迷宮探偵〜迷宮での事件を解決する最強探偵ここにあらわる〜

第一章

16.

　さて，どうしたものか。
　本気で言うと、多分，こいつ、俺に懐いてる。
　懐いていると言うとペット的な何かになる感じが俺にはあるので、語弊があるように感じる。
　でも，まだ，何か足りない気がする。
　例えば、
「お前，地上に出たいのか？」
　俺は，そう問いかける。
　この質問の意図は，こいつが地上に出たいのなら，迷宮の出口へと通じるこの迷宮のギルドを通過しないといけない。
　多分，モンスターみたいには，見えないと思うけど、怪しまれるし、通行書がない今、多分、できない。
　だから，俺の力を使って，外に出てみようか、悪事を働こうと思っているのかもしれない。
　と言うのが一段階目の推測だ。
「ううん」
　ちなみにこれが、はいならば、って違うのか。
　と言うことは，なんで，こいつは，こんなにも俺に懐く必要があるのだ。
　否，こんなにもこいつに好かれなきゃならないのだ。
　流石に人間判定にしなきゃかわいそうだなって思えてきたので、人間判定にして考えることにする。
「私、あなたが運命の人だって思ってるの」
　そう言って、彼女は、さらに体を擦り寄せてくる。
　悪い気がしないが、良い気もしない。
　それが今の俺の気持ち。
　それよりも，怖いってのが感想。