迷宮探偵〜迷宮での事件を解決する最強探偵ここにあらわる〜

第一章

20.

✴︎
　俺たちは，なんとか王国まで帰れた。

「もっとマシなルートがなかったのか？」

　俺は，カラミラにそう言った。
　普通にありえないようなルートを通って帰ってきたからだ。
　まず，山に穴を開けて，そこを通り，木々は，薙ぎ倒して，死にそうな木こりのお爺さんを助けて，カラミラが途中で変なキノコを食べて死にそうになり，まだ，山に穴を開けて，迷宮から上がってきた穴に戻ってきて，道が逆だったことに気がついて，その道を通って，川で魚を釣って，それを食べていたら，変な人に絡まれて，魚を分けてあげることにして，そしたら，村に案内されて，変な怪物を倒すハメになって，精霊を見つけて，カラミラが道を聞いてるような素振りを見せて，俺は，少しカラミラを睨みつけ，カラミラは，笑って誤魔化してきて，そして，やっとのことで，俺たちは，ここまで帰ってくることができた。
　要は，阿保である。

「ごめんね？ルートがわからなくて……」
「まぁ、いい。俺は，ギルドまで行くがお前は……」
「行くっ！」

　カラミラは，元気よく飛びついてきた。
　俺がいくら離れさせようとしても，離れてくれない。

「おいっ！離れろ……」
「嫌だよ～！絶対離れないからね？」
「なんでだよっ！」

　そうやって，ギルド前で騒いでいると、

「はいはい……」
「……」

　俺は，声をかけてきた人を見て，顔が青くなった気がした。
　声をかけてきたのは，ギルドの受付嬢長。
　圧倒的威圧に俺は，潰されそうになった，俺は。
　大事なことなので，もう一度言う。
　俺は，ギルドの受付嬢長の圧倒的な威圧で押し潰されそうになった，俺は。

「誰？このおば……」
「ちょっ、やめろっ！」

　俺は，急いで，カラミラの口を押さえた。
　そして，受付嬢長の顔を伺う。

「あら？メイデンでは，ありませんか。ゆっくり話を聞かせてもらいますからね？」

　そう言って，俺は，カラミラと一緒にギルドの中へ引きずり込まれた。