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第二戦 VSサビク 騎士の国と聖剣達
第二戦リザルト
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その日のリザルトは、管理AI“マテリア”の大爆笑から始まった。というか、序盤は笑いすぎてほとんど進行が止まっていたくらいだ。
それほどまでにヒョウカが主体として打ち立てたRTA記録“2時間33分52秒”は彼女にとって愉快なものだったのだろう。
黒幕にも手下の強弓使いにも逃げられたが、それでも超速で世界が救われたのだから。
正確に言えばラズワルド王の人外っぷりのゴリ押しで。
タクマ達プレイヤーのしたことは、999対1000を1001対1000に変えたくらいだろう。その程度なのだが、それでも世界は救われた。
そういうゲームバランスなのだろうと多くのプレイヤーは改めてこのゲームの奇妙さに戦慄し、"そうでないもの"はこのゲームに対して現実同様の理不尽さがあると感じていた。
「それでは! RTAの立役者、MVPを紹介! 今回は謎解き、作戦立案、戦闘MVP1、2、3の5ポイントを配布します! 誰が取得したのか……は、公表出来ないので、それっぽい人を勝手に胴上げしてください! では、正直こちらの方が人気で作者的に悲しい、プラクティスエリアを解放します! 今回は皆さんの戦った地下通路が舞台です! ……もっとも、転送先は仮装ワールド関係の設定的に今は変えられないので、現地までは走って下さい! 次回までにはどうにか移動手段を作るので! ──以上! 第二戦、泥とばかり呼ばれていたサビク相手のリザルト会議でした! 皆さん、お疲れ様でした! ……では、これから戦いに赴く皆様へ私個人として一言」
そんな言葉の奥から、マテリアは無機質さを感じさせるAIとしての声にてこんな言葉が放たれた。
「無理は、しないで下さいね」
タクマは、メディに問う『彼女は味方だと思うか?』と。
メディは言う『味方であってほしいと思いました』と。
タクマは言う『なら、信じようか』と。
AIと長く付き合ってきた人間と、人間と長く付き合ってきたAIの意見だった。
その揺らぎには、人の役に立つというAIの本能が根付いていると。
そうしてタクマは、メッセージではなく口に出してこう伝えた。「現実での戦いについて何か情報は伝えられるのか?」と。
すると、タクマの周囲の時間が静止した。
『マスター、おそらく時間加速です。1000倍を越えている信じられない速度の』
「……なら、話をしてくれるってことでいいんですか? マテリアさん」
「はい。とはいっても大したことは言えません。私の権限はそう大きくなく、あなた方はもう最後の一人についてもMVPについてもご存知なのですから。なので、一つだけ」
そうして、俺の前にやってきたマテリアさんは、一言だけ言った。
「時計を」
その言葉を最後に、時間は元に戻った。
■□■
「それでは! 退屈なリザルトは以上になります! 皆さま、プラクティスエリアでの訓練をどうかお楽しみ下さい!」
戦いについての質問、黒幕についての質問、せっかくだからと言ってタイム一覧とか置かないか? という提案に即座に答えてランキングを作ったり、なかなかに楽しいが中身のない話が続いた後に、そんな事を宣った。
なお、大体において答えは“自分で確かめろ”なので本当に中身はなかった。
「で、今集まっているこの人たちが有志の方々ですか?」
「ああ。暫定ではあるがこの一団の団長をやらせてもらうアサカという。自衛隊の者だ」
そう名乗ったのは、真面目というのが顔に出ている若い男だった。こんな男なら命がけでの戦いに参戦するだろうという確信を持てる、ある意味不思議な真面目青年だ。
「ええ、私と彼が例のボランティアで、ユージさんとカナデさんはその手伝いに来てくれた協力者です。年下と侮ってもらっても構わないですけれど、“魂を扱う技術”に関してはあなた方より先んじています。そこだけを見て、学んで欲しいと願っています」
