『マスター、強がりはほどほどに』
実際タクマは初撃はどうにか防げたものの痛みで体の動きはおぼつかない。現状のタクマの”殺しの才能”の答えは逃亡一択だった。
眼前の黒騎士の剣の腕は自分と互角以上だ。それなのにこちらはかすり傷でも死に至る。故に、冷静な部分が絶対に今はこの敵を殺せないという結論を出している。
だが、それでいいのかとタクマの中の何かが叫んでいる。それは薄い皮でしかなかった仮面が叫んだヒトのふりの声。
それはか細く小さなものだったが、今の状況でタクマに判断を誤らせるのには十分だった。
「……やるぞ、メディ!」
『はい』
そうして放つメディの音響攻撃。それを覚悟して、否、覚悟させて切りかかるのはタクマ。
遊びはない。正真正銘正面からの薙ぎ払い。そしてその攻撃は
自身の放った音によるダメージが想像以上であったことで放たれずに、タクマの首は撥ねられた。
それが、タクマの今回の事件における、負けてはいけない戦いでの初めての敗北であった。
■□■
デスペナルティになったタクマは、それからのことをまだ多くを知らない。しかし、次々にデスペナルティになっていくプレイヤーたちの話によると
王とプレイヤーたちの多くを殺したのはアルフォンスであることが伝わってきた。まさかの偽王子だったのだと。
そして次々に殺されていくプレイヤーたちの中で最も健闘したユージによるとアルフォンスの体にこんな名前が浮かんだという。
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