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第二章

58.

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✴︎
 兵士たちの足音と魔獣の足音が混じる。
 そして、止まる。
 すると、牙を向いて、お互いを敵視する。
 そして、殺し合いが始まる。
 これが普通だ。
 正常だ。
 だから、仲良くするなんて、論外なんだ。
 いい加減分かれよ。
 グリッド。
 貴様に死んで欲しいわけではない。
 でも、貴様には、わかってもらわないといけない。
 この世の中がどうして、敵対しているのか、それをわかった上で、きまさは、そちらについているのか。
 いや、多分貴様は、わかってない。
 わかったふりをしているだけだろう。
 だから、貴様を正しくしてやらないとダメなんだ。
 俺が、貴様を正しく導いてやらないと、いけない。
 それは、俺が貴様が生まれる前に父から言われたことだ。
 だから、父がいなくなって、母がいなくなって、俺とお前だけになった時には、俺が父のように振る舞うしかないんだ。
 貴様が不安で仕方なくなった時にもずっとそばにいただろう。
 だから、お前は、俺が守ってやる。
 いくら道を踏み外しても。
 絶対に元に戻してやる。
 だから、俺に任せとけ。
 魔王は、もう思いながら、軍とグリッドの元に飛ばしていた。
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