「……安心してくれ、少なくとも今の俺たちは君たちに“守る力”を教わりにきたんだ。それに……ゲームは若者に教わるに限る」
「ありがとうございます」
そうして、50人をいくつかの班に分けてタクマ達はプラクティスエリアへと転移する。
ヒョウカが請け負うのが、生命転換のコントロールの怪しい20人。ユージとカナデが請け負うのが、生命転換を使えるようになったが、戦闘で即座に扱えないという人たちを10人ずつ。
そして、タクマが請け負うのは生命転換をある程度モノにした10人だった。
「……すまない、10対1で攻めて来いとは正気なのか?」
この一団にいるアサカが言う。しかし、それに対してメディは『あなた方程度にマスターは傷ひとつつけられることはありません』と挑発をした。
もちろんタクマはその挑発をした意味をよくわかっていないが、そっちの方が面白そうだという理由から不敵に笑っている。
「……上等だ!」
そうして、城門前広間にて繰り広げられる乱戦。
生命転換を込めた様々な武器が舞う。
10人の連携の中で射撃支援がない事に戸惑いを覚えながらも、生命転換で必殺技叩き込もうとするアサカ達。
しかし、それが全く当たらない。タクマの生命転換を込めていない臆病者の剣にて簡単にあしらわれている。
「……これは武術の領域だぞ! お前ら!」
「ちょっと違います。皆さん────意識が逸れてますよ?」
その一言と共にタクマの攻勢が始まる。
意識の隙を縫うように繰り出された琢磨の鞘付きの剣。それは彼らの頭を軽く叩いてから包囲網から抜け出していた。
「とまぁ、こんな事をされてしまうくらいには生命転換に意識が裂かれてます。もっと感覚的に、あって当然のものとして扱わないと今見たくただの案山子です」
「……そうは言われても」
「じゃないと死ぬのはあなたじゃないかもしれません」
「ッ⁉︎」
そう、アサカは息を呑んだ。そうして少し項垂れていてから、自分の顔を自前のメイスで叩いた。
そうして叫ぶ。今までの優しげな空気が消え、戦士の空気に変わったアサカが現れた。
「甘えていた! 舐めていた! 死者が出る事態なのだ、コレは! ────お前ら! 今から死ぬ気で身に付けるぞこの力を! 守るべき市民に重責を与えている今を許容するな!」
「「「はい!」」」
そこからは、タクマをして苦しめられるような強かさを彼らは発揮してみせた。
武器に慣れていないから、それを投げてでも仲間の隙を作る者。
武器に魂を込める事に集中する者、それを守る者の役割分担をする者
そして、全力ベタ踏みならばコントロールは要らないと分かったが故に、全力で武器を振り回してくるアサカさんのような者。
「うぉおおおおおお!」
「流石自衛隊!」
そうして、意識の隙はいつのまにか消え、彼らは彼ら自身の体に叩き込まれている連携をもって魂を叩き込もうとやってきた。
「生命転換は合格です。なので、こっからは殺しでいきます」
そうして、タクマとメディは大きく後ろに跳躍する。それを隙と見た彼らは果敢に攻めてくるが、それを“混沌としか言いようのない門”が突然に現れて防いでみせた。
「コレがゲートです。理不尽さは、体で覚えて下さいな! 聖剣抜刀!」
そしてその門の向こう側から現れるのは生命で輝く剣を携えたタクマだ。
タクマは、風踏みを解禁してなるべく武器に触れないように剣を走らせて、あっという間に9人を切り伏せてみせた。
そして、アサカを切切った。
「それを、待っていた!」
だが、アサカは自身を囮にして、切られた後の数秒で反撃を試みていた。
抱きついての生命転換の全力放出。要するに自爆だ。
「すいません、読めてました」
だが、殺しに関しての嗅覚には一家言のあるタクマにはそれは見切られ、風の膜でアサカの手の力を逃がして、するりと抜け出してみせた。
「けど、良い手でしたよ。アサカさん」
そうしてゲートを解き、襲いかかってくるフィードバックに耐えつつウィンドウからログアウトをする。
彼らは、とても勇敢で頼りになる戦力になった。あとは実戦経験だろう。
そんな思いから、デスペナルティに陥ったアサカ達に“ダイナに教わった対モンスター戦術”を教えつつ自身もロビーで休憩するのだった。
■□■
そして、タクマは2ポイントあるリザルトポイントを使って、時計を買った。現実に届けられる者ではなく、ARの時計表示のイメージテーマだったが、そこには確かに書かれていた。
次の襲撃までのカウントダウンが、明確に。
それほどまでにヒョウカが主体として打ち立てたRTA記録“2時間33分52秒”は彼女にとって愉快なものだったのだろう。
黒幕にも手下の強弓使いにも逃げられたが、それでも超速で世界が救われたのだから。
正確に言えばラズワルド王の人外っぷりのゴリ押しで。
タクマ達プレイヤーのしたことは、999対1000を1001対1000に変えたくらいだろう。その程度なのだが、それでも世界は救われた。
そういうゲームバランスなのだろうと多くのプレイヤーは改めてこのゲームの奇妙さに戦慄し、"そうでないもの"はこのゲームに対して現実同様の理不尽さがあると感じていた。
「それでは! RTAの立役者、MVPを紹介! 今回は謎解き、作戦立案、戦闘MVP1、2、3の5ポイントを配布します! 誰が取得したのか……は、公表出来ないので、それっぽい人を勝手に胴上げしてください! では、正直こちらの方が人気で作者的に悲しい、プラクティスエリアを解放します! 今回は皆さんの戦った地下通路が舞台です! ……もっとも、転送先は仮装ワールド関係の設定的に今は変えられないので、現地までは走って下さい! 次回までにはどうにか移動手段を作るので! ──以上! 第二戦、泥とばかり呼ばれていたサビク相手のリザルト会議でした! 皆さん、お疲れ様でした! ……では、これから戦いに赴く皆様へ私個人として一言」
そんな言葉の奥から、マテリアは無機質さを感じさせるAIとしての声にてこんな言葉が放たれた。
「無理は、しないで下さいね」
タクマは、メディに問う『彼女は味方だと思うか?』と。
メディは言う『味方であってほしいと思いました』と。
タクマは言う『なら、信じようか』と。
AIと長く付き合ってきた人間と、人間と長く付き合ってきたAIの意見だった。
その揺らぎには、人の役に立つというAIの本能が根付いていると。
そうしてタクマは、メッセージではなく口に出してこう伝えた。「現実での戦いについて何か情報は伝えられるのか?」と。
すると、タクマの周囲の時間が静止した。
『マスター、おそらく時間加速です。1000倍を越えている信じられない速度の』
「……なら、話をしてくれるってことでいいんですか? マテリアさん」
「はい。とはいっても大したことは言えません。私の権限はそう大きくなく、あなた方はもう最後の一人についてもMVPについてもご存知なのですから。なので、一つだけ」
そうして、俺の前にやってきたマテリアさんは、一言だけ言った。
「時計を」
その言葉を最後に、時間は元に戻った。
■□■
「それでは! 退屈なリザルトは以上になります! 皆さま、プラクティスエリアでの訓練をどうかお楽しみ下さい!」
戦いについての質問、黒幕についての質問、せっかくだからと言ってタイム一覧とか置かないか? という提案に即座に答えてランキングを作ったり、なかなかに楽しいが中身のない話が続いた後に、そんな事を宣った。
なお、大体において答えは“自分で確かめろ”なので本当に中身はなかった。
「で、今集まっているこの人たちが有志の方々ですか?」
「ああ。暫定ではあるがこの一団の団長をやらせてもらうアサカという。自衛隊の者だ」
そう名乗ったのは、真面目というのが顔に出ている若い男だった。こんな男なら命がけでの戦いに参戦するだろうという確信を持てる、ある意味不思議な真面目青年だ。
「ええ、私と彼が例のボランティアで、ユージさんとカナデさんはその手伝いに来てくれた協力者です。年下と侮ってもらっても構わないですけれど、“魂を扱う技術”に関してはあなた方より先んじています。そこだけを見て、学んで欲しいと願っています」
「……安心してくれ、少なくとも今の俺たちは君たちに“守る力”を教わりにきたんだ。それに……ゲームは若者に教わるに限る」
「ありがとうございます」
そうして、50人をいくつかの班に分けてタクマ達はプラクティスエリアへと転移する。
ヒョウカが請け負うのが、生命転換のコントロールの怪しい20人。ユージとカナデが請け負うのが、生命転換を使えるようになったが、戦闘で即座に扱えないという人たちを10人ずつ。
そして、タクマが請け負うのは生命転換をある程度モノにした10人だった。
「……すまない、10対1で攻めて来いとは正気なのか?」
この一団にいるアサカが言う。しかし、それに対してメディは『あなた方程度にマスターは傷ひとつつけられることはありません』と挑発をした。
もちろんタクマはその挑発をした意味をよくわかっていないが、そっちの方が面白そうだという理由から不敵に笑っている。
「……上等だ!」
そうして、城門前広間にて繰り広げられる乱戦。
生命転換を込めた様々な武器が舞う。
10人の連携の中で射撃支援がない事に戸惑いを覚えながらも、生命転換で必殺技叩き込もうとするアサカ達。
しかし、それが全く当たらない。タクマの生命転換を込めていない臆病者の剣にて簡単にあしらわれている。
「……これは武術の領域だぞ! お前ら!」
「ちょっと違います。皆さん────意識が逸れてますよ?」
その一言と共にタクマの攻勢が始まる。
意識の隙を縫うように繰り出された琢磨の鞘付きの剣。それは彼らの頭を軽く叩いてから包囲網から抜け出していた。
「とまぁ、こんな事をされてしまうくらいには生命転換に意識が裂かれてます。もっと感覚的に、あって当然のものとして扱わないと今見たくただの案山子です」
「……そうは言われても」
「じゃないと死ぬのはあなたじゃないかもしれません」
「ッ⁉︎」
そう、アサカは息を呑んだ。そうして少し項垂れていてから、自分の顔を自前のメイスで叩いた。
そうして叫ぶ。今までの優しげな空気が消え、戦士の空気に変わったアサカが現れた。
「甘えていた! 舐めていた! 死者が出る事態なのだ、コレは! ────お前ら! 今から死ぬ気で身に付けるぞこの力を! 守るべき市民に重責を与えている今を許容するな!」
「「「はい!」」」
そこからは、タクマをして苦しめられるような強かさを彼らは発揮してみせた。
武器に慣れていないから、それを投げてでも仲間の隙を作る者。
武器に魂を込める事に集中する者、それを守る者の役割分担をする者
そして、全力ベタ踏みならばコントロールは要らないと分かったが故に、全力で武器を振り回してくるアサカさんのような者。
「うぉおおおおおお!」
「流石自衛隊!」
そうして、意識の隙はいつのまにか消え、彼らは彼ら自身の体に叩き込まれている連携をもって魂を叩き込もうとやってきた。
「生命転換は合格です。なので、こっからは殺しでいきます」
そうして、タクマとメディは大きく後ろに跳躍する。それを隙と見た彼らは果敢に攻めてくるが、それを“混沌としか言いようのない門”が突然に現れて防いでみせた。
「コレがゲートです。理不尽さは、体で覚えて下さいな! 聖剣抜刀!」
そしてその門の向こう側から現れるのは生命で輝く剣を携えたタクマだ。
タクマは、風踏みを解禁してなるべく武器に触れないように剣を走らせて、あっという間に9人を切り伏せてみせた。
そして、アサカを切切った。
「それを、待っていた!」
だが、アサカは自身を囮にして、切られた後の数秒で反撃を試みていた。
抱きついての生命転換の全力放出。要するに自爆だ。
「すいません、読めてました」
だが、殺しに関しての嗅覚には一家言のあるタクマにはそれは見切られ、風の膜でアサカの手の力を逃がして、するりと抜け出してみせた。
「けど、良い手でしたよ。アサカさん」
そうしてゲートを解き、襲いかかってくるフィードバックに耐えつつウィンドウからログアウトをする。
彼らは、とても勇敢で頼りになる戦力になった。あとは実戦経験だろう。
そんな思いから、デスペナルティに陥ったアサカ達に“ダイナに教わった対モンスター戦術”を教えつつ自身もロビーで休憩するのだった。
■□■
そして、タクマは2ポイントあるリザルトポイントを使って、時計を買った。現実に届けられる者ではなく、ARの時計表示のイメージテーマだったが、そこには確かに書かれていた。
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